■ウォルフガング・アマデウス・モーツァルト Wolfgang Amadeus Mozart(1756〜1791)
本年(2006年)は、「モーツァルト生誕250周年」です。
全世界、全分野において様々なモーツァルトに関係するコンサート、イベント、企画商品の洪水だと思います。
●その記念すべき「モーツァルト生誕250年」のアニバーサリー・イベントの1パートを当blog「◆デカダンスの彼方へ.....◆」で担ってみようと思います。
モーツァルトが作曲した626+α曲.....その"モーツァルトの名曲の森"の中を一緒に散策してみませんか?
題して「モーツァルトの森 DER WALD DES W.A.MOZART」!!
全626+α曲。今回から、それら1曲1曲に対しての私の思いを綴ってゆきたいと思っております。
これから、どのくらいの期間がかかるか計り知れませんが、リタイヤせずに"完走"してみたいと思いますので、宜しくお願いいたします !! ^^
■ tristesse allante
常に"年齢に不釣合いな"天才を発揮し、
(成人してからも)常に"年齢に不釣合いな"「天真爛漫さ」で行動し、その死ぬ瞬間まで穢れなかった"純粋無垢さ"(勿論、酒・女・賭博をしらないという意味ではありません)=社会生活に"適応"し"迎合"してゆくという要領を知らず.....
「プライベート」⇔「芸術」の.....言い換えれば、
「酒・女(SEX)・賭博」⇔「作曲(音楽)」の.....さらに言い換えれば、
「人間」⇔「神」の両極"のみ"を、その間を全てすっ飛ばして生きた男.....
●モーツァルトの傑作は数あれど、私の心に響くのは、K.397「幻想曲 ニ短調 FANTASY in D minor」、K.396「幻想曲 ハ短調 FANTASY in C minor」、K.310「ピアノ・ソナタ第8番 イ短調 PIANO SONATA in A minor」、K.511「ロンド イ短調 RONDO in A minor」、K.540「アダージョロ短調 ADAGIO in B minor」、K.364「協奏交響曲 変ホ長調 SINFONIA CONCERTANTE in E-FLAT major for Violin,Viola and Orchestra」、K.183「交響曲25番 ト短調 SYMPHONY No.25 in G minor」etc.....といった"悲愴な色合い"の曲ばかり.....
小林秀雄の『モオツァルト』に所収のK.550「交響曲40番 ト短調 SYMPHONY No.40 in G minor」に関してのコメント"tristesse allante"(哀しみは疾走する)を俟つまでもなく、「モーツァルトの叫び」が聴こえてくるような"悲劇的な馨り"が漂い、"悲愴な色合い"を呈した曲は私のお気に入りです。
哀しみに打ちひしがれたモーツァルト......
貧窮と病苦に苦しむモーツァルト......
凡庸で愚鈍で残酷な俗世間との乖離に苦しむモーツァルト......
"働いてお金を稼ぐ"、"経済観念をもって、長期的ヴィジョンで人生計画をたてる"、"(特に利害関係のある)周囲の人間とうまくやっていく".....といった「生活」上の煩瑣なものごと、出来事がいちいち彼の"天真爛漫"な「天才」を傷つけていったかと思うと、同情の感情を禁じえません.....
■「K.397 幻想曲 ニ短調 FANTASY in D minor」
K.396「幻想曲 ハ短調 FANTASY in C minor」とともにこれらは、1782年の春から夏頃の作品と見られていますが、ヴァン・シュヴィーテン男爵の影響で始まったバッハ、ヘンデルへの傾倒で生まれたモーツァルトの作品群の中でも、ピークをなす傑作であります。
また同じ頃、K.387「弦楽四重奏曲 第14番 ト長調《春》(ハイドン・セット) STRING UQARTET No.14 in G minor(THE SIX HAYDN QUARTETS)」を書いていますが、これの終楽章も同様のバロック志向のもとに書かれた傑作です。
これらK.396、K.397はいずれも"未完"であり、マキシミリアン・シュタートラーの補作によっているところが面白いと思います。内容的に極めて充実した発想のものでありながら、モーツァルトはなぜ終りまで作らなかったのでしょうか?あるいは、後の出版という観点に立ったとき、こうした古いスタイルの曲の人気度については疑問があったのかもしれません。こうした、実験的な、鋭い発想の曲は、彼の頭の中で完成されれば、あとは譜面などは問題ではなかったのかもしれません。
K.396のほうは、アダージョで、トッカータ風の上昇分散和音で開始されます。一種のソナタ形式で作られていますが、演奏のテクニックは、これまでのどのピアノ曲にも見られない高度のものが必要とされています。コーダの12小節はハ長調となり、"ハ短調の嵐"に終止符を打っています。
●本作「K.397 幻想曲 ニ短調 FANTASY in D minor」は、もっと自由な発想が感じとられ、"幻想曲"らしい構成を持っています。最初の無気味なアンダンテ11小節(ニ短調)は分散和音で構成され、一種の序奏の役を果しています。続いて後年のK.595「ピアノ協奏曲 第27番 変ロ長調 PAINO CONCERTO No.27 in B-FLAT major」の主題を思わせる寂しいアダージョで極めて美しい歌が歌われます。プレストの自由なカデンツァを挟んで、テンポ・プリモとなり、歌が歌い継がれ、再びカデンツァ、テンポ・プリモと繰り返し、第3部はニ長調に"転調"して、明るく天国的なアレグレットの軽やかなテーマが姿を現します。中間の楽想を挟んでこのテーマが回帰して曲を結んでいます。
こうした自由な発想は、偉大な先人たちから受けた啓示と自分独自の方法論を融合させた、彼なりの先人への"オマージュ"作品とも考えることができると思います。
アインシュタインはK.284「ピアノ・ソナタ ニ長調 PIANO SONATA in D major」、K.311「ピアノ・ソナタ ニ長調 PIANO SONATA in D major」など、「"ニ長調のピアノ・ソナタ"への前奏曲」ではないかと推定しています。
●『モーツァルト/ピアノ音楽全集(11枚組)』(ピアノ:ワルター・ギーゼキング Walter Gieseking)(Angel / 東芝EMI株式会社)EAC-30264-74添付の「ブックレット」(石井宏氏解説)、『アラウのモーツァルト・リサイタル』(ピアノ:クラウディオ・アラウ Claudio Arrau)(PHILIPS / 日本フォノグラム株式会社)X-7620の「ライナー・ノーツ」(宇野功芳氏解説)に拠る。
【収録曲】
●SIDE 1:K.475「幻想曲 ハ短調 FANTASY in C minor」
K.457「ピアノ・ソナタ第14番 ハ短調 PIANO SONATA in C minor」
●SIDE 2:K.397「幻想曲 ニ短調 FANTASY in D minor」
K.511「ロンド イ短調 RONDO in A minor」
ピアノ:クラウディオ・アラウ Claudio Arrau
画像は、「K.397 幻想曲 ニ短調 FANTASY in D minor」所収の『アラウのモーツァルト・リサイタル』(ピアノ:クラウディオ・アラウ Claudio Arrau)(PHILIPS / 日本フォノグラム株式会社)X-7620です。
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ピアノの発表会で幻想曲ニ短調kv397を弾くのですがとても参考になりました。
2009/10/31(土) 午後 8:26 [ ハイドンさん ]