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ヒノマチコのブログ
機械じかけの予言者

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SEIKO(セイコー)製品のケースから見る製造年月の見方

 *ここでの内容は、主に1950年代からのセイコー製品に対する内容になります。

 時計関連の仕事をしている方や、国産古時計が好きな方は皆さん知っていることなのですが、時計に興味がなく全く分からない方の方が圧倒的に多いと思います。実家のタンスの引き出しの中に、祖父母が使っていた古い時計が眠っていたり、両親が親の形見として大事にしまっていた古時計などが、久しぶりに光を浴びる時、「これは一体何時頃の時計で当時いくら位したものなのだろうか。。。」というのはよくある話です。
 そこで、その腕時計がセイコー製品であれば裏蓋にシリアルナンバーが刻印表記されていますので、そのナンバーから製造年月が分かります。必ず裏蓋に刻印されていて、文字板側の表には表記されていません。このナンバーはケースの製造年月なので、発売年月ではありませんので注意。

イメージ 4


 

  まずは裏蓋側見てみます。





 そこには数字や英字一文字が入った6桁、または7桁の刻印が表記されていると思います。これがケースの製造時期と個体番号を表すケースシリアルナンバーになります。ここで紹介する写真では6ケタの「845743」とあります。これがこの時計のシリアルナンバーです。セイコー製品はこのシリアルナンバーの上二桁の英数字より、製造年月がわかります。

 ・1桁目が製造年で、西暦の末数字です。ここでは1958年の「8」です。
 ・2桁目が製造月で、ここでは4月の「4」です。
 ・3桁目以降が個体ナンバーになると思われます。

 このことから写真の製品は、1958年の4月製造のものになります。そこで、注意点として以下の2点気を付けることがあります。
 
1:10月からの2桁月と英字刻印の見方。
  ・10月は「October」の頭文字をとって「O」です。
  ・11月はNovemberの頭文字をとって「N」です。
  ・12月はDecemberの頭文字をとって「D」です。
 ケース刻印では、10月の英字の「O」と数字の「0」と区別がつきません。これは製品の製造されていた期間を知れば判断ができます。

2:英字が1桁目か2桁目に刻印されているものがある。
イメージ 1

・例外として1桁目が西暦の末年数字なのですが、右の写真のように1桁目が12月を表す「D」になっています。英字が表記される場合には1桁目に表記されていることもあります。もちろん2桁目の時もあります。この写真の場合は1桁目が「D」で2桁目が「8」なので1958年の12月製造のものになります。


 それでは、1960年代の製品で例をあげてみましょう。
 ・「63****」→1966年3月製造のものです。
 ・「8N****」→1968年11月製造のものです。
 ・「09****」→1960年9月製造のものです。
*ここで3番目の「09****」のシリアルナンバーで疑問を持つ方もいます。例えば1959年から61年にかけて製造されたものです。見方によっては1960年9月製造と捉えられれば、1959年10月とも捉えられます。上記でも挙げた刻印になると“ゼロ”と“オー”の区別がつかないということです。この場合はこの製品の機械細部や文字板表記の年式による違い等で判断するしかないです。


 1950年代から1960年代初期に掛けては、シリアルナンバーの下などに、文字板の大きさを表す型式が表記されていますのでシリアルナンバーと間違わないように気を付けて下さい。例えば上の写真1枚目でいう「14034」、2枚目の「J14022」などです。いずれもケース刻印のシリアルナンバーは、その製品が何時頃の販売された時期なのかある程度わかれば、製造年月までの細かい数字が見えてきます。
 
 ケースの裏蓋にシリアルナンバーのような刻印がないものもたくさんあります。その場合は裏蓋を開けた内側にシリアルナンバーや型式などの刻印がされています。裏蓋の開閉には専用工具が必要になりますので、時計を弄れる人にお願いしましょう。無理に開閉すると壊したり、もとに戻らなくなったり、後悔のもとになれば、お金が掛かることになりますので要注意です。

