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【反戦の視点・その77】 第7回 愚かしい海賊派兵を阻止しよう2より続き
●私たちにとって不可欠の視点の確立
護衛艦「さみだれ」と「さざなみ」はすでに「海賊対処」活動を始めた。こういう社説がある。
〈歴史をひもとけば、海賊をめぐって国家間の戦争に発展した例がある。「海賊対処は警察活動で、憲法問題は生じない」とする政府の説明は、あくまでも派遣する側の論理だ。
自衛隊は強力な実力組織であり、沿岸諸国から見れば軍隊にほかならない。/海賊問題は陸の問題であるといわれる。今回の派遣が他国への介入の側面を持つことを自覚しておくべきだ。/無政府状態のソマリアに警察機能が期待できないのは分かる。が、軍艦による威嚇だけでは決定打にはならない。力の対処に終わりがないことは、米国が押し進めた対テロ戦争で証明されたはずだ。/ソマリア沖の海賊は元漁民が多く、高度に組織され、すでに地場産業化しているとの指摘さえある。それを招いた責任は国際社会にもある。/産業を壊滅させた内戦の遠因は東西冷戦だ。ソマリアは国連が人道目的の武力介入を初めて認めた地でもある。
米国が主導した二度の国連平和維持活動(PKO)は失敗に終わり、その後、ソマリアは事実上放置され続けた。過去の反省に立ち、ソマリア本土を視野に入れた明確な出口戦略を持たなければ、問題は終わらない。硬軟両面の行動が各国に求められる。〉 (3月14日付『愛媛新聞』)
全国紙・地方紙の社説の中で、「自衛隊は強力な実力組織であり、沿岸諸国から見れば軍隊にほかならない。今回の派遣が他国への介入の側面を持つことを自覚しておくべきだ。」と指摘したものは他に見出せない。また「ソマリア沖の海賊は元漁民が多く、高度に組織され、すでに地場産業化しているとの指摘さえある。それを招いた責任は国際社会にもある。/産業を壊滅させた内戦の遠因は東西冷戦だ。ソマリアは国連が人道目的の武力介入を初めて認めた地でもある。米国が主導した二度の国連平和維持活動(PKO)は失敗に終わり、その後、ソマリアは事実上放置され続けた。過去の反省に立ち、ソマリア本土を視野に入れた明確な出口戦略を持たなければ、問題は終わらない。」という部分は筆者が繰り返してきた主張に近い。同日付『新潟日報』にはこうある。
〈自由貿易の恩恵を享受している日本が、海賊の横行に手をこまねいているのは責任放棄だ。国連海洋法条約も海賊抑止への協力を求めている。政府はこう主張して派遣を強行した。/もっともらしく聞こえるが、前提が間違っている。海洋法条約100条が各国に要請しているのは「可能な範囲での協力」である。/憲法九条を有する日本がまず考えるべきは「日本が可能な海賊抑止への協力とは何か」であろう。実力部隊である海自を派遣しなければ国際的な貢献を果たせないとする考え方は、外交力のなさの裏返しといわねばならない。/なし崩し的な海外派遣が続き、この問題への国民の関心が薄れてしまうのではと憂慮する。「国益」の名の下に自衛隊の海外派遣を常態化することが許されるのかどうか。/緊急避難的な「とりあえず派遣」は政治の貧困以外の何ものでもない。政府の猛省を促したい。〉
※ 第100条 海賊行為の抑止のための協力の義務
すべての国は、最大限に可能な範囲で、公海その他いずれの国の管轄権にも服さない場所における海賊行為の抑止に協力する。
●戦争国家化の完成をはばみ、平和的生存権を高く掲げて、9条実現のために努力しよう
大きく深呼吸して頭を整理しよう。湾岸戦争終結直後の掃海艇など6隻の派遣(1991年)に始まり、度重なるPKO(国連平和維持活動)派兵(ゴラン派兵は続いている)、米ブッシュ前政権のアフガン・イラク戦争に加担して強行された海自艦隊のインド洋・アラビア海派遣(続行中)、イラクへの陸上自衛隊の派兵、クウェート─イラク間の米兵・米軍需物資輸送のための航空自衛隊派兵、かてて加えて海賊派兵……。これまで足掛け18年間、この国は海外派兵を続けてきた。自衛隊の活動(作戦)は外へ外へと広がってきたのである。それと同時に、周辺事態法(1999年)、武力攻撃事態法(2003年)など戦争法体系が整備され、2004年、戦時の国内治安維持のために国民保護法も制定された。
この国はすでに戦争を始めていて、その既成事実を追認し恒常化するための法整備が続いている。海賊対処法は海外派兵恒久(一般)法への踏み段である。政府・与党は「海賊対処」を口実に、「危害射撃」容認で武器使用基準を大幅に緩和して9条2項を突き崩し、それを海自の活動一般に、そして陸自、空自に広げるつもりである。
