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知らぬうちに急ピッチに進む動員態勢
東京都国民ホゴ条例を問う連絡会 茂木 遊
今ひとつ実感のわかぬ国民保護法だが、想起の一助となるのが消防庁の示した「都道府県国民保護モデル計画」で、特にその第二編「平素からの備えや予防」。想定しているのがゲリラによるNBC攻撃であること、危機管理の啓発活動を促している点だ。
ゲリラへの対処として平素から不審者を炙り出し、有事には協力者として住民を取り込む(現在国会で審議中の共謀罪や全国で広がっている安全条例と重ねて考えるとリアルになる)。そのために、防災組織など草の根組織の活用、警報システムの構築、住民向け学習会、ビデオ上映、学校での授業などの啓発活動が始まっている。
政府レベルでは、十一月末に福井県で実働訓練が行われる。関西電力美浜原子力発電所がゲリラ攻撃を受け、放射性物質が周辺に影響を及ぼす恐れが生じたとの想定で、政府・自治体・関係機関の連携を図り、迅速な避難誘導体制の確立を目指すという。福井県は鳥取県とともに、七月に国内では初の国民保護計画の了承を政府より受け、この訓練をもとに細かい修正を図るとしている。
一方、上意下達で地方自治体での保護計画策定は進む。三月末の各都道府県単位での条例成立により、沖縄など九つの県を除き各地で協議会が開催されている。東京都では五月二十五日に第一回協議会が開催されたが、八月の第二回には都が原案を示し、十一月には協議会の幹事会で意見を集約して知事に意見提出、都はこれを受けて国との協議に移るという。
私たちが今年二月から五月にかけて都と数度に渡り交渉した際には「協議会開催までは何も決まらない」と回答した都だが、昨年一〇月に設置された都国民保護計画策定検討会議という行政主導のプロジェクト・チームによって、実は多くのことが進められている。しかもこの動きに議会は関与する回路を持たない。ましてや民衆においてをや。
同様のことは、来年度都から保護計画が降りてくる区市町村にも当てはまる。今年一〇月には区市町村単位での条例案策定や協議会メンバーの選定等々が始まる。議会も民衆も、実質は何も口を挟めぬ状態になりかねない。
具体的なイメージも情報もろくに一般に共有されぬまま、動員態勢は固まりつつある。今はまず何よりも情報の公開を行政に迫り、納得のいかない点についてはあくまでも追及することが必要ではないか。各地・各現場での取り組みを訴えたい。
初出:インパクション148号;2005年8月
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