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東京都知事 石原慎太郎様
東京都国民保護協議会条例に関する質問並びに申し入れ状
東京都国民ホゴ条例を問う連絡会
二〇〇五年二月一六日
私たちは、東京都において国民保護協議会条例案(以下、「協議会条例案」)及び国民保護対策本部条例案(以下、「対策本部条例案」)が二月二三日から開催される都議会に提出されると聞き及び、貴職らに、どのような認識と考えに基づきこのような条例案を提案するのか、確認したいと思います。そこで、以下のとおり質問並びに申し入れを行います。誠実かつ明確な回答が、私たち有権者に対してなされることを期待しております。
・「協議会条例案」及び「対策本部条例案」の提案そのものに係わる質問項目
1)「協議会条例案」及び「対策本部条例案」は、「武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律」(以下、「国民保護法」)の成立・施行を受けて、提出されるものと考えられます。また、私たちは、「国民保護法」は、海外でのアメリカ軍と自衛隊の共同行動をも想定した「武力攻撃事態等における我が国の平和と安全の確保に関する法律」(以下、「武力攻撃事態法」)等の有事法制と一体となった法律であると考えます。
したがって、私たち都民が、安心して暮らすためには、「国民保護法」を受けて「協議会条例案」及び「対策本部条例案」を制定することではなく、都知事として、自衛隊の海外でのアメリカ軍との共同行動をやめるよう政府に要請し、少なくとも、アメリカ軍の広域指令部である第5航空師団の司令部のグアムから横田基地への移転に反対すること、東京都が管理する港湾・道路等を、海外で共同行動する自衛隊とアメリカ軍のためには使用させないということ等によって、都民の「平和のうちに生存する権利」を実現することが、先決であると私たちは考えます。
そこで、知事に質問します。【質問1】都民の「平和のうちに生存する権利」(日本国憲法前文)について、知事のお考えを教えてください。【質問2】また「協議会条例案」及び「対策本部条例案」によって、都民の「平和のうちに生存する権利」が、どのように保障されるとお考えか、教えてください。
2)二〇〇四年一二月に政府は、「国民保護に関する基本指針の要旨」を発表しました。これは、いうまでもなく「国民保護法」第三二条に基づき、政府が作成すべき「国民保護に関する基本指針」の未完成段階の「要旨」です。この「要旨」の中で、政府は、想定される「武力攻撃事態等」として、a着上陸侵攻、b ゲリラや特殊部隊による攻撃、c 弾道ミサイル攻撃、d 航空攻撃の四類型をあげました。
第2次世界大戦後約六〇年間、日本の領土・領海・領空において上記のような「攻撃」がなされたことはありません。ですから、私たちは、自衛隊が海外でアメリカ軍と共同行動しない限り、上記のような「攻撃」に日本がさらされる危険は、極めて少ないものと考えます。
そこで、知事にうかがいます。【質問3】知事は、今回、「協議会条例案」及び「対策本部条例案」を提案しよとしていますが、上記のような「攻撃」の具体的可能性があるとお考えか、四類型それぞれについて教えてください。【質問4】また可能性があるというお考えである場合には、その理由もお聞かせください。
3)仮に、知事が、2)で述べた四類型のいずれかの「攻撃」の具体的可能性があるとお考えの場合には、【質問5】では、国民保護法第一一条から一六条までが定める「都道府県の実施する国民の保護のための措置」を、国あるいは他の地方自治体と連携して東京都が行ったとして、一二〇〇万の都民の「平和のうちに生存する権利」を守ることが可能とお考えか、教えてください。【質問6】また関連して「都道府県の実施する国民の保護のための措置」の一つである「武力攻撃災害の防除及び軽減」(「国民保護法」第一一条第一項三)とは何を意味するとお考えか、教えてください。なお「武力攻撃災害」については「国民保護法」第二条四項が「武力攻撃により直接又は間接に生ずる人の死亡又は負傷、火事、爆発、放射性物質の放出その他人的又は物的災害をいう」と定義しています。
4)仮に、知事が、2)で述べた四類型のいずれかの「攻撃」の具体的可能性がないとお考えの場合は、【質問7】ではなぜ、今回、「協議会条例案」および「対策本部条例案」を都議会に提案しようとしているのか教えてください。
5)都道府県に係わることに限定しますが、「国民保護法」は、a第三条において地方公共団体の一般的責務を定め、b 「都道府県の実施する国民の保護のための措置」(第一一条から第一六条)を詳細に規定し、c 「武力攻撃事態法」第一〇条から第一四条に基づき設置される国の「対策本部」の「国民の保護のための措置の総合的推進」(第二四条)の下、内閣総理大臣が、「閣議の決定」を経て「都道府県対策本部を設置すべき都道府県」を一方的に指定することができ(第二五条)、さらに都道府県対策本部の構成メンバーまで規定し(第二八条)、d 国が定める「国民の保護に関する基本指針」(第三二条)に基づき、総務大臣を経由して内閣総理大臣と事前に協議を行ったうえで(第三四条五項)、都道府県知事は、「国民の保護に関する計画を作成しなければならない」(第三四条一項)とし、e 都道府県に、「都道府県国民保護協議会」を置くことを義務づけ(第三七条)、さらに「都道府県国民保護協議会」の「組織」(第三八条)について詳細に規定し、その上で「都道府県国民保護協議会の組織及び運営に関し必要な事項は、都道府県の条例でさだめる」(第三八条八項)とするなど、全般的に、日本国憲法九二条が地方自治の基礎とする「地方自治の本旨」(「団体自治」および「住民自治」)を蔑ろにする内容の法律であると私たちは考えます。
そこで、知事に質問します。【質問8】「国民保護法」の上記の規定に係わる事務は、「法定受託事務」(地方自治法第二条)と考えられますが、私たちのこの認識で間違いないでしょうか。【質問9】また日本国憲法九二条所定の「地方自治の本旨」に照らして、また「機関委任事務」を廃止し「法定受託事務」とし、「自治事務」を拡大して地方自治体の権限を強化した新地方自治法の趣旨に照らして、「国民保護法」の上記のような詳細な地方自治体に係わる規定を知事としてどのようにお考えか、教えてください。
また関連して、都道府県といっても、それぞれ地理的な違いや歴史的な違い等が非常に大きいと思います。とりわけ政治的にも、経済的にも日本の首都であり、1200万の都民がおり、また歴史的にも「東京大空襲」の惨禍を経験した東京都は、他の都府県とは、著しく異なる自治体としての特徴があります。このような東京都の特徴に照らし、知事に質問をします。【質問10】「東京大空襲」の惨禍から東京都は何を教訓として学んだ(学ぶべき)とお考えか、教えてください。【質問11】また人口の過密、超高層ビルの存在、JR新幹線・JR在来線・私鉄・東京メトロ等の鉄道網の存在、多くのバス・タクシーなどの交通機関の存在、首都高速をはじめとする高速道路網の存在、並びに通勤ラッシュに見られるような近隣諸県からの200万人の昼間の人口の流入等、東京都では、ひとたび「武力攻撃災害」が発生した場合には、大惨事になることが容易に想定されます。その点について知事がどうお考えか、教えてください。
都民を「武力攻撃災害」から守る最大の手段は、全国一律の事項を定める「国民保護法」に基づく「協議会条例案」及び「対策本部条例案」の提案ではなく、東京都独自の平和政策の追求であると私たちは考えます。関連して知事に質問します。【質問12】「協議会条例案」及び「対策本部条例案」の提案とは別に、「武力攻撃災害」を招かないような平和政策をどのように推進し、実現するお考えか、教えてください。
【第一回質問状1-2へ続く】
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