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【20081201日本経済新聞・法務インサイド/
米M&A、株主保護で混迷/ワコビア買収失敗、取締役責任を見逃す
/独占交渉条項−fiduciary out理論/情報整理】
【1】経 緯
世界的な金融危機
↓
大手銀、ワコビア→破綻寸前
↓
★9月26日
ワコビアCEOから
シティCEOに対する
経営統合・打診
↓
ワコビアの資産査定→当局と協議→ワコビア・銀行業の買い取りを決定
★9月28日
ウェルズ・ファーゴは、買収検討から一旦撤退
↓
★9月29日
ワコビア取締役会→シティへの売却を決定
↓
★10月2日
ウェルズ・ファーゴ、折衝を再開→一括買収を提案
↓
★
ワコビアが、
シティの銀行業買い取り案を拒否し、
ウェルズ・ファーゴの一括買い取り案を受諾
↓
★
シティ/買収差し止め→撤回
↓
損害賠償請求に方針転換
【2】独占交渉権−fiduciary out理論
■
基本合意書に
独占交渉条項が設定されていたとしても、
ワコビアの取締役に
「推薦の撤回」がなされることを認識したうえで、
買収を完了させるべきであった
↓
■
米国では、
MAの際、
被買収会社の取締役の
善管注意義務・忠実義務の一環として、
「最も条件の良い(高い)条件を出した買い手の提案を推薦すべき」
と旨の司法判断あり
↓
1985、
レブロン基準
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■「推薦の撤回」(fiduciary out)⇒信認義務の一環
↓
後から登場した買収提案の方が
株主にとって好条件である場合は、
推薦を撤回し、
後発案を推薦する義務を
取締役に課す理論
↓
契約がどうであれ、
株主に対する善管注意義務・忠実義務
(信認義務)が優先する
【3】レブロン基準強化
■
「
ウェルズの提案は、
シティよりもはるかに有利。
シティが買収提案を再提示しだければ、
当初購入で示すべき
」
「
米政府が合併のお膳立てをしようが、
州法で定められた取締役の
善管注意義務・忠実義務は、
果たさなければならない
」
(コロンビア大学法科大学院・ミルハウプト教授)
■
大株主に対して
買収に賛成するよう求める
「投票強制」条項の入った買収契約
↓
fiduciary out条項の設定なしでは
認められないとする判例あり
■
契約締結後に
他の買主をさがすことを認める
ゴー・ショップ条項も存在する
↓
買収金額が相対的に高額になる
【4】株主保護の行きすぎ懸念
■
「
株主が過剰保護され始めた
」
(コロンビア大学法科大学院・ミルハウプト教授)
↓
金融システムの維持を目的に、
政府が経営危機の大手金融機関を支援する例が増加していることの影響
↓
事実上の債務超過でも
株主価値がゼロにならず、
「投資先が倒産したら
株主は損失を被る」
という資本主義の原則が損なわれている
(金融分野は、
政府保護の対象となりがち)
↓
金融機関の株主に対する過剰保護を指摘する声
↓
株主主権をどこまで徹底するのか
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