日記

[ リスト | 詳細 ]

記事検索
検索

孫太郎虫

孫太郎虫(まごたろうむし)って、知ってる?
これは、渓流に住むヘビトンボの幼虫だ。
乾燥させ、疳の虫(かんのむし)の薬にする。
長野の伊那地方では、ざざむしの一種として、佃煮にして喰う。
孫太郎虫?ヘビトンボ?疳の虫?ざざむし?
どんな虫か、イメージできた?
「ヘビトンボ」ってのは、カゲロウを大きくしたような虫で、大きな顎で噛みつくから、名前に「ヘビ」とついている。
その幼虫が「孫太郎虫」で、名前の由来は知らない。
「ざざむし」は、川の流れの「ざーざー」したところにいる虫で、カワゲラとかトビケラとかの幼虫の川虫の類のこと。
「疳の虫」ってのは、乳児の夜泣きやかんしゃくを起こす原因の虫だと、昔から信じられているが、多分そういう虫はこの世にいない。
そういう、この世にいない虫をやっつける虫が、孫太郎虫であります。

恩返し

長く短いこの人生で、多くの人に世話になった。
世話になったと言っても、良いことばかりではなく、悪いことも含めて、星の数ほど学んだんでね。
かたっぱしからは思い出せないけど、今ここにある身体と心は、その恩恵の上に成り立っている。
ふとした時、昔のあれこれを思い出し、その恩の大きさに愕然とする。
恩返ししたいと思っても、この多過ぎる恩は、残りの人生かけても多分返済できない。
ならば、別のやり方を考えよう。
いま、こよみ屋をやっているのは、多くの人により佳い日々を暮らしてもらいたいから。
その思いが、昔、世話になった人や家族や友達、そのすれちがった人に届きますよう。
かなり遠回しなやり方だけど、これが瞳堂流の恩返しだ。
そう思いながら、ひと筆ひと筆、暦を書いているのさ。

自立

毎朝、出がけに、親子に行き会う。
70過ぎのお母さんと、40過ぎの知的障害のある息子。
こっちが、「おはようございます」と言うと、お母さんだけ、「おはようございます」と言う。
ある日、2人の姿がなく、歩いて行こうとすると、後ろから元気な「おはようございます」が聞こえてきた。
ふり返ると、あの息子が一人で歩いていた。
こっちが挨拶すると、東急線の駅の名を朗々とアナウンスしながら去って行った。
親は、いくつになっても子が心配で、手を出し口を出すんだろう。
でも、子は、親がいなけりゃいないで一人で何とかするもんだ。
子を自立させたいと思いながら、本当は、親が自立できてないこともある。
無責任に言うけど、一人の人間として精神的自立を考えたとき、親の存在が妨げになることって、結構あるかも知れないよ。

ノーシャンプー

体は石鹸、頭はシャンプーで洗うよね。
同じ皮膚なのに、どうして別ので洗うんだろう?
頭皮の方がデリケートだと言うなら、シャンプーの成分は、身体にいいものなんだろうか?
助産師の話に、出産の時、羊水のにおいで、妊婦が使ってるシャンプーが分かるってのがある。
本当なら、シャンプーが頭皮から吸収されて、体内に入ってるってことになる。
心配になって、ボトルの裏側を見てみたら、聞いたことのない化学薬品の名が、ずらずらっと書いてあった。
良いと思って続けてたことが、実は全く逆効果だったって例は、世に山ほどある。
それで、シャンプーやめることにした。
オリーブオイルとローレルオイルが原料の、そっけない茶色の石鹸で頭を洗っている。
途中経過だけど、思いもしない所に効果が出た。
なぜか、毎朝、快便になった。

孫次郎

孫次郎は、能面の一つ。
男の名だが、女面だ。
これが、いかにも美しい。
ゆるやかな顔の起伏は、優しいかげりを生み、少しだけ上がった口角と、わずかに開いた口元に、ぎりぎりの艶気がある。
そして、やや高さのずれた左右の目が、静かに見つめ返してくる。
多くの能面の中で、唯一、血のかよった、生身の女の美しさがある。
「美しい」という言葉は知っていても、本当の「美しい」にどれだけ出逢ったことだろう。
数年前、たしか三井の美術館で見た。
というより、やっと会うことができた。
ガラスケースの中を見つめると、涙がにじみ、能面はゆがんだ。
早くに死に別れた妻を恋い慕うて、この面を打った男は金剛座の大夫、孫次郎といい、これもわずか28の若さで死んだ。
銘を『オモカゲ』といふ。

.


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事