バンコク 運河の辺の街

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 昼間の午後を過ぎると 扇風機を回している部屋の中に熱気がこもり、ちょっと外へ
 散歩の出掛けたくなる。
 かといって バスに乗って遠くまで出掛けるのもわずらわしい。
 こういうときには アパートの裏手にあるセンセーブ運河の対岸にあるイスラム教徒の
 住む集落 バーン・クルアあたりを 運河沿いに歩くことにしている。

 チャム族は 古くは 紀元1世紀頃から18世紀頃までベトナム南部に栄えた
 チャンパ王国の子孫といわれている。
 ベトナム北部から南進してきたべト族との戦いに敗れ、多くのチャム族たちは
 カンボジアに逃れ、タイのアユタヤ王朝の時代に タイとカンボジアとの戦いの際、
 戦争捕虜としてアユタヤに連れられてきたが、後にアユタヤ王朝に忠誠を約束し、
 航海術に優れていたチャム族は アユタヤの水軍の傭兵として働き、
 それは バンコクの現王朝 ラッタナーコウシン王朝に引き継がれた。
 ラーマ1世の時代のカンボジアとの戦渦の際にも 多くのチャム族が 難民として
 バンコクにやって来た。
 タイ水軍の傭兵としての充分な働きに対して バーン・クルアのこの土地に住むことを
 許されたのである。

 暑い午後の陽射しの中でも 運河沿いの歩道を歩けば、風も吹いている。
 バーン・クルアの集落へアイスクリームを売りに行く行商の男と 運河をはさんで 
 平行して歩く。
 東北タイからの出稼ぎの人間のようだ。
 工事現場のきつい肉体労働の中で、お金を貯めて、資金が出来ると
 行商に精を出す人も多い。

 運河に架かる橋を渡って バーン・クルアの集落に入っていく。
 暑い午後では 道を歩く人の姿も少ない。
 運河沿いには 昔からの木造の古い家屋が多くある。
 こうした家屋は ラーマ3世時代にここに住みついた人たちの住居なのだろう。
 味わいのある木造住宅であるが 傷みもひどい。
 彼らが住みついた頃は このあたりは森で、バンコクの人々は 彼らのことを
 『森に住む人』と呼んだようだ。
 タイ水軍の傭兵として働きながら、大半は農業を生業にしていたようだ。

 カンボジアの政情不安から イスラム教徒であるチャム族への迫害から、多くの
 カンボジアのチャム族の人たちが、ここにやって来て住みつき、古い木造家屋の間に
 家を建てて行ったようだ。
 同じイスラム教徒同士の助け合いの精神もあり、容易に新しい住民を受け入れたのだろう。

 歩き続けていくと 昔懐かしい下町の雑貨屋のような店がある。
 スーパーマーケットやセブンイレブンなどとは違って、集落に根付いた店の持つ
 温かみを感じさせる雰囲気がある。

 イスラム寺院であるモスクの近くに行くと イスラム教徒特有の帽子をかぶった人々が
 屋台の椅子に座り込んで昼ごはんをのんびりと食べている。
 近くの待合場所のような建物の中では イスラムの女たちが 井戸端会議の最中である。
 チャム族のイスラム教徒の女たちは いたって解放的で 日本人である私を見かけても
 気軽に声をかけてくる。

 路地の中に入っていくと 一夜干しの牛肉売りの行商人がいる。
  「何の肉か」と訊くと、
 近くに居たイスラムの男が
  「ここでは食べるのは 牛肉と鶏肉だけだ」と答えてくれる。

 路地の中を抜けて 車の走る大きな橋の下の広場に行き着くと 
 仏教徒らしい老人が闘鶏用の鶏の訓練をしている。
 そこを通り抜けると 姉弟らしい子供たち二人が 大きな象の像の前で遊んでいる。

 こんな何気ない散歩であるが 今やバンコクの中心ともなったサイアムスクエアーから
 歩いても 15分ぐらいの場所にある地域である。
 東京の渋谷から歩いて15分の場所に こんな世界を見ることが出来るだろうか。
 ここ15年間の急激なバンコクの発展の中では こんないびつな不思議な世界も
 残っているのだ。
 
 モダンライフの象徴でもあるサイアムパラゴン、MBKセンター、
 ディスカバリーセンターあたりから 10分ほど歩いただけで 
 20年以上前のバンコクの世界を眺めることが出来るとは 感動すべきことである。
 これがアジアのアジアたる所以のようなものだ。
 発展の表側だけを見ていたのでは アジアの喜怒哀楽は見えてこない。
 人々の生活も見えてこない。


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 チャム族の住む街バーン・クルアで忙しそうに働いているのは女たちだ。
 街の中の店の切り盛り、屋台でのおかず売りなど、女の仕事で、男たちは
 影が薄い。

 それはチャム族の結婚形態が、関係しているのであろうか。
 チャム族は、入り婿制だ。結婚すると、男が女の家に入って生活する。
 田舎に行けば、タイの仏教とも入り婿制であり、家を継ぐのは一番末の女の子だ。
 東南アジアでは比較的多い結婚制度ではないだろうか。
 チャム族について言えば、3人娘がいれば、
 3人の婿が、同じ家の中で生活することになるわけだ。
 実際には、家が狭ければ、相談の上で、外に家を持つことも多いようだ。
 入り婿制だから、財産は、当然女が相続することになる。

