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がけ地移転

父の代から60年以上暮らした土地から移転することを決めた。
きっかけは昨年秋の台風豪雨。
我が家を含め13世帯が暮らす地区の生活道路が
沢の氾濫で大きく損壊したが、
私有地という理由で市の災害復旧事業から外され
長い間不便を強いられた。
町内会での数度にわたる市への陳情の末
結果的に損壊した沢の側溝は市に修繕していただいたが
また大雨が降って沢が溢れれば道路の損壊は避けられない。

昨年秋の台風で幸い地区で人的な被害はなかったが
我が家は土砂災害危険区域の中でも最も危険な区域にある。
思い出が詰まった住み慣れた家を解体するのは忍びないが
近年の豪雨災害の発生頻度を考えると
これ以上、ここに住み続けるのはリスクが高すぎると判断した。

市のすべての面積の9割が山で
平らな土地の多くを製鉄所が占有している釜石で
安全な土地は極めて少ない。
県のまとめによると2018年3月2日時点で
市内には1000か所を超える土砂災害危険箇所が存在する。

ところが、移転を決めた先の土地にも大きな不安があった。
そこは東日本大震災の津波で浸水した場所なのだ。
防潮堤やマウンドを整備して、土地もかさ上げしたとはいえ
第2種災害危険区域に指定されている。

土砂災害から逃れた場所が津波災害の危険区域。
釜石で災害から逃れることはとても難しいという現実を
身を以て感じた。
高いお金を払えれば安全な場所に家を求めることはできるが
無い袖は振れない。

移転にあたり、市と県とで実施している
「がけ地移転の補助事業」を活用することにした。
新たに購入する家の住宅ローンへの利子補給や
取り壊す家の解体費用に補助金が支給される。
こうした補助により、危険な区域からの移転を促進し
災害による被害を減らすことが目的だが
申請にあたっては、結構な種類の書類を準備しないといけない。
土木や建築といった分野の専門的な知見がないと難しい書類もある。
危険箇所の崖の標高や土質が分かる断面図(!)と言われて
「はいこれです」と用意できる人はいるだろうか?

県地方振興局の担当部署に電話して
「県はそれに類する資料をお持ちか?」と尋ねたところ
「どのような資料を意図しているのか市に聞いて返答する」との回答。
事業を実施している県の担当者ですら
どんな資料か即答できないものを、私が準備できるわけがない(笑)
もとより個人で土質まで分かる山の断面図を作るとなったら
調査にどれだけの費用がかかるか分からず、
補助を受ける意味がなくなるではないか。

そういった申請の難しさもあってか
釜石市で昨年度の事業の利用実績は「0件」だという。
危険箇所が1000か所以上もありながら、
移転の補助事業の利用が無いというのは、
釜石の土地不足や経済的な事情といった原因があるとは言え、
移転促進事業の制度にも問題があるとは言えまいか?

写真は2017年9月の台風豪雨による沢の氾濫で
大きく損壊した生活道路。
地区には足の不自由なお年寄りや、
介護サービスを利用する人もいる状況で
およそ2ヶ月間に渡って車も通れず歩くのが危険な状態が続いた。

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こんばんは。
ご無沙汰致しました。

釜石は沢に家が多く 台風や大雨の時期はハラハラ ドキドキの毎日です。
大雨でも 何の心配無く 過ごせるのは 釜石ではほんの少し・・
新しい家は希望が沢山詰まってる筈なのに
新たな住まいは 津波到達地 不安は尽きません。

・・が 新年に向かっての 新しい生活が心安らぐ場所で有ります様。

2018/11/21(水) 午後 11:20 ハマギク

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> ハマギクさん
釜石は殖産興業・富国強兵の掛け声のもとに
鉄を作ることだけに特化したまちづくりが基盤になっているので
もともと人が安全に快適に暮らすことを考えてはいません。
全ては「鉄」のため。
近代製鉄発祥の地としての歴史は、人々の暮らしを犠牲にして
刻んできたものであることを改めて意識させられます。

2018/11/27(火) 午前 8:55 [ hep**ri_p ]


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