戦争協力させない東京ネットワーク

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ミサイル防衛と連動した危機対策を今後止めることの申し入れ
愛知県知事 神田真秋様
                  不戦へのネットワーク 代表  水田 洋

 愛知県知事は経済危機による失業者の増大やさ様々な防災に対する対処など県民の平和で安全な暮らしを守るために努力されていることに敬意を表します。 
 私たちはこの地域が戦争協力をしてはいけない、憲法の趣旨にそって平和を守ろうと活動している市民の集まりです。平和を願う私たちから見て、ここ数日の愛知県の対応に不安をおぼえましたので以下申し入れします。
 
昨日、打ち上げられた北朝鮮の人工衛星に関して、愛知県は防災局内に危機対策チームを立ち上げ政府―防衛省の情報を県内自治体にも連絡しました。
 今回の騒動について愛知県は飛行コースにもまったく関係ないにもかかわらず、あえて対策チームをつくり
政府―防衛省のミサイル防衛騒ぎに加わったことは、まったく不必要な行為であるといいわざるをえません。
 今回の事態は地震などの自然災害ではありません。戦争行為という政治の問題なのです。回避することが可能なものです。平和外交を積極的におこなえば回避できるものです。国際条約に基づく通知もなされているものをあくまでミサイルに見立てて敵意をむき出しにしたのは麻生総理と浜田防衛相です。
 政府―防衛省は2月末に突然「迎撃」方針を表明し、自衛隊に迎撃命令をだし、イージス艦の派遣とPAC3ミサイルの移動展開を行いました。首都圏、浜松基地のPAC3部隊を大々的に移動させ、マスコミにも公開するということも行いました。2月配備されたばかりの岐阜基地からも機材の一部を移動させました。
 大量の軍事車両が日本全国の高速道路や市街地を走り回る姿を見せることで軍事展開を慣れさせる目的が見えてきます。
 政府―防衛省は「ミサイル」の日本への落下の危険性は非常に少ないといいながら、万が一に備える、発射失敗に備えると大々的に国民の不安を煽り立てました。関係自治体のみならず、全国の自治体にも危機情報の伝達システムの構築を求めました。
 その結果、5日当日の発射時には防災放送や広報車で「空襲警報」発令のような「ミサイル発射」の広報が行われました。まさに「国民保護法」の発動と同じことがおこなわれたのです。
 「国民保護法」は「武力攻撃事態」を想定したものですが、なんら「攻撃」も想定されない今回の実質的発動は法に基づかない違法行為であるといえます。
 愛知県の対応はこのような戦争体制構築の一環なのです。政府の戦争体制づくりー国民総動員を積極的に支えるものなのです。
 
今回のミサイル防衛発動はアメリカ以外に唯一ミサイル防衛システムを導入した日本とアメリカの共同実戦訓練と世界に向けたアピールだったのです。
 ミサイル防衛発動は訓練にとどまらないものでした。北朝鮮の発射する「ミサイル」を直接標的にしたものであり、迎撃を行えば宣戦布告と同じことであり、戦争状態に突入するといったきわめて危険な行為、軍事行動に日本政府と自衛隊が踏み切ったのです。
 実際に北朝鮮は報復の可能性を表明し、極東地域は一触即発の軍事的緊張がたかまったのです。4日の二回の自衛隊「誤報」は戦争突入への極めて高い緊張のなかで生み出されたものなのです。

 国民の不安を駆り立てながら、ミサイル防衛の更なる拡大―軍拡路線に政府―防衛省は踏み込もうとしています。東北地方選出自民党国会議員は防衛事務次官にPAC3の東北配備を要請し、次官は配備の方向性を示しました。自民党からは偵察衛星打ち上げが言われ、防衛省は赤外線センサーの研究、開発にはいることを明らかにしました。
 今回の事態で生み出されたものは自衛隊の軍拡へのゴーサインと北朝鮮への更なる排外主義的な恐怖感を国民に植え付けるということであり、戦争体制に国民を動員する体制をつくったことです。
 空前の経済危機によって三月末から非正規労働者の一層の解雇と正社員も含めた失業問題の拡大による不安の拡大、ロンドンでの金融サミットというこの時期に対外的恐怖をあおっての戦争体制作りと軍拡は60数年前の日本の姿を見るかのようです。
 国民の支持がほとんどないに等しい麻生政権によるこのような危険な行為に加担するような今回の愛知県の対応は県民の安全な暮らしを守る立場いって認められるものではありません。
 戦争につながるような政策や行為は拒否すべきです。戦争が起こったときの対処をどうこうするのではなく、戦争を日本が起こさないように、平和外交を積極的に推進するよう政府に働きかけるのが県民の安全を第一に考える愛知県の取るべき対応ではないでしょうか。
 「国民保護法」の愛知県の実施計画策定を撤回し、今後今回のような政府―防衛省の戦争騒ぎに参加しないことを強く求めます。
戦争準備の軍拡をしないことを政府に求めることを要請します。

