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Volant Skiの歴史

ステンレススチールで芯材を覆うという、唯一無二のユニークな構造のスキーが「Volant Ski」です。
Volantは1989年、米国コロラドにおいてハンク、バッキーのカシワ兄弟によって開発されました。

ハンク・カシワは1949年、日本人の父、アイルランド人の母の間に生まれ、2歳の頃よりスキーを始めます。
1972年には、米国五輪選手として札幌冬季五輪に参加、父の母国日本を訪れました。
また、1975年にはワールドプロタイトルを勝ち取るなど、大活躍したスキーヤーです。
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スキーのデザイン開発を行った兄弟のバッキー・カシワは、
1973年から79年までK2社のデザイナーを勤め、自らもプロスキーヤーでした。
バッキーが最初にステンレススチールの可能性を試したのはクロスカントリースキーでした。
しかし、あまりに重いために目的は達成できませんでしたが、
ここで彼はアルペンスキーでの可能性に着目します。
バッキーは開発の知識を深めるため、K2社を辞しニューメキシコのロスアラモス研究所で
流体力学の研究に勤しみます。

スキーに金属を使う技術は、実はけっこう早くから研究されていました。
第二次世界大戦の間に、米国の化学者は、航空機アルミニウムと合板を結合するために、
柔軟な防水接着剤を仕上げました。
ボルチモアからの航空機エンジニア、ハワード・ヘッドは、1950年合板スキー芯にアルミニウムを
結合することを試しています。

起業の準備を進めたカシワ兄弟は、資金を集め、1989年、コロラド州ボルダーに会社を設立。
閉鎖した工場から仕入れた中古の機械を使って、
世界で最初の鉄のスキー1500組を作り出すことに成功しました。
資金集めに大きな役割を果たした最大の支援者は、
AppleComputerの3人目の共同創設者であるマイク・マーキュラです。
まったく新たな技術ベースによるスキー生産には多額の設備投資が必要となり、
適正な価格とのバランスをとるために苦労しました。

Volantは、取り回しが楽で安定した乗り味が人気を呼び、
米国やカナダのあらゆるスキー場のレンタルスキーとして採用されるなど、着々とセールスを延ばし、
1995年から96年にかけて、Volantは40,900組のスキーと10,000枚のボードを販売します。
1998年には米国内で4番目のセールスを挙げるスキーメーカーに成長しました。

その後、ビッグマウンテンスキーヤーのカリスマ、シェーン・マッコンキーがデザインした
フリーライド系スキーをラインナップに加え、スキーメーカーの中で特異な存在となります。
Volantは最近、大流行のオールマウンテン、フリーライドの楽しさをいち早く提案しました。
写真は2000-2001シーズンの日本版カタログ。
イメージ 2

2001年、Volantはコロラドからオーストリアへ生産拠点を移し、Atomic社においてOEM生産となります。
このとき、Volantの最大の特徴であったステンレス・キャップ構造のスキーは姿を消しました。

米国製Volantが生き残れなかった最大の原因は、経済のグローバル化にあったと言われています。
ベルリンの壁崩壊後、欧州のスキーメーカーは安い人件費を求めて、生産拠点を次々と旧共産圏へと
移動させました。
安い人件費に支えられた安価な欧州製品は次々と米国内へも流入し、
あっという間に市場を席巻しました。
市場にあふれる製品は、さらに安売り競争を招き、消費者はこれに飛びついていきました。

実はVolantは、当初この流れに対抗するために開発された製品でもありました。
安く手に入りやすい素材である炭素鋼を使い、簡単なプレス作業でコストを下げることを狙ったのです。
しかし、スキーはそれほど単純なマテリアルではありません。
手作業に頼る部分も多く、最終的にVolantは安い欧州ブランドに対抗することが出来ませんでした。
1999年、マイクは流通コストの削減を狙って、VolantのWeb直販を打ち出しますが、
多くのディーラーはこれに反発、Volantの取扱を次々と中止しました。
こうして、Volantは店先からも姿を消してゆきました。
2001年8月、マイクはついに米国内でのスキー生産を断念、米国製Volantは姿を消しました。

