雑想記

ブログ始めました!
 前回は『響け!ユーフォニアム』の世界における学校の位置を明らかにしました。


 今回はそこから「ここから北高に通うの?」の疑問を解き明かして、傘木希美が北宇治高校へ進学した理由について考察したいと思います。


2 実は少数派?

 原作小説では北宇治高校の入学初日、黄前久美子と加藤葉月は次のような言葉を交わしています。


 葉月「で、久美子ってどこ中なん?東中じゃないよなあ?」
 久美子「北中だよ」
 葉月「北中?珍しいなあ」(驚いた様子で目を見張る)
      「北宇治ってさあ、なんかわからんけど東中のやつばっかやねんなあ。あたしも東中やねんけど、顔見知り多すぎて高校来たって感じしいひん」

 【小説:響け!ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部へようこそ】
(14Pより)

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(京阪黄檗駅は葉月の最寄り駅、東中もすぐ近く)

 また、同じ本で久美子は立華高校へ進学した梓とこの様な会話をしています。


 久美子「なんで梓は私が南宇治に行くと思ったの?」
 梓「だって、北中の子らはだいたい南宇治に進学したやん。うち、てっきり久美子も南宇治に行ったんやと思ってた」
 久美子「そりゃあ高校を選ぶ理由なんていっぱいあるよ。学力とか、遠さとか」
 梓「南宇治のほうが近いし、成績もたいして変わらんやん」

【小説:響け!ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部へようこそ】
(139Pより)


 これらの会話から、北中から北宇治高校へ進学することはかなりの珍事とは云わないまでも好奇の対象になるくらいに珍しいことらしい。(まあ、その珍しいのがあと二人もいるのだが・・・)その証左に久美子が北宇治吹部で北中出身の先輩と認識できたのは3年生の斉藤葵(中学に吹部かは不明)だけです。

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(久美子の家からだと北宇治高校は京阪電車で約10分、
駅から歩いて数十分歩いた山の上にある・・・)


 では南中から北宇治高校への進学というのはどうなのでしょう?
原作小説等での明言はありませんが、私は北中以上にレアケースではないかと考えています。

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 上の想定される各学校の配置図を見てもらえばわかりますが、南中から見て北宇治高校は北の彼方に対して、南宇治高校は校区内に所在し、通学時間も北宇治が電車と歩きで1時間以上に対して、南宇治は自転車で15分程度と比較対象になりません。
最初の疑問「ここから北高に通うの?」は正にこの圧倒的アドバンテージの差から来ています。
 傘木希美は、この圧倒的アドバンテージを持つ南宇治高校ではなく、わざわざ不便な北宇治高校への進学を選びました。希美自身は久美子にその理由をこう話しています、


 「南中のみんなと一緒に、高校でも府大会で金賞ぐらいは目指そうと決めていた。北宇治って弱小やけど『うちらが部活を変えてやる!』くらいの意気込みやった」と。

【響け!ユーフォニアム2 北宇治高校吹奏楽部のいちばん熱い夏】
(148Pより)


  


3 南中の乱



    小笠原部長「去年起こった、いまの二年生の集団退部。そのメンバーのほとんどが、南中の出身の子やってん」
    (南中は、宇治市のなかでは有名な吹奏楽部の強豪校だった。久美子の通っていた北中と南中はライバルみたいな関係で、関西大会の枠を奪い合ったりしていた。)
   
    塚本秀一「南中と言えば、やっぱり例のアレが衝撃的やったなー。ほら、俺らが二年生やったときの」

【響け!ユーフォニアム2 北宇治高校吹奏楽部のいちばん熱い夏】
(90Pより)



 希美が中学3年生の夏。吹奏楽コンクール京都府大会において強豪・南中吹奏楽部はまさかの銀賞に終わった。ショックを受けた南中メンバーだったが、希美を中心にした3年生組は府大会でのリベンジを目指して北宇治高校に進学し、勇躍して吹奏楽部に乗り込んだわけです。
 そして事件が起こった・・・、『新入部員大量退部事件』です。
 熱意ある希美達南中出身の一年生部員とやる気の無い三年生部員とが衝突、愛想尽かした一年生部員が大量に部を去った事件。その事件の中心に希美がおり、入部した仲間と共に部を去ったわけです。
 このお話は滝先生が顧問に赴任する前はいかに北宇治吹部が駄目だったかというエピソードとして語られ、希美とみぞれの物語の根幹をなしていますが果たしてそれだけでしょうか?