以上のないようにあわせて愛知県がすすめる航空宇宙産業推進についても平和を進める観点からの見直しを求めます。
日本の航空宇宙産業売り上げの半分以上が自衛隊装備関係であることは県も承知しているでしょう。さらに北朝鮮の人工衛星打ち上げがミサイル開発と同じというのと同様に日本のロケット産業も世界的常識からみれば大陸間弾道弾開発と実用段階にあるということです。ロケット産業も含めると軍事関連は航空宇宙産業の大半を占めます。かってない経済危機で民間航空関連の成長の展望を見込めないのは明らかです。軍需関連その比率が高まるのは間違いありません。輸出三原則の解除を求める声が防衛産業界から強くおこっているのはそのためです。
 ミサイル防衛関連でも配備拡大で潤うのはPAC3生産の三菱重工です。衛星開発では三菱電機も大きな役割をはたします。
 愛知県の航空宇宙産業育成方針は民間ジェット機開発を名目としても実際には軍需産業の育成拡大につながるものであり、愛知県をはじめとした東海地方が日本有数の軍需産業地帯になることになります。
 平和で安全な暮らしを求める私たちは、戦争に直結する軍需産業の拡大にも反対です。

 愛知県は平和で安全な市民生活を保障する自治体として、戦争に関連するような法律や計画の整備に参加しないでください。
 憲法9条にそった行政を常におこなうことを強く求めます。

2009年4月6日
 連絡先 名古屋市昭和区鶴舞3−8−10 労働文化センター2F 052−731−7517

【反戦の視点・その77】 第7回 愚かしい海賊派兵を阻止しよう2より続き

●私たちにとって不可欠の視点の確立

 護衛艦「さみだれ」と「さざなみ」はすでに「海賊対処」活動を始めた。こういう社説がある。
 〈歴史をひもとけば、海賊をめぐって国家間の戦争に発展した例がある。「海賊対処は警察活動で、憲法問題は生じない」とする政府の説明は、あくまでも派遣する側の論理だ。
自衛隊は強力な実力組織であり、沿岸諸国から見れば軍隊にほかならない。/海賊問題は陸の問題であるといわれる。今回の派遣が他国への介入の側面を持つことを自覚しておくべきだ。/無政府状態のソマリアに警察機能が期待できないのは分かる。が、軍艦による威嚇だけでは決定打にはならない。力の対処に終わりがないことは、米国が押し進めた対テロ戦争で証明されたはずだ。/ソマリア沖の海賊は元漁民が多く、高度に組織され、すでに地場産業化しているとの指摘さえある。それを招いた責任は国際社会にもある。/産業を壊滅させた内戦の遠因は東西冷戦だ。ソマリアは国連が人道目的の武力介入を初めて認めた地でもある。
米国が主導した二度の国連平和維持活動(PKO)は失敗に終わり、その後、ソマリアは事実上放置され続けた。過去の反省に立ち、ソマリア本土を視野に入れた明確な出口戦略を持たなければ、問題は終わらない。硬軟両面の行動が各国に求められる。〉   (3月14日付『愛媛新聞』)

 全国紙・地方紙の社説の中で、「自衛隊は強力な実力組織であり、沿岸諸国から見れば軍隊にほかならない。今回の派遣が他国への介入の側面を持つことを自覚しておくべきだ。」と指摘したものは他に見出せない。また「ソマリア沖の海賊は元漁民が多く、高度に組織され、すでに地場産業化しているとの指摘さえある。それを招いた責任は国際社会にもある。/産業を壊滅させた内戦の遠因は東西冷戦だ。ソマリアは国連が人道目的の武力介入を初めて認めた地でもある。米国が主導した二度の国連平和維持活動(PKO)は失敗に終わり、その後、ソマリアは事実上放置され続けた。過去の反省に立ち、ソマリア本土を視野に入れた明確な出口戦略を持たなければ、問題は終わらない。」という部分は筆者が繰り返してきた主張に近い。同日付『新潟日報』にはこうある。
 〈自由貿易の恩恵を享受している日本が、海賊の横行に手をこまねいているのは責任放棄だ。国連海洋法条約も海賊抑止への協力を求めている。政府はこう主張して派遣を強行した。/もっともらしく聞こえるが、前提が間違っている。海洋法条約100条が各国に要請しているのは「可能な範囲での協力」である。/憲法九条を有する日本がまず考えるべきは「日本が可能な海賊抑止への協力とは何か」であろう。実力部隊である海自を派遣しなければ国際的な貢献を果たせないとする考え方は、外交力のなさの裏返しといわねばならない。/なし崩し的な海外派遣が続き、この問題への国民の関心が薄れてしまうのではと憂慮する。「国益」の名の下に自衛隊の海外派遣を常態化することが許されるのかどうか。/緊急避難的な「とりあえず派遣」は政治の貧困以外の何ものでもない。政府の猛省を促したい。〉