 そのせいか、チャム族の女は、たくましい。
 家の陰に隠れて こっそり静かに生活している様子はない。
 何か街での共同の作業があれば、男たちへの指示を出しているのは女たちだ。
 スカーフなどで顔を隠していることもない。大変開放的なのだ。
 イスラムの教義に寄れば、男は4人の妻を持つことが出来ると
 女たちは一応認めているが、こんなたくましい女たちの前では、男たちも自分たちの
 権利を主張することは難しいだろう。

 この頃では、仏教徒との結婚もあるらしいが、男は入り婿制であるから、
 イスラムに改宗し、割礼も受けねばならない。
 この街が安定しているのも、
 一つには、女の権限が強いことにあるのかもしれない。
 男は争いごとを好むが、女は安定を好む。
 男は理想主義者であるが、女は現実主義者だ。

 ベトナムからカンボジア、タイと移住を繰り返してきたチャム族であるが、
 その土地土地の政治、環境によって、彼らの宗教も変遷している。
 祖国を失ったものの柔軟な適応力の結果、それは女たちの現実主義が
 生み出したものかもしれない。
 この街全体を包む柔らかさは、
 女たちの現実的な適応力が大きく作用しているように思えてならない。
 やはり、女はしたたかである。


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 夕食のおかずを買いがてらに、運河沿いの街 バーン・クルアに行ってみた。
 バンコクもこの時期になると 夕方6時過ぎともなると、夕闇があたりと包み始める。
 買ったおかずを片手に 橋の上から灯の燈り始めた街を眺めていると
 なにやら遠い昔への郷愁が沸き起こってくる。
 バンコクのこの運河にかかる橋の上に 
 今、自分がいることを 過去に予測したことがあっただろうか。
 予測のつかないのが人生であるならば、今、将に自分はその上に立っている。

 夕闇の中で、ポツリポツリと、家々に灯かりが燈っていく。
 照明灯を燈した水上バスが、勤め帰りの人々を乗せて通り過ぎてゆく。
 心温まる懐かしい風景だ。
 どんな国のどんな街でも、夕暮れの光景は美しいものだ。
 夕暮れに 自らの家に向かう人々の心には 安らぎを求める姿がある。

 この場所をいつまで眺めることが出来るのだろう。
 私もいつかは、この地を去ることになるだろう。
 この運河の流れのように、人生の時の流れは過ぎ去ってゆく。
 しかし、夕暮れのこの風景は 
 いつまでも私の心に残っていくことだけはわかる。


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 朝、バーン・クルアの北地区に行ってみると、
 運河のすぐそばで 水汲み上げポンプが、うなりをあげている。
 何事かと、そのポンプに繋がれたホースを辿って行ってみると
 休日を使っての北地区の住民総出の溝掃除が始まっていた。
 ホースを持つ者、溝板を上げる者、ごみを掬い出す者と 皆 大忙しだ。

 何かあると、住民総出で仕事を協力し合ってするのは、
 この地区の習慣のようだ。中学生以上の子供たちも例外ではない。
 中には逃げ出して、運河で泳いでいる連中もいたが、
 見つかっては、街の年寄りたちにお小言をもらっている。
 街を清潔に保ち、住み易くするのは、老若男女と問わず、
 すべての住人の義務ではあるが、
 この地の古い住民チャム族の人々の姿はあったが、
 借家人の出稼ぎの人の姿はなかった。

 水をくみ上げるポンプは、火事の際にも使われるポンプらしく、
 火事の際のための実地の訓練にもなっているようだ。
 チャム族の住民同士の絆は固く、街をよくしようとする協力体勢に
 この街の長い歴史を感じてしまった。
 誰も嫌がらず、当たり前のことのように 溝掃除をしている。
 ここはスラムではないのだという強い意識とプライドが
 この地を愛するチャム族の人たちにはある。
 こうした意識がなければ、このような住居の密集している地域は
 すぐにも、不潔でゴミだらけの街になってしまうだろう。

 実際、大した街である。愛すべき街である。


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 運河の岸辺に3隻のモーター付の船がある。
 いつもこの前を通り過ぎながら、何のためだろうと不思議に思っていた。
 パトカーについている照明灯が付いており、如何にもいかめしいのである。
 水上パトカーなのだろうか。スピードも出そうである。

 その疑問が 今日、解けた。消防船なのである。
 この消防船を管理し、整備しているチャム族の男性が説明してくれたのである。
 1艘の消防船の価格は、百万バーツ(約3百30万円)、
 消防船は政府がくれたが、整備の費用は街の持ち出しのようだ。
 私が耳を傾けると、消防船にかけている覆いを取り、水を得た魚のように
 機械のこと、整備の大変なこと、モーターは日本製であることなどを 
 長々と説明してくれる。
 この消防船、彼の生きがいのようである。

 遠い昔の水軍としての血の騒ぎをこの消防船に託しているのであろうか。
 タイ海軍の中にも、チャム族の人たちはいるようである。
 きっと 彼らなら、ひとたび、火事でも発生すれば、
 勇敢に現場に駆けつけ、活躍するであろう。
 このバーン・クルアの街には、消防車の入れるような広い道はない。
 火事の消火をするには、運河からの消火の方法しかないのである。

 水軍の末裔であるチャム族の活躍する現場を見てみたいものである。
 消防船を整備するこの男が、消防士の制服を身に付け、
 火事と戦う様は、水軍の長として活躍した先祖の姿に重なるではないか。
 そういう先祖から受け継いだ血の騒ぎを この男の熱弁の中に見た。


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