今回は、胡発雲(フーファユン)「如焉@sars.come」。 本当に中国が2003年の重症急性呼吸器症候群(SARS)の時にどんな感じであったのかを浮き彫りにした小説です。 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 2006年初め、文芸雑誌『江南』に全文が掲載され、通常の5倍以上の1万1000部を発行しました。 この年の10月、単行本が中国国際広播出版社から出版。初版印刷5万部(中国では、雨後の筍のように海賊版があっちこっちから出ますので、これは多い方ではないかと思います)。 翌2007年1月、中国政府はこの本を発禁処分にしました。 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 主人公は、しとやかで上品な40代の未亡人・茹嫣(ハンドルネーム:如焉)。 同僚に副市長を紹介され、茹嫣は副市長と男女の関係になります。 フランスへ留学する息子からは、渡航前にパソコンと小犬を与えられます。 彼女はインターネットというものを見つけ、どこでもドアのような新たな世界を切り開いてゆくのです。 インターネットで民間思想グループのリーダー・衛立文とも出会います。 そして、それは彼女のクリエイティブな才能を開花させました。 インターネットに熱中するようになり、副市長との関係を切ります。 では、一文を抜粋。茹嫣と息子とのビデオチャットで。 ≪パソコンの画面のなかで、彼は茹嫣に手を振り、それからウインドウは閉じられた。彼の声も暗闇に消えた。彼女が幼かった時に読んだおとぎ話に出てくる鏡や水晶球や魔法のランプといった神秘的なものが現れたり、跡形もなく消えたりするかのように、茹嫣には思えた。≫(日本語意訳:ブログ管理人) なお、この本は日本語には翻訳されていません。 英語訳はあります。翻訳はA. E. Clark。 |
中国文学発禁本
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今回は、陳放(チェンファン)「天怒」(監修・長谷川慶太郎、リベロ刊)。 1995年4月、汚職の審査を受けていた常務副市長の王宝森が自殺し、北京派のトップ・陳希同にも汚職の疑惑がかけられるという出来事を背景に書かれた実録小説です。 汚職摘発事件の内幕を暴露することによって、江沢民VS陳希同の抗争を描いています。 本書では、自殺した何啓章副市長が女性のために数百万元の車や家を贈ったりしていました…。 この本は1995年に出版されたものの、政府高官の汚職を暴いたことから発禁処分!!! 中国的には痛いのかも。 その後、海賊版が出回って、今までに500万部以上も売り上げた地下ベストセラーです。 日本で発行された訳書も発行部数が5万部に上りました。 この数字は、中国小説ではある意味、快挙と言えます。 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 中国のきな臭い内部が分かって、読んでいてワクワクする内容です。 何啓章副市長の自殺を他殺もあり得るとして命がけで調べる汚職取締局部長の陳虎。それを恋心を抱きながらサポートする市規律検査委員会委員の陶素玲。 そのふたりが副市長の死亡現場を訪れて、こんな場面も。 ≪”ああ、あなたは仕事はとても丁寧なのに、感情はどうして鈍感なのかしら。私はあなたがいとおしいのよ!”陶素玲は心の中でそう思ったが、それをおくびにも出さなかった。(中略)陶素玲は、突然、陳虎の胸に飛び込んだ。怖かったからなのか、それとも、ウサギがチャンスを与えたからなのか、自分でもはっきりとはわからなかった。≫ ハードな内容なのにソフトな面もふんだんに盛り込まれてます。 かなりおもしろい本です。 また、続編の「天怒人怨」(2005年発売)も中国で発禁処分になっています。 |
