■「K.397 幻想曲 ニ短調 FANTASY in D minor」
(演奏時間 5分)
●ウィーン時代のはじめ、1782年頃のものと推察されているだけで、この年に作曲されたという確証はまだありません。従って「K.396 幻想曲 ハ短調 FANTASY in C minor」との年代的な関連性もないのであります。
しかしこれは、もっとも豊かな幻想と叙情的な歌謡性をもった趣味のよい幻想曲で、最もひろく親しまれている名曲でもあります。
譜の前奏するようなアンダンテではじまり、歌にみちたアダージョに進み、ドラマティックなト短調のエピソードは、プレストのカデンツァで解決します。小さなフィナーレとしてのアレグレット(ニ長調 2/4)には、目が覚めるような鮮やかさがあり、それが快適で美しいだけに短すぎる恨みもありますが、モーツァルトの草稿は、第97小節で終っていたものを、最後の10小節は旧全集刊行に際して、おそらくマキシミリアン・シュタートラーによって追加されたものだといわれています。
●『モーツァルト<3> 器楽編』属啓成著(音楽之友社)に拠る。
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