 ※ 第100条 海賊行為の抑止のための協力の義務
   すべての国は、最大限に可能な範囲で、公海その他いずれの国の管轄権にも服さない場所における海賊行為の抑止に協力する。

●戦争国家化の完成をはばみ、平和的生存権を高く掲げて、9条実現のために努力しよう

 大きく深呼吸して頭を整理しよう。湾岸戦争終結直後の掃海艇など6隻の派遣(1991年)に始まり、度重なるPKO(国連平和維持活動)派兵(ゴラン派兵は続いている)、米ブッシュ前政権のアフガン・イラク戦争に加担して強行された海自艦隊のインド洋・アラビア海派遣(続行中)、イラクへの陸上自衛隊の派兵、クウェート─イラク間の米兵・米軍需物資輸送のための航空自衛隊派兵、かてて加えて海賊派兵……。これまで足掛け18年間、この国は海外派兵を続けてきた。自衛隊の活動(作戦)は外へ外へと広がってきたのである。それと同時に、周辺事態法(1999年)、武力攻撃事態法(2003年)など戦争法体系が整備され、2004年、戦時の国内治安維持のために国民保護法も制定された。
 この国はすでに戦争を始めていて、その既成事実を追認し恒常化するための法整備が続いている。海賊対処法は海外派兵恒久(一般)法への踏み段である。政府・与党は「海賊対処」を口実に、「危害射撃」容認で武器使用基準を大幅に緩和して9条2項を突き崩し、それを海自の活動一般に、そして陸自、空自に広げるつもりである。

 残念ながら、9条の文言を守るだけで戦争への道を断つことはできない。9条が日々突き崩されている眼前の現実に立ち向かうことなく、「9条を守る」ことはできないのである。海外派兵は困るから9条は変えてほしくないが、自衛隊は「専守防衛」の立場で自分たち(あるいは「日本」を)を守って欲しいというのは、虫のいい話であり、自己矛盾である。その考えは、9条は〈あっても〉、あるいは9条が〈あるにもかかわらず〉、海外派兵が強行されている現実に目をつぶっている。防衛庁が防衛省に格上げされたことに伴い、海外派兵は自衛隊の本来任務になった。自衛隊はとっくに「専守防衛」などかなぐり捨てていたのだが、海外派兵の本来任務化によってそれを追認して開き直ったのである。
 そのうえ、治安出動(市民による抵抗の鎮圧)も、もともと自衛隊の本来任務である(自衛隊法3条〔自衛隊の任務〕)。反戦運動が高揚して体制を脅かしたり、戦時に治安が危うくなったりすれば、自衛隊は市民に銃を向ける。「必要に応じ、公共の秩序の維持に当たる」(同3条)。そのために自衛隊の情報保全隊は日々市民の動向を監視しているのである。自衛隊が守るのは支配(統治)機構=政府の行政システムであり、被支配者である私たちではないことを肝に銘じたい。

 被支配者である市民は本質的に支配機構の敵対者である。だからこそ、治安出動が自衛隊の本来任務なのである。それゆえ、巨大で強力な国家の暴力装置である自衛隊に私たち市民が守られることを期待するのは、政府の宣伝に踊らされた倒錯の心理である。
 9条を変えさせてはならないが、「9条を守れば戦争を防止できる」と信じるのは迷信である。歴代保守政権は、9条の文言を変えることなく、自衛隊を世界有数の軍隊に肥大させ、すでに海外で戦争をしている。9条の明文改憲は、これまで執拗に続けられてきた解釈改憲の総仕上げなのであって、明文改憲で突然9条が殺されるわけではない。9条はすでに息も絶え絶えである。

 しかし昨年4月17日のイラク派兵差止訴訟名古屋高裁控訴審判決(確定)は、
イラクにおける空自の活動を「憲法9条1項(戦争放棄)違反」とする画期的な判断を示した。判決はさらに、憲法前文が明記する平和的生存権を「全ての人権の基礎にある基底的権利」であるとし、法的な「具体的権利性」を認めた。この劇的な市民の勝利は戦争に反対するすべての市民を勇気づけている。息も絶え絶えの9条をよみがえらせ実現することは私たちが果たすべき義務である。

 海賊派兵の中止を求め、海賊対処法の成立を阻止しよう! 眼前の「日本の戦争」を凝視しともに努力を続けようではないか!

