BOOK REVIEW

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ジャック・フィニイ著 ゲイルズバーグの春を愛す

ハヤカワ文庫 2006年19刷


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これから読書紹介ブログに転向します(笑)


ネットで、たまたま見つけ、この詩的且つ哲学的タイトルが気に入ったので買った。

最初、時間が無いときに読んだので失敗かと思ったが、改めてゆとりのある時に読むと、どれも本当にいい作品ばかりだと思った。



ジャック・フィニイ

1911年-1995年 コピーライターを経て、47年にデビュー。ファンタジー、SF、ミステリー作品を手掛ける。87年に世界幻想文学大賞の生涯功労賞を受賞。

本作品は、表題のものを含めて10の短編から構成されており、どれも面白くて心を打つものばかりである。ここでは、その幾つかのお奨めの短編のあらすじを紹介する。


ゲイルズバーグの春を愛す

由緒ある静かな街ゲイルズバーグ。主人公はこの街をこよなく愛する新聞記者の男であるが、彼は取材で奇怪な事件にばかり出くわす。それは街が大規模な開発にさらされると、奇妙な出来事によってそれが頓挫するのである。ここでは、古く美しいものと商業的開発のせめぎ合いが、人々の心の中だけでなく、現実世界をも一変させてしまうことと、その儚さなどが語られている。



愛の手紙

ジェイクは、アンティークショップで買った古い机から秘密の引出を発見し、その中から古い手紙を見つけた。実は、その手紙というのが、もうすぐ結婚するヘレンという女性の現実を憂い、理想の男性を夢見た秘密のタイムカプセルだった。夜半過ぎ、真摯なヘレンの文章に心打たれた孤独な青年ジェイクは、ありったけの情熱を込めて返事を書くのだが、やはり気恥ずかしさを覚え、この手紙と情熱を破棄しようとする。しかし、ただの時間の無駄にしないようにと思い直したジェイクは、南北戦争の頃からそこにあるウィスター郵便局に、愛とロマンを込めてヘレンへの手紙を投函した。すると、第2の秘密の引出から、古ぼけたヘレンからの返事の手紙を発見するのだった。今や時を越えて、お互いを熱望する気持ちが最高潮に高まるのだが、残された引出はあと一つ。過去と未来を繋いだタイムマシン。二人が選んだ最後の結末とは?



大胆不敵な気球乗り

家族の旅行中チャールズは独りで6日間を過ごすうち、いつしか空を飛びたいという思いに取り憑かれ、気球作りに着手する。それは間違いなく、彼自身が制作した唯一の生産物であり、彼の所有財産であった。チャールズは、気球に乗り、自由の空へと飛び立とうとするが、途中、犬の散歩をしていたレニダス夫人に気球を目撃される。夫人から自分も気球に乗りたいと懇願されたチャールズは了承し、二人で気球の旅に出る。幾つもの幻想的な光景を目の当りにし、いつしか彼らの表情は、活き活きと喜びで見違えていた。

所感

ここに所収されているジャック・フィニイの文章は、作為の遊びを交えた意義ある文学作品である。小説はフィクションである。そのフィクションという特徴をよく捉え、読者に入りやすい味付けをしながらも、読んだものの心に良きものを与えてくれるのが本作品である。

一転、私達を取巻く現実は、時として面白味のないように感じることもある。ジャック・フィニイの描くファンタジーとは、そんな現実の薄味に馴れ、夢を忘れた大人達に、新鮮な空気のようなちょうど良い刺激、甘い感動を与えてくれる。所収のどの作品を読んでも、読み終えた後、ロマンチシズムに動かされて、現実の見方の角度が、少し変化することに気付くだろう。

閉じる コメント(14)

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おはようございます。
ひょんなことから出会ってはまる本ってありますね。
私も今ぞっこんはまってる作者さんがいます。
その方もコピーライターさんなんですけど・・奇遇ですね。

2009/7/29(水) 午前 6:33 フォウ

短編って読みやすくて簡潔で昔から好きなんです。
面白そうですね。コウジさんはよく本を読みますか?

私はずっと読書から遠ざかってましたが、最近また色々と読むように
なってきました。今、興味があるのはヘルマン・ヘッセです。
彼が書いた誌やエッセイなど興味があります。コウジさんはヘッセを
読んだ事はありますか?