今回は、衛慧(ウェイホェイ)「上海ベイビー」(日本語訳・桑島道夫、文藝春秋刊)。 国際都市・上海でミニスカートをはきウエートレスをするココ・シャネル好きのココ25歳は、そのかたわら小説も書く。 同棲中のニートの恋人・天天とのセックスはうまくいかず、妻子あるドイツ人のマークと過激にメイクラブ…。 ドラッグ、セックス、酒――頽廃的な中国の都会を猥雑に捉えた小説。 1999年9月に春風文芸出版社から出版。 半年で(海賊版は含めず)11万部を超すベストセラーになるものの、2000年5月に西欧文化有害図書として発禁処分に。 主人公のココとドイツ人のマークとの不倫はあまりにも生々しい。 外出中の恋人から電話がかかってきた場面を抜粋。 ≪私はうわの空だった。マークが私を抱き上げ、テーブルの上の電話のそばに下ろしたからだ。私は一方で受話器を握りながら、もう一方で彼の肩をつかんでいた。彼は頭で私のお腹を支えている。その舌がパンティー越しに私の陰部を嘗めるものだから、くすぐったくてたまらない。(中略)私はできるだけ自然なトーンで話そうとした。≫ もっと激しいシーンもあるが、載せるのもお恥ずかしい。 かなり低俗です。 ほかに、衛慧の著作では、「上海ベイビー」の続編「ブッダと結婚」(2005年発売)も中国で発禁処分になっています。 |
今回は、賈平凹(チア・ピンアオ)「廃都」(日本語訳・吉田富夫、中央公論社刊)。 20世紀末のリアルな中国を描いた作品。 1993年6月、雑誌『十月』(第4期)に発表され、翌月に北京出版社から出版されました。 すぐに”現代の「紅楼夢」”、”後世に伝わる書”などと評判になり、いろんな町で海賊版が出されるようになります。 で、3か月後には正版・海賊版あわせて1200余万部も売れちゃうわけです。 でも、出る杭は打たれるで、年末になると過激な(?)性描写などを理由に発禁処分になってしまいました。 その後も海賊版は飛ぶように売れ続けるんですけどね。 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 「そんなに凄い小説なのか?」 少し勘繰りながら読むのですが、冒頭から引きつけてくれます。 楊貴妃の墓の土を持って帰って植木鉢に入れると種をまいていないのに不思議な花を咲かせるという話、太陽が4つも現れるという話―ユニークな出だし。 落語で言えば、”まくら”のような感じですね。 その後も、牛が哲学者のように語るあたりは秀逸。 ≪この世界の動物で、牛以外はすべて獰猛(どうもう)である。物言わないのは天帝と牛だけだ。牛は人にこき使われていればこそ、ほかの野獣と違って文明社会には入れたのだ。すばらしい。社会の文明は結局は行き詰まり、利口が逆にあだとなって破壊へと向かうだろう。そこで人間に取って代わってこの社会を取り仕切るのは誰か? 牛だ。牛しかいない!(中略)人間の群れのなかにあんなにも大勢、牛の皮で作ったオーバーやジャンパー、靴などを身につけたがる者がいるのはなぜか? あれはみな牛のスパイなのだ。連中は人類のなかにまぎれこんだのちも、当然みずからの種族を恋しがったり責任感をかきたてられたりして、躰のどこかに牛の物を使うことで、ひそかにそのことを暗示したり誇示したりしているのだ!≫ 本当は牛の”ことば”を全文載せたいぐらい素晴らしい内容です。 発売から半年で1200余万部と売れに売れまくったのもうなずけますね。 なお、2009年8月、16年ぶりに中国で再版されました。 |
まずは、莫言(モオイエン)「豊乳肥臀(ほうにゅうひでん)」(日本語訳・吉田富夫、平凡社刊)。 豊満なオッパイ、でっかいお尻って感じでしょうか。 ボンキューボーン、エロいですね。 タイトルのみならず、中身もすごいです。 主人公の上官金童は猛烈に変態ぶりを発揮しています。 見事なまでに”乳房フェチ”なんです。 ちょこっと本文を引用すると、こんな感じです。 ≪艶やかで柔らかな六姐(六番目の姉)の乳房。世に二つとない宝物。今宵それが、そばかすの上に産毛の生えたこのアメリカ鬼子(=野郎)の手に落ち、ほしいままに掴まれ、触られ、もみしだかれる。(中略)今宵は真っ白な歯をしたアメリカ鬼子の口に落ち込んで、かぶられ、吸われて、青白い二枚の皮になるまでしゃぶり尽くされる。≫ ≪この世で、わたし(上官金童)ほど乳房が分かり、乳房を愛し、乳房を守るすべを知っている人間はいないのに、この善意をおまえたちは無にするというのか。無念さに、わたしは泣けてきた。≫ ≪わたし(上官金童)の側を通り過ぎるとき、ひょいと頭を撫でられたが、その手が上官来弟(上官金童の姉)の乳房の匂いをさせているのが分かった。≫ このように、”乳房フェチ”全開です。 僕的には足フェチですが…。 足フェチと言えば、中国にはちっちゃい頃から足に布を巻かせ、足が大きくならないようにする『纏足(てんそく)』というのがありますね。 で、莫言が書いた小説に、纏足フェチのあまり、人妻の旦那とその親を殺してしまう「赤い高粱(コーリャン)」があります。 |
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