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親父の思いで

将棋
将棋が好きなのは親父譲りのようだ。爺は三人兄弟で、弟も将棋が好きのようだ。時々弟から将棋のお誘いが来るが、30分以上時間がかかるので、わざわざ行く気にはならない。爺は指したいときはネットで指す。それに兄弟で勝負事をすると、勝っても負けても微妙な雰囲気になるし、ましてや爺は性格的に勝負にこだわるタイプである。
子供のころから将棋を好きだった、家はお菓子屋をしていたので、親父が店番をしながらよく指したものである。親父にはなかなか勝てなかったが、20代の後半頃には好い勝負になっていたはずである。そのころ新聞の県内大会で優勝したことがあった。但しそれは級位者の部であった。しかし普通の人はそんなことはわからないから、新聞に大きく優勝者として名前が出ると、あちこちから将棋の強い人して評判になった。勤めている工場でも評判になり、将棋の強い者から挑戦を受け、そのたびに級位者の部だと説明して、そんなに大した腕ではないと言い訳をしたものである。
 しかし賞状と盾は立派なもので、今でも家に飾られて、この間は孫に自慢した。孫も将棋に関心はあるようで時々指していることがある。実は息子が子供のころ将棋を教えたことがあった。もし才能が有ったらプロを目指させたいと思ったのだ。残念ながら才能は無かったようである。小学生の息子に将棋くらいでそんなに怒るなと注意されたことがあったのは強く印象的に覚えている。
 親父に言われたことは、将棋は強くなるな、弱い方がいいという言葉である。普段はおとなしいオヤジだったが、ある時何故か、自分と将棋を指して何番も連続して負けたことがあった。その時親父が駒をたたきつけて、もう一番と檄した言葉を発した。親父の印象深い思い出である。

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