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【独禁法違反
/上限設定・賦課裁量型課徴金制度
/課徴金納付命令に伴う行政審判制度の廃止・取消訴訟制度採用論
/村上政博・一橋大学教授
/090525日本経済新聞・ポイント整理】
【1.記事の見出し】
独占禁止法改正 遺された課題
課徴金 当局に裁量認めよ
上限設け国際標準に
不服の場合、裁判所へ提訴
<ポイント>
★評価できる独禁法の課徴金対象拡大
★一律の算定率で措置発動にためらいも
★審判制度の廃止、今年度にセットで実施を
【2.ポイント整理】
【2−1】日本の課徴金/性質等
■
行政上の制裁(行政制裁金)であると
位置づけられることになった
(2005年改正)
■
課徴金と刑事罰の併科
↓
憲法の禁止する二重処罰にはあたらない
↓
課徴金納付を命じるか否かの裁量を
公取に与えることが考えられる
(内閣府・独占禁止法基本問題懇談会報告書)
【2−2】日本の課徴金制度/問題点
【2−2−1】課徴金固定・義務型課徴金制度
●
日本の現行法
↓
違反対象商品の売上高に
一定の算定率を乗じて算定した課徴金額を
義務的に
違反事業者に課すとなっている
●
公取は、
★課徴金を課すか否か
★いくらの課徴金額を課すか
↓
一切裁量権をもっていない
●
排除型私的独占・・・
★排他的取引
★抱き合わせ
★略奪的価格設定
★差別的価格設定
★単独の取引拒絶 等、
様々な態様が含まれる
↓
それらが正当か不当か、
見極めが容易でないことも多い
↓
一律に6%を乗じて算定された課徴金額が
常に適正といえるかどうか、
疑問が残る
↓
一律の算定率ではなく、
課徴金を課すか否かも含め、
改正法の施行後に
競争当局の裁量を認めた
裁量型課徴金制度を導入することが不可欠
●
特に、
独禁法上、重大な違反行為である
私的独占・不当な取引制限
↓
国際標準である
上限を設定する形式での
制度導入が必要
●
上限方式の裁量型課徴金制度を導入
↓
★
課徴金が巨額になることをおそれて
法的措置をためらって行政指導にとどめることがなくなり、
公取が引き続き積極的に事件に取り組むことが期待できる
|
★
事業者側も、
倒産につながりかねないような
過大な負担が回避できる
【2−2−2】国際的(上限設定・賦課裁量型)
違反事業者の前年度売上高の10%程度を
行政制裁金の上限としたうえで、
違反行為の重大度、継続期間に応じて、
適正な課徴金が決まる
↓
制裁金である以上、
競争当局がある程度裁量権をもつのが当然
↓
重大性、違法性の度合いに即し、
違反抑止を目的とした適正な課長金額が決められる
↓
その上で、
各競争当局は、
透明性、効率性を確保する観点で
基本的な課徴金額の算定方法を設けて公表
(競争当局が
行政制裁金の裁量権をもたない制度
↓
日本以外ではみかけない)
【2−3】裁量型とした場合の課徴金の水準
★
日本
↓
当局が裁量権をもつことほの抵抗が強い
↓
国際標準の水準(前年度の国内・世界売上高全体の10%)では、
公取が
恣意的に
制裁金の水準を引き上げる口実になるとの懸念がでてくる
↓
今改正では、
違反事業者の関連商品に関する売上高の20%
(累犯・主導的役割により加重されたもの)
にするのが現実的
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★原則:関連商品売上高の10%
★上限:関連商品売上高の20%(累犯・主導的役割による加重を含む)
【2−4】従前、ルールが明確でない行為に対する排除措置
■
従前、
ルールが明確でない行為に対し
初めて排除措置をとる場合
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法律的な評価が極めて微妙なもの
↓
例外的に
課徴金を課さないとの選択肢も認めるべき
<例>
公取は、
2009年2月、
日本音楽著作権協会(JASRAC)が
放送会社から包括徴収している放送等使用料の算定方法が
他の音楽著作権管理事業者の事業活動を排除するもの・・・
↓
排除型私的独占に該当するとして
排除措置を命じた
【2−5】課徴金制度の拡充・整備/審判制度の廃止・行政取消し訴訟方式への意向
【2−5−1】行政取消し訴訟方式⇒国際標準的な行政手続
(日本を含む大陸法系諸国
/EU、EU加盟各国、アジア諸国、中南米諸国)
行政庁/
告知・聴聞⇒行政処分
↓
不服のある者が
裁判所に対し取り消し訴訟を提起
【2−5−2】行政審判
(米国・連邦取引委員会の行政審判しか存在しない
⇒審判官の独立性が保障されているものの、
評価は低い)
●
独立の行政委員会が
第一審の裁判所と同じ権能をもつ
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審判→審決−排除措置命令
■行政審判
●
専門的判断を行って排除措置を命じるための
手続にすぎない
★
義務的課徴金、裁量型課徴金のいずれかを問わず、
幅広い独禁法違反行為に対し
高額な課徴金を課すための手続としては
適切であるとはいいがたい
★
制裁金を課す元となる違反事実に関し、
公取が
違反事実があると判断して
審判を開始し、維持する
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検事役と
証拠かに違反事実があったと決定する
裁判官役の双方を兼ねるもの
★
公取の事実認定
↓
地方裁判所の再審査が省略
↓
高裁
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通常の裁判のように
自ら証拠の取捨選択・評価を行って
自由に事実認定を行えない
↓
違反事実に関する
司法機関による再審査が
十分保障されていない
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