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(この舞台での「金」を目指して・・・)

 見方を変えてみましょう、何故対立が起こったのでしょう?一般的には学年ギャップによる世代間闘争的な主導権争いに思えます。ですがここまで語ってきた「南中から北宇治へは少ない」という要素加えてみればどうでしょう?
 田中あすかの世代と久美子達の世代で明確に南中出身とわかる部員はおらず人間関係を見ても南中出身と思われるのは各世代数名に留まります。おそらくその時の3年生達も同じようなものだったのではないかと思われます。その中で希美の世代だけが傑出して南中出身の吹奏楽部員が多かったわけです・・・。
 それまで東中出身者を中心に纏められていた部の秩序が、強豪校の北中も南中も存在しない緩〜い部活動が、突然現れた考え方もモチベーションも違う南中出身の1年生部員の集団に掻き回されてきた・・・、そう感じた3年生部員達が異質な集団を排除しようとしたと。排除まではいかなくとも「この1年は私達のやり方でやる!」と拒絶したのではと・・・。         
 だがもし3年生部員の中に一定数の南中出身者がいれば、仲を取り持って退部という最悪な事態には至らなかったのではと考えられませんか? ですからこれは世代間闘争ではなく、学閥間の抗争であり、弱小派閥が衆を頼んで北宇治高校に進学することを決めたが故の事件だったのかもしれません。
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(南中のモデルと思われる南宇治中学に掲げられたスローガン)



4 希美の誤算?

 そもそもなぜ希美達南中生は徒党を組んで北宇治吹部に乗り込んできたのでしょう?
 希美はその理由を上記のように「北宇治って弱小やけど『うちらが部活を変えてやる!』くらいの意気込みやった」と語っていますが、それだとわざわざ北宇治高校っていうのが不明です。
「南中のみんなと一緒に、高校でも府大会で金賞ぐらいは目指そう」ということなら南宇治高校でも充分目標を達成できます。

 唯一南宇治高校を忌避する理由としてはライバル関係の北中のメンバーも南宇治高校に大勢行くからというのも考えられますが・・・。
 一人二人ならそんな話もあるかもしれませんが、銀賞に甘んじる屈辱を経験した南中メンバーとしては「金賞を捕る」というのが何よりも優先される事項ではないかと思うのです。

 ここからは私の妄想ですが、当初南中メンバーは南宇治高校へ進学を想定して「高校でも府大会で金賞を」と盛り上がっていたのではないでしょうか? そんな中で、ある人物が突然「私、北宇治受けるわ」と言い出し、他のメンバーも「それやったらみんなで北宇治行こうよ、あんたについて行く!」となったのではないかと・・・。
 そして勇んで入部したものの、「金賞を捕る」という高い目標とはほど遠い部の現状に改革の提案しても却下され、果ては3年生部員に無視される始末・・・、情報収集も明確な戦略構想もなにも持たずに北宇治吹部にやって来た南中メンバーにはただただ困惑と焦燥感に身を焼かれる思いだったことでしょう。ついには「金賞を」との目標達成も困難となり、夢破れた感じで皆揃って退部することに・・・。
 ちょっと厳しい妄想ですが、南中から北宇治高校への進学がレアなケースだと考えた場合、南中メンバーが集団で入部してきたという行為に合理性とか「北宇治で頑張る」という強い意志とかが感じられなくなってしまうのですよね。
 では、この時「北宇治へ行く」と言い出した人物はと言うと、これは当時部長で皆のまとめ役であった希美以外考えられない。彼女以外のメンバーが唱えても、希美がOKを出す理由が無いのです。それほど彼女は影響力があったと思えるのです。

 ここまで考えたら、次の妄想が頭をもたげます。それは、「希美は、皆が付いて来るとは思わなかった」ということです。
 つまり希美は皆と離れるつもりで言ったことが大誤算の結果を招いたのではないかと思うのです。それだと
次の3つの点で希美の行動に説明がつきます。

① 吹奏楽部を率いてきたリーダーとしてみれば、北宇治高校への進学は何らメリットが無いのに北宇治高校へと来た
② 集団で退部となった時に、みぞれに声を掛けなかった(誘った者の責任として一緒にやってゆけない旨の報告はするでしょう)
③ 退部した後も、退部したメンバーが入った軽音楽部には合流せず、一人で市民楽団に入ってフルートを続けた

 つまり、希美には周りの者達を巻き込んでしまったという責任感が感じられないのです。この「勝手に付いてきた連中」に対しては責任も執着心も存在しないように見えるのは、希美が距離を取ろうとしていたと考えるには十分な理由となると思うのです。


