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ヒノマチコのブログ
機械じかけの予言者

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SEIKO(セイコー)
LORD MARVEL(ロードマーベル)
23石 規正付 前期型
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 「ロードマーベル(規正付き・前期型)」が発売されたのは1964(昭和39)6月です。後期型は1966年(昭和41年)8月頃の登場になります。「マーベル」を基礎とし、「グランドセイコー」が登場するまでの国産初の最高級腕時計といわれた初代「ロードマーベル」に比べ、この「ロードマーベル(規正付き)」はその高級度を簡素化し、実質的には値下げをして発売されました。当時すでに高級品としては「グランドセイコー」が製品化されていましたから、製品ラインナップとすれば当然でしょう。最高級品「グランドセイコー」と準高級品「クラウンスペシャル」の間に位置付けられる高級品になります。
 ムーブメントですが、ここで紹介するものは前期型の“cal.5740A”です。これは「クラウン」が基礎となっていますので初代「ロードマーベル」に比べ、一回り大きな12型となっています。後期型は“cal.5740B”になります。基本は一緒ですが、微動緩急針の方式が異なります。“5740A”の微動緩急針は、“おたまじゃくし型”になっており、“5740B”は“歯車式”になっています。その他の違いとして、三番受の規正レバー調整用の穴の有無にも違いが見られます。前期型には穴がなく、後期型には穴があります。また、後期型は5.5振動になっています。初代「ロードマーベル」同様、この規正付きには一つ一つにシリアルナンバーが付けられ、微動緩急針とならび高級機であることを印象付けさせます。ただ、角穴車や丸穴車には飾り溝が設けられていないので、少し寂しいようにも感じます。このように、初代のものに比べ幾分簡素化されたとはいえ、最終調節を含めた完成度は高級品に恥じない製品に仕上がっています。
 文字板ですが、全て植字文字板になっており高級感があります。初代のものには6時上に植字マークが表示されていましたが、規正付きにはそれがなくなり非常にあっさりとした感じになっています。ペットネームの表示は、初代「ロードマーベル」のような彫り字のものはなく、全て印字になっています。ペットネームの表示箇所は、非防水ケースに適合するものは全て12時下です。防水ケースに適合するものは12時下に“SEIKO”の字が切り抜きで付けられ、その下にペットネームがあるものもあれば、6時上に表記されているものもあります。防水型の後期製品になると、同時期にハイビートの「ロードマーベル36000」と同様、インデックスが全数字の文字板も登場します。
 ケースですが、ここで紹介する前期型は、初代「ロードマーベル」後期型と同型に見えますが、内部ムーブメントの大きさが異なりますので互換はできません。特に総金張りのものでは外観形状は酷似しており、見分けが困難です。しかし、初代後期「ロードマーベル」の裏蓋表面は全く何も表示されず、のっぺりしたものが普通ですが、この「ロードマーベル(規正付き)」では裏蓋表面にケースシリアルナンバーが刻印されています。非防水のものはオールステンレスと総金張りの“5740-1990”のケースのみです。防水仕様のものはスクリューバックでオールステンレスと本体金メッキの“5740-0010”と“5740-8000”の両方があります。非防水ケースは外径36.5㎜の、いわゆる15型のものしかありませんが、防水ケースでは“5740-8000”が少し小形になります。この“5740-8000”のケースはそのままハイビート「ロードマーベル36000」に流用されています。なお、この防水仕様のケースには規格表示がありませんので、セイコー規格の実用防水と考えられます。
 生産終了時期は、後期型を含め1968年(昭和43年)頃と推定されています。当時の価格ですが、1964年(昭和39年)の大卒初任給がおよそ19100円の時代に、この「ロードマーベル(規正付き)“総金張り”」の販売価格は13000円でした。初代「ロードマーベル」と比べ、物価上昇率を考えると格安ということがわかります。
 総括として、この「ロードマーベル」という同一ペットネームで、これほど長期にわたり一度も途切れることなく使用された例は、他社も含め国産腕時計では見当たりません。つまり、1958年から約20年あまりの間「ロードマーベル」という腕時計は当時の現行高級品として存在し続けたということです。もちろん、その間本来なら当然ペットネームが変更されてもよさそうなムーブメントの大幅変更がありました。つまり、地板の大きさやテンプの振動数の変更といったムーブメントの基本条件の変化のことです。しかし、「ロードマーベル」の名称は高級腕時計の代名詞として存在し続けたのです。このことは、国産で名実ともに高級品と呼べる腕時計を初めて造り上げたことに対するメーカーとしての誇りと拘りを持ち続けたいという心意気の象徴だったのでしょう。
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1964(昭和39)製造開始
・諏訪精工舎製 
・総金張りケース(5740-1990) 
23
・手巻き 
・非防水 
・プラスチック風防 
Cal.5740A 
12型ムーブメント 
・毎時18000振動
・スナップバック 
S-2型耐震装置
・微動緩急針 
・秒針規正装置




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  • 顔アイコン

    1958から20年ですと1978ですが、クォーツ時代の裏でも製造されてたんですな。クォーツ時代のカタログの最後の方に乗ってた記憶があります。

    [ 時計商見習 ]

    2015/1/10(土) 午後 0:08

    返信する
  • > lor*mar*el2*さん

    そうなんですよ。
    36000のロードマーベルは1978年のカタログに唯一手巻の機械式として、掲載されているのですよ。
    肩身の狭い思いをしていたことでしょうが、最後の機械式として残ったのがロードマーベルでした。結局セイコーはロードマーベルに思い入れが強かったのでしょう。

    ヒノマチコ

    2015/1/10(土) 午後 0:15

    返信する
  • 顔アイコン

    ロード・マーベルは、セイコーにとって 機械式時計の完成型なんですね。
    とても美しい時計です。いいな、いいな。

    ・・・。

    [ のんき ]

    2015/1/10(土) 午後 7:57

    返信する
  • > のんきさん

    コメントありがとうございます。
    そういうことなのでしょうね。
    やはり有終の美は何と言っても、手巻のノンデイトでした。
    デイデイトでも自動巻でもGSでもKSでもありませんでした。
    ロードマーベルだったのです!

    ヒノマチコ

    2015/1/10(土) 午後 10:44

    返信する
  • 顔アイコン

    こんばんは。

    おおぅっ!!ついにお目見えになりましたロード・マーベル!!
    待っていましたぁ。
    風防のチョイスが厳しくて、型番を違えると風防が合わないのはこのせいだったんですね。。。
    確か初代は通産省の精度試験で、ワンツースリー独占をしませんでしたっけ?

    [ とんぬら ]

    2015/1/12(月) 午前 0:45

    返信する
  • > とんぬらさん

    何かとコメントをいただきありがとうございます。
    これは二代目ロードマーベルといったとこですね!
    ちなみに初代は確か三年連続の一位だったのではないかと思います。58年度の国内コンクールではマーベルが1位から9位を独占しました。このマーベルがきっかけで、当時スイス天文台への挑戦を決めたそうです。

    ヒノマチコ

    2015/1/12(月) 午後 0:39

    返信する
  • nao**yan さん

    ナイスをいただきありがとうございます。

    ヒノマチコ

    2017/11/11(土) 午後 8:33

    返信する

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