医療過誤交渉

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●始動

母の状態が一進一退である。
医学文献によれば、母の今の状態での生存率は5割をきっている。
 
本当によく頑張っている。

そんなことから、前々から依頼を検討していた弁護士に初めて電話をし、
本件の概要を説明した。

弁護士は、事件の概要を『時系列表』にまとめよとのこと。
そして、2週間後の打ち合わせを約束した。

いよいよ始動である。

少女の言葉

私は、裁判官という人は、判決文を書くにあたっては、
患者への同情といったものに左右されないものと思っていた。

というのも、訴訟進行中、やさしい言葉を原告に投げかける裁判官。
それに対して、「あの裁判官は心がやさしい。きっと、原告の気持ちを理解してくれている。」
と感激する原告やその傍聴者。

ところが、結果は「原告敗訴」。
という例を、何度も見てきたからである。

しかし、その思いをくつがえす裁判もあった。

その裁判は、
ある女子中学生が、医師の手術によって、右腕が麻痺してしまいその過失について争っている裁判である。

その少女の当日の服装は、真っ白な半袖のブラウス。そこには麻痺した腕が見えていた。
少女はその尋問において、淡々と当時の状況を語り、
さらには、希望に満ちた声で、この障害を乗り越え、将来、医師になりたいと夢を語った。

その少女の言葉には、不思議な力があった。
完全に法廷の空気が変わった。

それまで被告側大学病院有利だった風向きが変わった。

結果は、「原告勝訴」。

その少女は、今、夢の実現に向かって邁進している。

私には、「少女の言葉の力」が裁判官の感情を動かしたとしか思えなかった。

文献調査

医療過誤に遭遇した場合、
患者側としては、医師側のどの部分に過失があったのかを、
自らの力で浮き彫りにしていかねばならない。

この部分を代理人に委ねていては、よい結果はうまれない。

医学の専門知識に無知な患者としては、苦労するところであるが、
大きな図書館で書籍を調べたり、オンラインで「医学文献」を購入することもあるだろう。

この文献が数ページでもやたらと高額なのが頭にくるものである。

判決に影響を及ぼすものとして、
「当時の標準的医療水準に照らして・・・」という要素が多いので、

その病名に対する、当時の「診療ガイドライン」は押さえておくべきである。

不幸にして?

ここから、「不幸にして」を取ることにする。

私も、「過誤」にあった最初のころは、悲しみと怒りなど否定的な感情が自分を支配していた。

しかし、我々は、二度とこのような悲惨な出来事を起こさないために立ちあがなければならない。

そして、その使命を与えられたのである。
意義ある「過誤」に変えていくのは、自分自身でしかない。

判例調査

不幸にして医療過誤に遭遇してしまった場合、
患者側が時間をみつけて、できるだけ早期にしなければならないことが、
判例調査である。

まだ、法律的に争うかどうか判らないという人も、
私は、この作業を早期に着手することをお勧めする。

理由は、病院の医療行為のどこに問題があるのかモヤモヤしている状態に、
一つの方向性を与えてくれるからである。

患者側としては、病院が過ちを認めない限り、
法的手段を取らざるを得ない以上、早期に法的視野でもって、自己の事件を分析するべきである。

一番、便利なのが裁判所HPの判例検索システムにキーワードを入力すればよい。

過去に類似の事例で争われていればヒットするはずである。
私の場合は、類似とは言えないが、参考にすべきものが数点あった。

もちろん、全く同様の事例がみつかり勝訴していれば、大きく前進である。

しかし、そんなことはほとんどありえない。
むしろ、裁判官の裁きによって、敗訴となった事案に
「自分も勝訴できない」と落胆すること100%である。

しかし、落ち込むことはない。
自らが、「勝訴の前例を作る」と目覚めればよい。

我々は、判例から過去に病院を相手に勇敢に戦って散っていった人々の勇気を感じ取るべきである。

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