 あららと、予想外に長くなりましたので、本日はここまでとします。
次回「まとめ編」にて、「希美はなぜ一人で北宇治高校を目指したのか?」を含めて考察まとめをまとめたいと思います。

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 映画『リズと青い鳥』が公開されて間もなく特定されたたのが、希美とみぞれが南中学の制服姿で歩く桜並木の場所でした。

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(名木川沿いの桜並木)

 宇治市の大久保地区にあるこの場所は、そのまま二人の出身校である南中学がそこにあるという確証を抱かせます。

 余談ですが、私この大久保地区に7年ほど住んでいました。その経験からちょっと疑問が生じます、「ここから北高に通うの?」と・・・。

 原作小説「響け!ユーフォニアム2」では、希美が「南中のみんなと一緒に、高校でも府大会で金賞ぐらいは目指そうと決めていた。」「北宇治って弱小やけど『うちらが部活を変えてやる!』意気込みやった」と黄前久美子に語っており、南中の生徒は北宇治高校に入学するのが当たり前のようになんとなく思っていました。
 しかし、この南中がある大久保地区と北宇治高校がある六地蔵地区とは宇治市の南西端と北西端の位置関係であり自転車で通うことは無理があります。この二地区を繋ぐ交通機関はJR奈良線の新田駅と六地蔵駅であり、あとは何回かの乗換が必要となり正直この二つの地区は通いにくい位置関係にあります。
 宇治市には北宇治と南宇治の二つの公立高校が在るのにもかかわらず、何故通いにくい北宇治高校を選んだのか?今回はその疑問を説いていこうと思います。

1 東南西北?

 それにはまず物語上の学校の位置をある程度特定する必要がありますね。
 原作小説によると、宇治市内には少なくとも公立高校が2校(北宇治、南宇治)、中学校が4校(北、南、東、西中)がらが存在します。(アニメ版だと「大吉山北中学」等の校名がありますが、ここでは簡略化します。)
 宇治市は住民約19万人、中学生人口約8000人規模、高校はともかく、中学が4つというのは如何にも少ないですが、その分各校校区は広く在校生も1500名規模のマンモス校なのでしょう。
 ここでは実在の学校をモデル校として推定します。また中学については10校ある市立中学校の校区を4つに再編してみました。

 この内、ある程度モデルとなった学校が伺えるのが久美子が通う北宇治高校と北中です。 北宇治高校については、宇治市北部エリアに実在の府立高校「莵道高校」と「東宇治高校」があります。
 莵道高校はアニメ版では学校モデルとして学園風景が登場し北宇治の有力候補になりましたが、久美子が京阪宇治駅から京阪宇治線を利用して通学していることから隣駅(三室戸駅)ではなく、数駅先の京阪木幡駅か京阪六地蔵駅が最寄りとなる東宇治高校が該当すると思われます。
 北中については原作者の武田先生の出身で、実際に吹奏楽の盛んな「宇治中学」がモデルと思われます。物語上も久美子は平等院近くに、高坂麗奈は宇治上神社の周辺に住んでいるという設定ですがこの地域は宇治中学の校区となります。

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(東宇治高校)

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(宇治中学)



 南中は冒頭で紹介した『リズ』で特定された場所に程近くにある「南宇治中学」で無理が無いと考えます。宇治市と久御山町との境界に位置するあの桜並木を制服姿の二人が歩くというシーンがそれを裏付けています。

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(南宇治中学)

 東中については、
 ① 黄檗駅(?)を最寄りとする加藤葉月が東中出身
 ② 北宇治には東中出身者が圧倒的に多かった、逆に北中出身者は稀(北宇治は東中校区にある?)
 ③ 新一年生の『ダブル鈴木』は東中と南中の出身、でも小学校は同じ。
・・・等の条件を拾うことが出来ますが、場所については決定打がありません。逆に校区については宇治市北部の3校(木幡、黄檗、東宇治中学)と③の条件を満たす北宇治中学、隠元橋で繋がる槇島中学の宇治川南岸域をも含む広大な地域が見積もれます。
 この校区を見ると中央に位置し、名称的にも近い黄檗の「東宇治中学」が妥当だと推察されます。

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(東宇治中学)

 西中については、殆ど情報が無いため他の3校の空白地域となる小倉地区の「西小倉中学」、こちらも「西」が共通となりますが妥当と考えます。しかし校区は西小倉中学に隣接する「北宇治中学」と「西宇治中学」が東中の③の条件を満たすために、それぞれ東中と南中の校区に含まれるため、西小倉中学校区に西小倉小学区を加えた地域がこぢんまりと設定できます。

