|
三日三晩 眠れない夜が続いてしまった。
本棚を覗いたら 山本周五郎の『さぶ』が眼に入ったので 抜き出して読み始めた。
沢木耕太郎も『深夜特急』の中で取り上げている本であるから、てっきり読んだ
つもりでいたら 全く内容に記憶がないことからすると読んでなかったようだ。
本の題名は『さぶ』であるが、主人公はさぶではなく さぶの友達 栄二で さぶは
複線として出てくるだけである。
沢木耕太郎氏がアジアからヨーロッパへ抜ける旅の途中でこの本を手に入れ、
よく話題にする本である。
頭の回転の速い栄二とどちらかといえば回転の遅いさぶとの関わりが描かれているが、
この本の内容とアジアからヨーロッパへ抜ける途中で出会ったこの本との感動の
出会いがぴんとこない。
日本語の本に飢えていたから この本が心にひかかったのかもしれない。
しかし 内容的には重い内容の本で さぶの人のよさには感動しても、栄二の身勝手な
発想には付いていけないところもある。
日本的な情緒の世界を受け持っているのが さぶ、自己の芽生えといった
ヨーロッパ的な価値の世界を受け持っているのが栄二の世界である。
二人の世界は結局折り合いがつかないようにも思えてくる。
沢木耕太郎氏がこの本に引かれたのは 折り合わない栄二とさぶとの二人の関係を
アジアとヨーロッパと重ねてみたのかもしれない。
日本的なものとヨーロッパ的なものといってもよいかもしれない。
山本周五郎もこんなところに日本とヨーロッパとの折衷を試みていたのかも
しれないが、さぶが葛西の実家から帰ってくる最後の場面を読んでも、
さぶはかたくなにさぶであるし、栄二は相変わらず理屈で物事を理解しようと
するところは変わっていない。
栄二中心の理屈っぽさが抵抗になって 読まずに置いたのかもしれない。
さぶの持っている日本的な世界を必要以上に期待していて、さぶの物語ではないと
いうことから、読むことを拒否していたのだろう。
栄二の周りの人間関係はさぶ的な人間関係に彩られている。
おのぶ、おすえ、与平などひたすら栄二に尽くすだけである。
さぶの無償の奉仕が周りを変えていっているのである。
沢木耕太郎も栄二に対してより、さぶやおのぶ、おすえ、与平に対して共感を
憶えたのかもしれない。
アジア的世界、日本的世界がさぶの行動を通して語られているのだ。
江戸庶民の情緒の世界、古い日本の良さがさぶの行動を通して語られている。
日本の戦後の高度成長期前までは 下町のどこかに残っていたような人間関係だ。
最近話題になった『夕陽丘3丁目』シリーズとつながるところもある。
『Always 夕陽丘3丁目』をタイのテレビ番組で見た。当然タイ語の吹き替えだった。
あんな野暮ったい世界とさぶの住んでいた下町の世界がどこかでつながっている。
暖かいものは 理屈ではなく 野暮ったいものなのだ。
さぶの世界が まさに野暮ったい世界である。
格好いいもの、シャープなものを求めているうちに
何か大切なものを失っていくようだ。
それは栄二の求めていた自分勝手な世界、格好のいい世界である。
自分の理屈しかない世界であり、それは現代社会と通じるところがある。
そんな視点から 山本周五郎 『さぶ』を読んでみるのもいいだろう。
それは『夕陽丘3丁目』ともつながる世界でもある。
世の中の暖かいものは 大切にしようとしなければ、いつのまにか失われ、
味気ない世界だけが残っていくだろう。
++ブログランキングへの協力をお願いします。++
** 忘れないでね ** ↓ にほんブログ村ランキングに参加しています。
*面白いと思ったら下のアドレスをクリック* https://travel.blogmura.com/ 人気ブログランキングに参加しています。
*面白いと思ったら下のアドレスをクリック* [ http://blog.with2%2enet/in.php?590199 ] |

- >
- Yahoo!サービス
- >
- Yahoo!ブログ
- >
- 練習用



