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【反戦の視点・その77】 第7回 愚かしい海賊派兵を阻止しよう1より続き

●「アデン湾生命線論」

 3月14日、海上自衛隊呉基地で海自艦隊の出港行事が行なわれた。そこでの発言集。
 ◆麻生首相:海賊行為は人類共通の敵。国難に対処すべく、強い信念を持って出航していく諸官を誇りに思う。
◆浜田防衛相:諸官の活動は日本国民の人命・財産を守るという観点から極めて重要。国益とともに国際社会の繁栄と安全のため任務の遂行を。
 ◆泉徹自艦隊司令官:派遣海賊対処水上部隊の第1次隊は日本の海賊対策への固い決意をあまねく世界に示すことになる。
 ■日本船主協会前川弘幸会長(来賓)のコメント:現行法の派遣では自衛艦が十分活動できないと懸念の声があるが、エスコートだけでも海賊行為の抑止に大きな効果が期待できる。派遣はわが国の人命・財産を保護するための尊い任務。
海賊対処のための新法案の早期成立を強く期待する。
          (3月19日付『朝雲新聞』)

海賊行為は人類共通の敵、国難への対処、日本国民の人命・財産を守る、国益のため任務の遂行を……。「国難」打開のための出陣式だったわけだ。「敵は海賊」。ここで中国東北侵略戦争(「満州事変」)を後押しした「満蒙生命線論」、シーレーン(海上輸送路)防衛の「マラッカ海峡生命線論」、「湾岸危機」の際喧伝された「ペルシャ湾生命線論」などを想起するのは大いに有意義だろう。「海賊対処」を煽っているのは「アデン湾生命線論」である。

 海賊派兵についての世論調査では賛成がどんどん増えている。最初3割だった支持はたちまち半数に達し、今や6割である。1929年の大恐慌が日本に及び、
人心の動揺につけこんで「満蒙生命線論」がブチ上げられた。窮状を打開するためには「満蒙問題の解決」しかないと世論を煽ったのである。
 〈石原完爾関東軍参謀作戦主任は「国運転回の根本国策たる満蒙問題解決案」(1929年)で「満蒙の合理的開発により、日本の景気は自然に回復し有識失業者亦救済せらるべし」として、不景気にあえぐ民衆の不満に訴えた。中国東北戦争は国内の経済危機、昭和恐慌と密接に連動していたのである。〉
      (森武麿『アジア・太平洋戦争』、集英社版・日本の歴史〔20〕)

 「昭和」初期の世界大恐慌─昭和恐慌と「満州事変」、そして今、米国発の世界大不況─「百年に一度」の未曾有の底なし不況が、海賊派兵支持を生んでいる。
日本社会に充満しつつある不安・苛立ちのガスが対外軍事行動に出口を見出そうとしているのだ。
 もう一つ「昭和」初期との類似点を挙げよう。「満州事変」「支那事変」など「事変」という言葉は、侵略戦争であることを隠すための非常に政治的な用語である。「支那事変」は言うまでもなく、日中戦争、すなわち中国侵略戦争のことだが、大日本帝国政府は中国との戦争をついに「戦争」と呼ばなかった。アジア・太平洋戦争を「大東亜戦争」と呼んだのは、米英に対して宣戦布告したからである。

 さて、麻生政権は海賊派兵を軍事行動とは言わない。「国または国に準じる組織」と戦闘(交戦)するのではない「警察行動」だと言うのである。政府の公式見解では自衛隊は実力組織であり軍隊ではない。したがって交戦はあり得ないことになる。「さみだれ」と「さざなみ」は誰が見ても駆逐艦(デストロイアー)だが、それを護衛艦という。ところで、前掲の『朝雲新聞』の記事にはこうある。
 〈呉は朝方まで低気圧の通過で大荒れだったが、自衛官の家族たちが訪れた午前10時ごろには陽光が差し始め、風雨に洗われた派遣艦「さざなみ」「さみだれ」が輝いて見えた。両艦は艦橋ウイング部やヘリ格納庫上に機関銃座と防弾板を追加。また、艦の「立ち入り検査隊」が乗り組む小型の特別機動船や機関銃が装備されたSH60K哨戒ヘリも搭載されており目を引いた。〉

