『澁澤龍彦全集』(全24巻)(河出書房新社)の第3巻(平成5年8月12日発行)の奥付の解題にあるように、"澁澤龍彦の「手帖3部作」のなかでは、後年の博物誌家的資質の開花をもっとも雄弁に予告するエッセイ集であり、晩年の『フローラ逍遥』の早すぎた自己パロディーともゆうべき「毒薬園逍遥」"といえましょう。
本書所収の毒草マンドラゴラへの格別の偏愛は、あらためて『エロスの解剖』(桃源社)(昭和40年7月5日発行)で再びフィーチャリングされ敷衍されています。
さらに、本書に想像力を刺戟された中田耕治氏は澁澤龍彦氏へのトリビュートとして、『ド・ブランヴィリエ侯爵夫人〜毒薬に憑かれた淫蕩なる聖女〜』を薔薇十字社より上梓(昭和46年5月1日発行)しています。
さて、本作は『宝石』昭和37年1月〜12月に連載されたエッセイ集です。コンテンツは以下のとおり。
*序
*古代人は知っていた
*血みどろのロオマ宮廷
*マンドラゴラの幻想
*ボルジア家の天才
*聖バルテルミイの夜
*不思議な解毒剤
*ブランヴィリエ侯爵夫人
*黒ミサと毒薬
*毒草園から近代化学へ
*砒素に関する学者の論争
*さまざまな毒殺事件
*巧妙な医者の犯罪
*集団殺戮の時代
『澁澤龍彦集成』(全6巻)(桃源社)の第1巻(昭和45年2月25日発行)に再録。
現行本では、同タイトルにて河出文庫(昭和59年2月4日発行)。『澁澤龍彦全集』(全24巻)(河出書房新社)では、第3巻(平成5年8月12日発行)に収録。
*今回も三木本一・矢貴昇司(桃源社社長)の手になる装丁。やはり"天""地""小口"、3方が"緑色"に塗りつぶされています。
*本作では
"彼は緑色に対する奇妙な愛を抱いていたが、けだし緑色は、個人にあってはつねに精妙な芸術的禀質のしるしであり、国民においては、よし道徳の頽廃ではなくとも、一種の道徳的弛緩を示すものであると言われている。"
『ペン、鉛筆と毒薬』オスカー・ワイルド
から引用した序文が「赤茶色」で印刷されています。それから、『ペン、鉛筆と毒薬』の引用文中の彼とは詩人にして画家、美術批評家、古物収集家、散文家、卓抜な偽造者そして精妙にしてイン隠微な毒殺者であった"トマス・グリフィスス・ウェインライト"のことを指しています。
画像は、『毒薬の手帖』澁澤龍彦(桃源社)(初版本:昭和38年6月10日発行)です。
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