 余談ですが、セイコーの1967年から製造された「ロードマーベル36000」という国産初の10振動を搭載した高級機があります。製造期間は1978年までという異例の長期生産製品であり、1978年というクォーツ時代の中で最後の機械式製品でもありました。そこで、シリアルナンバーだけ見ると疑問点が出てくるのにお気付きでしょうか?この製品だけなのですが、1967年と1968年のこの2年と、1977年と1978年のこの2年間です。共にシリアルナンバーが「7*****」と「8*****」です。これは60年代のものか70年代のものかがわからないと思いませんか?・・・でも大丈夫です。判断できる表記があるのです。1971年に「JIS」及び「ISO」に基づいた防水時計の性能表示の関係で防水表記が変わります。1970年までの防水ケースには「WATER PROOF」、1971年から「WATER RESISTANT」の表記なっています。このことから「ロードマーベル36000」の製品はシリアルナンバー以外の刻印表記を見ていただくと60年代のものか70年代のものなのかがわかります。

イメージ 2
イメージ 3
←「ロードマーベル36000」ではありませんが、この写真のように向かって左側の1970年9月のものと、右側の1971年3月製造のものの防水表記が違うのがわかるでしょうか?写真の時計は2つとも同じ製品です。


 上記の内容をご参考にしていただきセイコー古時計の製造年月を機会があればシリアルナンバーより何時頃のものなのかを見てみたり、また、生まれ月のものを探して購入するのも面白いでしょう。



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この記事に

  • ケースだけ交換とか文字盤だけ交換はありえませんね。そのような事をするような動機付けが全く有りません。
    オーバーホール依頼した時計屋さんは「竜頭が純正じゃ無いね。 過去に故障修理した際に部品が無くて別の物つけたのかな」ということは言われてましたが。
    次回裏蓋開けることがあったら写真撮っておきます。

    [ bg_*un_*005 ]

    2016/2/25(木) 午後 6:29

    返信する
  • > bg_*un_*005さん
    交換していないと思いたいのですが、なんせ機械を見て確認しないと何も見えてきません。裏蓋の下に「М」の文字があります。これはマーベルの純正ケースを意味します。この時点でケースと文字盤が適合していません。また、ケース年号と文字盤デザインが適合していないのも事実です。何かが変えられています。リュウズや風防は消耗品なので製品とは関係ないので気にしないで下さい。ポイントは機械と文字盤と裏蓋です。機械を確認する時は裏蓋の内側にも刻印がないか確認してみて下さい。当時のことですが、交換する動機が全くないとは言えません。例えば、購入時にどうしても金無垢ケースが欲しいが、無垢がないので当時の同型のマーベル19石金無垢ケースを店主が流用して販売したなど。これは店主が儲けの為にした良くない行為です。

    続く

    ヒノマチコ

    2016/2/25(木) 午後 8:51

    返信する
  • > bg_*un_*005さん

    続き。
    お持ちのケースはこれです。某ショップの過去製品です。http://s30s40.ocnk.net/product/456

    本来の当時のLM金無垢はこれです。http://ki-watch.com/japanese/se84lm.htm

    時計店主がOHした時に機械のことを言っていないのなら間違いなくLMの機械でしょうが、それでも初期、中期、後期がありますからね。店主が当時のLM含めこの年代のセイコー製品にどれだけ詳しいかわかりません。

    当時のセイコーが展開したオリジナルのロードマーベルではないことは言えます。
    ただ私は購入時から購入店側に問題があった可能性、また当時に落下等のケース破損の為に後からケース交換した可能性も含め、当時に何かあったことだと思います。

    これは私の推測ですので気分を害さないで下さい。私は真剣に考え思ったことを正直に記しています。
    現段階ではこれくらいのことしか見えてきません。機械、裏蓋などの詳細が分かればもう少し謎に迫れます。

    続く。

    ヒノマチコ

    2016/2/25(木) 午後 9:18

    返信する
  • > bg_*un_*005さん

    続き。

    自分で購入していない製品なので、どのような経緯があったか誰も分かりません。このような古時計などの古物には、疑う目を持つことでその本質が見えてきます。

    どうしても謎に迫りたいのなら、BQさんに直接現物を確認していただいたらよろしいかと思います。BQさんは私が尊敬する御一人でもありますので。

    以上がbg_*un_*005さんが謎に思っている製品に関して、私が推測する見方の見解です。古時計を研究している他の方にも確認してもらえば、また違う見解をもらえるかもしれません。

