ブックデザイナー大貫伸樹の日記と装丁談義

古書蒐集・装丁談義、木片オブジェ、銅版画、豆本など。

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昨日、仕事で神保町に出かけた折り、古書店の屋外に壁面にそって設えてある本棚を眺めていたら、隅の方に古ぼけた本があったので手に取ってみた。これが、なんとも魅力的な前衛美術を取り入れた見事な装丁だった。[写真上]


装丁家名はどこにも記載されていないのは残念だが、即購入した。江原小弥太『創作混濁』(太陽堂書店、昭和12年)価格は400円。久々に胸がときめいた。あまりの嬉しさに古書店のレジに、これから届けなければならない原稿を置いてきてしまった。


古書価が安いののはちゃんと理由があった。箱がないのは当然として、実は本体と表紙がばらばらに外れていた。[写真下]
帰宅してから、すぐに修復に取り掛かった。
修復のポイントは4点ある。
1…表紙の背にカルカス(葉書くらいの厚みの紙を貼る

2…本体の背に寒冷紗を貼る

3…クータ(茶封筒で天地は本文よりやや小さく背幅も本文背よりやや小さく、筒状に作る)を貼る

4…新たな見返しを貼る

これが私が手を加えた補習の工程だ。本格的な全面修復ではないが、元の資材を残したままでの修復なので、外見からはほとんど修復したことはわからないが、本文と表紙をつなぐ寒冷紗と見返しが新たな蝶番の役目をし、だいぶ補強されたのではないかと思う。


ネットで『創作混濁』を検索してみると裸本で2000円、函付きだと6000円もする。装丁家名がわからないときは、巻末の自社広告を調べたり、同じ出版社の同じ著者の出版物を調べたりして見つけ出すのだが、江原小弥太については結構調べることができるが、この本の装丁家に結びつく情報は少ない。


新潟県柏崎市生れ。松田青針、中村葉月らと同人歌集「潮鳴」を刊行。『創作 新約』上中下揃(越山堂書店)『創作 復活』などキリスト教関連の著書が多い。


daily-sumus-20060301-10には江原小弥太『我が人生観』(越山堂、一九二六年十九版)についての話が書かれており、この本の装丁家・牧寿雄についてもMAVOの同人で、1927年2月には京都で『MAVO染織図案集』を編集し、牧寿雄『新希臘派模様』(内田美術書肆、昭和2、和装)などの著書があることなど、情報のやり取りがなされている。


しかし、『創作混濁』と牧寿雄との関連については何もわからない。『創作混濁』の装画がMAVO同人が描いたのではないか、という仮説はかなりおもしろいように思える。


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