戦争協力させない東京ネットワーク

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茂木@戦争に反対する中野共同行動です。

日頃なにかとお付き合いのある井上さんの文章です。
転載歓迎とのことなので、上げさせてもらいます。

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(転載歓迎)

反戦の視点・その57 

    アフガン派兵と海外派兵恒久法の制定が急がれる理由

         井上澄夫(市民の意見30の会・東京)
  

 うかうかしてはいられない。自衛隊のアフガニスタン派遣(以下、アフガン派兵)と海外派兵恒久法の制定をめぐる動きが加速してきた。まず下の記事を読んでほしい。

●アフガン支援 日本、軍民一体活動に資金 学校建設など
 日本政府が、アフガニスタン復興にあたる軍民一体型の「地域復興支援チーム」(PRT)が進める学校建設などの資金を途上国援助(ODA)で肩代わりしていることが、明らかになった。9日夕(日本時間10日未明)、ドイツのミュンヘンに入った高村外相は、北大西洋条約機構(NATO)加盟国の閣僚らに、日本の貢献策としてアピールする考えだが、PRTと関係なく現地で活動する日本の援助団体などが反政府勢力から狙われる危険性も指摘されている。
 政府関係者によると、現在、政府はカブールのNATO文民代表部に連絡要員を配置し、資金協力を進めるため、PRTに参加する各国軍との連絡調整に当たっている。
 肩代わりしたのは、アフガン中部の山岳地帯で復興開発が遅れるゴール州を拠点にするリトアニア軍のほか、エストニア軍や米軍が管轄するPRTが進めている民生支援案件。支援対象は、教育、職業訓練、医療の3分野に限定。これまでの拠出は、現地のNGOが実施した女子の識字教育や職業訓練を進めるための小中学校建設など13件、計約1億3000万円。
 各軍側が案件を探し出し、アフガンなどの非政府組織(NGO)を通じて依頼。日本政府が資金を拠出した。軍はODAの案件を探すだけでなく、事業の進行をチェックする役割も担っているという。昨年6月、日本、アフガンの両政府間で書簡を交換した。
 〈地域復興支援チーム(PRT)〉
 紛争が終結していない段階で軍が一定地域の治安を確保したうえで、軍の保護下の文民が復興や民生支援に当たる軍民一体型の新たな復興モデル。アフガンでは02年12月から米軍主体で始めた。現在、北大西洋条約機構(NATO)主体の国際治安支援部隊(ISAF)が全土の計25カ所で展開している。                   (2月10日付『朝日新聞』)

 記事はさらにこう指摘している。「安倍前首相は昨年1月、ブリュッセルのNATO理事会で自衛隊のPRT参加に意欲を示したが、同4月に見送りを表明。代わりにNATO・PRTとの連携に資金協力する意向を示した」。

筆者は安倍前首相がNATO理事会での演説で自衛隊のPRT参加に触れたことは知っていた。しかしそのときの防衛庁(当時)の反応は治安状況が悪すぎるので自衛隊派遣はムリというものだった。そこで安倍前首相の野望はPRTへの資金供与に切り替えられたのだろうが、それについて昨年6月に日本・アフガニスタン間で合意していたことは知らなかった。日本政府がよくやる手口だが、その合意は密かに行なわれたのだろう。

 PRT(provincial reconstruction team)といえば何か耳新しく聞こえるが、「軍が一定地域の治安を確保したうえで、軍の保護下の文民が復興や民生支援に当たる軍民一体型の新たな復興モデル」は、かつて日本軍が中国侵略中、中国の各地で、あるいは1941年に日本が始めたアジア・太平洋戦争中、東南アジアの占領地域で行なっていたことだ。それは当時「宣撫(せんぶ)工作」と呼ばれた。宣撫とは、「占領地の人民に本国政府の方針を知らせ人心を安定させること」(三省堂『新明解国語辞典』)で、PRTの目的も同じである。占領軍(この場合は米軍、エストニア軍、リトアニア軍)が「アフガン復興」のためにいかに「善意」で占領しているかを住民に理解させ、占領行政に協力させることである。その場合「民生支援にあたる軍の保護下の文民」には住民の動向を監視する諜報の任務が課せられる。それは過去のあらゆる占領史が十分に証明してくれる。(後注参照)

 今回明らかになったPRTへの資金協力について「支援対象は、教育、職業訓練、医療の3分野に限定」という。それは表向き歓迎されるだろうが、住民の心底からの信頼を獲得することになるだろうか。「学校建設など民生支援案件の資金をODAで肩代わりする」といえば聞こえはいいが、その目的はあくまで占領行政の安定による占領軍の安全の確保である。「復興支援」は単なる手段にすぎない。

 つまりこういうことだ。安倍前首相はアフガンでのPRTに自衛隊を参加させたかったのだが、それは自衛隊が直に治安回復作戦に従事することにほかならない。実際、ISAFはそう期待したはずだ。しかしイラク人道復興支援特措法で自衛隊の派遣先を「非戦闘地域」に限定せざるを得なかった経緯からしてそういう派兵はすぐにはできない。政府の公式見解では自衛隊は実力組織であるが軍隊ではない(ことになっている)から戦闘はできない。だから、PRTにまずODAから資金供与してそれが非常に好評であることを宣伝して、アフガン派兵の踏み台にする……。むろん次の段階の自衛隊投入は奇妙な問題に突き当たる。米軍やISAF参加の諸国軍がすでに治安を確保した「非戦闘地域」になぜ自衛隊が必要なのか。武力が必要とされるのは、タリバーンを掃討し地域に割拠する軍閥を武装解除するためだが、そうであれば自衛隊はISAFに参加するしかないが、それはできない……。

