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東京には色んなバーがあります
私は趣味、そして勉強でこれまで多くのバーを見てきた
今私が住んでいる地域にもたくさんバーがあり、人に聞く有名所のバーは一通り回ったつもり
お客さんに聞いたバーは全て行ってみた
あの日行ったバーは年輩の男のバーテンダーがいるバーだった
常連のお客さんから聞いていて、音楽がジャズで木の感じが落ち着くバーだと言っていた
一度気になれば行かずにはいられない
カウンターが8席にテーブルが2卓
テーブルにサラリーマン4人と、左からカウンターに男の人が一人、一つ空けて隣に酔いつぶれて寝てる男、もう一つ空けて年の功30後半のカップルがいた
「いつもはもっと暇だよ」とバーテンダー
私はカウンターの一番右に腰掛けた
左には酔っ払ってイチャイチャ気味の男と女
勉強したいカクテルがあったのでそれを注文し、私はゆっくりと味わいながらバックバーに並ぶボトルに注目していた
カクテルも3杯目を迎えた頃のことだった
「起きてください!」
バーテンダーがカウンターを出て酔いつぶれ寝ている男を後ろから抱え込み起こそうとしている
私もよくこの光景は仕事中見ているので特に気にはかけなかった
ところが嫌でも耳に入ってくるのが同じ空間同じ時間を共有するバーというもの
「起きてください!お客さん!」
少々強引に男を起こし入り口に送るバーテンダー
スーツも髪も乱れ、男はフラフラになりながらやっと自分の体を支えている状態
あーあ、あんなになるまで飲んじゃって
ありゃー仕事関係失敗した系か? いや、女にフラれたか
他人の事はどうでもいいが、人が泥酔状態に至るまでの経緯は少なからず気になる私
これも職業柄だろうか
冷たい冬の風が扉を抜けバーの中へ入ってくる
「これお客さんのだね?いい?ちゃんと持って!」
バーテンダーは男が持っていたバッグをしっかり手に握らせていた
外へ出る二人
外でも男はなかなか帰らなかったのだろう、バーテンダーはしばらく店を空けていた
大丈夫かな あの男の人
「いやー参ったよ」
とバーテンダーが元の定位置に戻る
ここでいっぱい飲んだ方なんですか?
と私が尋ねると、
「いや、どっか行ってきた帰りみたいだね、ここでは1杯しか飲んでないよ、しかも、見て、こんなに残してる。相当飲んだようだね」
バーテンダーは男が残したモルトのグラスを私に見せた
氷が溶けて中のウイスキーがグラスの半分を越えていた
ふうと一息ついて片付け始めるバーテンダー
数分後、私の左隣にいたカップルの男が「マスター、会計」と言った
身支度を先に済ませた女が店を出た
「あれっ?」
男が周囲を見回している
何だ? と私も視線を向けた
「マスター、俺のカバンないんだけど」
え?
カウンターの一枚板のすぐ下には荷物を置けるようにもう一枚木の板がある
この男は常連らしくこのスペースの存在を知っていたのでいつもの様にここにカバンを置いていた
「これくらいで黒いカバンで結構重たいやつ」
サラリーマンが持っている、パソコンや書類が入るカバンだ
「あ、まさか」とバーテンダー
私も同じ事を考えていた
「さっきの男の人間違えて持っていったな」
「困るよマスター!」
先程帰ったあの酔い潰れた男もスーツのサラリーマンだった
黒いカバンを持って出たのは私も見ていた
サラリーマンが持つのは大抵似たような黒いカバン
男は間違えて持ち帰ってしまったらしい
さっきまで気分よく女と酔っていた男のアルコールは一気に引いた
会話を聞いていると、カバンには会社の書類と名刺、そして財布も入っていたらしい
「名刺見て返しに来てくれるといいんだけど」
「いやー参ったなあ」
「俺もちゃんと確認するんだった。申し訳ない」
とバーテンダーは言った
客が手に持つカバンを本人の物か厳重に確認して送りだすなんて私もした事がない
酔っ払っていたとしても持ち物に関しては疑いなく送りだしてしまうと思う
カップルの男も程良く酔っていて、女に夢中だった
自分のカバンを持って行かれた事に全く気付く事が出来なかった
「参ったなー」
男もバーテンダーももはやこの言葉しか出ない様子だった
「明日酔いがさめた時焦って持ってきてくれると思うんだ」
そうバーテンダーが言うと、ガックリ肩を落とした男も半ば諦めた様にうなずいた
バーテンダーは男に帰るに十分なタクシー代を渡した
「申し訳ない」
そう言ってうなだれる男を見送ったバーテンダー
大丈夫でした?
