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potatoihatoveのブログ
人見るもよし 人見ざるもよし 我は“描く”なり (一日一絵)

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毎夏、北海道へ通っていた最大の目的は
造形作家の『太田久幸さん』に会い行くことでした。

イメージ 1
【大田久幸さん】(1992年5月 週刊朝日)

初めて太田さんを知ったのは、新聞の日曜版の小さな記事でした。
そこには、旋盤を使って削りだした
丸い小さなフクロウやハトなどの作品が並んでいました。

記事に書かれていた住所は、旭川近郊の東川町。
「行けば何とかなるだろう」と、
何の連絡も取ることなくいきなり押しかけていきました。
事情を話したところ、
嫌な顔一つせず迎え入れてくださいました。

以後、毎年夏の休みにはお伺いして、
楽しいおしゃべりとお昼をご馳走になる特別な一日になりました。
奥さんの優しい笑顔も素敵でした。

イメージ 2

【作品の一部】

作業中に旋盤から外れた木がお腹に刺さり、
木が刺さったまま病院へ行ったこと、
外国から来た木工関係の視察の人が、
旋盤の先で回る木を見て「ヘリコプター!」と叫んだことなどを
楽しく話してくれました。

その話し方は、朴訥な人柄が滲み出ていて
作品にもハッキリと現れています。
作品を前にした時の柔和な子供のような表情には、
”木を削る喜び”に溢れていました。

イメージ 3
【樹霊】(きたま)

「樹霊」は、
木の持つ魅力を極限にまで引き出した、太田さん渾身の作品です。
目に入れる切込みでその表情は一変します。

1998年(平成10年)夏、
「北海道の地図のような模様が入った木が手に入りました」
と満面の笑みを浮かべながら話されていました。

これが、私が太田さんに会った最後になりました。
2002年(平成14年)7月、63年の生涯を終えてしました。

イメージ 4
【1992年 8月6日朝 気温5.6℃】
翌年には、左の工房も住まいもきれいに建て替えられていました。


単純なるが故の味わいのある作品は、
卓越したロクロや旋盤技術なくしては造り出せません。

「好きな樹で 好きに創る」

自らを『木地職人』(きじー)と称して、
ひたむきに木と向かい合った”職人人生”でした。

この記事に

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    こんばんは!
    様々な人生があって良いと思いますが記録が残せる方々って素晴らしいです。

    余談ですが沖縄ではキジムナー(精霊)も信じられてます。

    [ keiwaxx ]

    2016/4/29(金) 午後 9:36

    返信する
  • こんばんは。
    素晴らしい作品の数々、旋盤で木を削る、
    考えたら精密機械も作り出す機械、木を削るという発想
    中々考えられませんね
    人はいなくなっても作品と言う形で残せる素晴らしいです。

    おてる

    2016/4/29(金) 午後 10:05

    返信する
  • 体を張ったお仕事でもあるんですね。
    樹霊の作品は静かなエネルギーを感じます。
    potatohatoveさんの作品も永遠に残りますね。
    好きな絵の具で、好きに描く…

    maguro

    2016/4/29(金) 午後 11:23

    返信する
  • > keiwaxxさん
    「キジムナー」、知ってます。
    私がすきだった朝ドラ「ちゅらさん」に出てきました。
    旋盤だけで「どうやって削ったんだろう」と思う作品もあります。

    [ potatoihatove ]

    2016/4/30(土) 午前 0:03

    返信する
  • > おてるさん
    元々が家具職人で、一日何千という家具の引き出しのツマミを削っていたそうです。
    そこからある人に背中を押されて自立したそうですが、奥さんには感謝していました。
    おてるさんも素敵な器を残して下さい。

    [ potatoihatove ]

    2016/4/30(土) 午前 0:09

    返信する
  • > maguroさん
    「樹霊」は、木の持つエネルギーを、神としてのフクロウの尊さを感じます。
    私のは「下手の横好き」、残せるような作品はありません。

    [ potatoihatove ]

    2016/4/30(土) 午前 0:22

    返信する
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    素敵な木地職人・太田さんのことが、
    これまた優しい眼差しを持たれたご貴殿の文章で
    浮き彫りにされていて、拝読して、お二人の関わりの
    ありようの尊さ・豊かさを存じ上げました。
    人と人は、かくこそ関わり合うべきものかと
    感じ入りました。ご貴殿の優しさが、肌えに染みこむように
    感じられました。嬉しくなりました。

    [ paxchina ]

    2016/4/30(土) 午前 7:37

    返信する
  • > paxchinaさん
    北海道の地図のような模様の入った木で「樹霊」を造ると言われていましたが・・・。
    この時の嬉しそうな顔は今でも目に浮かびます。
    私の手元には太田さんの作品が数多くあります。
    試作品という作品もあります。
    これらは大切な宝物です。

    [ potatoihatove ]

    2016/4/30(土) 午後 0:51

    返信する

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