2009/7/29(水) 午前 8:18 [ ひなた ]

素晴らしいです。
解説文も簡潔で実に分かりやすく、この本にもコウジさんにも惹かれました。

私も読書は大好きです。
読んでいない本が家にストックされていないと欲求不満に苦しむほどです(笑)

最近では坂口安吾が好きで彼の病み狂った世界に魅せられています。

また、素晴らしい本を紹介して下さい。

私も読んだ本を紹介する書庫作ろうかな

2009/7/29(水) 午前 8:27 もえぎ

なにを隠そう本は大好きですwww

んがしかし、ジャック・フィニイ・・・知りませんでした。さっそく探して読んでみます♪

2009/7/31(金) 午後 5:06 [ elo_submarine ]

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読書ブログに転向されるのですか!!
コウジさんとは趣味が合いそうなイメージを勝手に持っておりますので(笑)、数々の書評記事を心待ちにしています。
ファンタジー系はほとんど読まないのでこの作品は知りませんでしたが、記事を拝読すると面白そうですね。最後の、フィクションの意義についての文章には深く共感します。

2009/8/1(土) 午前 10:27 大三元

フォウさん★おはようございます。
ネットで私がよく見るブログを運営されている方が、面白いので是非読んでみてみたいなことが書いてあったので、タイトルもいいし、つい買って読みました。口コミというやつでしょうか。
コピーライターですか。面白い本を書く人って、どこか普通の人と違いますよね。フォウさんとは感性が似ているのと思ってます。

2009/8/1(土) 午後 1:07 コウジ

ひなたさん★長編は長くて、一気に読んでしまわないと筋をどんどん忘れてしまいますからね。僕も短編がいいです。本は、月に1〜2冊は買っていると思います。新書とか気になる時事テーマのものが多いです。
ひなたさんは、最近、また読むようになったんですね。僕も似たようなものですが。
ヘルマン・ヘッセは初めて知りました。調べてみると、僕好みな知る人ぞ知る通な方ですね!ミッキーマウスとアインシュタインだったら良く知っているのに、そしてノートン1世は誰も理解できない(笑)

2009/8/1(土) 午後 1:57 コウジ

萌葱さん★ありがとうございます。萌葱さんもかなりの読書家ですね。家に本がストックされていないと…という辺り。僕は価値あるものが大好きです。シャアのオモチャだけでなく、名著もコレクションしようと思ってます。全部を読みきっていないので、まさにコレクター(笑)
坂口安吾は、二流の人・白痴 、堕落論は持っております。まだ二流の人しか読んでおりません。彼の哲学者のような分析的文体は、かなり共感が持てます。
書評はいいですよ。ぜひ、書庫作って下さい!

2009/8/1(土) 午後 2:10 コウジ

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サブさん★本好きでしたか!意外な魅力発見w

人の知らない隠れた魅力、面白いものを発見するのが僕なのです(笑)

ジャック・フィニイは、僕も今まで良く知りませんでしたが、税込630円でちょっとした感動が買えるのは、まさにマッチ売りの少女の如しです。

2009/8/1(土) 午後 2:15 コウジ

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大三元さん★僕も政治、経済と岩波をこよなく愛するものです。外交史はまあまあです。
でも、ホント気まぐれなので、ブログ開設以来、大三元さんに、今度書評をやると書き続けて早三年、全く期待しないで下さい。書評ブログは言いすぎでした。書評もやるブログに訂正致します(笑)
ファンタジーというのは、大三元さんの読書の方向性と真逆ですよね。例えば、自由主義と共産主義の対立のように、読書の振り幅が広い方が想像力が豊かになると思うんですよ。

2009/8/1(土) 午後 2:25 コウジ

早速お調べ下さるとは!流石コウジさんです♪
嬉しい♪これからヘルマン・ヘッセに手を出そうとしています。
きっと私の好きな世界である気がして楽しみです♪

2009/8/1(土) 午後 4:25 [ ひなた ]

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なんかこんなん読んでたらかっこいい感じの本ですね(笑)
読書の夏ですかぁ〜(^^)ボキのいま一番読んでみたい本は「キン肉マン二世」ですがなにか?w

2009/8/2(日) 午前 0:03 [ チャック ]

ひなたさん★ヘルマン・ヘッセを読んだら是非、感想とか聞かせて下さい。この方は、巷にあまり知られていない天才ですね。ノーベル文学賞も取っているようですし、読んで損のない作品の匂いがします。

2009/8/3(月) 午後 11:51 コウジ

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スケアリーさん★ノートン1世と掛けたんですね。キン肉マン二世は、僕も読みたいです。誰か全巻貸してくれないかな〜w

2009/8/3(月) 午後 11:56 コウジ


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