バンコク ある風景

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 バンラムプー運河沿いには、昔からのタイ人や中国人の住んでいる古い集落がある。
 その集落の中に木造の棟割長屋があり、そこにタイ風の麺の店がある。
 昼飯時が過ぎた店の前に 一人の女の子が所在なさそうに座り込んでいる。
 いかにも東北タイから出稼ぎにやってきたような色が少し黒くて、垢抜けない感じの
 女の子だ。きっとこの店に雇われているのだろう。
 東北タイの田舎からバンコクに出てきて、どんなことを夢見ているのだろう。
 どんな未来を夢見ているのだろう。

 今から20年以上前のことだ。
 スラムのクロント・トイに住んでいる三人の子持ちの50才前の女性と知り合ったことがある。
 近所の家の洗濯とペットボトルを集めることでやっと、生活しているという家庭だった。
 長男は15才、次男は12才、末っ子は9才、一番上の子供は別れた夫の実家に預けていた。
 彼女の田舎は東北タイではなく、バンコクの近くアユタヤ近くの村で、物心ついたときには 
 もう両親はなく、バンコクでお手伝いの仕事をしながら生活していたようだ。
 そんなときに三人の子供の父親に出会うが、十才も年下の男だった。
 彼は三人の子供と彼女を残して、新しい恋人の下に行ってしまった。
 彼女の次男が 中学入学の時期、彼が 中学卒業までの3年間 家族も含めて援助した
 ことがある。
 その彼女がいつも言っていたことだが、「プーイン・スウアイ キン・マイ・ダイ
 (きれいな女は食べていけない)」 それは、容姿が良いことから、化粧ばかりを気に
 して仕事をしない、そんな意味をこめていたのだろう。
 そして、美人でない彼女は そう言って 自分自身を慰めていたところもある。
 どこかに若い女の下に走った夫のことが心の中にあったのかもしれない。
 かなり、気の強い女性だった。
 三年間は約束どおり援助したが、長男のことでいざこざがあって、それ以来会っていない。
 もう70才を超えているはずだ。

 そんな彼女の姿、生き方を、店の前に座り込んでいる女の子を見ながら思い出した。
 タイの田舎では、一番下の女の子が家を継ぎ、両親の面倒を見る。
 男は一人前になると家を出て働きに出る。末っ子でなければ、女の子も同じだ。
 男も女もバンコクでの生活が苦しいから、同棲すれば、部屋代も食費も節約できる、
 そして都会暮らしの寂しさもまぎれる、そんなことから、簡単に同棲を始めてしまう。
 タイの男は、遊び好きだから、長続きしないことも多い。

 幸せな結婚を夢見ていても、現実はなかなか思い通りにいかない。
 ひどい場合は、男と女の諍いから、殺人にまで発展してしまうこともある。
 互いに苦しい生活の中で、欲求不満も溜まっているから、一挙に暴力沙汰になって
 しまうのだ。
 つい先日も嫉妬深い妻に対して、夫が殴る蹴るの暴力を使い、
 妻を殺してしまうという事件があった。

 そんなことを思い浮かべていると、これからのあの女の子の将来が気になってしまう。
 皆 幸福を手に入れたいと思っていても、そうは行かないのが人生だ。
 失敗を繰り返しながら、人間賢くなるかといえば、そうでもなく同じ失敗を
 繰り返しているのも人間だ。
 人間であることは、なんと鬱陶しいことかと思えてしまう。


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 ここに3ヶ月、あそこに1ヶ月という生活を25年に渡って生活していると、
 毎日の生活から自然とのかかわりが失われていく。
 自然を求める心は、人間の本性のような気がして、自然とのかかわりが薄れていくと
 心のゆとりも失われているのではと寂しくなることもある。

 バンコクにはチュムチョムと呼ばれる多くの集落がある。集落の中は狭い路地で結ばれ、
 庭を持つ家などほとんどない。
 それでも人々は、緑の樹木、草花を身近に置こうとする。
 狭い路地裏の僅かの隙間に 2階のベランダの上に 鉢植えの草花を並べ、
 心を癒している。