【付記】海賊対処法案は4月14日、衆院本会議で審議入りする。海賊派兵と海賊対処法案への批判は今後も続けるが、ミサイル防衛を強化し臨戦意識を高揚させるための「飛翔体迎撃」騒動も起きているので、断続もあり得ることをお断りしておきたい。

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【反戦の視点・その77】 第7回 愚かしい海賊派兵を阻止しよう1より続き

●「アデン湾生命線論」

 3月14日、海上自衛隊呉基地で海自艦隊の出港行事が行なわれた。そこでの発言集。
 ◆麻生首相:海賊行為は人類共通の敵。国難に対処すべく、強い信念を持って出航していく諸官を誇りに思う。
◆浜田防衛相:諸官の活動は日本国民の人命・財産を守るという観点から極めて重要。国益とともに国際社会の繁栄と安全のため任務の遂行を。
 ◆泉徹自艦隊司令官:派遣海賊対処水上部隊の第1次隊は日本の海賊対策への固い決意をあまねく世界に示すことになる。
 ■日本船主協会前川弘幸会長(来賓)のコメント:現行法の派遣では自衛艦が十分活動できないと懸念の声があるが、エスコートだけでも海賊行為の抑止に大きな効果が期待できる。派遣はわが国の人命・財産を保護するための尊い任務。
海賊対処のための新法案の早期成立を強く期待する。
          (3月19日付『朝雲新聞』)

海賊行為は人類共通の敵、国難への対処、日本国民の人命・財産を守る、国益のため任務の遂行を……。「国難」打開のための出陣式だったわけだ。「敵は海賊」。ここで中国東北侵略戦争(「満州事変」)を後押しした「満蒙生命線論」、シーレーン(海上輸送路)防衛の「マラッカ海峡生命線論」、「湾岸危機」の際喧伝された「ペルシャ湾生命線論」などを想起するのは大いに有意義だろう。「海賊対処」を煽っているのは「アデン湾生命線論」である。

 海賊派兵についての世論調査では賛成がどんどん増えている。最初3割だった支持はたちまち半数に達し、今や6割である。1929年の大恐慌が日本に及び、
人心の動揺につけこんで「満蒙生命線論」がブチ上げられた。窮状を打開するためには「満蒙問題の解決」しかないと世論を煽ったのである。
 〈石原完爾関東軍参謀作戦主任は「国運転回の根本国策たる満蒙問題解決案」(1929年)で「満蒙の合理的開発により、日本の景気は自然に回復し有識失業者亦救済せらるべし」として、不景気にあえぐ民衆の不満に訴えた。中国東北戦争は国内の経済危機、昭和恐慌と密接に連動していたのである。〉
      (森武麿『アジア・太平洋戦争』、集英社版・日本の歴史〔20〕)

 「昭和」初期の世界大恐慌─昭和恐慌と「満州事変」、そして今、米国発の世界大不況─「百年に一度」の未曾有の底なし不況が、海賊派兵支持を生んでいる。
日本社会に充満しつつある不安・苛立ちのガスが対外軍事行動に出口を見出そうとしているのだ。
 もう一つ「昭和」初期との類似点を挙げよう。「満州事変」「支那事変」など「事変」という言葉は、侵略戦争であることを隠すための非常に政治的な用語である。「支那事変」は言うまでもなく、日中戦争、すなわち中国侵略戦争のことだが、大日本帝国政府は中国との戦争をついに「戦争」と呼ばなかった。アジア・太平洋戦争を「大東亜戦争」と呼んだのは、米英に対して宣戦布告したからである。