    時計事体は価値のある良い時計ですし、おじい様の形見ですので大切になさってください。

    ヒノマチコ

    2016/2/25(木) 午後 9:24

    返信する
  • こりどらす さん

    ナイスをいただきありがとうございます。

    ヒノマチコ

    2016/3/22(火) 午後 5:38

    返信する
  • yak*riy**aka*iya さん

    ナイスをいただきありがとうございます。

    ヒノマチコ

    2016/4/15(金) 午前 8:05

    返信する
  • 顔アイコン

    > 日野マチコさん
    ずいぶん間が空きましたが、
    ロードマーベルのムーブの写真リンクです。
    http://imgur.com/9QU6d8d
    修理に出す時に写した画像がありました。
    祖父が購入した時計屋さん(祖父が購入した頃に2代目としてお店に出てた80歳くらいの方)にも聞いてみたのですが、この頃のセイコーは頻繁に新しいモデルを出すだけではなく、同一モデルの文字盤違いなどもあったそうです。ロードマーベルの金無垢は最初期には無く、Sマークがなくなった時にマーベルの金無垢ケースで出したんじゃないかとのことでした。

    [ bg_*un_*005 ]

    2016/11/4(金) 午後 8:15

    返信する
  • > bg_*un_*005さん

    なるほど。私の推測する見解です。
    これは最初期から初期型に移行した直後のSマークが無くなった時のものでしょうね。ムーブは最初期型なのに、耐震がS-1型ではなくS-2型です。初期型になった1959年初頭のものでしょうね。こんなの初めて見ました。
    しかし、ケースはマーベル純正品です。店主の言うように当時はどの製品も18Kは後になってから展開されていました。購入当時には18Kケースはおそらくなかったのでしょう。このケースは58年12月製です。時計は59年前期のものですから、少しばかりケースが古いです。ですから、当時に18K無垢を展開していたマーベルケースで代用して売ったのではないでしょうか。
    更に文字板もバラせば、裏に製造シリアルがあるかもしれません。それがわかればもう少し年代的なものがハッキリしますね。

    ヒノマチコ

    2016/11/4(金) 午後 8:57

    返信する
  • すごく分かりやすかったです!
    ありがとうございました。

    裏蓋にも物語がありますね(*^^*)

    [ spi***** ]

    2017/6/1(木) 午後 8:37

    返信する
  • > spi*****さん

    ナイスにコメントありがとうございます。
    参考になったようで良かったです^^
    古時計ひとつとっても、時を超えた物語が見えてきますので、面白いものです^^

    ヒノマチコ

    2017/6/1(木) 午後 9:10

    返信する
  • 顔アイコン

    楽しく読ませていただきました。一点質問させてください。

    現在、個人売買でSEIKOダイバー2ND前期モデルを考えています。時計のシリアルですが、84000Xとなっていることを確認しています。
    確かに前期モデルは1968年から販売されており、1968年4月の製造で合致しますが、シリアルが一桁ということは、日本で製造されたX番目ということであっていますか?
    程度もいいので、一桁でしたら、通常のSEIKOダイバー2ND前期モデルの倍額までは出そうかなぁと考えています。
    ご指南ください。 削除

    [ 植村 ]

    2017/7/2(日) 午後 10:32

    返信する
  • > 植村さん

    コメントありがとうございます。
    そうですね。1968年4月に製造またはケーシングされたものと考えていいと思います。そこで、シリアル末番号ですが、私も当時のセイコー社員でも何でもないので、末番号の正確な意味がわかりません。おそらく個体番号ではないかと言われています。その説でいうなれば、68年4月の一桁番目に作られたものと推測されるでしょうね。
    同じ番号のものが無い訳ですから、はっきりと断言はできませんがそのように考えてもよろしいと思います。そこに熱意を込められるのも古時計の魅力ですよね^^

