ネパール キルティプール

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 街の中心に向かって、再び歩みを進めると、かったんかったんと、リズミカルな音が聞こえてくる。
 機織の音だ。そうだった。この街は機織の街でもあったのだ。
 建物の陽の射す明るい一角で 女が 布を織っている。
 昔は、この街では至るところで機織の音が聞こえたものだ。今はその音も少なくなったようだ。
 そのすぐ近くに絨毯工房がある。
 そこでも女たちは、働いている。昔は、街の中にはこんなものはなかった。
 布を織るより、絨毯を紡ぐほうが、実入りがいいのであろうか。
 織られているのは、チベッタン絨毯であるが、模様は伝統的なチベット模様でなく、
 モダンなもので、外国からの注文のようだ。

 キルティプールのネワールの女たちはよく働く。
 特にマハルザン(ネワールの農民カースト)の女はたくましくそして明るい。
 農作業をし、家の中の仕事をし、ロキシーという酒を造り、布を織り、絨毯をつむぐ。
 何かにつけて行事の多いネワールの社会、怠け者の男を尻目に、
 料理を作り、家を整え、客を迎える。
 男たちは、ただただ、飲んで歌って騒ぐだけである。
 
 女たちが、家の前の軒下に座り込んで、おしゃべりをしている。
 朝の農作業を終えて、体を休めている女たちだ、彼らは、物怖じしない。
 底抜けに明るく、たくましいマハルザンの女たちだ。
 「今は、田んぼの雑草取りで 大変だろう」と尋ねると「そうだ」と答える。
 皆、堂々としている。かといって威圧的ではない。
 これが、ネワールのマハルザンのよさだ。男とも対等に冗談を言い合えるほど、
 開放的なところもある。
 年老いた一人の女が
 「少しぐらいだったら、英語を話せるぞ。孫が学校で習ってくるからさ。
  日本語は駄目だけどさ。」と言って、大笑いをしている。

 話が酒の話に移る。
 私が、
 「ネワールのチャン(どぶろく)に黒い米で造るチャンがあるだろう。
  あれは本当に美味しいな。」と言うと、
 年老いた女は答える。
 「あれは、造るのになかなか手間がかかる。黒い米も少ししか取れないしな。
  おらは、自分で造れるぞ。この頃の若い連中は、駄目だけどな。」
 近くにいた若い女たち、「おらたちは、造り方は、しんねえ。」と笑っている。
 親しくなると、そんな話をすると、その幻のチャンを運んでくるのだが、
 そこまで親しくないので、期待できない。
 
 13世紀から18世紀までカトマンズ盆地で 豊穣なマッラ王朝を栄えさせた末裔である彼ら、
 性格の一端にその時代のおおらかさを感じさせる。
 そんなことを感じさせてくれるのは、今はキルティプールだけかもしれない。


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 キルティプールに街へと続く石段の前に立つと、20年前の記憶が、まるで昨日のことのように
 蘇ってくる。
 20年前のキルティプールの女たちは,黄銅で造られた甕を腰の脇にかかえて、朝夕と、
 石段脇にある共同水場で水を汲んでは、この階段を行き来したものだ。
 丘の上にあるキルティプールの街は、いつも水に苦しんできた。
 苦しみも日々の営みとなれば、和らぐ。

 その石段を私も 20年振りに登り始める。20年前には、息を切らすこともなく、
 上り下りしていたこの石段も、今の私のは、何度も足を止めて、息を整えずには、
 足を進めることは出来ない。
 後ろを振り向くと、カトマンズの町並みが広がる。家、家、家、余すところなく家に
 埋まってしまったカトマンズ、昔の面影はない。車の排気ガス、交通渋滞、見る影も無い。
 もうカトマンズは、もう人々に安らぎを与える場所ではないのだ。人々は、生活に追われ、
 ある者は富を追いかけ、人のことなど省みず、土地を買いあさり、投資に精を出す。
 ある者は、貧しさゆえに、恥を感じ、自らを失ってしまう。
 そんなことを思いながら、ゆっくりと、歩を進めていくと、やっとキルティプールの街の
 入り口である門に辿り着く。
 
