瑠璃色

『三度の飯より…。』改め『瑠璃色』に、ブログ名を変更しました。これからも、宜しくお願いします。

全体表示

[ リスト ]

Love Story 14

「直ちゃん好き……っ!」


緑朗は自分自身を慈しむような直紀の表情に感化され、その唇に熱い想いを込めた。
幾度となく味わっているのに、その唇は重ねる度に愛しさを増し、緑朗の心に幸福と切なさを産む。
好きで好きで堪らない。
離したくない。
出来ることなら、このままいっそ一つになれたらいいのに…。


「んっ……!」


直紀が、息苦しさに小さく吐息を吐いた。
どんなに想っても、一つにはなれない証。
けれどそれは、愛しい証。
二人だから感じられる事、二人だから愛し合える事。
互いの愛しい気持ちに寄り添い、想いあえる。時にはぶつかり衝突し、自分の嫌なところも見せ合い、そんな自分に幻滅し、それでも互いを想い合う気持ちから、やがて互いの悪いところも受け入れられ……。
自分自身の見たくない部分を受け入れてもらえ、自分を赦すことが出来た。
そうやって今までやってきた。きっと、これからもずっと……。

緑朗は直紀の頬に優しくキスを落とすと、その髪にそっと触れた。


「直ちゃん…、愛してる」

「俺も……」


互いの瞳と瞳を絡め合い、唇を重ねる。
つい愛しさの余り、再び我を忘れて貪ってしまった。
二人だから愛しいのに、その実、唇が離れた切なさを感じていたら、自分の腕の中、肩で息をする直紀と目が合った。


「……んっ。ふぁ…、ろく?…俺、全部聞くから…」


不安な気持ちを悟ったかのように抱きしめられた。愛しい恋人に。まるで、幼子をあやすかのように…。
ありがとう……。
首に回されたその腕に力が籠るのを感じ、緑朗は覚悟を決めた。
直ちゃんは、不安な自分をいつもこうして温めてくれる…。
頬を紅く染め、虚ろ気な瞳の直紀が愛しい。
全て…。
自分の全てを受け入れて欲しくて…。
きっと、直ちゃんなら自分の全てを受け入れてくれると信じて……。
その中には、願望もあった。
直紀を独り占めにしてしまいたい欲深さや 、自分の中の嫉妬深さ、自分の中の醜い自分も直ちゃんは、全て包み込んでくれる。
甘えることを恐れていた自分を、心の奥にある寂しくて震えそうな自分を、直ちゃんは優しく温めてくれる。
本当は、そんな自分知らなかった。
直ちゃんと出会うまでは…。

多忙な両親に甘えたくても甘えられず、そんな感情を押し殺して良い子を演じていた。
どうせ聞いてもらえないのなら、話しかけなければいい。他人に期待なんてしても、裏切られたり叶わなかったりするぐらいなら、端から人を信じなれけば良い。
当たり障りなく“良い子”“良い人”を演じていれば、割と世の中は楽に生きていける。
それが、例え自分自身を殺すことになろうとも……。
そうして悟った振りして生きていたのに、直紀に出会って全てが変わった。
今までの自分が崩れ落ちた。

寂しいだとか甘えたいだとかの感情は、自分には無いと感じていたのに、それは錯覚だった事を直紀と出会って思い知った。
本当に欲しかったものに出会えた時、そんな自分は崩れ落ちた。
……けど、割と今の自分は嫌いじゃない。
直ちゃんを好きで好きで、堪らなく愛しい自分は、嫌いじゃないんだ。





.
田中ひかる
田中ひかる
女性 / A型
人気度
Yahoo!ブログヘルプ - ブログ人気度について

スマートフォンで見る

モバイル版Yahoo!ブログにアクセス!

スマートフォン版Yahoo!ブログにアクセス!

1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31

過去の記事一覧

よしもとブログランキング

もっと見る

プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事