大丈夫なワケがない
バーテンダーは一段と疲れた様に見えた
聞くと以前もトラブルになった事があるらしい
前回はまたサラリーマンのコート
同じようなコートで酔っ払った人が自分のコートと間違え着て帰ったとか
酔っ払ってしまうと自分の持ち物か他人の持ち物かの判断能力は鈍ると思う
まして同じようなサラリーマンのカバンにコート
帰る時店の人に「これ本当にあなたの物ですか?本当ですか?」なんて言われたら気分はあまり良くない
ところが間違えられて持っていかれるよりはマシ
しかしバーテンダーにはここまでやるマニュアルなんてない
私がもしこのバーテンダーと同じ状況に置かれたらどう対処するだろう
ここで必要となってくるのが観察力なのだと思う
バーテンダーに限らず、優れたサービスマンは観察力が長けている
帝国ホテルに泊まった時、廊下でホテルマンにレストランの場所を尋ねた
ものの30秒くらいのやりとりだったが、翌日ロビーでそのホテルマンに「昨日は無事レストランに辿り着けましたか?」と話し掛けられた
私はホテルマンの顔なんてすっかり覚えていなかったが、彼は覚えていてくれたらしい
びっくりしたと同時に嬉しかった
ほんのささいな事でもサービスを受ける側にとってはずっと印象に残る素晴らしい事なのだ
今回のトラブルは難しい
一体誰が悪いのかと聞かれたら、間違えた男が悪い
ところがこの事態を回避する事を操作できたのはバーテンダーだ
酒の席、様々なトラブルはつきもの
アルコールで脳が麻痺してくるとはこの事
皆さんにも、どうかトラブルの主役にはならないで欲しい
気持ちが弱っていて情緒不安定な時など、外へは出ずに一度自分自身と酒を飲んでもらいたい
それでも不安で一人でいたくない時はここへ来ればいい
酒を左に置いて右手でマウスをいじればいい
それだけで自分だけの十分立派なバーだと思う
たった一人自分だけのグッドバーだと私は思う
チャランポランでいつもバカ笑い、うるさいバーテンダーですが、
私はいつでもここにいます
東京にいたって、岩手にいたって、私はいつでもここにいる
東京のバーで働くのもあと2日だ
なんだか
さんずいにハヤシさん
自分の目標再確認する為に、今夜も私はバーへ行く
そう、私はお酒を愛している
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モメタラやばいですな。気をつけよう。あと2日すかぁ。
2007/1/29(月) 午後 6:46 [ あるこ ]
あと2日なんですね。 長かったような、短かったような・・・。 こういうシチュエーションは大変ですね。 その間違えていった人、ちゃんと返しにきてくれるといいですけど。
2007/1/29(月) 午後 7:07
後二日、悔いの無いように・・・
2007/1/29(月) 午後 10:49
読者としては、あっという間でしたね。サービス業でもサラリーマンの営業でも大切なのは観察力と記憶力だと思います。。。最近は、どうも記憶力の方が・・・。
2007/1/29(月) 午後 11:34 [ lig**_bel*ir ]
後二日!それからはどうなるんだ!ドラマみたいでたのしみ^^HPみてくれたかな?
2007/1/30(火) 午前 7:17 [ taisei ]
僕も経験あります。同じバックなので仕方無いとなりましたが…翌日返しに行き一件落着でした。結局帰るんですか?
2007/1/31(水) 午前 2:54 [ hayatoboon ]
あと2日は楽しんで楽しみまくってね♪ドコのバーで働いてもハローさんは大丈夫だよ☆ KERUMAX
2007/1/31(水) 午前 9:01 [ lib**alfa*ilia ]
helloooちゃん、やっぱ帰っちゃうの〜?東京がまた寂しくなるね〜!
2007/2/1(木) 午前 11:49 [ ELNINO ]
もう東京を出てしまったね。。。来るのが遅かったです☆でも、またここで会えますよね☆helloooさんとのグットバーに・・・。
2007/2/2(金) 午後 4:33
「防ぐことができたのは誰か?」という視点はとっても大事ですね!とかく「自分の責任範囲はここまで」と線を引いてしまいがちな考えを戒めなきゃ…
2007/2/4(日) 午後 0:00
このようなトラブルの対処法はありますよ!!
私は、バーを開業する前に学校に通い、それらトラブルの全ての対処法・そんなトラブルを未然に防ぐノウハウをきっちり学びましたよ。
http://www.gosya.net 参考までに・・・
2007/9/3(月) 午前 11:00 [ マスター ]