 さて、麻生政権は海賊派兵を軍事行動とは言わない。「国または国に準じる組織」と戦闘(交戦)するのではない「警察行動」だと言うのである。政府の公式見解では自衛隊は実力組織であり軍隊ではない。したがって交戦はあり得ないことになる。「さみだれ」と「さざなみ」は誰が見ても駆逐艦(デストロイアー)だが、それを護衛艦という。ところで、前掲の『朝雲新聞』の記事にはこうある。
 〈呉は朝方まで低気圧の通過で大荒れだったが、自衛官の家族たちが訪れた午前10時ごろには陽光が差し始め、風雨に洗われた派遣艦「さざなみ」「さみだれ」が輝いて見えた。両艦は艦橋ウイング部やヘリ格納庫上に機関銃座と防弾板を追加。また、艦の「立ち入り検査隊」が乗り組む小型の特別機動船や機関銃が装備されたSH60K哨戒ヘリも搭載されており目を引いた。〉

 これを読んで2隻の艦隊が「警察行動」に出動するのだと信じる人がいたら、その人は世界の常識に反している。すでに始まった「海賊対処」で不幸にして自衛官が亡くなったら、それは殉職で戦死ではない……。戦争はどこまでも虚偽と欺瞞に彩られて強行される。

●21世紀の義和団事件」騒ぎがもたらすイエメン漁民の被害

 〈海賊対策で海上自衛隊も含めた各国海軍が派遣されているソマリア沖のアデン湾で、イエメン漁民が海賊と疑われて威嚇射撃を受けるなど海軍と海賊の板挟みとなり、「漁業が立ち行かない」と悲鳴を上げている。3月21日付のサウジアラビア紙アラブ・ニューズが伝えた。/同紙によると、イエメンのハドラマウト州沿岸では約1万2000人が漁業に従事、主要な漁場は同国とソマリア中間海域で、海賊被害海域とも重なる。両国の漁師が乗り組むことが多く、海賊と誤認されて威嚇射撃を受け負傷者も出ているという。〉            
          (3月22日付『時事通信』) 

〈ソマリア沖海域に臨むイエメンの漁民らが、海賊と誤認され軍に射撃されたり、海賊に脅され「人間の盾」に利用されるなど、双方から深刻な脅威を受けている。
イエメンの漁業組合は「このままでは多くの漁民が漁をやめざるを得ない」と窮状を訴えている。/
3月21日のサウジアラビア紙アラブ・ニューズ(電子版)によると、ソマリア沖で操業を終えたイエメンの漁船団が母港に戻る途中の1月29日、「海賊対策で派遣されているとみられる国籍不明の」軍艦2隻に遭遇。艦船から飛来したヘリコプター1機から無警告で乱射を受け漁民1人が負傷した。艦船はその後、姿を消したという。/漁民らは事件前にも、漁場に向かう途中で海賊の船団に見つかり、海賊対策艦船の目をくらますおとりとして、海賊船に付いてくるよう命じられ、命からがら逃れていた。/漁業組合関係者によると、操業中のマグロ漁船にインド軍艦船乗組員が乗り込み、立ち会いの1人を除く漁民全員を海に放り出して臨検を行うなどしているという。〉
          (3月22日付『共同通信』)

 イエメン漁民の漁場がソマリアの海賊と諸国艦隊との戦場にされているのだ。愚劣きわまる「海軍オリンピック」の犠牲者である。どれが漁船でどれが海賊船かを見分けることは至難の業である。次は読売新聞の記者がデンマーク海軍のフリゲート艦・アブサロンに同乗して取材した記事である。

 〈各国海軍が既に、商船の護衛や警戒監視にあたっているが、周辺海域では沿岸国の漁船も操業中で、海賊の判別は難しい。/3月12日夜、アブサロンから数十キロ離れた海上に不審な木造船が確認された。小舟4隻を曳航(えいこう)しており、武器を隠し持つ海賊船の疑いがある。アラビア語通訳のマリエ・ルンゲ隊員(25)が無線交信を試みたが、反応はない。ルンゲ隊員は、特殊部隊兵と共に小型艇で接近。アブサロンの甲板では、下士官が機銃を構えた。約20キロ先まで届く艦上の赤外線カメラが前線の模様をとらえた。漁船では17人の男が立ち上がり、両手を上げている。ルンゲ隊員によると、男たちは「我々はイエメンの漁師。寝ていただけだ」と答えたという。/艦内の憲兵事務所には、5丁のAK47自動小銃が並ぶ。2月、中国商船のSOSで現場に急行し、所持品を海に投棄していた漁船を捕捉、船内から押収した。だが、乗船していたソマリア人7人が、この武器で襲撃した十分な証拠はなく、釈放せざるを得なかった。〉 
          (3月18日付『読売新聞』)

