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文学

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『澁澤龍彦全集』(全24巻)(河出書房新社)の第13巻(平成6年6月15日発行)の奥付の解題にあるように、
"本作は昭和46年〜49年に発表された多くのエッセーのなかから、単行本未収録のもの26篇をあつめて作られた書物で、「あとがき」に見るとおり、<文字通りの雜文集>の観"がなくもないです。"『澁澤龍彦全集』第12巻所収の『人形愛序説』などとも近い<まことにバラエティーに富んだ(同前)>内容のもので、同時期の『胡桃の中の世界』のような一貫した方法意識にもとづく著作とは異なり、当時の澁澤龍彦氏のいだいていた多様なスタイルのもとに語りなされているエッセー集だった"
といえるでしょう。

"彼のこのようなタイプの書物は、のちに改編されたうえで、『ビブリオテカ澁澤龍彦』のような集成におさめられることが多かったが、本書の場合、その種のものに再録される機会はついになかった。すなわち、その収録エッセーのほとんどすべて(「毒薬と一角獣」「絵本について」「聖母子像について」「小栗虫太郎・木々高太郎」解説の4篇をのぞく)は、『ビブリオテカ澁澤龍彦』の他の書物の項に吸収され、その結果、『貝殻と頭蓋骨』自体はいわば解体されることにな"ってしまいました。

書名にかんしては、解題で巖谷國士氏が指摘するように、

"一見、本書の内容にさほど似合っていないように思われるかもしれませんが、下記[2項]所収のエッセー「過ぎしにかた恋しきもの」(P149〜)に<それでは、私がドライフラワーや貝殻が好きではないのかと言うと、決してそんなことはない。好きでなければ、わざわざ部屋に飾ったりはしない。もちろんのことである。ただ、私が何よりすきなのは、湿っぽい思い出やなつかしさの情緒に汚染されていない、からからに乾いた、硬質の物体なのである。>(途中省略)<わが家の応接間の壁面や飾り棚>に<所狭きまでにごたごたと並べてある>オブジェの数々が列挙されており、そのなかには<模型の髑髏>や、<鎌倉の海岸で拾った犬の頭蓋骨>などもふくまれているのである。"

さらに"<何より好きな>ものの並列する状態は、<いわば小さな自然博物館>であり、<私はこれらの品々に囲まれつつ、私自身もまた、やがて死んで、からからの骨になる自然の子なのだということを、たえず意識するだけなのである>というくだりなどは、彼の最後の作品となった『高丘親王航海記』の主人公の死後の<骨>の表現をいやおうなく思いおこさせ、いまとなっては大いに感慨ぶかいものである。"と。

コンテンツは以下のとおり。

巻頭口絵

「オイディプースとスフィンクス」ギュスターヴ・モロー
「死せる詩人を運ぶケンタウロス」ギュスターヴ・モロー
「夢、アドリアドネーと塔」デ・キリコ
「吟遊詩人」デ・キリコ

澁澤龍彦、紀行スチル(カメラ:『太陽』編集部 祐乗坊英昭氏)

バビロンの架空庭園跡
クテシフォンにて
マッサラにて(アラブ人姿の著者(澁澤龍彦))
ペルセポリスにて

1.
*ビザンティンの薄明 あるいはギュスターヴ・モローの偏執
*キリコ、反近代主義の亡霊
*幻想美術とは何か

2.
*千夜一夜物語紀行
*フランスのサロン
*オカルティズムについて
*シェイクスピアと魔術
*「エクソシスト」あるいは映画憑きと映画祓い
*毒薬と一角獣
*絵本について
*聖母子像について
*過ぎしにかた恋しきもの
*雪の記憶
*読書遍歴

3.
*岡本かの子 あるいは女のナルシシズム
*魔道の学匠 日夏耿之介
*琥珀の虫 三島由紀夫
*花田清輝頌
*藤綱と中也 唐十郎について
*未来と過去のイヴ 四谷シモン個展
*金井美恵子『兎』書評
*中井英夫『悪魔の骨牌』書評
*江戸川乱歩『パノラマ島奇談』解説
*「小栗虫太郎・木々高太郎」解説
*唐十郎『盲導犬』解説
*アルティストとアルティザン 池田満寿夫について

あとがき/初出一覧

【本文より】「琥珀の虫 三島由紀夫」より

"三島氏はザインのひとではなくて、ゾルレンのひとだったと私はつくづく思う。神秘的現象を信じていたのではなくて、信じなければならなかったのである。こんな些細な、ほんのお遊びのような場合でも、その点では変りがなかったのだ。

ずいぶん前のことだが、たしか安部公房氏との対談で、生前の三島氏が、「おれには絶対に無意識というものがないのだ」と主張していたのを記憶しているが、これも同じ理窟で、自己が二つに分裂することを極端に恐れる三島氏にとって、無意識というものは、あってはならないものだったのである。あると思ってはいけないものだったのである。

しかし今や、三島氏には怖れるものは何もなくなった。みずから死を選び、ひとびとの記憶のなかで「虫入りの琥珀の虫」になってしまった三島氏は、ザインとゾルレンをぴったり一致させて、明確な美しい自己の形を保っているし、永遠に保ってゆくことであろう。

小林秀雄流に言えば、「まさに人間の形をしているよ」ということになるのかもしれない。"

『澁澤龍彦全集』(全24巻)(河出書房新社)では、第13巻(平成6年6月15日発行)に収録。

*今回も「手帖3部作」同様、豪華(特殊)な装丁。
特殊な朱色×銀粉をアレンジした「和紙」を使用したクロス装上製函入。

画像は、『貝殻と頭蓋骨』澁澤龍彦(桃源社)(初版本:昭和50年5月10日発行)です


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