◆デカダンスの彼方へ.....◆

"デカダンス"「映画」「文学」「美術」を語りましょう♪

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去る12月上旬、観てきました.....『Mr. & Mrs.Smith』。

観了後の感想.....

ジャック・ニコルソン Jack Nicholson(Charley Partanna)とボクの大好きなキャスリーン・ターナー Kathleen Turner(Irene Walker)が出演し、『Mr. & Mrs.Smith』(2005)と同様に、お互い"プロの殺し屋"とは知らずに結婚してしまった夫婦という「シノプシス(Narrative Synopsis)の基本線」は全く一緒のストーリーを辿る作品.....『女と男の名誉 Prizzi's Honor』(1985)を思いだしてしまいました。

是非はともかく、ほんと驚くくらいそっくりです、ストーリー(Narrative Synopsis)の基本線 ww
『Mr. & Mrs.Smith』は『女と男の名誉 Prizzi's Honor』の20年後の、アクション・シーンの演出や特撮シーンをパワー・アップさせた"カヴァー"ヴァージョンともいえなくもないです。
とにかく、レンタル店で借りていただき、実際に2本を見比べていただければわかります♪

ボクは、確かに銃器や爆薬に熟知したダグ・リーマン Doug Liman監督のアクション・シーンに関していえばハリウッドの"当代一流"だといえますが、「男と女の機微の"コク"」の掘り下げ方は、20年前の『女と男の名誉 Prizzi's Honor』の監督:ジョン・ヒューストン John Hustonのほうが、一枚上手じゃないかな.....なんて思っております。

何せ、ダグ・リーマン Doug Liman監督は『ボーン・スプレマシー The Bourne Supremacy 』(2004)や『ボーン・アイデンティティー The Bourne Identity』(2002)の監督だけあって、発砲 & 爆発の嵐!! そして、主人公2人は最後まで、"スナイパー"としての恐るべきスキルを発揮して生き残るわけでありますが.....「ちょっと、(敵のスナイパーたちもプロなのに)キミタチ弾に当たらなさすぎじゃない?」(笑)って感じでした。

『トゥームレイダー2 Lara Croft Tomb Raider: The Cradle of Life』(2003)や、『ボーン・アイデンティティー The Bourne Identity』(2002)といった、最新型ハリウッド・アクションもののエンターテインメントを純粋に満喫したいという視点で観れば、「120点」でしょうネ ^^

『オーシャンズ12 Ocean's Twelve』(2004) etc.のブラッド・ピット Brad Pittと、『トゥームレイダー2 Lara Croft Tomb Raider: The Cradle of Life』(2003)etc.のアンジェリーナ・ジョリー Angelina Jolie.....『真夜中のカーボーイ Midnight Cowboy』(1969)のジョン・ヴォイト Jon Voightの娘とはちょっと想像できませんが.....

それに、『ボーン・アイデンティティー The Bourne Identity』(2002)etc.のダグ・リーマン Doug Liman監督 !! 2人の愛の巣である豪邸を爆破してしまう etc.桁外れの夫婦喧嘩をコミカルに演出しています。

●あらすじ

南米で情熱的な恋に落ちたジョンとジェーンは、結婚し、晴れて「Mr. & Mrs. スミス」となります。「スミス Smith」というのはアメリカではもっともありふれた名字で、日本では、「田中」、「鈴木」と同様の印象でしょう。その一見どこにでもいる平凡そうなカップルがお互いに"秘密の別の生活"を持っている。 その"秘密"が原因で、これまで一緒だった2人はバラバラになり、そして争い合うようになる。5〜6年後、夫婦に倦怠感が生まれていたある日、2人はお互いの「裏の顔」を知ってしまう。ジョンは建築業を隠れ蓑にした凄腕の殺し屋。プログラマーのジェーンは暗殺組織のエースだったことが発覚!!

この稼業では、自分の正体を知った相手を48時間以内に抹殺することが暗黙のルール。こうして、ふたりの壮絶な夫婦対立が勃発!!