 この記事には、漁船を装った2隻の船からロケット弾攻撃を受けたベトナム船籍の貨物船をアブサロンが救援に向かい、約20分後、トルコ海軍のヘリが貨物船の乗員の無事を確認した実話が紹介されているが、「ヘリは海賊船の行方を追ったが、多数の漁船が点在する中、約100メートルの上空からは海賊船の判別は困難。探索は打ち切られた。」と記している。すでにソマリア沖に達し、日本関連船舶を警護し始めた2隻の護衛艦は海賊を判別できるだろうか。不測の事態が起きる可能性は大きい。

【反戦の視点・その77】 第7回 愚かしい海賊派兵を阻止しよう3へ続く

(転載歓迎)

反戦の視点・その77 

第7回 愚かしい海賊派兵を阻止しよう
     ─「海賊対処」は始まったが、反派兵の闘いはこれからだ─

                     井上澄夫 

●ソマリア沖の海賊事件概況

 〈ソマリア沖の海賊、厳戒避けインド洋へ転進?
 アフリカ・ソマリア沖の海賊による商船襲撃事件が3月に入り、同国東方沖のインド洋で急増していることが3月29日、分かった。/海賊は、各国海軍が対策を強化しているソマリア北方沖のアデン湾を避け、警戒体制の手薄な海域に照準を移している可能性もある。/国際海事局(IMB)によると、3月にソマリア東方沖で起きた襲撃は3月27日までに14件で、2月より12件増加。アデン湾は8件で、海賊事件が急増した昨年以来初めて、ソマリア東方沖の襲撃件数が上回った。/欧州軍事筋によると、商船三井の自動車運搬船が襲撃された3月22日には、周辺海域で計4件の襲撃があった。〉
          (3月30日付『読売新聞』)

 「海賊は、各国海軍が対策を強化しているソマリア北方沖のアデン湾を避け、警戒体制の手薄な海域に照準を移している可能性もある。」とあるが、これは憶測による記述であり、鵜呑みにはできない。「ソマリア東方沖のインド洋」とはソマリアからケニアにかけての沿岸沖の海域で、そこでの海賊事件発生はアデン湾での事件とともにこれまでにも報道されている。同海域を航行する船舶はアフリカ大陸最南端の喜望峰をめぐる航路をたどることが多い。上の記事にある商船三井の自動車運搬船襲撃事件とはこうである。

〈商船三井の船舶、海賊?が銃撃 ソマリア沖けが人なし
 国土交通省に入った連絡によると、日本時間の3月22日午後10時10分ごろ、ソマリア沖をケニアに向けて航行中だった商船三井の船舶が2隻の小型船から銃撃された。乗組員は全員フィリピン人。船舶は操舵(そうだ)室の窓ガラスなどに被弾したが、小型船を振り切り、けが人はなかった。/同海域ではしばしば日本の船舶事業者が運航する船などが海賊とみられる小型船から銃撃を受けており、今年になってからは今回が初めて。〉                
          (3月23日付『日本経済新聞』)

 NHKの報道によると、銃撃を受けた船は、船籍がイギリスのケイマン諸島で、東京の商船三井が運航する自動車運搬船「JASMINEACE」(1万3000トン余り)で、3月17日にアラブ首長国連邦で中古車およそ400台を載せ、
ケニアのモンバサ港に向けて航行中、ソマリアの東方沖およそ900キロの海域で襲撃を受けたという。

 しかし、仮に海賊が活動領域の重点を「ソマリア東方沖のインド洋」に移しているとしても、派遣された海上自衛隊艦隊がただちに同海域で「海賊対処」活動を行なうことは考えにくい。日本関連船舶の大多数が地中海─スエズ運河─紅海─アデン湾─インド洋─マラッカ海峡経由で航行しているからである。それに「ソマリア東方沖のインド洋」はアデン湾よりはるかに広大で、そこで「海賊対処」の成果をあげることはかなり困難ではあるまいか。
 しかしアデン湾での海賊の活動も依然として続いている。

 〈海賊 ドイツの補給艦に銃撃
 バーレーンに司令部があるアメリカ海軍の第5艦隊によりますと、ソマリア沖のアデン湾で3月29日、ドイツ海軍の補給艦が小型船に乗った海賊から銃撃を受けました。補給艦も小型船に向けて発砲し、さらに周辺にいた各国の艦艇に支援を求めた結果、アメリカ海軍のヘリコプターなどとともに、駆けつけたギリシャ軍の駆逐艦が小型船を追跡し、およそ5時間後、7人の海賊を拘束したということです。また、小型船の中にあった自動小銃やロケット砲を押収したということです。ソマリア沖で活動している各国の艦艇が海賊に襲撃された例はこれまでほとんどなく、アメリカ軍では、海賊は、ドイツ海軍の補給艦を民間の商船と勘違いして襲撃しようとしたのではないかとみています。〉
          (3月31日付NHKニュース)

