『新潮日本文学アルバム54 澁澤龍彦』(新潮社)の「評伝 澁澤龍彦」の第3章(P50)"『血と薔薇』の時代"(昭和41年〜昭和45年)で披露されている種村季弘氏のコメントからの抜粋を続けます。
"三島の死、それに先立つ澄子前夫人との離婚と『血と薔薇』終刊が、あたかも一つの季節を終わらせたかのようである。宴の後の静けさのようなものが足音を殺してひたひたとやってくる。『血と薔薇』時代にあれほどしきりだった友人たちとの往来もふっつりと絶え、龍子夫人とともにたまさかの国内外の旅に出るほかは、ほとんど北鎌倉に閉じこもりきりになる。
最後の大花火が打ち上げられた後のように、『血と薔薇』時代の友人たちもそれぞれが散りぢりに古巣へ帰った。矢牧一宏は数年後に他界する。加藤郁乎はほとんど筆を折って宗教団体に亡命してしまう。土方巽もどこかへ雲隠れしてしまった。石井恭ニの現代思潮社は、長い社内争議の後で事実上の開店休業状態に追い込まれる。60年代の極端な充血の後で一挙に放血をしたかのように、すみやかに衰弱と頽廃が忍び寄ってくる。"
(種村季弘)
当時『血と薔薇』の編集チーフであり、『血と薔薇』解散後は優良な幻想文学を次々に世に送りだす出版社として著明だった元「薔薇十字社社主」、「出帆社社主」であった内藤三津子氏。『澁澤龍彦スペシャル 1 シブサワ・クロニクル』(幻想文学出版局)の「華やかな宴の日々 『血と薔薇』から薔薇十字社へ」(内藤三津子)から、「薔薇十字社」設立当時における澁澤氏の回想部分を抜粋してご紹介しておきます。
"とにかく私がつくりたい本をつくる−それだけが編集方針で、まず『血と薔薇』のときに連載をお願いして、そのままちゅうぶらりんになってしまった方々のものは、やはり責任上お声をかけまして、"ぜひ内藤さんのところから出しましょう"と言ってくださった堂本正樹さんの『男色演劇史』とか、塚本邦雄さんの『悦楽園園丁辞典』、種村季弘さんの『吸血鬼幻想』などをやらせていただきました。それから、加藤郁乎さんの『膣内学』。もちろん澁澤さんにもいろいろとお願いして、たくさん本を出させていただきました。まずコクトーの『ポトマック』を頂戴して、それからシュペイヴィエルの『ひとさらい』を出して、『黄金時代』という評論を一つ入れて、トポールの『マゾヒストたち』もやりました。そのほかにも澁澤さんには薔薇十字社のブレーン的存在として、私が何かいい本ないかしらと思っていると、どこどこにこういう本があるはずだ、とか、こういう翻訳が出来あがっているのに、本になっていないはずだなんていう情報を教えていただいたりしました。それから『大坪砂男全集』の編集委員にも加わっていただきましたし、そういう形でしばしば引っ張り出して、まさにおんぶにだっこという感じでした。"
(内藤三津子)
さて、コンテンツは以下のとおり。
タイトル:『血と薔薇 3』 エロティシズムと残酷の綜合研究誌
表紙 彫刻家の肖像 ブロンズィーノ1550
血と薔薇宣言 P22
カラー&グラビア
制服の処女 カメラ 篠山紀信 P1
Image Director 堀内 誠一
モデル アンジェラ浅丘・麿赤児・芦川羊子他
1:アマゾーヌ 2:ジャンヌ・ダルク 3:小間使 4:女兵士 5:奴隷 6:看護婦 7:女学生 8:未来の制服1 9:未来の制服2
特集
愛の思想
カラー口絵−ブロンズィーノ/ポントルモ他
フーリエ、情念、愛 巖谷國士 P25
あさましき香 川村二郎 P30
浪曼的悪魔 久野 昭 P38
哄笑から残酷物語まで
ルネサンスのエロティシズム 杉浦明平 P44
愛の神秘思想
ヤコブ・ベーメの場合 南原 實 P52
漢語の「愛」について
インドにおける愛の思想序説1 松山俊太郎 P60
エッセイ
痔の記憶 或いは「新つれづれ草」 稲垣足穂 P114
魔女の斧
中世ヨーロッパの異端糺問を巡って 村田経和 P124
バビロンの架空庭園
−失われし庭を求めて− 澁澤龍彦 P157
愛しのペニスよ、さようなら 野坂昭如 P68
絵本 變身
フランツ・カフカ作 フランコ・ジェンティリーニ P81
解説・巨大な毒虫のいる生活 倉橋由美子 P96
血と薔薇コレクション
ピエール・モリニエ
Collection "Le Sang et la Rose" Pierre Molinier
解説・夢魔の画家 澁澤龍彦 P72
le museum jaune
MANIERISME
マニエリスムの倒錯 種村季弘 P141
悦楽園園丁辞典 3 塚本邦雄 P104
男色演劇史 3 堂本正樹 P97
わがカーマスートラ
第2章 愛の試験 高橋睦郎 P110
斜めになった狭い道を歩いていくと
ボールドウィンのことから、
「ゲイ・ワールド」という最近の同性愛研究書へ
植草甚一 P221
グラビア
楽屋 SCOPTOPHILIA カメラ 東松照明 P201
演 麿赤児・小林ダダ
小説
ルツィドール ホーフマンスタール/高橋英夫訳 P182
賢女テレーズ 作者不詳/生田耕作訳 P174
詩
大陸横断列車内のわが性的経験 田村隆一 P66
連載
ド・ブランヴィリエ侯爵夫人 1
−澁澤龍彦氏に− 中田耕治 P132
膣内楽 連載(三) 加藤郁乎 P194
八重霞 連載(三) 武智鉄二 P209
血と薔薇次号予告 P232
カット=野中ユリ・水野卓史
題字=堀内誠一
*なお第3号では都合により「イギリス人」を休載しました
画像は、澁澤龍彦責任編集『血と薔薇 3』第三号(天声出版)(昭和44年3月1日発行)です。
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こんにちは。 大道芸観覧レポートという写真ブログをつくっています。 昭和44年当時の雑誌のバックナンバーの広告もとりあげています。 よかったら、寄ってみてください。 http://blogs.yahoo.co.jp/kemukemu23611
2007/1/25(木) 午後 8:57 [ kemukemu ]