 この門を超えてしまうと、一瞬のうちに 時の流れは緩やかになる。
 2,3歳の女の子の手首に白い紐を結び、そこから1メートルばかり延びた紐の先を掴んだ
 父親らしき男が、女の子を連れて門を超えて、下の街に下っていく。
 祖母らしい女が、門の内側から、「この子は、いつもどこかへ行ってしまうのだから、
 しっかり紐を握っていなさいよ。」と男に声をかける。
 神々に護られているこの街の外に出ると、まるで、悪運が女の子に忍び寄ってくるのを
 心配するように。

 いよいよ、街中に入っていくと、街の憩いの場所である広場に出る。
 そこの片隅に男たちが、かたまっている。トランプ賭博に興じているのである。
 朝の仕事を終えた農民たち、今日は仕事のない大工、左官、彼らは、
 20年前と少しも変わらない姿で、けだるい午後を過ごしているのである。
 キルティプールは、職人と農民の町なのである。
 酒好きで賭博好きのキルティプールのネワールの男たち、
 少しずるく、すぐにもわかる嘘をつく男たち、それでも愛すべき者達なのである。

 狐の嫁入りのような天気雨をやり過ごすために 広場のなかにある小さな集会場の片隅に
 座り込んでいると、私の顔を、確かめるように通り過ぎていく男がいる。
 まるで自分の記憶を確かめるように、何度も振り返っては、私の顔を確かめている。
 あの男は、私の住んでいたキルティプールの家に 毎日のようにやって来ていたラムの父親だった
 のだろうか。
 20年の歳月が過ぎ去ってしまうと、人の顔も変わり、ぼんやりとした靄の中にかすんでしまう。


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 この石造りの階段は、夢の王国 キルティプールへと続いていく道である。
 何段にも重なって続くこの石段、息を切らしながら、何度も、立ち止まり、
 息を整え、登っていかねばならない。
 そうすると、中世の街、キルティプールの入り口にたどりつく。

 この入り口を越えてしまうと、あなたが失ったもの、求めていたものが
 蘇ってくるかもしれない。
 入り口を越えたとたん、時の流れは、緩やかになり、こわばっていたあなたの顔に
 優しい笑みが浮かんでくるだろう。
 あなたが、失ってしまったやさしさ、生き生きとした人との共生を思い出すだろう。
 迷路のように路、こんな路なら、迷ってしまったほうが良い。
 迷った果てにあなたの探していたものが、見つかるかもしれないだろう。

 出来るだけ、この時の流れに逆らわず、この時の流れに身を任せてしまうことが肝心だ。
 朝から夕刻までこの街を彷徨うのもよい。
 何百年の前に建てられたレンガ造りの家々が、朽ちかけながらも寄り添って建ち並び、
 あなたに囁きかけてくる声を聞くがよい。
 急がず、あわてず。
 ひっそりと、静まり返った街、聞こえてくるのは、機を織る音、絨毯を織る音ばかり。
 
 ここにあるのは、夢、幻の世界だ。
 到る所にある神々の場所、ここで人々は朝夕に祈りを繰り返す。
 キルティプールは、そんな場所なのだ。
 あなたが、神々の気配、神々への祈りを求めるなら、今すぐ、ここに来なくてはならない。
 もう明日にも、夢の王国 キルティプールは、夢幻のように
 消え去ってしまうかもしれないからだ。