ブラッド・ピット Brad Pitt & アンジェリーナ・ジョリー Angelina Jolie、ハリウッドのトップを疾走する旬の俳優が、暗殺者夫婦を好演!! 容姿端麗のスーパー・ウーマンであるジェーン Jane Smithと、飄々と仕事をこなしていくジョン John Smithは、お互いに一歩も引かない強者同士。そんなふたりがぶつかり合って生まれる超ド級のアクションを、ユーモアたっぷりに見せてくれています。

●スタッフ・キャスト

監督:ダグ・リーマン Doug Liman

●出演

ブラッド・ピット Brad Pitt(John Smith)
アンジェリーナ・ジョリー Angelina Jolie(Jane Smith)
ヴィンス・ヴォーン Vince Vaughn(Eddie)
アダム・ブロディ Adam Brody(Benjamin Danz)
ケリー・ワシントン Kerry Washington(Jasmine)

■TVの"スポットCM"や映画館の上映前に流されている"プロモーション・ビデオ"を「トレーラー版 Promotional Trailers」といいます。
それでは、5種の「トレーラー版」をどうぞ♪

●トレーラー版 A(2'01")
http://movie.goo.ne.jp/special/mr_and_mrs_smith/movie/yokoku_300k.asx

●トレーラー版 B(21")
http://movie.goo.ne.jp/special/mr_and_mrs_smith/movie/cm_a_300k.asx

●トレーラー版 C(21")
http://movie.goo.ne.jp/special/mr_and_mrs_smith/movie/cm_b_300k.asx

●トレーラー版 D(21")
http://movie.goo.ne.jp/special/mr_and_mrs_smith/movie/cm_c_300k.asx

●トレーラー版 E(21")
http://movie.goo.ne.jp/special/mr_and_mrs_smith/movie/cm_d_300k.asx

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■「K. 341 キリエ ニ短調 KYRIE in D minor」
(演奏時間 7分)

フルート2、オーボエ2、クラリネット2、ファゴット2、ホルン4、トランペット2、ティンパニ、ヴァイオリン2部、ヴィオラ、チェロ・バス・オルガン
4部合唱

●これは1780年11月から翌1981年3月までのあいだに、ミュンヘンで作曲されたものと思われていて、一般に「ミュンヘンのキリエ」と呼ばれています。やはりキリエだけのもので、モーツァルトがオペラ・セーリアK.366「クレータの王イドメネーオ IDOMENEO,RE DI CRETA」を上演するために赴いていたミュンヘンに滞在中の作といわれてきました。

この時もモーツァルトには、この地の音楽を理解し愛好する選挙侯宮廷に就職の望みをかけていました。彼の実力を見せるために多くの器楽曲を作曲し、教会音楽も多くの旧作をザルツブルグから取り寄せています。この曲の楽器編成は前例がないほど大きく派手で、K.297「交響曲 第31番 ニ長調《パリ》 SYMPHONY No.31 D major"PARIS"」ではじめて使ったクラリネットさえ加えられています。それは、K.366「クレータの王イドメネーオ IDOMENEO,RE DI CRETA」を書き上げた余勢にもよるものでしょうが、意欲的な作品にはちがいありません。

曲はアンダンテ・マエストーソ Andante maestosoの合唱だけで通されます。
もっとも円熟した手法による自由な三部形式を構成していますが、モーツァルトにとっては特別な意義をもつ「ニ短調」の暗い軟らかいハーモニーと、下降半音階の多い主題法などには、すでに同じ「ニ短調」のK.626「レクイエム ニ短調 REQUIEM in D minor」を予感させるものがあり、真面目な壮麗さの中に甘美な哀愁が入りまじっています。

●『モーツァルト<2> 声楽編』属啓成著(音楽之友社)に拠る。

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■私の、モーツァルトのfavorite No.1は、依然としてK.397「幻想曲 ニ短調 FANTASY in D minor」ですが、

「ミサ曲・教会作品」というジャンルに絞って選ぶとすれば、favorite No.1は、

◇ K. 341「キリエ ニ短調 KYRIE in D minor」

であります!!

壮麗、豪快、繊細、劇的!! とにかく"素晴らしい"のひとこと!!

K.397「幻想曲 ニ短調 FANTASY in D minor」、
K.396「幻想曲 ハ短調 FANTASY in C minor」、
K.310「ピアノ・ソナタ第8番 イ短調 PIANO SONATA in A minor」、
K.511「ロンド イ短調 RONDO in A minor」、
K.540「アダージョロ短調 ADAGIO in B minor」、
K.364「協奏交響曲 SINFONIA CONCERTANTE in E-FLAT major for Violin,Viola and Orchestra」の<第2楽章>Andante ハ短調、
K.183「交響曲25番 ト短調 SYMPHONY No.25 in G minor」etc.....

といった"悲愴な色合い"の曲が大好きですが.....

