戦争協力させない東京ネットワーク

世の流れの早さと身の回りの慌ただしさに滞っております。

全体表示

[ リスト ]

(以下、前半より続き)

▼艦隊派遣を急ぐ麻生政権のアクロバット的な法の運用

 すでにのべたように、海上警備行動の発令ではるか遠方の海外で海賊に対処することは筋違いである。そこで政府が考え出した対策はまことに奇妙なものだ。ソマリア周辺・アデン湾に派遣する海上自衛隊の護衛艦に海上保安官を同乗させ、その保安官の権限を活用して、「日本船籍の乗船者に対する殺人や逮捕監禁など重要犯罪を行った海賊の身柄を拘束し、刑法の国外犯規定を適用して逮捕・起訴する」という(1月3日付『産経新聞』)。
 海上自衛隊の隊員にはない権限を海上保安官に行使させて法的な辻褄合わせをしようというのである。しかしこんなことが許されるなら、海上保安官を同乗させた海上自衛隊の艦隊が「海上警備行動」を名目に世界のどの海にも展開することになる。さらにこういう情報もある。
〈アフリカ・ソマリア沖の海賊対策を求められている防衛省が、海賊に乗っ取られた船舶の解放を想定して、護衛艦とともに海上自衛隊の特殊部隊「特別警備隊」の派遣を検討していることが1月16日、分かった。特殊部隊の派遣により、海賊対策の実効性が増す一方で、武器使用の可能性が高まることになる。
 特別警備隊は、能登半島沖で起きた北朝鮮の工作船事件をきっかけに2000年3月、広島県の江田島基地で編成された。三個小隊約八十人からなり、高速ボートやヘリコプターで工作船に乗り込み、武力で制圧する。

 政府は、日本関係の船舶を護衛艦がまとめて引率するエスコート方式をとる方針だが、船団から外れたり、個別に航行する船舶が襲撃されるおそれはある。防衛省関係者は「そのとき『何もできない』では許されない」として、特別警備隊の活用が浮上した。
 防衛省の検討では、護衛艦に乗艦させる特別警備隊は1個小隊(20数人)程度で、高速ボートも搭載する。護衛艦に搭載しているヘリも活用する。〉(1月17日付『東京新聞』)
 これは海上自衛隊が直接海賊に対処するということだが、それには当然根拠法令が必要となる。そもそも日本周辺での工作船への対応がいきなりアフリカ沖の海賊行為に対して適用されること自体にムリがある。上の記事にはまたこうある。
 〈政府は自衛隊法の海上警備行動を発令して海上自衛隊を派遣する方針で、武器使用は正当防衛・緊急避難に限って許される。それでも相手が「国または国に準じる組織」だった場合、特別警備隊が救出に向かえば、憲法九条で禁じた武力行使となる「駆けつけ警護」にあたるが、政府は「国際法上、海賊は『民間』と規定されている。武力行使にはあたらない」という。〉

 法の抜け穴を見つけて、とにかく一刻も早く派兵しようというのだが、問題はそれに留まらない。海上警備行動では日本船籍と日本企業が管理する「日本関係船舶」しか護送できない。しかし政府は「日本籍船のほか、(1)日本企業が運航を管理している外国籍船(2)日本人が乗船している船舶を海自艦艇で護送することが可能と判断した」という(08年12月24日付『産経新聞』)。これもまた強引な拡大解釈だ。外国籍船に一人でも日本人が乗っていれば、護衛艦が駆けつけるというのだろうか。防衛省内には「長期の海外派遣を実施するには82条(海上警備行動)の条文はスカスカ」との違和感が広がっているというが(1月17日付『毎日新聞』)、それはわかりやすい話だ。麻生首相は海上自衛隊の艦隊を一体いつまでソマリア沖・アデン湾に張りつけておくつもりなのだろうか。


▼麻生首相が派兵を急ぐ理由

 麻生首相がこれほどムリにムリを重ねて海賊派兵を急ぐのは、何も中国への対抗意識だけによるのではない。彼はこの際、自衛隊による武器使用基準を緩和し、集団的自衛権行使の既成事実を作り出したいのである。

1月8日に明らかになった、政府が今国会提出をめざしている「海賊行為対処に関する法律案」(仮称)の概要はこうである。
 〈(1)海外派遣時の自衛隊の武器使用基準を緩和(2)国籍や犯行場所に関係なく日本の刑罰法令を適用(3)外国の船舶、船員も保護対象とする。現行の正当防衛や緊急避難に限定している武器使用基準については「自衛隊の任務遂行に必要な武器使用などの権限」を検討する。外国船舶、船員への海賊行為への対応は「わが国が自ら措置を講じ得ることが必要」とした。〉(1月9日付『共同通信』)

 海上警備行動は法的には警察行動だから、武器の使用は正当防衛と緊急避難の場合に限られる。しかしロケット砲まで持っている凶悪な海賊に対処するのにそういうシバリがあるのはおかしいと世論を煽って、自衛隊が武器使用を自由に行なえるようにしたいのである。それがアフガニスタン派兵、さらにそれに続く派兵をにらんだ布石であることは明らかだ。「海賊」をダシに使って自衛隊に米軍並みの武器使用を許そうというのだ。

