■「K. 341 キリエ ニ短調 KYRIE in D minor」
(演奏時間 7分)
フルート2、オーボエ2、クラリネット2、ファゴット2、ホルン4、トランペット2、ティンパニ、ヴァイオリン2部、ヴィオラ、チェロ・バス・オルガン
4部合唱
●これは1780年11月から翌1981年3月までのあいだに、ミュンヘンで作曲されたものと思われていて、一般に「ミュンヘンのキリエ」と呼ばれています。やはりキリエだけのもので、モーツァルトがオペラ・セーリアK.366「クレータの王イドメネーオ IDOMENEO,RE DI CRETA」を上演するために赴いていたミュンヘンに滞在中の作といわれてきました。
この時もモーツァルトには、この地の音楽を理解し愛好する選挙侯宮廷に就職の望みをかけていました。彼の実力を見せるために多くの器楽曲を作曲し、教会音楽も多くの旧作をザルツブルグから取り寄せています。この曲の楽器編成は前例がないほど大きく派手で、K.297「交響曲 第31番 ニ長調《パリ》 SYMPHONY No.31 D major"PARIS"」ではじめて使ったクラリネットさえ加えられています。それは、K.366「クレータの王イドメネーオ IDOMENEO,RE DI CRETA」を書き上げた余勢にもよるものでしょうが、意欲的な作品にはちがいありません。
曲はアンダンテ・マエストーソ Andante maestosoの合唱だけで通されます。
もっとも円熟した手法による自由な三部形式を構成していますが、モーツァルトにとっては特別な意義をもつ「ニ短調」の暗い軟らかいハーモニーと、下降半音階の多い主題法などには、すでに同じ「ニ短調」のK.626「レクイエム ニ短調 REQUIEM in D minor」を予感させるものがあり、真面目な壮麗さの中に甘美な哀愁が入りまじっています。
●『モーツァルト<2> 声楽編』属啓成著(音楽之友社)に拠る。
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