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「ていうか、高ぇよ!一回の食事に、四万七千って、何だよ!!おまえ、バカじゃねぇの!!」 直紀は隣を歩く、希代の馬鹿男に罵声を浴びせながら、歩いた。 いくら、誕生日だからって、桁が違うにも程がある。 「美味しくなかった?」 緑朗の問い掛けに、ぐっと言葉を飲み込み、 「そりゃ、美味かったけどよ…」 確かに、料理もお酒も美味しかった。 今まで、味わったことのない高級料理に、舌鼓を打ち、目の前にはそんな自分を 幸せそうに見詰める、愛しい恋人。 幸福だと、てらいもなく感じた。 けれど…。 「だからってなぁ、四万七千はねぇ!四万七千は!!」 「そんなに、怒んないでよ。直ちゃん…」 「……っ!」 緑朗に、ぐっと肩を抱かれ、直紀は言葉を詰まらせた。 「直ちゃん…」 上から、覗き込む緑朗に直紀は身体を固まらせた。 直紀が、こんなに怒っているのには、訳がある。 料理も、最後の一品を食べ終え、満足そうに溜め息を着いた、その時―。 「直ちゃん、上に部屋取ってあるから…」 と、緑朗がルームカードをテーブルに置いた。 まるで、ドラマのような…、いや今時、ドラマでもやらないようなシチュエーションに、直紀の胸はバク ついた。 ドキドキを通り越して、バクバクだ。 恥ずかしくて、一気に顔が真っ赤になった。 雰囲気のある店内に、余裕ぶった目の前の恋人。 まるで、夢物語だ。 クラクラとする気持ちを悟られないために、直紀はいつも以上に、緑朗を怒鳴り上げていた。 「直ちゃん、忘れられない夜にしてあげる」 しかし、微笑む緑朗には、お見通しのようだ。 それさえも恥ずかしくて、直紀は声を荒げた。 「なんだよ!その気持ちの悪い台詞は!!」 「気持ち悪いって…。俺はただ、直ちゃんのこと大事にしたいだけなのに…」 「緑…」 直紀は、上から見詰めてくる緑朗を見詰め返した。 しかし、直ぐさま視線を逸らすと、 「……部屋、どこだよ?」 と、小さく呟いた。 「あっ!うん!!早く行こう!!」 「………」 恥ずかしくて、直紀は俯いた。 恥ずかしくて、恥ずかしくて死にそうだけど、緑朗の愛を感じて、少し、…いやかなり嬉しかった。 恥ずかしかったり照れ臭かったりしたのも、その裏返し。 だから、素直に甘えよう。 今日は、特別な夜なのだから…。 緑朗が取った部屋は、高層階にあり、夜景がきらびやかに瞬いていた。 「すっげぇー!!」 「気に入ってくれた?」 緑朗は階下の夜景に、感動している愛しい恋人を、後ろから抱きしめた。 「直ちゃん、愛してるよ…」 「……俺も…、愛してる」 互いに向き合うと、ゆっくりと唇を合わせた。 重なり合う唇から、互いの愛が伝わる。 柔らかな感触は、次第に熱を帯び…。 「…直ちゃんっ!!」 ギュウっと、緑朗に抱きしめられた。 直紀は、その熱を浴びながら、 「……汗、かいてるから…」 と、恥ずかしそうに小さく呟いた。 「直ちゃ〜ん!我慢できない!!」 情けない声を上げながらも、熱っぽい視線に、 「一緒に…、入るか?」 と、直紀は緑朗を見詰め返した。 「うんっ!俺、風呂溜めてくる」 さっきまでとは、打って変わって、満面の笑みになった緑朗は、まるで、鎖の外れた犬の如く、風呂場に 向かった。 そんな嬉しげな緑朗の様子に、直紀は可笑しくて、嬉しくて笑ってしまった。 「おまっ…!飛ばし過ぎ…」 のぼせ気味の直紀を、支えながら緑朗は、 「ごめんね」 と、苦笑いしながら言った。 「おまえ、反省してないだろう!」 緑朗の、苦笑いというよりニヤけ笑いに、直紀は噛み付いた。 「だって、裸の直ちゃん前に抑制出来るほど、老成してないよ、俺」 「だから、ニヤけ過ぎ!!」 「だって〜、直ちゃん可愛すぎるんだもん」 「おまえなぁ…」 緑朗の、相変わらずのアホっぷりに直紀が、呆れていると、 「それに直ちゃんも、激しかったじゃん」 と、緑朗が反論してきた。 「ぐっ…」 「久しぶりだから、燃えちゃった?」 ニマニマ微笑う緑朗に、 「うっさいわ!仕方ないだろうが!!ボケッ!!」 と、照れ隠しの口汚さを発揮すると、くっつく緑朗を振り払おうとした。 