    ヒノマチコ

    2017/7/3(月) 午前 7:09

    返信する
  • 顔アイコン

    初めまして、祖父の遺品のTYPE兇鯢畸併箸い靴討ります。裏蓋のシリアルが77から始まっているので恐らく77年7月という事でよろしいのかな?40年選手ですが、子に引き続けられるよう維持していきたいものです

    [ fit**vf ]

    2017/10/17(火) 午前 0:42

    返信する
  • > fit**vfさん

    はじめまして!
    お爺様の遺品をされているなんて、まさに腕時計の本来あるべき姿ですね。素晴らしいことです^ ^
    さて、その遺品であるセイコーのタイプ2ですが、77始まりですので、1977年7月にケーシング(作り上げられた)されたということになります。御推測通りです。
    引き続き、御子息様に受け継ぐことが出来たらお爺様もお喜びになられるでしょうね。ただクォーツ時計は機械式と違って半永久的ではありませんので、中の基盤や回路が駄目になったらもう復活が出来ません。そのへんは運頼みですが、いつまでも動き続けるよう祈っております^ ^

    ヒノマチコ

    2017/10/17(火) 午後 9:29

    返信する
  • はじめまして。最近、昔の機械式時計に興味があり、先日あるサイトでセイコー5アクタスSSを購入しました。年代を知りたいので、わかりましたらお願い致します。6106-7470 0D0850 WATER RESISTANTとあります。

    [ tak*_*ee_1 ]

    2018/6/27(水) 午後 1:37

    返信する
  • > tak*_*ee_1さん

    はじめまして。
    コメントありがとうございます。

    さて、お問い合わせの件ですが。。。
    ケースシリアルナンバーに見る製造年月では、1970年12月のものと思われます。ご参考までに把握していただけたらと思います。

    ヒノマチコ

    2018/6/27(水) 午後 6:52

    返信する
  • 顔アイコン

    はじめまして。コメント失礼します。
    calに彫られている?物も製造番号でしょうか?例えば、GSファーストなら3180以外にも桁数が多い数字がありますが、上記の法則には当てはまらないですし、裏蓋に彫られている数字とも違う気がします。もし、分かりましたらお願いします。 削除

    [ iceman ]

    2018/8/7(火) 午後 6:41

    返信する
  • > icemanさん

    コメントありがとうございます。
    キャリバー番号以外の続いた番号はムーブの個体シリアルナンバーとなります。ケースのシリアルとは別ものです。当時のセイコーはクロノメーター 機(優秀な精度機)として販売していたので、社内にて精度検定をする際のムーブを区別するために設けた個体番号です。この番号があるので精度保証書が添付されていました。
    要は、セイコーに於いてこのようなシリアルナンバーのあるムーブは精度検定をしている個体と考えてよいと思います。

    ヒノマチコ

    2018/8/7(火) 午後 9:41

    返信する
  • すごく論理的で読んでいて気持ちがいいです。そして、納得するまで謎を追い続ける姿は、まるで、名探偵のようです。
    鉄道時計のシリアルナンバーのことや、19セイコーの年代のことについて書かれているページを読ませていただきましたが、見識の広さと読みやすさは惹き付けられます。
    また、質問に丁寧に答えられていることや相手を気づかう姿勢は好感が持てました。

    感動したので書かせていただきました。
    ありがとうございました。

    [ ポプ ]

    2018/12/19(水) 午後 8:50

    返信する
  • > ポプさん

    コメントありがとうございます。
    もう平成最後の年末を迎えようとしていますね。

    名探偵だなんて。。。
    お恥ずかしい限りですが、好きだからこその知識というのもありますので、そのように仰ってくださり素直にうれしいです。
    私はなるべく質問の返答には気を遣っています。少しでも興味や疑問を感じてくださる方がいることに嬉しい気持ちになりますので、そのような方達にもっともっと楽しんでいただきたいという思いから、残念な結果とかにならないようにしたいのですよね。古時計が好きなこともありますが、日本が歩んできた産業の一つでもありますので、純粋に日本人として応援したい気持ちも強いです。

    このようなブログですが、またいつでも覗きにきてください。

    ヒノマチコ

    2018/12/20(木) 午後 4:05

    返信する

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