 これを読んで2隻の艦隊が「警察行動」に出動するのだと信じる人がいたら、その人は世界の常識に反している。すでに始まった「海賊対処」で不幸にして自衛官が亡くなったら、それは殉職で戦死ではない……。戦争はどこまでも虚偽と欺瞞に彩られて強行される。

●21世紀の義和団事件」騒ぎがもたらすイエメン漁民の被害

 〈海賊対策で海上自衛隊も含めた各国海軍が派遣されているソマリア沖のアデン湾で、イエメン漁民が海賊と疑われて威嚇射撃を受けるなど海軍と海賊の板挟みとなり、「漁業が立ち行かない」と悲鳴を上げている。3月21日付のサウジアラビア紙アラブ・ニューズが伝えた。/同紙によると、イエメンのハドラマウト州沿岸では約1万2000人が漁業に従事、主要な漁場は同国とソマリア中間海域で、海賊被害海域とも重なる。両国の漁師が乗り組むことが多く、海賊と誤認されて威嚇射撃を受け負傷者も出ているという。〉            
          (3月22日付『時事通信』) 

〈ソマリア沖海域に臨むイエメンの漁民らが、海賊と誤認され軍に射撃されたり、海賊に脅され「人間の盾」に利用されるなど、双方から深刻な脅威を受けている。
イエメンの漁業組合は「このままでは多くの漁民が漁をやめざるを得ない」と窮状を訴えている。/
3月21日のサウジアラビア紙アラブ・ニューズ(電子版)によると、ソマリア沖で操業を終えたイエメンの漁船団が母港に戻る途中の1月29日、「海賊対策で派遣されているとみられる国籍不明の」軍艦2隻に遭遇。艦船から飛来したヘリコプター1機から無警告で乱射を受け漁民1人が負傷した。艦船はその後、姿を消したという。/漁民らは事件前にも、漁場に向かう途中で海賊の船団に見つかり、海賊対策艦船の目をくらますおとりとして、海賊船に付いてくるよう命じられ、命からがら逃れていた。/漁業組合関係者によると、操業中のマグロ漁船にインド軍艦船乗組員が乗り込み、立ち会いの1人を除く漁民全員を海に放り出して臨検を行うなどしているという。〉
          (3月22日付『共同通信』)

 イエメン漁民の漁場がソマリアの海賊と諸国艦隊との戦場にされているのだ。愚劣きわまる「海軍オリンピック」の犠牲者である。どれが漁船でどれが海賊船かを見分けることは至難の業である。次は読売新聞の記者がデンマーク海軍のフリゲート艦・アブサロンに同乗して取材した記事である。

 〈各国海軍が既に、商船の護衛や警戒監視にあたっているが、周辺海域では沿岸国の漁船も操業中で、海賊の判別は難しい。/3月12日夜、アブサロンから数十キロ離れた海上に不審な木造船が確認された。小舟4隻を曳航(えいこう)しており、武器を隠し持つ海賊船の疑いがある。アラビア語通訳のマリエ・ルンゲ隊員(25)が無線交信を試みたが、反応はない。ルンゲ隊員は、特殊部隊兵と共に小型艇で接近。アブサロンの甲板では、下士官が機銃を構えた。約20キロ先まで届く艦上の赤外線カメラが前線の模様をとらえた。漁船では17人の男が立ち上がり、両手を上げている。ルンゲ隊員によると、男たちは「我々はイエメンの漁師。寝ていただけだ」と答えたという。/艦内の憲兵事務所には、5丁のAK47自動小銃が並ぶ。2月、中国商船のSOSで現場に急行し、所持品を海に投棄していた漁船を捕捉、船内から押収した。だが、乗船していたソマリア人7人が、この武器で襲撃した十分な証拠はなく、釈放せざるを得なかった。〉 
          (3月18日付『読売新聞』)

 この記事には、漁船を装った2隻の船からロケット弾攻撃を受けたベトナム船籍の貨物船をアブサロンが救援に向かい、約20分後、トルコ海軍のヘリが貨物船の乗員の無事を確認した実話が紹介されているが、「ヘリは海賊船の行方を追ったが、多数の漁船が点在する中、約100メートルの上空からは海賊船の判別は困難。探索は打ち切られた。」と記している。すでにソマリア沖に達し、日本関連船舶を警護し始めた2隻の護衛艦は海賊を判別できるだろうか。不測の事態が起きる可能性は大きい。

【反戦の視点・その77】 第7回 愚かしい海賊派兵を阻止しよう3へ続く


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