 集落全体に緑の多い集落は、貧しくても人々は心のゆとりを持って
 生活していることがわかるし、集落の中を安心して歩き回ることも出来る。
 長く人々が住みついている古い集落ほどそうした傾向が見られる。

 人々の移動が激しく、借家住まいの人の多い集落になると、緑は少なくなり、
 生活に追われているせいか、人々の表情も険しく、集落全体も雑然としており、
 清掃も充分にされていないことも多い。こういう場所は概して危険地域だ。
 昼間から若い男女が路地に座り込んでいたりして、人々の心も荒れが感じられる。
 人間の心の中の自然は嘘をつかないのである。

 この間、船上生活者の船を見た。船の中が自分の住処であると思えば、やはり草花が
 飾ってある。
 もう荷を運ぶ船としての役目を終え、住むためだけの船である。
 そんな船の甲板の上に鉢植えの草花を飾っているのは、心のゆとりがある証拠だ。
 自分は人間なんだぞと訴えているようで、貧しさに負けていない人の心が見えてくる。

 大邸宅を構え、庭師に庭の手入れをさせている人間より、切実に自然を求めているのは
 こうした庭のない路地裏に住む人たちだろう。
 『ぼろは着てても 心は錦』を地で行く人々だ。
 日本の下町もかつてはこうした人々の生活場所だったのだ。
 王侯・貴族の素晴らしい庭園よりも 狭い路地裏を飾るささやかな鉢植えの庭園に
 私は心を惹かれてしまう。


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 バンコクのバンラック周辺を歩いていると、完成間近のマンションが打ち捨てられている。
 10年前にこのあたりを歩いていた頃にも見かけた建物だ。
 そのときは、そろそろ完成だなと思いながら、そのマンションを見上げていた。
 そのマンションが、今も完成間近のそのままの姿で、薄汚れている。
 1997年夏に発生したアジアの通貨危機の名残だ。しかし、完成寸前のマンションを
 こんな状態のまま打ち捨てているのも不思議なことである。
 バンラックというチャオプラヤ川の近くの1等地である。

 1997年のタイの通貨危機後、建設途中の建物が建設中止になり、捨て置かれているのを
 よく見かけ たものだ。
 そんな建物も完成した姿を見せている昨今である。
 タイの経済が失速しているといわれながらも、どこでもかしこでも高層マンションの
 建設が見られる。
 10年前には 1平方メートル当たり3万から4万バーツであったマンションが、
 8万バーツから10万バーツで売りに出されている。
 30平方メートルのスタジオタイプのものでも3百万バーツ近く、家族が住むような
 70平方メートル規模のものであれば、7百万バーツ、日本円で2千3百万円近いことになる。
 外国人は別にしても 一体誰が住むのか 気になってしまう。
 どう見ても、投資のためとしか考えられない。
 バーツ高の昨今、外国人の投資は考えられないから、タイ人の投資としてしか考えられない。
 私の住んでいるマンションも半分以上が賃貸しになっており、住んでいるタイ人も、
 セカンドハウスとして利用しており、郊外に家を持っている人たちがほとんどだ。
 チューラロンコン大学が近いことから、息子、娘の教育ために買った、仕事のためにバンコクに
 来ることが多いから買ったというような人が多い。
 いわゆる上層階級の人たちで、チュラーコン大学の教授なども多い。
 今売れば、買った当時の2倍以上の値段になっているから、いい投資だったことになる。
 マンションの下の掲示板を見ると、『マンション売りたし』のチラシが張られている。

 タイでは8割以上の人がマンションを買うことなどできないだろう。
 バンコクを見ても、7,80年も経っている古い家屋に借家住まいしている人も多いし、
 アパートも月2千バーツ程度の家賃の支払いが 精一杯という人たちが大半である。
 それすら出来ない人たちは、より安いスラムへと、それすら出来ない人は、路上生活になる。
 相続税も贈与税のないタイでは、持てる人は永遠に持ち続けていく。
 待たざる人にとっては、相続税も贈与税も無縁の世界だ。