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(西小倉中学)

 【○モデル校と推定される校区】
  北中: ○ 宇治中学+広野中学(大開小学校学区)
  東中: ○東宇治中学+木幡中学、黄檗中学、槇島中学、北宇治中学(北小倉小学区を除く)
  南中: ○南宇治中学、西宇治中学、広野中学(大久保小学区)
  西中: ○西小倉中学、北宇治中学(北小倉小学区)

 中学校については以上のような感じです。


 次に南宇治高校についてはどうでしょう。作中で示されている条件は、
 ①北中の生徒は多くは南宇治に通い、北宇治に通うのは稀
 ②北宇治は東中出身者が圧倒的に多い(東中校区から遠い?)  の2点。
 このことから、北宇治高校のある宇治市北部地域(東中校区)とは対に位置する宇治市南部〜南東地域(北中・南中校区)に所在するのではないかと思われます。
 実際の宇治市には東宇治高校の他に、北部地域の三室戸地区に「菟道高校(公立)」、黄檗地区に「京都芸術高校(私立)」、宇治橋北側に「京都翔英高校(私立)」、南東部地域の広野地区に「立命館宇治高校(私立)」、西部地域の小倉地区に「城南菱創高校(公立)」等があります。この中で南東部地域にある立命館宇治高校が一番条件に合致します。
 ですがこの学校は私立で、しかも吹奏楽も力を入れている学校でもあるので後述する理由で此処をモデルとするのは保留したいと思います。

 では公立高校ではどうなのか、菟道高校は宇治市北部に位置し対象とはなりにくいですね。一方の城南菱創高校は「西宇治高校」と「城南高校」が統合されて宇治市西端の小倉地区(旧西宇治高校跡地)に開校した高校ですが、ここと北宇治高校の位置を比べれば北中校区からだと距離や交通の便は変わらず、東中校区で比べてもどちらかに進学者が偏る差違が出るほど思えません。

 ならば立宇治(立命館宇治高校)が南宇治のモデルでしょうか?
元宇治市在住であった私は此処でもう一つの可能性を推したいと思います。それは先程校名が出てきた「城南高校」です。この学校は前述の通り、統合されて城南菱創高校となったのでもう存在しません。現在跡地は宇治支援学校となっていますが、JR新田駅東方約300m、近鉄大久保駅からも500m、学校前のバス停からは宇治駅方面へのバスが15分間隔で運行している、宇治川より南側の地域は自転車通学圏となるという圧倒的な利便性の良さがありました。この平成21年に廃校となった城南高校がモデルであると考えています。

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 (城南高校跡地に建つ、宇治支援学校)


 一連の考察を地図にまとめると次のようになります。
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元画像:(C)宇治市教育委員会

 地図を見てもらえれば、高校は北宇治・南宇治という南北の位置関係は整合しますが、中学は東南西北と実際の方角関係と学校の推定所在地が一致しません。実在の市を舞台として4校それぞれが東西南北の名を冠するのであれば実際の方角と一致するようにするはずです。これは何故でしょう?
 原作者である武田先生は宇治市出身であり、自身の小・中学校での吹奏楽部の活動経験が「響け!ユーフォニアム」という作品のバックボーンとなっています。私は武田先生がユーフォの世界を描く上で、実際の高校や中学を念頭に置いていると考えています。それは実在の強豪校・橘高校を立華高校として登場させていることからも窺えます。
 それは北宇治高校吹奏楽部の群像劇を描く上で「出身中学校」という部内派閥とそこから生じる人間関係は格好の素材であり、中学毎の気質の違いや歩みの違いは格好のスパイスであったと思うのです。実際物語はソロパート争いや1年部員大量退部事件のように、学年間の関係を横軸に出身中学の関係を縦軸にして進行してゆきます。
 そして各中学の設定を行う際にイメージしやすくするために名称も意中の学校の表記に連係させたのではないかと考えました。
今回半ば強引に城南高校を南宇治高校のモデルに推したのは、宇治(大久保)在住経験者としての感覚と武田先生が中高生時には城南高校は存在していたという事実からです。京都市内の公立高校に進学した武田先生が宇治中学の受験生として同じ公立高校である東宇治高校と城南高校を比較した感覚がそのまま作品に反映されているのではないかと思えるのです。


 次回は、この考えを基にして、先に考察した各学校の位置から「ここから北高に通うの?」の疑問を追ってゆきます。

(後編に続く)

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『クレーマー』とは?