「離さない」 緑朗はギュウっと、直紀を抱きしめると、愛おしそうに囁いた。 「緑…」 直紀が降り注ぐであろう、キスを待つためにゆっくりと、瞳をつぶろうとした時…。 『チャラチャッチャー♪』 と、無機質な着信メロディーが鳴り響いた。 「直ちゃん、ごめんっ!」 緑朗は、慌てて直紀から身体を離すと、携帯電話の入っているジャケットの方へ急いで行った。 「何だよ…」 直紀は緑朗に聞かれないように、小さく呟くと、出鼻をくじかれた腹立だしさに、舌打ちした。 甘い時間を割く、無遠慮な電話の相手にも、ムカついたが、何より緑朗が甘い雰囲気を壊してまで、電話 に向かったのが、気にくわなかった。 いや、もうムカッ腹が抑えられないでいた。 (誰だよ、一体!?) 着信呼び出しに間に合わなかったのか、緑朗は手元で携帯電話を操作すると、どこかに電話を掛け始め た。 しかし、相手は出ないのか、緑朗は無言で携帯電話に耳を傾けている。 いい加減、勘忍袋の尾が切れそうになった、その時…。 緑朗が携帯電話を、ローテーブルに置くと、部屋備え付けの冷蔵庫から、何かを取り出した。 「緑…?」 携帯電話は、繋がったままのようで、無機質な音が聞こえる。 『ピッピッピッ・ポーン…』 (時報…?さっきのは、まさかアラーム…?) 直紀が、緑朗の一挙一動を見守っていると、緑朗は、取り出したシャンパンとグラス二つをローテーブル に置いた。 「緑…」 グラスに注がれる、黄金の液体には小さな気泡が弾けていた。 『午前零時ちょうどをお知らせします。ポッポッポッ・ポーン』 「ハッピーバースデー、直ちゃん」 緑朗はシャンパンを掲げると、甘く囁いた。 「おまえ…、演出凝りすぎ…」 時報を聞いてまで、零時ちょうどに祝いの言葉を、伝えてくれた甘過ぎる恋人に、直紀は照れ臭くて苦笑 いした。 「……ありがとう」 緑朗の掲げるグラスに、グラスを傾けると、チンッと音を響かせた。 今夜は、特別な夜―。 二人は、グラスのシャンパンを口にすると、どちらからともなくキスを交わした。 甘く甘い、その口づけは互いをとろけさし、再び求め合わせた。 「直ちゃん、愛してるよ」 「俺も…」 解かれるバスローブの紐が、床に落ちたのと同時に、直紀は緑朗の背中に縋り付き、緑朗は直紀を抱き留 めた。 重なり合う二つの身体の背景に、きらびやかな夜景が、瞬いていた――。 |
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直ちゃん、誕生日おめでとう!
素敵に甘甘な誕生日になったみたいで良かったねd(´Д`*)
それにしても、一食5万弱は…
パンピーなぐるには一生無理かも…
今回例の画像が使われるということで、
いつもに増してドキドキと拝読させてもらいました^^
ひかるさんの文はとっても良かったんですが、
やっぱりぐるの画像が…画像が・゜・(/Д`)・゜・
もうちょっと頑張れば良かったと、今さらながら後悔しつつ、
やっぱり空白のエロシーンが気になったり(笑)
お風呂でどんなプレイをしたんだ?!緑!!
“飛ばしすぎ”と“老成”がツボりました!
「アマガミ。」も記念にUPさせて頂きましたので、
トラバさせてもらいますね〜。
2009/8/23(日) 午前 8:47
ぐるさん、ありがとうございます。
二人合わせてとはいえ、一食五万弱は高いですよね。
どんだけあいつ、セレブなんだ…。
しかも、宿泊代も考えたら、恐ろしい事に…!!
きっとお年玉貯金も、使い果たしたことでしょう(笑)
改めまして、素敵な画像ありがとうございました。
更新記録でご紹介しようとしたのですが、記事UPが出来ず…。
これからもう仕事なので、記事書けませんが帰ってきたら「アマガミ。」も含めてご紹介させて頂きますね。
(というか、読みに行く時間がぁ〜…!!くぅ!早く読みたい!!)
空白のエロシーンは、後日ファン様限定でUPさせていただく予定です。
どんなプレイをしたのか…!?
って、なんだか誇大広告出したみたいで、ちょっと引き気味ですが多分至って普通…(笑)
どうぞお楽しみに☆ミ
改めまして、今回はありがとうございました。
これからもよろしくお願いします♡
2009/8/23(日) 午前 9:25