正直なところ、それらからモーツァルトの"導入部分"をくぐった私が、次にハマッたのが、一連のミサ曲・教会作品、

K.341「キリエ ニ短調 KYRIE in D minor」、
K.317「ミサ曲 ハ長調《戴冠ミサ》 MASS in C majnor"CORONATION MASS"」、
K.220「ミサ・ブレヴィス ハ長調《雀》 MISSA BREVIS in majnor"SPATZEN-MESSE"」、
K.427「ミサ曲 ハ短調《グレイト》 MASS in C minor"GREAT MASS"」、
K.626「レクイエム ニ短調 REQUIEM in D minor」、
K.139「ミサ・ソレムニス ハ短調《孤児院ミサ》 MISSA SOLEMNIS in C minor"WAISENHAUS-MESSE"」、
K.192「ミサ・ブレヴィス ヘ長調 MISSA BREVIS in F majnor」、
K.259「ミサ・ブレヴィス ハ長調《オルガンソロ・ミサ》 MISSA BREVIS in F majnor"ORGELSOLO-MESSE"」、        
K.165「エクスルターテ・イゥビラーテ EXSULTATE,JUBILATE」、
K.618「アヴェ・ヴェルム・コルプス AVE VERUM CORPUS」、
K.195「聖母連祷 ニ長調 LITANIAE LAURETANAE in D major」 etc.....
といった作品群でした。

●「ミサ曲・教会作品」を聴いていると、モーツァルトの交響曲、管弦楽曲、協奏曲、室内楽曲、器楽曲、声楽曲、オペラ・ジングシュピール.....全ての作品の種子・萌芽を感じ取ることが出来ます。
これが、「ミサ曲・教会作品」のほとんど全ての作品をじっくり聴いた結果、感じたことであります。
海老沢敏氏が指摘(『超越の響き〜モーツァルトの作品世界〜』(小学館)P 418〜419)しているように、モーツァルトの作品評論・研究において、この「ミサ曲・教会作品」が不当に軽く扱われていることに不満を感じております。

私は常に、"モーツァルト作品の大樹"の根幹に、「ミサ曲・教会作品」を据えて全作品群を見渡しております。

●「ミサ曲・教会作品」を聴いて「交響曲」を聴く.....「ミサ曲・教会作品」を聴いて「管弦楽曲」「協奏曲」「室内楽曲」「器楽曲」を聴く.....「ミサ曲・教会作品」を聴いて「オペラ・ジングシュピール」を聴く.....こういうのを"コペルニクス的転回"とでもいうのでしょうか.....眼から鱗とでもいうのでしょうか?決して、安易に作品が「わかった!」などと僭越なことは申しませんが、モーツァルトの作品世界が「ミサ曲・教会作品」をじっくり聴く前と、聴いたあとでは全然、そのみえ方・感じ方が変わってしまった!!というのが本音であります。

■K. 341(=K6.368 a)「キリエ ニ短調 KYRIE in D minor」に関する海老沢敏氏の考察

"人びとは、たかが教会作品の断片というかもしれぬ。だが、同様のことが、残念ながら自筆譜が杳として行方をくらましてしまった名曲K. 341(=K6.368 a)「キリエ ニ短調 KYRIE in D minor」についても語ることができるのだ。

この《ニ短調 キリエ》は、今まで長いこと、モーツァルトがオペラ・セーリアK.366「クレータの王イドメネーオ IDOMENEO,RE DI CRETA」を上演するために赴いていたミュンヘンで、かのカール・テーオドール侯に聴かせるべく、1780年11月から翌1981年3月までのあいだに、そこバイエルン侯国の首都で作曲されたと、かたく信じられてきたものであった。

だが、私たちは、モーツァルト研究が新たにもたらしたヴィーン時代のモーツァルトの、教会音学家としての活動に対する新事実を勘案しつつ、あらためて、このきわめて表現力の強烈な《ニ短調 キリエ》に聴き入る時、この作品もまた、モーツァルトが教会音学家としての新たな意識と意欲と、そして展望の下に、1787年以降に、ヴィーンで、このミサ曲冒頭の楽章を仕上げたものにちがいないと思わずにはいられないのである。

事実、出だしのニ短調の和音のトゥッティに始まり、半音階の動きを伴った表現的な弦の音形や烈しい音程の跳躍などを伴って、暗く深く歌われるこの<求憐誦(キリエ)>の彼方には、あるいはすぐ間近には、ほかならぬモテット K.618「アヴェ・ヴェルム・コルプス AVE VERUM CORPUS」、そしてとりわけ白鳥の歌 K.626「レクイエム ニ短調 REQUIEM in D minor」の、深甚にして奥妙な世界、神と人とを結ぶ絶妙な音の世界が広がっていると信じざるをえないのだ。

私はK.626「レクイエム ニ短調 REQUIEM in D minor」を白鳥の歌と語った。だが、もし、モーツァルトの死を、偶然の出来事として捉えるならば、この未完の名曲は逆にモーツァルトの新しい時期の魁となる作品と考えるべきなのであろう。