「復興支援」が単なる手段にすぎないことは、参院で可決され、1月18日、衆院の「国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動並びにイラク人道復興支援活動等に関する特別委員会」に付託された民主党のアフガニスタン復興支援特措法(アフガン派兵法案)を一読するだけでわかる。大小はともあれ連立を念頭にうごめいている自民・民主のアフガン派兵方策はほとんど変わらない。イラク派兵と同様、「復興支援」という羊頭をかかげて「派兵」という狗肉を売り込むのである。

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※注
 宣撫工作については、次の事例が参考になる。記事中の南京国民政府とは日本が樹立した汪兆銘(おうちょうめい)カイライ政権のことである。
 
 清郷工作(せいごうこうさく)
 1941(昭和16)年5月〜43年9月、南京国民政府が、その支配地域を建設・拡大・強化するため、揚子江下流地域で特定地域を敵性勢力から遮断し、その地域内を粛正して治安地域とし、次第に、このような地域を拡大してゆく工作。南京の新国民政府の実勢力の及ぶ所は日本軍が占拠している点と線にすぎず、これを面に拡大して政治力を浸透させることが新政権の完全な自主独立の基盤として必要であった。そこで日本軍占拠地域中の特定地域において、まず日本軍が主体となり、徹底した粛正により敵性を除去し、これに膚接して中国側が主体となり、その進捗に伴い、日本軍の兵力を段階的に削減し、やがて政治・経済・軍事の一切を挙げて中国側に委譲し、日本側は一切の干渉を絶ち、ここに新中国の理想を局地的に具現した模範的和平地区を建設する。爾後、この方法を逐次、全占拠地域に及ぼすという構想であった。 (新人物往来社刊『日本陸海軍事典』、97年)


●自民党がアフガン派兵を急ぐ理由
自民党が年初からアフガン派兵の動きを加速させたのには、おそらく二つ理由がある。一つは新テロ対策特措法(補給新法)を強引に成立させたものの、それはさしてブッシュ米大統領の歓心を買うことにならなかったということだ。イラクから陸上自衛隊を撤退させたことはブッシュ政権を痛く落胆させた。ブッシュの最大の盟友だったブレア首相も忠犬だったハワード豪首相も政治の舞台から去るなかで、まことに頼もしい小泉元首相を継いだ安倍前首相は無惨に自壊し、福田首相は忠誠心を試されていた。米軍にとってイラク戦開始には役立ったとはいえ、もともと象徴的な意味が強かった洋上給油の再開は福田首相が期待するほどには歓迎されていないのである。もっとも給油先の諸国との交換公文で海上阻止行動以外への転用に歯止めをかけたという日本外務省の釈明はウソである。かの交換公文はまったくのザル法のたぐいで、米軍が補給された燃料をイラク戦に転用する抜け道は用意されている。その点だけは米軍にとってオイシイ話だろう。

 もう一つの理由は、タリバーンが制圧され復興の過程に入ったはずのアフガニスタンが再び「失敗(破綻)国家」に戻されたからである。米英のアフガン攻撃は2001年10月7日に始まった。以来6年余、アフガンはどうなったか。国土が破壊され、貧しい農民たちが難民になった。侵略と旱魃がアフガン社会を瓦解させたのだが、戦乱がなければ農民たちの智恵はかなりの程度、旱魃を乗り越えたはずだ。米英の侵略がアフガンの荒廃をもたらしたことは、日本がそれに加担したこととともに、繰り返し確認され糾弾されねばならない。

 米英の攻撃でタリバーンは一時期、実効支配を失った。しかしパキスタンとの国境までタリバーンを追い詰めたはずの米地上部隊は逆襲されてアフガン東部に釘づけになり、タリバーンは南部でも勢力を復活させた。NATOが編成して派遣した約4万3千人のISAFも死傷者を増やすばかりで治安回復はおぼつかない。米国政府のカイライであるカルザイ政権は首都カブールに立てこもるだけで、行政権力を全土に及ぼすことなど夢のまた夢、ついにカブールさえ危うくなってきた。

焦ったゲーツ米国防長官は3200人の海兵隊の増派を決めるとともに、ドイツなどNATO加盟国に対し同数の増派を求めた。「こちらは3200人を増派するのだからNATOも同数増派せよ」というのがブッシュ政権の言い分だろう。しかしNATOはブッシュ―ゲーツの思惑通りに動かない。ドイツはアフガン南部への展開を拒否した。米国政府のあからさまな恫喝に対するNATOの対応には各国にバラツキがあるし、ゲーツ長官が南部に展開するNATO軍の戦闘能力を疑問視する発言をしたことによって、米・英・カナダとともに東部と南部に部隊を展開させているオランダと米との溝も深まっている。

 万事思うようにいかない米軍をここで自衛隊が助けることができれば、「日米同盟」はいよいよ強化される。もっともそんなことをすれば、自衛隊は奈落の底に自ら飛び込むことになる。ブッシュ政権はアフガンの現状に苛立ち、北西周辺州がタリバ−ンの聖域になっているパキスタンへの本格的侵攻を企図している。それが実現すれば、アフガンに送り込まれる自衛隊はパキスタンの民衆からも反撃されるかもしれない。ペシャワール会の中村哲医師の指摘を引用する。

 〈そもそもパキスタン北西辺境州とアフガン東部は、同じパシュトゥン民族が住む、事実上一体の地域だ。アフガン、パキスタン両政府は、この境界地域を腫れ物に触るように扱ってきた。米軍によるこの地域への「テロ掃討作戦」は、両国の暗黙のタブーを犯して混乱を誘発、連日暴動や自爆テロが起こっている。〉(2007年11月5日付『毎日新聞』)

>2に続く

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