"澁澤龍彦の仕事にたいする大方の評価はといえば、誰しもがひとまずサドの翻訳紹介という事業に指を屈するだろう。サド研究から多くの恩恵を蒙った一人として、私もこの評判に殊更異論はない。しかしサド研究者としての仕事をも含めて、澁澤龍彦の存在という話になると、事はそう簡単には運ばない。そして私の思うに、戦後の文化状況一般における澁澤龍彦の存在は、どうやらパリの国際度量衡局の一室にある、あのメ−トル原器のようなものを私たちの間にもたらしたという業績から推し測られるのではあるまいか。"
(種村季弘)
上記のコメントは本コラムVol.0001:『黒魔術の手帖』の項でも触れた『ユリイカ〜澁澤龍彦 ユートピアの精神〜』昭和50年9月号(青土社)の種村季弘氏の寄稿「メ−トル原器のある庭園」P112からの抜粋です。
戦後フランス文学の硯学、「翻訳家」にして「エッセイスト」、そして「作家」、澁澤龍彦。
本書は、河出書房新社が平成5(1993)年5月23日に刊行を開始し、以後毎月刊行の予定をほぼこなして、平成7(1995)年6月26日、全巻完結のはこびとなった『澁澤龍彦全集』(全22巻、別巻2巻)の編集と刊行の過程で、編集委員たる巌谷國士、種村季弘、出口裕弘、松山俊太郎の4氏のあいだでおこなわれた座談会、対談のすべてを収録したものです。
澁澤龍彦ファンには、必携の一冊ではないでしょうか?
画像は、『澁澤龍彦を語る』巌谷國士、種村季弘、出口裕弘、松山俊太郎(河出書房新社)(初版本:平成8年2月23日発行)です。
|