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雑然とした大都会 バンコクの生活が長くなると 妙にカトマンズのことが
懐かしくなってくる。
カトマンズを流れるバグマティ川の岸辺近くの寺院の持つ静けさが恋しい。
バグマティ川に架かる黒い鉄製の吊橋を渡り、レンガ造りの階段を下り、
バグマティ川に沿って歩き始める。
この当たりには 二つのシバ寺院がある。
一つは サハ家によって建てられたもの、もう一つはラナ家によって建てられたものだ。
サハ家のものはネワール族の建築様式で建てられ、ラナ家のものはインド様式を取り
入れて建てられているが ネワール族の建築様式も所々には残っている。
サハ家の建てたシバ寺院を通り過ぎると ラナ家の建てたシバ寺院へと続くわき道が
あり、そのあたりから、風景の中に静けさが漂い始める。
赤いレンガの塀にはさまれた石畳の道、百年以上前から続いているその姿である。
人口増加の激しいカトマンズの中にあって、ここだけは 静寂が今なお残っている。
雨の降らない今年の雨期の暑い最中にあってさえ どこか清涼な空気がここにはある。
ラナ家の創始者 ジャンバハドール・ラナの死後、ラナ家を継いだその兄弟のラナ・
ウディットによって建てられたシバ寺院であるが、そのラナ・ウディットも 他の
兄弟たちに暗殺されてしまう。
ラナ家の血で血を洗うような権力争いの始まりである。
ラナ家の創始者であるジャンバハドール・ラナも 狩猟中の事故であったと言われて
いるが、暗殺であったという疑いがある。
ラナ・ウディット暗殺の後、その兄弟ビル・シェムシェルの一派によって、
ジャンバハドールの直系である息子や甥たちの多くが虐殺されたのである。
当然、この寺院はその後の権力によって打ち捨てられてしまった。
この寺院を参拝するものは ジャンバハドール一派であると思われたに違いない。
私は この寺の中にあるシバ寺院より 寺の周辺の姿に惹かれる。
丸みを帯びた石畳の上を独りのネパールの中年女性が歩いていく。
日々のお勤めのためだろうか。
シバを祭っている古い祠が 彼女の大切な信仰の対象のようだ。
この寺院にやってくる数少ない信者の一人である。
未だに打ち捨てられているという姿を多く眼にするこの辺りの光景は
心の中に深く染みこんでくる。
深い悲しみと静寂、こうしたものが辺りを支配しており、
その雰囲気が実に魅力的なのだ。
ここにやって来れば 大抵は独りきりになれる。
この寺院の持つ静寂を 心行くまで独りきりで楽しむことが出来る。
これほどの贅沢はない。
私が生きている間はどうにか 今の姿を保ってくれそうだ。
どんなに有名な場所であっても 騒がしい場所はお断りである。
心落ち着く場所 時間の流れが緩やかで その流れに身を置く心地よさが
感じられる場所、そんな場所の一つが このシバ寺院の周りなのである。
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