残念ながら、9条の文言を守るだけで戦争への道を断つことはできない。9条が日々突き崩されている眼前の現実に立ち向かうことなく、「9条を守る」ことはできないのである。海外派兵は困るから9条は変えてほしくないが、自衛隊は「専守防衛」の立場で自分たち(あるいは「日本」を)を守って欲しいというのは、虫のいい話であり、自己矛盾である。その考えは、9条は〈あっても〉、あるいは9条が〈あるにもかかわらず〉、海外派兵が強行されている現実に目をつぶっている。防衛庁が防衛省に格上げされたことに伴い、海外派兵は自衛隊の本来任務になった。自衛隊はとっくに「専守防衛」などかなぐり捨てていたのだが、海外派兵の本来任務化によってそれを追認して開き直ったのである。
そのうえ、治安出動(市民による抵抗の鎮圧)も、もともと自衛隊の本来任務である(自衛隊法3条〔自衛隊の任務〕)。反戦運動が高揚して体制を脅かしたり、戦時に治安が危うくなったりすれば、自衛隊は市民に銃を向ける。「必要に応じ、公共の秩序の維持に当たる」(同3条)。そのために自衛隊の情報保全隊は日々市民の動向を監視しているのである。自衛隊が守るのは支配(統治)機構=政府の行政システムであり、被支配者である私たちではないことを肝に銘じたい。
被支配者である市民は本質的に支配機構の敵対者である。だからこそ、治安出動が自衛隊の本来任務なのである。それゆえ、巨大で強力な国家の暴力装置である自衛隊に私たち市民が守られることを期待するのは、政府の宣伝に踊らされた倒錯の心理である。
9条を変えさせてはならないが、「9条を守れば戦争を防止できる」と信じるのは迷信である。歴代保守政権は、9条の文言を変えることなく、自衛隊を世界有数の軍隊に肥大させ、すでに海外で戦争をしている。9条の明文改憲は、これまで執拗に続けられてきた解釈改憲の総仕上げなのであって、明文改憲で突然9条が殺されるわけではない。9条はすでに息も絶え絶えである。
しかし昨年4月17日のイラク派兵差止訴訟名古屋高裁控訴審判決(確定)は、
イラクにおける空自の活動を「憲法9条1項(戦争放棄)違反」とする画期的な判断を示した。判決はさらに、憲法前文が明記する平和的生存権を「全ての人権の基礎にある基底的権利」であるとし、法的な「具体的権利性」を認めた。この劇的な市民の勝利は戦争に反対するすべての市民を勇気づけている。息も絶え絶えの9条をよみがえらせ実現することは私たちが果たすべき義務である。
海賊派兵の中止を求め、海賊対処法の成立を阻止しよう! 眼前の「日本の戦争」を凝視しともに努力を続けようではないか!
【付記】海賊対処法案は4月14日、衆院本会議で審議入りする。海賊派兵と海賊対処法案への批判は今後も続けるが、ミサイル防衛を強化し臨戦意識を高揚させるための「飛翔体迎撃」騒動も起きているので、断続もあり得ることをお断りしておきたい。
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あなたたちのような人が日本の足を引っ張っているんだな。
「国益を守ることすら許せない」あなた達がこの国をいったいどうしたいのか私には理解できない。
日本からの金で近隣の国は軍備を増強して日本を狙っている。
あなた達の主張は、それらの国に加担している事に気づいていないのでしょうか?
まぁ、わかって言っているのでしょうね。
2009/4/9(木) 午後 1:52 [ ponkotuLegacy ]
初めまして。
その通りだと思います。「憲法9条」の精神が無くなれば、日本は確実に「戦争の出来る国」→「戦争のする国」→「戦争のやりたい国」になります。ここで言う国の主体は「資本家・経営者」です。
消費の一番有効な手段は「戦争」です。政府や「資本家」はそのことを特使っています。「敵愾心」を煽り、「ponnkutuLegacy」さんのような人を生み出すのですね。犠牲になるのは「一般国民です」!
2009/4/24(金) 午前 1:47 [ sososokuratesu ]
もっともな事を言ってるが解決策は書いてないね、ただ反対するだけなら誰でも出来る、良い事言うなら誰でも出来る。
世の中には奇麗事ばかり並べる人間が多いが貴方もその口ですな。
自分は海賊法案に賛成です、一人でも救われる人が居るならやるべきかと、力の無い物を守るのは力の有る者の役目かと。
2009/5/17(日) 午後 6:41 [ こうじ ]