 異常なバーツ高、貧富の差の拡大、原油高による物価の上昇、
 タイのみならずアジアの他の国でも同じ問題を抱えている。
 再び通貨危機のような危機を迎えることに対する不安も増大しているだろう。
 不安定の上に立った安定など崩れるときにはあっという間だ。
 そんなことを感じさせる近頃のアジアの姿である。


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 多くの中級アパートが建ち並ぶペチャブリ・ソイ7という名の通りに行ってみた。
 この通りの両側には昔から、イスラム教徒の住む集落がある。
 二百年近く前に当時のパッタニー王国から拉致され、連れてこられたイスラム教徒だ。
 通りの入り口には、モスクがあり、イスラムの街を象徴している。通りには何軒かの
 イスラム料理店もある。
 アパートを探している日本人がいて、以前 案内したことがあり、気になっていた場所だ。
 この通りの終わりは、汽車の線路になっていて、線路沿いにはバラックの家々が
 建ち並んでいる。

 線路の手前の空き地では、アパートの建設が始まっている。この現場の周囲にはすでに
 アパートやマンションが建っている。
 冷房付の1部屋マンションであれば、月六千バーツを超える賃貸し料だ。
 それでもスクンビット当たりに比べれば、安い。

 建設工事現場では、暑い中、建設作業員たちが、仕事に勤しんでいる。
 1日 男が二百バーツ、女はそれ以下だろう。休むことなく働いても一ヶ月 
 六千バーツの収入だ。
 周りのマンションや 今、彼らが建てているマンションの賃貸し料と同じだ。
 建設作業員の大半は東北タイのタイ人やビルマ、カンボジアから違法入国してやって
 きた人たちだ。
 自分たちが汗水たらして働いて、アパートやマンションを建てても、かれらは、
 アパートやマンションの住民には一生なれないだろう。
 バンコクのマンションなどは、バンコクや地方の金持ちのセカンドハウスになっており、
 投資の対象でもある。

 タイの総人口はここ四十年で2倍以上になっている。東北タイはそれ以上だ。
 塩分を含んだやせた土地、旱魃などで、食べることも出来ず、バンコクに出稼ぎに
 来ざるを得ない人たちだ。
 ふるさとに帰っても、彼らを養うだけの土地は残っていない。
 しかし、バンコクにやってきても食べるだけの生活が眼一杯で、それ以上の豊かな
 生活が望めるとは思えない。
 暑いタイの気候の中で こんな肉体労働が出来るのは、東北タイの農民だけだ。
 遠い昔から、天候、やせた土地の中で生き続けてきた彼らの我慢強さだけが、
 こうした仕事に就くことを可能にする。
 豊かな土地に恵まれている中部タイのタイ人には、こうした仕事は出来ない。

 タイの経済を下から支える東北タイ農民、彼らの言葉が、タイ語とは違うイサン語
 (ラオス語)であることから、タイ人であることを認められず、1932年の立憲革命以後、
 タイ・イサンとして、タイ人としての市民権を得るようになるのである。
 バンコクに出稼ぎにやってきても、コン・ラーオ(ラオス人)と言われ、長い間
 蔑視もされてきたのである。
 タイの人口の三分の一が東北タイ イサンの人々だ。
 4,50年前の東北タイの人々の生活を知りたければ、『東北タイの子供』(ルーク・イサン)を
 読めばいい。 
 当時の東北タイ農民の生活が生き生きと綴られている。
 ラーマ5世の時代にも生活の苦しさから反乱を起こしているし、ベトナム戦争前後には
 東北タイの独立を求める反体制運動が盛んになった時期もある。

 しかし、教育水準の低さから、なかなか中央の中枢の中に入っていけず、彼らの声は、
 中央政府には無視されがちだ。
 地方には シャオ・ポーといわれるボス、地方実業家がおり、選挙の票の支配も
 彼らによって握られており、票の売買という悪習がはびこっていて、東北タイ農民の
 本当の要求、声が政治に生かされていかないことにも大きな問題がある。
 自分たちで自分たちの首を絞めているところもある。
 もう少し、頑張ってくれよと言いたい気持ちもある。


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