●始まった「海賊対処」

 〈海自護衛艦、オマーン到達…まもなく警護活動スタート
 防衛省は3月30日、護衛艦「さざなみ」と「さみだれ」が、オマーンの港湾都市サラーラの沖合に到達したことを明らかにした。/5隻の「日本関係船」を対象に初の警護活動をスタートさせる。国土交通省の「海賊対策連絡調整室」には、これまでに計2595隻から警護の希望が寄せられており、同省は、2隻の護衛艦では対応しきれないとして、P3C哨戒機による空からの警護を実施する方向で調整している。/防衛省によると、初の警備対象となる5隻は、いずれも外国船籍だが、国内の船会社が管理しており、うち2隻に日本人が乗船している。
この海域では昨年だけで計111件の海賊事件が発生しており、5隻は隊列になって航行し、前後を護衛艦にはさまれながら湾内を約900キロにわたって西に進み、2日後にジブチ沖に到達する見通し。/警護はそこで終了し、護衛艦2隻は、湾内から湾の外に向かう別の日本関係船団と待ち合わせ、サラーラ沖まで引き返すことになる。2隻は9月ごろまで活動を続けるとみられる。〉
          (3月30日付『読売新聞』)

 もう一つ大事な情報を加える。
 〈事前登録2600隻=ソマリア海域−国交省
 ソマリア周辺海域で海上自衛隊による護衛を希望する船は、国土交通省を通じて申請する。同省への事前登録では、向こう1年間に周辺海域を通過する船は、東向き、西向き合わせ約2600隻(うち約300隻は外国会社が運航)。同省は護衛対象となる条件を満たせば、希望に応えられる数とみている。/護衛を受けたい場合は原則10日前までに申請する。/対象は、現段階では(1)日本籍船(2)日本人が乗り組む船(3)日本の会社が運航する船(4)積み荷が日本の国民生活維持にとって重要な船−に限られる。〉
          (3月30日付『時事通信』)

 実際、3月30日、とうとう「海賊対処」の警護活動が始まった。「防衛省に入った連絡によると、両艦は5隻の日本関連船舶を警護しながらアデン湾を順調に航行しているという。」(3月31日付『東京新聞』)。同日付『朝日新聞』は防衛省提供の写真を掲載しているが、それには隊列を先導する護衛艦「さみだれ」と民間船舶2隻が映っている。記事にこうある。「護衛艦2隻は、ソマリアの隣国ジブチの港など補給拠点に任務を続ける。部隊は4カ月前後で交代を繰り返していく」。海自艦隊の拠点は、ジブチのジブチ港、イエメンのアデン港、オマーンのサラーラ港とされている。そこで日本政府はジブチと地位協定を結ぶ。

 〈海賊対策で協力 ジブチと一致
 アフリカを訪れている中曽根外務大臣はジブチのシライ国際協力担当相と会談し、海賊による被害を防ぐため、両国が連携して取り組んでいくことで一致しました。/この中で、中曽根外務大臣は「ソマリア沖の海賊対策では、護衛艦や航空機の燃料や食料の補給など、ジブチの港などを活動の拠点としていきたいと考えている。日本としてもそれを踏まえて、可能なかぎりの経済支援をしていきたい」と述べました。これに対し、シライ国際協力担当相は「海賊対策をめぐる日本の海上自衛隊の活動が有益かつ円滑に進むように、あらゆる支援をしたいと考えている」と応じました。また両氏は、ジブチで自衛隊員が活動するにあたって、隊員の身分を保障する地位協定を締結することで合意し、近くジブチの外相が来日して署名式を行うことになりました。〉
          (3月22日NHKニュース)

 中曽根外相は「ジブチの港などを活動の拠点としていきたいと考えている。日本としてもそれを踏まえて、可能なかぎりの経済支援をしていきたい」とのべているが、これは海自に活動拠点を提供すれば経済支援するということで、要するに便宜供与を金で買い取るということだ。あまりの露骨さに呆れるばかりである。
ただ注意したいのは、「ジブチの港など」という表現で、これにはP3C哨戒機の基地提供も含まれている。地位協定については次の記事が参考になる。

