ネパールの教育

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 23年前、1度、ネパールの公立小学校に係わったことがある。
 当時、トリブバン大学の人類学教授であったドルバドール・ビスタ氏が中心になって、
 キルティプールに住む低カーストの子供の教育のために開校されたゴルカナート小学校だ。
 その頃は、キルティプールの子供たちの大半は、公立学校に通っており、
 低カーストのためにそうした公立学校からはじき出された子供たちのための学校だった。
 そういう意図から、開校された学校であったが、勤めている教師はといえば、
 高校卒業資格試験(SLC)に合格した人たち、アルバイトに教師をしているといった感じで、
 熱意などは、感じられなかった。
 遠足などで野外料理を作っても、食べるのは、カーストの上位の子供からと順が決まっており、
 この学校開設の意図など、全く理解していない教師たちだった。
 その学校には、4ヶ月程度、係わったが、教師たちの姿を見ていると、
 それ以上協力しようという気にもなれず、それ以上続けることもしなかった。
 
 その頃からだ。カトマンズに私立学校ブームが起こったのは。
 以前から、富裕層のための寄宿舎制学校もあったが、大半の子供は公立学校に通っていたし、
 大学といえば、トリブバン大学だけであった。
 私立学校を開けば儲かるということが、わかり始めると、インドから教師を呼んだりして
 教師不足を補いながら、どんどん私立学校が、増え始める。
 小学1年生から英語を教える、教科書(算数、社会、理科)も英語で書かれたものを
 
 使うという触れ込みのもとに、親の関心を誘ったのである。
 一方、ネパール政府といえば、人口増加による学校不足を、私立の増加に任せ、
 全く手を打とうとはしなかったのである。全く、私立学校に寄りかかってしまったのである。
 その結果が、カトマンズで私立学校に通う子供90パーセント、
 公立学校に通う子供10パーセントという異様な形を生み出したのである。

 ここには、ネパール政府の公教育に対する熱意は、感じられないのである。
 国づくりにおいては、公教育は、国民の教育の平等を保障する唯一の方法である。
 カトマンズにおいては、それすら保障されてはいないのである。
 
 私立学校のレベルにしたがって、授業料の額も上がり、親の収入が高ければ、
 レベルの高い学校へ、お金がなければ、最低レベルの公立学校へというヒエラルキーが
 出来上がってしまったのである。

 高校資格試験(SLC)に上位合格者を出せばいいという詰め込み主義が私立学校には蔓延り、
 人間としての社会教育のかけた人間が生み出されていくのである。
 下校時の学生たちの道を歩く姿、右も左もない、道一杯に広がって歩いているのである。
 信号など無視、我がまま勝手な姿である。
 公の場でどう振舞えば、良いのかなど、全く教えられないのである。
 こういう教育の中では、ネパール政治、政府官庁の中での賄賂、汚職の構造も
 生まれてくるのは無理のないことである。
 自分さえ良ければいいのである。
 社会のために尽くすという人間が生まれてこないのも当然のことである。


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