その偶然は、しかし神意の、摂理の必然だったのである。"

海老沢敏
(『超越の響き〜モーツァルトの作品世界〜』(小学館)P 418〜419より)


●K. 341(=K6.368 a)「キリエ ニ短調 KYRIE in D minor」

Kyrie eleison. 主よあわれみたまえ。
Christe eleison. キリストよあわれみたまえ。
Kyrie eleison. 主よあわれみたまえ。


●画像は、「K. 341 キリエ ニ短調 KYRIE in D minor」所収の『聖母連祷〜モーツァルト宗教作品集』(2枚組)ヘルベルト・ケーゲル指揮、ライプツィヒ放送交響楽団 & 合唱団(PHILIPS / 日本フォノグラム株式会社)X-7935〜36です。

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■「K.397 幻想曲 ニ短調 FANTASY in D minor」
(演奏時間 5分)

●ウィーン時代のはじめ、1782年頃のものと推察されているだけで、この年に作曲されたという確証はまだありません。従って「K.396 幻想曲 ハ短調 FANTASY in C minor」との年代的な関連性もないのであります。

しかしこれは、もっとも豊かな幻想と叙情的な歌謡性をもった趣味のよい幻想曲で、最もひろく親しまれている名曲でもあります。
譜の前奏するようなアンダンテではじまり、歌にみちたアダージョに進み、ドラマティックなト短調のエピソードは、プレストのカデンツァで解決します。小さなフィナーレとしてのアレグレット(ニ長調 2/4)には、目が覚めるような鮮やかさがあり、それが快適で美しいだけに短すぎる恨みもありますが、モーツァルトの草稿は、第97小節で終っていたものを、最後の10小節は旧全集刊行に際して、おそらくマキシミリアン・シュタートラーによって追加されたものだといわれています。

●『モーツァルト<3> 器楽編』属啓成著(音楽之友社)に拠る。

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■ウォルフガング・アマデウス・モーツァルト Wolfgang Amadeus Mozart(1756〜1791)

本年(2006年)は、「モーツァルト生誕250周年」です。
全世界、全分野において様々なモーツァルトに関係するコンサート、イベント、企画商品の洪水だと思います。

●その記念すべき「モーツァルト生誕250年」のアニバーサリー・イベントの1パートを当blog「◆デカダンスの彼方へ.....◆」で担ってみようと思います。
モーツァルトが作曲した626+α曲.....その"モーツァルトの名曲の森"の中を一緒に散策してみませんか?

題して「モーツァルトの森 DER WALD DES W.A.MOZART」!!
全626+α曲。今回から、それら1曲1曲に対しての私の思いを綴ってゆきたいと思っております。
これから、どのくらいの期間がかかるか計り知れませんが、リタイヤせずに"完走"してみたいと思いますので、宜しくお願いいたします !! ^^

■ tristesse allante

常に"年齢に不釣合いな"天才を発揮し、
(成人してからも)常に"年齢に不釣合いな"「天真爛漫さ」で行動し、その死ぬ瞬間まで穢れなかった"純粋無垢さ"(勿論、酒・女・賭博をしらないという意味ではありません)=社会生活に"適応"し"迎合"してゆくという要領を知らず.....
「プライベート」⇔「芸術」の.....言い換えれば、
「酒・女(SEX)・賭博」⇔「作曲(音楽)」の.....さらに言い換えれば、
「人間」⇔「神」の両極"のみ"を、その間を全てすっ飛ばして生きた男.....

●モーツァルトの傑作は数あれど、私の心に響くのは、K.397「幻想曲 ニ短調 FANTASY in D minor」、K.396「幻想曲 ハ短調 FANTASY in C minor」、K.310「ピアノ・ソナタ第8番 イ短調 PIANO SONATA in A minor」、K.511「ロンド イ短調 RONDO in A minor」、K.540「アダージョロ短調 ADAGIO in B minor」、K.364「協奏交響曲 変ホ長調 SINFONIA CONCERTANTE in E-FLAT major for Violin,Viola and Orchestra」、K.183「交響曲25番 ト短調 SYMPHONY No.25 in G minor」etc.....といった"悲愴な色合い"の曲ばかり.....

