懐かしい風景

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 カトマンズとパタンを結ぶバグマティ橋を渡って、パタンの町に入り、
 橋のすぐそばにある階段を下りていくと バグマティ川の岸辺に立つことになる。
 カトマンズの人口増加によって、すっかり汚染されてしまったバグマティ川、
 岸辺に沿って造られている道を上流に向かってどんどん歩き続けていくと、
 ラナ家専制時代の始まりの頃、今から150年以上前に作られたヒンズー寺院が
 ある地域に入っていく。

 この道は地元の人間が行き来するぐらいで、昼間でも人の姿は少なく、
 人の姿といえば あたかも廃家のようになっているレンガ造りの建物に住んでいる
 人ぐらいのものである。
 徒歩で移動する人の少なくなったカトマンズでは 主要道路から離れているこの場所には
 不思議な静寂が漂っている。

 バグマティ川の岸辺の寺院や火葬場は ラナ専制時代にその多くは造られてきた。
 サハ家からその権力を奪い取ったラナ家の創始者 ジャンバハドール・ラナの死後、
 その弟によって、兄の死を悼んで建てられたものがほとんどであるが、
 ジャンバハドール・ラナも暗殺されたのではないかという疑いもある。
 兄のために 寺を建てたこの弟も 暗殺されてしまう。
 そして、権力は ジャンバハドール・ラナ家からシェムシェル・ラナ家へと移っていく。
 そのシェムシェル・ラナ家も60年近く前のサハ家の王政復古によって、力を失って
 しまうことになる。

 後ろ盾を失った寺やその周辺の家屋は 維持・援助する人間を失い、
 崩れるままに任せているという姿を見せている。
 こんな寺の姿を見ていると、宗教とは なんだろうという疑問も湧いてくる。
 未だに隆盛を誇る寺もあれば、こうして衰えを見せる寺もある。
 人々の信仰を集める寺は 朝夕に人々は祈りのためにやってくる。

 ラナ家が 権力を誇示するために建てた寺は ラナ家の権力の衰退とともに
 人々は見向きもしなくなる。
 ヒンズー教至上主義を掲げ、その権力、武力によって押し付けた宗教の行方が
 ラナ家の寺の姿に現れている。
 カトマンズに住んでいる人に聞いても この寺のことを知らないものも多い。

 このカトマンズの先住民族 ネワール族が建てた寺は 未だに息づいており、
 人々の参拝は途切れることはない。
 それらの寺は 権力とは無縁のものだ。
 ネワール族の生活場所の中にあり、日々の行事の中に組み込まれている。
 大小の寺の中には 様々の神々がおり、人々によって祭りが催せられ、
 祭りの際には 人々とともに街じゅうを練り歩く。

 人間も 同じことだろう。
 昨日 頂点にいた人が 明日には見向きもされなくなるというのが 
 今の時代でも 同じである。

 カトマンズの喧騒が 嘘のようなこの場所を歩いていると、
 昔のカトマンズを歩いているような気分になるから不思議なものである。
 バグマティ川の水の流れは すっかり汚れてしまったけれど、
 この川の岸辺には 人間の歴史、今生きている喜怒哀楽が深く刻み込まれている。
 インドもネパールも 川は聖なるものであり、日本とは違う意味を持つ。
 そんなことも感じさせてくれるバグマティ川の岸辺である。


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素敵な写真ですね。拝読するのは明日にさせていただきます

目が駄目です。(パソコンにしがみついていたから)

2008/11/5(水) 午後 11:24 poetryfish9

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はじめまして、私の故郷も若者が故郷を離れ、周りは高齢者が残り、廃れ初めています。少なからずこの日本の田舎でも同じ現象は起きています。宗教・権力とはあまり関係はありませんが、この画像を見ているといつかは身の回りに降りかかるような気がします・・・・・。

2008/11/5(水) 午後 11:35 erim1014se

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この頃、白黒写真(ソフトを使って カラーを白黒に変えたもの)を
アップしています。
『懐かしい風景』というテーマには、白黒の方が、意図がはっきり見えるような気がして。

2008/11/5(水) 午後 11:38 [ hikaruno ]

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erim様

日本ももう一度生活の基本に戻らないといけませんね。
人が幸福であるためには そんなにものは要らないはずなんですけどね。

国も 都会の企業に援助するばかりでなく、食料の自給自足のために
田舎に新しい形で共同体を作り、都市から田舎へという流れを作り、
人が再び田舎に戻ってくることを考えなくてはいけません。

これからは 食料の奪い合いの時代がやってくると思いますよ。

2008/11/5(水) 午後 11:45 [ hikaruno ]

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ラナ家栄枯盛衰の跡ですか。次回行ったときにはぜひ訪れてみたいです。

2008/11/6(木) 午前 5:46 横浜ヒマ吉

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バグマティ川の岸辺 周辺は 初期のサハ家、初期のラナ家の建てた寺院が多くあります。
しかし、ジャンバハドール・ラナ家からシェムシェル・ラナ家に
権力が移ると 寺院を建てることより 自らの宮殿を建てることに
夢中になったようです。
グルカ兵をイギリスに送ることで莫大な富を手にし、
それでたくさんの宮殿を建てました。
それが寺院の荒れる原因にもなったのでしょう。

2008/11/6(木) 午前 10:08 [ hikaruno ]

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夢の跡・・・といった雰囲気ですね。その場所の背景が解ると興味がわいてきます。歴史の長い国ならではの「遺跡」。次回、時間を作って訪れたいところの1つになりました。

2008/11/6(木) 午後 6:39 [ mif*yo0*13 ]

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カトマンズの先住民族 ネワール族の建てたマッラ王朝時代の寺院はネワール族の信仰によって生き続けていますが、その後のサハ・ラナ家の建てた寺院は 訪れる人も少なく、寺院の神様にちなんだ祭りや
行事はないですね。
寺院そのものは維持管理されていますは、その周辺の施設、建物は
ひどい状態です。

ラナ家専制独裁の時代は 恐怖政治だったようで、未だにその時代を知る年寄りたちは その怖さを語っています。

2008/11/6(木) 午後 6:47 [ hikaruno ]


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