 クレーム(クレイム、英語: claim) はサービスに対する苦情や改善要求、契約或いは法上の権利請求を指す外来語。損害賠償請求やごり押し等による不当な強迫要求や請求の意味で用いられる場合もある。原語では正統な権利主張または請求の意味合いが濃く、苦情や不平については別の語(英語: complaint)が対応する。(クレーム - Wikipediaより)

 クレームとは商業活動の上で取り決めた契約や購入した商品・サービスに対し瑕疵があった場合や損害が生じた場合に苦情や改善要求・権利請求を行うということですね。
 企業間の場合は納期が遅れたとか、消費者の場合は買った食品が腐っていたとかで、損害賠償請求とか同等品との交換等があります。また先にあった「高齢者への過剰なPCサポートサービスの解約請求」などもこれに含まれるのでしょう。
 元来クレームは受ける側にとっても有益とされ、クレームによって自社のサービスや商品の欠陥や今後のビジネス展開のヒントが明らかになる点が評価されています。
 ただ日本では「クレーマー」と呼ばれると「高圧的威圧的または執拗な手段を用いてクレームを付け過剰なサービスや損害賠償を得ようとする人物」とされ広義では「言いがかり的に介入して恐喝行為や要求を通そうとする人物」も含まれます。
例としては故障した商品を高級品と交換しろと繰り返し要求したり、返品に訪れて交通費も払えと店頭で威嚇するなどです。また後者は「CMを観て苦痛を感じた。損害賠償をよこせ」とかドラマでお馴染みの食堂で用意した虫を混入させて飲食料を無料にさせようとしたりですね。

 クレームを入れるお客様は有り難いが、クレーマーは企業にとっては避けたい存在です。でもその違いは見えにくく、興奮しているお客さんをクレーマーと思って対応したら、話をじっくり聞いてみたら正当な権利請求であったということが多々あるそうです。


「車掌さんを守れ!」

 9月22日午前10時40分頃に大阪の近鉄・東花園駅で他の駅で発生した人身事故により運転見合わせとなったことで数名の乗客に囲まれて対応していた男性車掌(26)が突然衣服を脱ぎ捨て線路上に立ち入ったあと線路高架から7m下の道路に飛び降りるという事件が発生しました。
 この事件はネット上でも波紋を呼び「横暴なクレーマーの犠牲になった車掌さん」に同情する意見が大勢を占めるようになってきました。


  しかし昼過ぎには話は少々おかしな方向に進み始めます。
折しも、事件を受けて近鉄広報が報道機関の取材で、「不適切なことで誠に遺憾であり、申し訳なく思っています」と謝罪し「社内規定に基づいて処分を検討している」というコメントを発した頃です。
 それまでも車掌の行為を非常識とする報道に対し「死を選ぼうとするほど精神的に追い詰められたので緊急避難だ」「悪いのは理不尽な態度で迫った客であり近鉄はこういうクレーマーには毅然とした態度であたって社員を守れ」という意見が見られました。ですが上の広報のコメントで一気に「近鉄はこの車掌を処分して幕引きを図ろうとしている。かわいそうな車掌さんを守れ!」という間違った認識がTwitter上に広がりました。
 「間違った」というのは上の記事が書かれた翌日昼の段階でも近鉄側は本人に対する事情聴取さえ行われておらず事件の詳細さえ把握できてない状態で具体的な処分の検討すら行われていないのは明らかなのだが、「処分を検討」というコメントが一人歩きした状態だからです。
(広報のコメントも社員不祥事のテンプレートだと思われ、実際に具体的なアクションは起こしてません。)

 「助けろ」の声は次第にツイッター上の意見からより実効性を求めて近鉄HPへの意見メールを送ることにが呼びかけられ、更には寛大な処分を近鉄社長に願う「嘆願書」を送ろうとネット署名を呼びかける人まで出てきました。近鉄に寄せられたメールの数は翌日昼の時点で1500通、嘆願書に賛同して署名した人は25日16時の時点で18000名を超えています。


「処分」とは?