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 今日は ガイ・ザットラのお祭りだ。過去1年以内に家族の中で、亡くなった人のいる家の子供たちが、ガイ(牝牛)の扮装をして、町の中を練り歩くお祭りだ。
 カトマンズの町の中は喧騒だということで、カトマンズから7,8キロメートル離れた、キルティプールという小さな町に、カトマンズを訪れている旅行者4人と私で行って来た。
 この町は、私が、1984年から1986年まで住んでいた想い出の町だ。20年の年月の流れが、どう この町に変化をもたらしているのか、確かめたい気持ちもあった。私にとっては想い出の多い大切な場所だ。朝になると、近所の子供たちが、やって来て、水を汲んで来てくれ、そして、すぐ下にあるバザールに毎朝売りに来る牛乳を買ってきて、それでミルクティーをこしらえ、毎日のように一緒に飲んだものだ。
 双子の兄弟のラム、ラッチマン、シュレス、シュレンドラ、プルナ、ナビンなどは常連の子供たちで、あの当時の子供たちの素顔や声が、昨日のことのように思い浮かぶ。
 おもちゃ作りをしたり、サッカーをしたりして良く遊んだものだ。
 そんな想い出が、頭の中で渦巻く中、キルティプールの街中へと 歩を進めていく。町の中心部へへ向
かうほど、昔ながらの家並みが残っているが、所々は、新しく建て替えているところも多い。建物のレンガとレンガの間に土を詰めている家は昔ながらの家だ。家が古くなり、建て替えたセメントを使った家も同じ住民が住んでいる。
 このキルティプールは、ネワール族が住む町で、今から300年前に、ゴルカから今の王族の祖先の、プリビナン・サハがカトマンズに攻め入ってきた時に、最後まで抵抗したために 征服された時には 耳をそがれ、鼻をそがれたと今でも、住民が語るほど、心の中では、現王政に対する恨みが根強く残っているようだ。ネワール族の中では、反体制的な動きの強いところだ。
 キルティプールの町は、商業地という場所ではなく、住宅地であるため、町の中はひっそりしており、平和な雰囲気が漂っているが、よそ者に対しては、何者と、何気なくこっそり観察しているようなところもある。住民は、昔は ダッカルミ(左官屋)、シッカルミ(大工)が多く、朝、カトマンズに仕事に出かけ、夕方、戻ってくる。農作業は、女の仕事だ。そのため、週日は街の佇まいはひっそりとしている。
 今は、オフィス勤めの人間が多くなり、左官屋、大工は少なくなっているとのこと。
 今日は、ガイ・ザットラ そのため、休日で女たちは 軒先にござを敷いて、座り込み、男たちが楽器を鳴らしながら、歌いながら、ガイになった子どもたちを引き連れてくるのを待っている。
 
 この町は ネワール族のカースト制を町の構造性の中にあらわしている。町の中心の神社が多い場所にネワールの高いカーストのバジャチャーレ、サッキャ、プラダン、シュレスタが住み、その周りをマハルザン(農民カースト)が住み、町の周辺部にサイ(とさつをする人)、ポーレ(掃除人)が住んでいる。
 今もそういう形をとっているのだろうが、周辺部は昔、空き地が多かったため、そこに家が建ち並び、はっきりしなくなっている。
 周辺部には多くの家が建ち並び、新しく土地を買った、バウン族、チェットリ族、その他の民族もたくさん住んでいるようだ。
 町の中心にある寺に登ると、カトマンズの全景を見渡すことが出来る。なんと、家の増えたこと、20年前とは、格段の違いだ。キルティプールの周辺部も建物がやたら増え、農地もすっかり少なくなっている。
 あーあ、という思いで、この町を下り始める。よく通った道、石畳の道、その場所に20年前にもあった空井戸が、昔ながらの姿である。すっかり水の涸れた古井戸、何の役にも立たないままの古井戸。
人間の姿は、変わってしまったけれど、その古井戸はそのままの姿で残っている。人生なんてこんなものか。そんなつぶやきが、出てくる。
 この古井戸を少し下ったところに、私の住んでいた家がある。あるはずだった。道が変わり、たくさんの家が建ち並んだために その場所がわからないのである。あの当時は、平屋であったが、今は姿を変えたらしく、全くわからない。
 夜になると、毎日のようにカトマンズの夜景を眺めていたあの家、子供たちが屋根の上でゲームを楽しんでいたあの家を見つけることが出来ないのだ。
 本当に 歳月が 流れてしまったのだ。どこにも無い場所、私の心の中だけにある場所になってしまった。


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