写真は米国製Volant、最後で最強の1台-2001年製HuckStar-ミラー仕上げ
シンプルなステンレス製デザインの輝きを見ているとApple社のコンピュータやi-Podの意匠と
相似した雰囲気を感じます。
Appleの創業者が経営にあたっていたんですね、なるほど・・・。
イメージ 3

人間の創造力が生み出す様々なマテリアルは、それを使った様々な文化とともに育っていきます。
日本人を父に持つ兄弟が創り出し、コンピュータの父が育てたVolant skiは、
自然を愛し、自然と遊ぶオールマウンテン、フリーライドという新しい文化を生み出しました。
日本にも、そうした考え方に賛同し、素晴らしいフリーライドスキーヤーが生まれました。
コスト優先の経済中心のモノ造りで、
果たして文化を生み出す原動力に成りうるような良質な製品を創り出すことが出来るのでしょうか?
多くの支持者やファンに惜しまれながら姿を消さざるを得なかったVolant skiを見ていると、
グローバル経済社会の中のモノ造りに一抹の不安を覚えてしまいます。

しかし、こうした世の中の流れに異を唱えるガレージメーカーが現われ始めています。
経験と技を集結して本当に良いモノを手間をかけて生み出す彼らの製品は、大メーカーのそれとは
明らかに異なる「本物」の輝きを放っています。
何時の日か、米国製Volantに勝るとも劣らない、あるいはそれを凌ぐステンレス・キャップを
作るガレージメーカーが誕生することを期待しています。

【参考】
コロラドスキー博物館
スポーツキャリアプランニング スポーツニュース
Wikipedia
Middle Aged Ski Instructors Association

閉じる コメント(35)

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はじめまして。ヤフオクのVOLANT(160cm)+マーカーcomp14を落札した本人です。以外にも、競争にならず開始価格で落札しました。状態は上の上!でした。昨シーズンK2「MIURA」モデルを5日でバタバタにしましたので、代替を探していたところでした。さてVOLANTは未知の板なので、今シーズンが楽しみです。

2008/10/2(木) 午後 5:40 [ ちょい悪オヤジ ]

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VOLANT落札おめでとうございます。
163cmだとSurfer, SuperKarve, VertexPowerKarve, Epicのいずれかですね。
私達の仲間内はファット系がほとんどなので、基礎系は珍しいです。
いずれにしても国内で良質の固体は極めて少数だと思います。
大切に乗ってあげてください。

2008/10/3(金) 午後 2:07 [ hep**ri_p ]

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こんばんは。板のグレードが分かりません(分からずに落札したオロカモノ?)。テールに「Power」とありますので、「VertexPowerKarve」なのでしょうか…。まあ兎に角、3時間使用と記載されていたのですが、エッジの所々の錆びを除けば無傷に近く、マーカーのbinもヒールにストックでつくリリース跡も無く、「良い買い物をした!」と自己満足(^^ゞ。現在、モーグル系2台・フリーライド系3台そして「ミニモノ(モノスキー)」等で遊んでいるoyajiです。VORANTは、大事に乗らせて頂きます。

2008/10/3(金) 午後 5:47 [ ちょい悪オヤジ ]

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VOLANT協会様
何気なくvolantで検索したらこのようなページに当たりびっくりです、私もパワーカーブを昔盛岡にありましたSOSにて購入し八幡平に何度かお邪魔させていただきました、VOLANTの歴史が見れて
うれしく思います。時々拝見させて頂きたいと思います。

2008/10/8(水) 午後 5:35 [ フジ ]