 一般的に処分とは「懲戒処分」を指します。
懲戒処分とは、職員に非違行為があったとき、その職員に対する制裁としてなされる処分です。詳しく言えば遅刻の常習者、保安規則に定められた定期点検を怠った係員、部下が違法行為を犯した上司の監督責任など、就業規則や各種社内規定に違反した社員を懲戒規定に基づいて減給等の処分を加えて社内秩序を維持する制度です。
ただし規律の違反があっても人事上の他の手段(上司による叱責、査定上の不利益、左遷、昇進取りやめ等)による処理に換えてしまう場合もあるとのこと。
 では実際に懲戒処分に附される可能性があるのでしょうか?
続報が出ていないのでなんとも言えませんが、車掌さんが行った行為を考えれば処分を受ける可能性は十分あります。
その行為とは、

① 公衆の面前で勤務服装である制服制帽を脱ぎ捨てた。
② 許可を受けず線路上に侵入し、軌道上を歩行した。
③ 高架より飛び降りた。
④ 一連の行為により鉄道の正常運行回復に支障与えた。

 これらの行為は各種の法令で禁止されている不法行為であり、近鉄の社内規定にもおそらくは明記されているものと推察できます。つまり「鉄道員でなくともやっちゃ行けないだろう」という部分ですね。この他に社内規定に抵触するかもしれません。
 今回の意見では「苛烈なクレームが原因なので処分はおかしい」とありますが、それは情状酌量の範疇であり、処分に値するかは「その場の状況判断」が適切だったかです。
いくら追い詰められて判断能力が低下していても、他に穏当な回避方法がとれなかったのかがポイントとなります。その点では情状酌量に値するか、また他の回避法が無かったのかは部外者が知るよしもありません。


立場の弱い人を助けるという物語

 ここまで書くと見えてくるのですが一連の「守れ!」の動きには何ら実態の無い架空のシナリオに沿って語られているのではないでしょうか。
 実際に事件の全貌が究明されているわけでも、懲戒処分の審理が行われている訳でも、車掌さんが実際に不利な処遇をされていると訴えている訳でもないのです。
ただ「異常な行動を取った車掌が、その時乗客のクレーム対応をしており、飛び降りる際には「もう嫌だ」等のことを口走っていた」というヘッドラインニュースを、ツイッターからの断片情報で構築した「社会の理不尽さと組織のエゴに翻弄される可愛そうな車掌さん物語」があるように思えます。
 件の嘆願書ではその目的を「車掌さんの人事処分を一旦白紙とし、事件の原因およびその背景など事実関係を十分に調査し、車掌さんに対する寛大な処遇ならびに心のケアを優先的に行うよう求めた嘆願書を近鉄本社に提出することにあります。」とあります。
しかし、これはおかしいですよね懲戒処分は企業活動の一環です。そこにその企業の活動に参加する権利の無い人が当事者からの要請も無いのに社会正義の名の下に介入し、自分たちの要求を突きつける・・・。
 確かに1万人以上が賛同している事実は重いですね。この嘆願書を受けた近鉄はこの取り扱いに慎重にならざるを得ないでしょう。
 しかしそれは道義的に正しいことなのであろうか?
 結果的に真実が架空のシナリオ通りであったとしても・・・。
そんな恣意的な独善的な判断で「マス」を頼って要求を突きつける方法が正しいのであろうか?
 私にはその車掌さん詰め寄った乗客達と「車掌さんを守れ」と近鉄に詰め寄る人達が同じように見えます。
 どちらも独善的な正義の怒りを近鉄という会社(の人間)にぶつけているだけのクレーマーではないのですかと言いたいです。
(一万人以上の人が賛同しているのだから、私の方が異常だとは思うのだけどね。)

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宇治だ!お祭りだー!

 6月4日(土)と5日(日)の両日は『響け!ユーフォニアム』のファンにとっては特別な日ですね。4日には宇治市文化センターで公式イベント『「響け!ユーフォニアム」今年も!宇治でお祭りフェスティバル 』が開催され、5日には作中でのエピソード「あがた祭」が行われます。この機会に舞台である宇治へお越しになるファンの方も多いと思います。
お祭りなので地元のファンの一人として皆さんには大いに舞台・宇治を楽しんでもらいたいと思う反面、当日は観光客や周辺住民の方が大挙して宇治入りすることが予想されそれに比例してファンとのトラブル発生も危惧しています。そんな地元民として気になることを纏めてみました、参考にしていただければ幸いです。


1 あがた祭は例年12万人が訪れる一大イベントです

  神事は深夜から未明に行われる奇祭として有名ですが、多くの人はJR宇治駅前の商店街から県神社までの約1.5kmに渡る露店群がお目当てです。5日の昼頃から夜の10時頃まで人波が途絶えることがありません。久美子ベンチをはじめとした宇治中心部の舞台にも人々が溢れますので舞台写真を撮られる場合は注意が必要です。また混雑緩和のために宇治橋西詰のベンチコーナー(チューバカップルが待ち合わせた場所)等は閉鎖されたり、サイゼリアは22時までの営業だったりしますのご承知おきを。