 ソマリア周辺・アデン湾で他国の軍艦とともに行動することに、集団的自衛権行使の先例作りの意図が含まれていることも確かだろう。麻生首相はあえて海賊対処は「集団的自衛権の問題とは関係ない」と強弁しているが、それがかえって問題の所在を明らかにしている。国連安保理決議を大義にかかげ、海上自衛隊の艦隊が数十隻の諸国艦隊に混じって行動する。麻生首相にとって、それは事実上「集団的自衛権行使」の先取りなのである。ソマリア沖の海賊対処では諸国の海軍とともに活動し成果を挙げた、それこそ国際貢献であり、今さらなぜ「集団的自衛権の行使が違憲だ」などと言うのか、とブチあげたいのだ。

 麻生首相が正面から改憲を語らないのは、未曾有の世界大恐慌に対応するのに精一杯だからであり、隙あらば改憲の道筋をつけたいと思っていることは想像にかたくない。本シリーズ「反戦の視点・その66」で筆者は「財界も含めた改憲派は、ビニール袋に入った金魚が袋を突き破ろうとするように必死に出口を探している。」と記した。麻生首相は、解釈改憲によるか明文改憲によるかにかかわりなく、大不況の下で日本経済が生き残るためには海外権益を日米の軍事力で守るしかないと思っているのである。それは米国政府の意にまことにかなうことでもある。

 〈オバマ次期政権の発足に伴い退任するシーファー駐日米大使は1月14日、都内で記者会見し、現行の憲法解釈では禁じられている日本の集団的自衛権行使について「解釈を見直すべきだ」と繰り返し言明。日米両国でミサイル防衛(MD)を運用するに当たり、日本政府が憲法解釈の変更に乗り出すべきだとの見解を示した。
 またアフガニスタン情勢に関して、医師や技術者、看護師、教師などの文民派遣により、日本がより積極的な人的貢献を行うよう要求。ソマリア沖の海賊対策にも主体的に取り組むよう促した。〉(1月15日付『共同通信』)

 この記事には「退任直前とはいえ、集団的自衛権をめぐって現職米大使が"解釈改憲"の必要性に踏み込むのは異例と言える」とあるが、日本政府に対しついにかんしゃく玉を破裂させたということだ。シーファーの後任のジョセフ・ナイは「アーミテージ報告」(2000年)の共同執筆者で、彼もまた同報告で日本に「集団的自衛権の禁止の撤廃」を求めていることを私たちは忘れるべきではない。 
海賊行為対処に関する与党プロジェクトチーム(PT)はもともと「まず派兵ありき」の姿勢で、麻生首相はPTの結論を得次第、海上警備行動を発令する。


▼「海賊退治」ではなくソマリア社会の再建を支援すべき

 ソマリアでは、ひたすら無秩序と暴力が支配し経済も社会も崩壊している。91年の内戦以来、全土を統治する政府は存在せず、多数の氏族間で抗争が続いている。同国は「アフリカの角」と呼ばれる戦略上の要地であり、海洋資源や石油資源が豊富であるため、たびたび大国や隣国の介入を招いてきた。ソマリアの人びとは社会の再建を自力で図る機会を奪われてきたのである。国連安保理の決議はその現実を直視せず、国際社会としての責任を果たそうとしない。軍事介入ではなくソマリア社会の自力での再建を支援することが何より大切なのだ。「海賊退治」ではなく海賊を無数に生み出す土壌に目を向けねばならない。外科手術ではなく漢方的対応が不可欠なのだ。

 海賊派兵は、大不況対策で行き詰まった麻生政権が、お定まりの手法だが、私たちの目を自らの失策から外にそらさせるための景気づけである。同時に自衛隊に自由な武器使用を許し、事実上集団的自衛権の行使に踏み込むための策謀にほかならない。そこに潜むのは、日本の海外派兵を新たな段階に押し上げようとする危険な意図である。

 今こそ、今すぐ、声を上げねばならない。「海賊派兵」に断固として反対しようではないか。


※声を上げる方法※
 首相官邸のホームページに「ご意見募集コーナー」があります。そこから各府省に抗議文や要請文を送ることができます。

「論考etc」書庫の記事一覧


.
hi_**ouryo*u
hi_**ouryo*u
非公開 / 非公開
人気度
Yahoo!ブログヘルプ - ブログ人気度について
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

過去の記事一覧

検索 検索

よしもとブログランキング

もっと見る

[PR]お得情報

いまならもらえる!ウィスパーうすさら
薄いしモレを防ぐ尿ケアパッド
話題の新製品を10,000名様にプレゼント
コンタクトレンズで遠近両用?
「2WEEKメニコンプレミオ遠近両用」
無料モニター募集中!
ふるさと納税サイト『さとふる』
11/30まで5周年記念キャンペーン中!
Amazonギフト券1000円分当たる!
いまならもらえる!ウィスパーWガード
薄いしモレを防ぐパンティライナー
話題の新製品を10,000名様にプレゼント
ふるさと納税サイト『さとふる』
お米、お肉などの好きなお礼品を選べる
毎日人気ランキング更新中!

その他のキャンペーン


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事