 〈海賊対策でジブチと公文交換へ=自衛官の活動規定
 海上自衛隊の活動拠点となるジブチと自衛官らの地位に関する交換公文を取り交わすことが3月23日、固まった。4月上旬にも同国のユスフ外務・国際協力相が来日し、中曽根弘文外相と署名する。/交換公文には、公務中に事故が発生した場合のジブチ側裁判権の免除や、問題発生時の両当局間の協議会設置、日本側が持ち込む物資の免税規定などが盛り込まれる。〉
          (3月23日付『時事通信』)
 自衛官が起こした公務中の事故について「ジブチ側裁判権の免除」は日米地位協定で米軍に保障されている特権で、日本政府は同じ特権をジブチに認めさせようとしている。
 日本海軍(海自)がはるか彼方のアデン湾で日本関連船舶を警護する。そのためにジブチと地位協定を結んで海自の拠点を確保する……。少し前なら考えられもしなかった事態がついに現実になったのだ。しかし問題の大きさと深さを忘れないために、ここで話を半月ほど前に戻したい。

【反戦の視点・その77】 第7回 愚かしい海賊派兵を阻止しよう2に続く

▼「削減規模が不明確」 衆院外務委グアム移転審議
2009年4月9日 琉球新報
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-142863-storytopic-3.html

 【東京】在沖米海兵隊のグアム移転協定を審議する衆院外務委員会は8日、伊波洋一宜野湾市長ら4氏を参考人として招致し、質疑を行った。伊波市長は「海兵隊の削減規模が不明確で日本側の移転負担金は無駄になりかねない」と指摘。沖縄大の桜井国俊学長は「地元への協定の押し付けだ」と、同協定を批判した。平和安全保障研究所の西原正理事長と、拓殖大大学院の森本敏教授は同協定に安全保障面から賛意を示した。次回委員会は10日に行われる。
 午後の質疑で外務省の梅本和義北米局長はグアム移転にかかる28億ドルの負担金に関連し同協定の日本側の資金提供と米国側の措置を規定する同協定九条について「普天間移設の具体的進展がない、あるいは米国が資金を付けない場合、日本側も資金を提供する義務がかかってこないわけで何も起きないということになる」と、資金提供には両国間の要件整備が必要と説明。一方で同十条に基づき「物事が順調に進まない兆しがある場合、どう克服して、着実に実施していくかを協議していくことになる」と述べた。辻元清美氏(社民)への答弁。
 総選挙次第で政権交代もあり得ることを想定し、同協定に影響を及ぼす可能性も浮上することも交えた質疑の関連で中曽根弘文外相は「国家間の国際約束はいったん締結されれば、当事国は拘束される。仮に政権交代があっても誠実な履行が求められる。国内事情で影響を受けるものではなく、この協定でも同様」とけん制した。
 滑走路の両端から900メートルを航空機事故が起きる可能性が最大として土地利用を禁じた「クリアゾーン」が、なぜ普天間飛行場に適用されないかについて、梅本北米局長は米国に照会したことを示し「あくまで米国内で周辺自治体に対しガイドラインを与えるもので、海外の航空施設には適用されないと聞いている」と答えた。
 同協定について、与党は週内の委員会採決を目指す一方で、野党は審議継続を主張し、駆け引きが続いている。



▼グアム隊舎数「不明」 防衛省、28億ドル積算根拠不透明
2009年4月8日 琉球新報
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-142822-storytopic-3.html

 【東京】グアム協定に基づき日本側の経費で建設することになっている米軍向けの隊舎について防衛省は7日開かれた民主党の外務防衛部門会議で「何棟の隊舎が必要になるかは分からない」と述べ、グアムに移転する海兵隊員の人数が不確定であることがあらためて明らかになった。
 隊舎整備費は、日本側が約28億ドル(1ドル=90円換算で約2520億円)の費用を負担する「真水事業」の一つだが、必要棟数も明らかにしないまま28億ドルもの負担に合意したことは、税の適切な利用の観点などから疑問が出そうだ。
 同会議で出席議員が「グアムに8000人の海兵隊が移転するというが、そのうち家族住宅3500戸に入らない兵隊はどこに住むのか」とただしたのに対し、防衛省担当者は「隊舎」と答えたものの隊舎の必要数については「分からない」とし、具体数の説明はなかった。
 3500戸の家族住宅は、日本側が出資・融資などで約25億5000万ドル負担する。政府は、出資・融資額について家賃収入から回収するとしているが、想定する家賃収入や入居率についても具体的な説明はなかった。


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