2 舞台の占有はNG、みんなで譲り合って

  期間中はユーフォファンも相当数が宇治入りすると思われます。各舞台でもファンが殺到して写真撮影等を行われますが、「聖地はみんなのもの」という気持ちで譲り合っていただければと思います。特にグループだとその場で談笑して盛り上がるところですが、周りにいる他のファンの存在も気に掛けてあげて下さい。
  あと舞台では普通に観光客や地元の人達もいますので「アニメの人達がいっぱいで追い出された」と苦情が出ないように、他の方のスペースを空けておくとか先客がいるようでしたら後で回るとかの配慮もお願いします。


3 コスプレ・楽器について

  コスプレについては観光協会等から規制とかは出ていませんが以下のような点を考慮願えればと思います。
 ① 幼い子供達や外国人の観光客などコスプレ文化を理解できない人達も多数いらっしゃいます、宇治も観光地としてのブランドイメージがありますので女装や年齢ギャップの大きい衣装は自粛していただければと思います。また公的なイベントと誤解をまねきそうな集団での撮影会や着ぐるみの着用も考慮を・・・。
 ② 北宇治高校生のコスプレについてはお祭りの期間中は少年補導の目もありますので午後10時以降の着用は配慮していただければと・・・。(高校生コスは中の人の年齢までわかりませんから、無用のトラブルを招きかねませんので)
 ③ 現場では更衣に使えるスペースはありません。駅や街角の公衆トイレも大変混雑しますので、更衣のための利用は絶対にやめて下さい。

  楽器については重要なアイテムですが・・・
 ④ 移動時や混雑する場所では楽器の大小にかかわらずケースや鞄に格納するようにして下さい。また運搬時には特に小さいお子さんとの接触に注意下さい。
 ⑤ 楽器の音出し/演奏については薄暮時〜午後8時頃までは周囲の状況を十分に考慮して行って下さい。(時間帯については場所によって一律には言えません)
    完全に暗くなり安息時間となる午後9時以降は(ネットでの批判を含めて)トラブル防止のため自粛されるのが無難でしょう。


4 大吉山登山には十分な用意と配慮を

   まさに今回のメインイベントとなる大吉山登山です。手軽に上れる山ですがそれそれなりの準備とマナーをお願いします。
 ① 登山道の入口から展望台まではゆっくり歩いて約20分ほどです。路面は未舗装ですが軽トラで登れるほど整備されており、足への負担は比較的少ないですがそれでもヒールとかでは無理があります。歩きやすい靴と服装で登りましょう。
(登山道では行き交う人同士挨拶を交わせば好印象です。)
 ② 日中はかなりの暑さになると思われますが展望台付近には自販機はありません。近くに水飲み場として水道(?)がありますが飲用としてはお薦めできません。またトイレもありますがかなりワイルドですので、飲み物の調達とトイレは麓で済ましておくことをお薦めします。
 ③ 展望台付近は日中/夕方を問わず、観光客(ハイキング客)や地元住民の方が数多く訪れます。展望台はみんなのものですからファンで占有することが無いように願います。具体的にはベンチに腰掛けて長時間談笑したり、荷物を置いて撮影したりは状況を見て来られた方に席を譲る等して下さい。その際は「こちらにどうぞ」とか一声掛けてあげますと好印象です。また展望台のテラスも同様に譲り合って景色を楽しみましょう。
 ④ 夜間の登山は必ず懐中電灯など明かりを用意して下さい。登山道や展望台付近は今も街灯などの照明設備は一切整備されていません。月明かりなどで登れないことはありませんが、事故防止のためにも小さなLEDライトでも用意していただければと思います。(他の登山者からも無灯火で近づいてくる人は怖い存在です)
 ⑤ 展望台は宇治市街を見下ろす山の中腹にあるため麓の住宅地まで音が届くことがあります。少々の騒ぎ声ではまず問題ありませんが、楽器による生演奏やスピーカーで音楽を流したりする際は音量や風向きに注意して下さい。(夕方以降は特に注意を)