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はじめまして。
EPIC T3(00/01)178cm+MRR+LANG ZERO X9 DEMO ZDでSKIを楽しんでおります。
その他にINKSNOWでVOLANTが倒産するらしいというのでT3 EPIC(01/02)175cmを買い、その後にSOSのセールで同じ物をもう1本とT3 SUPER(01/02)175cmのサンプルを買い足しました。
そろそろ別のVOLANTにと思いつつブーツも古い為、ソールサイズが変わったらと考えている内にシーズンが始まってしまいそうです。

2008/10/8(水) 午後 11:13 [ Lunch ]

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フジ様、Lunch様、ご訪問ありがとうございます。
VOLANTファンの方々に次々とご訪問いただき、嬉しい限りです。
US製VOLANTのベストセラー「Power Karve」
最もオールマイティに使える板として、当時賞を総なめにした「EpicT3」
それぞれ、とても素晴らしい板ですね。
今年ももうすぐ待望のシーズンですね。
皆様ともに良いシーズンとなりますようお祈りしております。

2008/10/9(木) 午後 0:36 [ hep**ri_p ]

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初めまして。
現在スロベニアに住んでいるのですが、家の近くのお店でVOLANTが売られていました。見た目に惚れてどんな板なのか知りたく検索したら、ここにたどり着いた次第です。
今年はK2のクロスファイアーを買おうかと思っていたのですが、VOLANT PLATINUMの見た目があんまりかっこ良いので、欲しいのですが全くの未知数の板ですし、1500ユーロというバカ高い値段が付いているので、どうも渋ってしまいます。
もし良ければ他の板と比べてどんな板なのか、教えていただけませんでしょうか。
ちなみに自分は基礎系で、スキーガイドの仕事に使います。
よろしくお願いします。

2008/10/21(火) 午前 7:41 [ ysk44 ]

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はじめまして。
昨日、知り合いから「VOLANT Z-ZONE(marker M51 SC RACING プレート付)」を譲ってもらいました。
どんな板なのか調べていたらこちらにたどり着きました。
(ここしかヒットしなかった・・・)
とっても興味をそそられる外観で、ぜひ一度乗ってみたいと
思うのですが、どのような特性の板なのかわかりますでしょうか。
近年、年に数回しかすべる機会がないので初乗りの板を持っていくことをためらっています。もし何か情報をお持ちであれば教えていただけませんか。
今まではモーグル向けの板を好んで乗っていました。
(体力の低下と共にコブをすべる時間はだいぶ減りましが・・・)
よろしくお願いします。

2009/2/21(土) 午後 10:26 [ ぽにょ ]

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ぽにょさん、ご来訪ありがとうございます。
さて、お尋ねのZ-ZONEですが、私が持ってる米国製VOLANT
最後のカタログ(2000-2001)には記載がないので、それ以前の板のようですね。
ほかにL-ZONE、T-ZONEというシリーズもあったようです。
材質は米国製VOLANTお得意のステンレススチールのキャップ構造です。

海外サイトの写真を見ると形状は2000-2001モノでいうと、SUPER T3
にかなり近いと思います。
以下はT3 SUPERのカタログからのインフォメーションコメントです。

パックスノーコンディションにおける、より高いカービング性能を求めるスキーヤーがターゲットにしたシリーズ。
アイスバーンや整地でのハイスピードクルージングに最も適したモデルであり、ゲレンデエキスパートの厳しい要求に応えるために生まれたスピードバスター・・・とのことです。

モーグル系の板を好んでお乗りになっているとのことですが、
それとは、ちょっと性格の異なる板のようです。

2009/2/24(火) 午前 2:20 [ hep**ri_p ]

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丁寧な説明ありがとうございます。
古すぎて情報無いんですね。
物は試しで1回乗ってみようと思います。
ありがとうございました。

2009/2/24(火) 午後 1:52 [ ぽにょ ]

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ボラ狂会様、ご無沙汰しています。

そして、始めましてぽにょ様
Z−ZONEですが、自分もテレ仕様ですが持っていますよ。

手元にある98−99のカタログによると
「比較的柔らかめなフレックスを持つこのモデルはコブを始め不整地
での荒れたバーンを吸収しエッジの切り返しを素早く出来るポテンシャルを秘めています。モーグルモデルではありませんが、コブを攻めたい方に」と説明されています。