小林秀雄の『モオツァルト』に所収のK.550「交響曲40番 ト短調 SYMPHONY No.40 in G minor」に関してのコメント"tristesse allante"(哀しみは疾走する)を俟つまでもなく、「モーツァルトの叫び」が聴こえてくるような"悲劇的な馨り"が漂い、"悲愴な色合い"を呈した曲は私のお気に入りです。

哀しみに打ちひしがれたモーツァルト......
貧窮と病苦に苦しむモーツァルト......
凡庸で愚鈍で残酷な俗世間との乖離に苦しむモーツァルト......
"働いてお金を稼ぐ"、"経済観念をもって、長期的ヴィジョンで人生計画をたてる"、"(特に利害関係のある)周囲の人間とうまくやっていく".....といった「生活」上の煩瑣なものごと、出来事がいちいち彼の"天真爛漫"な「天才」を傷つけていったかと思うと、同情の感情を禁じえません.....

■「K.397 幻想曲 ニ短調 FANTASY in D minor」

K.396「幻想曲 ハ短調 FANTASY in C minor」とともにこれらは、1782年の春から夏頃の作品と見られていますが、ヴァン・シュヴィーテン男爵の影響で始まったバッハ、ヘンデルへの傾倒で生まれたモーツァルトの作品群の中でも、ピークをなす傑作であります。

また同じ頃、K.387「弦楽四重奏曲 第14番 ト長調《春》(ハイドン・セット) STRING UQARTET No.14 in G minor(THE SIX HAYDN QUARTETS)」を書いていますが、これの終楽章も同様のバロック志向のもとに書かれた傑作です。

これらK.396、K.397はいずれも"未完"であり、マキシミリアン・シュタートラーの補作によっているところが面白いと思います。内容的に極めて充実した発想のものでありながら、モーツァルトはなぜ終りまで作らなかったのでしょうか?あるいは、後の出版という観点に立ったとき、こうした古いスタイルの曲の人気度については疑問があったのかもしれません。こうした、実験的な、鋭い発想の曲は、彼の頭の中で完成されれば、あとは譜面などは問題ではなかったのかもしれません。

K.396のほうは、アダージョで、トッカータ風の上昇分散和音で開始されます。一種のソナタ形式で作られていますが、演奏のテクニックは、これまでのどのピアノ曲にも見られない高度のものが必要とされています。コーダの12小節はハ長調となり、"ハ短調の嵐"に終止符を打っています。

●本作「K.397 幻想曲 ニ短調 FANTASY in D minor」は、もっと自由な発想が感じとられ、"幻想曲"らしい構成を持っています。最初の無気味なアンダンテ11小節(ニ短調)は分散和音で構成され、一種の序奏の役を果しています。続いて後年のK.595「ピアノ協奏曲 第27番 変ロ長調 PAINO CONCERTO No.27 in B-FLAT major」の主題を思わせる寂しいアダージョで極めて美しい歌が歌われます。プレストの自由なカデンツァを挟んで、テンポ・プリモとなり、歌が歌い継がれ、再びカデンツァ、テンポ・プリモと繰り返し、第3部はニ長調に"転調"して、明るく天国的なアレグレットの軽やかなテーマが姿を現します。中間の楽想を挟んでこのテーマが回帰して曲を結んでいます。

こうした自由な発想は、偉大な先人たちから受けた啓示と自分独自の方法論を融合させた、彼なりの先人への"オマージュ"作品とも考えることができると思います。
アインシュタインはK.284「ピアノ・ソナタ ニ長調 PIANO SONATA in D major」、K.311「ピアノ・ソナタ ニ長調 PIANO SONATA in D major」など、「"ニ長調のピアノ・ソナタ"への前奏曲」ではないかと推定しています。

●『モーツァルト/ピアノ音楽全集(11枚組)』(ピアノ:ワルター・ギーゼキング Walter Gieseking)(Angel / 東芝EMI株式会社)EAC-30264-74添付の「ブックレット」(石井宏氏解説)、『アラウのモーツァルト・リサイタル』(ピアノ:クラウディオ・アラウ Claudio Arrau)(PHILIPS / 日本フォノグラム株式会社)X-7620の「ライナー・ノーツ」(宇野功芳氏解説)に拠る。

【収録曲】

●SIDE 1:K.475「幻想曲 ハ短調 FANTASY in C minor」
K.457「ピアノ・ソナタ第14番 ハ短調 PIANO SONATA in C minor」

●SIDE 2:K.397「幻想曲 ニ短調 FANTASY in D minor」
K.511「ロンド イ短調 RONDO in A minor」
ピアノ:クラウディオ・アラウ Claudio Arrau

画像は、「K.397 幻想曲 ニ短調 FANTASY in D minor」所収の『アラウのモーツァルト・リサイタル』(ピアノ:クラウディオ・アラウ Claudio Arrau)(PHILIPS / 日本フォノグラム株式会社)X-7620です。

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