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イメージ 1この前も書いたが、中々読書には没頭できない。
 
左の写真の本を読了するのに、かれこれ二年くらいはかかったようだ。
 
そんなに長い時間かけて読んでいれば、当然何が前の方に書いてあったかは忘れてしまう。
 
「忘却とは忘れ去ることなり、忘れえずして忘却を語る心の河童の屁」とかいうので、敗戦直後の銭湯の女風呂は木曜日の晩はカラになった。
 
ま、そんなことはともかく、この本は実に面白かった。
 
文学部出身の文学士様であっても、この年になるまで、「再話」と言う概念は知らなかった、恥ずかしいね。
 
「再話」の意味はどうなっているかネットで調べると、こんなのがある:
デジタル大辞泉
昔話伝説世界名作文学などを、子供向けにわかりやすく書き直したもの。再話文学。
 
大辞林 第三版の解説
昔からの物語や伝説・民話などを,主として子供向きにわかりやすく書き直すこと。
 
で、デジタル大辞泉には「再話文学」と言うのがあるのだが、そこを参照すると「=>再話」となっていて、堂々巡り。
 
ふ〜ん、「子供向き」にねぇ???たしかに私は小学生のころ「三銃士」の子供向け翻訳本を読んで、血沸き肉躍った記憶がある。そこでは私に顔の似たアラミスとシュヴルーズ夫人との恋物語など出ては来なかった。
 
デジタル大辞泉も大辞林もちょっと解釈がアマイと言うことがこの本を読めばよくわかる。
 
ところが流石に「広辞苑」ではこんな甘っちょろい解釈ではなく次のように説明している:
【再話】昔話・伝説などを、言い伝えられたままではなく、現代的な表現の話しに作り上げること。また、その話
 
これから国語辞典を買おうとしている方々、大辞林よりも広辞苑ですぞ。
 
この400ページに近い牧野先生の大論文ともいうべき著作を読むと、そこでは「子供向き」と言うことを主眼としているようには見えない。
 
とにかく小泉八雲ことPatrick Lafcadio Hearnの描いたものは膨大だ。その多くの作品の原話や彼の同時代に日本にいた外国人などの著作、およびその原語での記録などを対象にして論じたこの労作は、文学論としても大きな業績と言ってよいであろう。
 
広辞苑の説明通り、Hearnの同時代人(現代人=contemporaries=同時代人)の同じ原話を題材にした作品や彼らとHearnとの手紙のやり取り、あるいはHearnの生い立ちに起因する種々のコンプレックスなども扱って大変面白い。
 
小泉八雲と言うと耳なし芳一がなぜ耳を失ったかなどのストーリーをおぼろげに覚えている程度の人が大半だろう。
 
私も高校時代にHearnのいくつかの著作を英文で読み興味を抱いたこともあった。漁師が遭難しそうになった時に「ふんどし」のことが書かれているのだが、それを英語でLoin clothということも面白くて覚えたものであった。
 
しかしHearnの心の奥底にあるものが、どのような形で彼の描かれたものに現れているか、その謎を解くカギがこの本には描かれている。
 
「再話」と言う概念を教えてくれたこの本には感謝である。
 
再話文学、比較文学に興味のある人には欠かせない本であることは間違いない。3,800円+Taxは決して高くない。
 
 

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nice

2013/1/14(月) 午後 2:13 [ doo3oo49z20z2b ] 返信する

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ありがとうございます。

2013/1/14(月) 午後 2:50 憲坊法師 返信する

子供が借りたジャックと豆の木の表紙に「再話」とあり、意味を調べていたらこちらを拝見できました。
なるほど、再話作業をされる方次第で、物語の色味など変わってくるのでしょうね。勉強になりました。

2017/7/20(木) 午前 11:56 [ ねこねこ ] 返信する

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> ねこねこさん、私もこの本で目が開いた様な気がしました。
考えてみればShakespeareの歴史ものも、忠臣蔵も「史実の再話」と言えるのですね。

2017/7/20(木) 午後 0:01 憲坊法師 返信する

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