太っちょな板が全盛の昨今、細めのスレンダーなZ−ZONEですが
乗り味はUSボラの先駆けなので大事に乗ってください。

2009/2/24(火) 午後 10:00 [ ギラギラマン ]

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>ギラギラマンさん
お久しぶりです。
詳しいご説明、ありがとうございました。
手元に現品も何の資料も無かったモデルなんで助かりました。

>ぽにょさん
ギラギラマンさんの説明が正解です。
大切に乗ってあげてくださいね。

USボラファン皆さん、今シーズンはいいスキーを楽しんでいるのかな?

2009/2/25(水) 午前 0:49 [ hep**ri_p ]

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ギラギラマンさん

はじめまして。

カタログ情報ありがとうございます。
明日からのスキーで乗ってみます。楽しみだなー。

2009/2/27(金) 午後 8:47 [ ぽにょ ]

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はじめまして、「ひらりん7」と申します。
ヴォラントのパワーカーブなるものを検索して
こちらに辿り着きました。

ヴォラント社の背景と歴史について大変興味深く
読まさせていただきました。
自分の周辺に有るものの「つながり」がよくわかり
なるほどと納得するとともに「すばらしい情報」
に思わず書き込みしています。
わたしは、スパチュラしか持っていませんが、
機会が有ればフルステンレスキャップの物も
試してみたいと思います。
ちなみに去年からハンドメイドでスキーを作りを
始めまして、スキーの構造?という物にはまり
はじめています。
おふざけな内容が殆どですが作成手順は、
「Peanuts&Corde」で検索頂くと出てきます。

ではまた遊びに来ます。

2010/3/9(火) 午前 7:06 [ hirarin7 ]

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>ひらりん7さん

ご訪問ありがとうございます。
お役に立てて良かったです。

スキー作りは難しそうだけど楽しそうですね。

Volantが切り拓いた分野において、
近年、日本ではではベクターグライドやサイコ等、
個性的で素晴らしいスキーが登場しています。

本当に素晴らしいことだと思います。

2010/3/9(火) 午前 9:26 [ hep**ri_p ]

はじめまして、VOLANT 検索でこちらに来ました。
VOLANT T3 POWER という板を所有しています。
この板はどのようなモデルでしたか、お分かりになりませんでしょうか?
よろしくお願いいたします。

2014/3/31(月) 午後 0:42 [ simondcassin ]

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ボラントT3パワーについて
当時のカタログの説明文より
「T3シリーズの中ではRV車のような存在。
ベストセラーのパワーカーブをベースに、よりターンの始動をクイックに出来る
シェイプと、ターン後半の切れの調節を可能にした、いわゆるスマートパワーカーブ。悪雪やパウダーでのすばやいターンの入りと、整地やアイスバーンでの切れの違いが光ります。」
サイドカット14mm、R−21m
長さは173、178、183、188、193
発売当時の価格 ¥88,000

2014/3/31(月) 午後 3:16 [ hep**ri_p ]

細かい情報ありがとうございます。
この板は由緒あるVOLANT なのでしょうか…
コロラドの銘記は有るんですがイマイチ、確信が持てずにいます。

2014/4/5(土) 午後 5:32 [ simondcassin ]

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VOLANTの中でもベストセラーといわれた素晴らしいスキーではありますが、
発売から相当の時間が経過していますし、劣化も考えれば現代のマテリアルとは比べよもないのは致し方ありません。
ですが、現代のファットスキーに続く新たな潮流の先陣を切ったのは間違いなくVOLANTだと思いますし、スキー史に名を残す偉大な存在だと思いますよ。

2014/4/9(水) 午前 2:26 [ hep**ri_p ]

ありがとうございます、大事に乗っていきます!

2014/4/9(水) 午前 11:58 [ simondcassin ]

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