5 その他

 ① 5日は宇治中心部の駐車場は軒並み閉鎖されます。4日も祭りの準備等で一部駐車場が閉鎖される模様です。宇治入りは京阪またはJRの宇治駅からされるのが良いでしょう。
 ② 5日は宇治市でユーフォファンのもてなしプロジェクトに取り組む『響け!元気に応援プロジェクト』の皆さんがJR宇治駅近くの宇治橋通商店街にある京都文教大学サテライトキャンパスをファンの休憩場として開放されるそうです。
詳細はこちらで発表があるでしょう→   http://hibikejoinus.blog.fc2.com/
 ③ 5日には京阪電車宇治線で『京阪電車オリジナルステッカー』の配布がありますが、できるだけ多くのファンの手に渡るようにお行儀良く振る舞いましょう。


以上です。ご意見はコメント欄にお願いします。

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葵先輩のお誕生日会で気付いたのだけど・・・

 先日2月13日(土)に行われた響けPJ主催の『響け!ハッピーバースデー♥葉月&葵お誕生日会』での発表ネタを考えていた時のことです。葵ちゃんこと斉藤葵への愛を語る上で彼女のポジションを再確認しているとふと気付いたのです「ストーリーに直接絡まない」ということに・・・。

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 物語での彼女のイベントは、
① 久美子と幼なじみでユーフォ奏者であることをバラした。
② 受験勉強のため部活を辞める
の2点です。原作小説ではその辺の描写は淡々としており、中盤に一瞬スポットが当たってすぐに降板した印象ですし、アニメ版でも②は前年の新入部員集団退部事件と絡めた受験との葛藤として肉付けされ、小笠原部長のコンプレックスを露わにするエピソードに使われています。
(原作者の武田綾乃先生は講演会で斉藤葵のアニメ版での展開について感謝している旨を発言しています。)
 ですから誕生会ではこのような話をして「そんな彼女に劇場版にて出番があることを祈ります。」と締めるつもりでした・・・。(結局、発表する機会はありませんでしたが、)この時は劇場版の出番云々はあくまで座興のつもりでしたのです・・・。


劇場版予告に登場しない!


 座興のつもりが、笑えない状況になったのが2月5日に新キービジュアルと共に公開された冒頭に掲げた新しい劇場版予告を改めて見直してからです。
 1分30秒の予告としては長めの尺の中では北宇治高校吹奏楽部の面々が名シーンの中で登場しますが何故か斉藤葵の姿が見当たりません。アニメ版のOPにも登場しアニメ版公式サイトにもキャラクター&キャストにクレジットされている彼女の姿が無いのです。
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予告終末のクレジットにもその名がありません。
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厭な予感がするので劇場版公式サイトで確認してみます。
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やはりキャストにもクレジットがありません。声を充てている声優・日笠陽子さんは主役級を張る人気声優であり脇役であってもクレジットされるのが通例ですが・・・。
もしやと思いこれまで2つある劇場版PV(予告)を見直してみます。
まず劇場版公開と続編制作決定を告知する【特別告知】です。


続いて最初に公開された劇場版予告【特報】を


いずれも斉藤葵の姿は明確に確認できるカットはありませんね。


劇場版の尺の問題か?


 私は以前このブログで「劇場版は原作準拠の3部作で再構成される」と考察しましたが、【特別告知】で「TVシリーズを振り返る」としている以上大きなストーリー変更はないと思われます。順当に行けば序盤を彩るエピソードとして斉藤葵の退部は描かれるはずです。
 ですがここで問題があります。それは劇場版の尺が概ね2時間という枠に当てはめねばならないと言うことです。同じ京都アニメーション制作の『涼宮ハルヒの消失』が約160分という例もありますから、120分〜150分というのが一つの目安でしょう。これに対しアニメ版(TV)は全13話で本編約260分のボリュームがあります。
単純に約半分のエピソードやシーンはカットして話を再構成する必要がありますね。
 アニメ版はシリーズ構成が前半はゆったりとした流れで、オーデションを境にして後半は濃密な時間を過ごすようになっており、これが部員達の演奏技量や意識の変化に緊張感を与えています。・・・となると「今」の部員の成長と直接結びつかない「新入部員集団退部事件」と「久美子の中学生時のトラウマ」のエピソードはカットまでも時間を掛けずに続編の伏線程度の紹介に留めることが考えられます。

 その際、退部事件のエピソードは中瀬古香織のソロオーデションと絡めて紹介することが可能であり、斉藤葵の退部のエピソードとそれに起因する小笠原晴香部長のコンプレックスに関するエピソードが丸々カットされても物語が成立と思われます。
そうなった場合、斉藤葵というキャラクターの存在自体が希薄となり最悪「最初から存在しない」可能性だってあり得ます。

 はたして、『斉藤葵: 日笠陽子』というクレジットが劇場版のエンドロールに記されるのでありましょうか?ちょっと不安です。

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