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ヒノマチコのブログ
機械じかけの予言者

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4S28ローレル 24石

SEIKO(セイコー)
4S28 LAUREL(4S28 ローレル)
24石(Cal.4S28)金×銀ケース
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 先日までの旅行記ブログにて飽きている方もいると思いますので、ここで魅力的なセイコーの腕時計を紹介したいと思います。
 ここで紹介する「セイコーローレル(4S28)」は、1995年(平成7年)の後半に登場した機械式手巻腕時計です。実は、この時計に搭載される「4S系ムーブ」の存在というのはとても大きいものがあります。国産の機械式時計産業に於いて、1970年代半ばを基準にその技術や性能が衰退し、電池を駆動源とする高精度クォーツが完全に役となり、安価にて量産されていきました。こういった国産時計産業の進化ともいえる時代の移り変わりが、逆に元来の日本の機械式ものづくり技術の衰退へと繋がっていったのは、国産時計好きの皆さんにはよく知られた話となっています。セイコーに於いては、過去の栄光にすがることもなく機械式製造ラインとその生産資料等の破棄に至り、その機械式技術はリセットされていた時代が続いていました。
 そして、1993年頃のセイコーの販売実績数というのは全世界を見ても無残な成績でした。販売する価格帯の問題もありますが、販売数に利益を見ても苦戦の状態が続いていました。そこで、当時の服部セイコーより、腕時計の原点である大正2年に登場した国産初の腕時計「ローレル(初代)」の名を使った製品案が提案され、再び、機械式時計の再開発に至り、今回ここで紹介する「ローレル」を発表し市場に投入されました。
 結果として、これが大成功になり腕時計事業のピンチを救い、乗り越えて軌道に乗り始めたことで、クレドールにも豊富なラインナップを展開し、パワーリザーブの開発に、1998年の機械式クロノグラフ(6S)に機械式グランドセイコー(9S)へと弾みをつけて、セイコーの機械式腕時計の復活へと導かれていきました。
 当時のセイコー陣営の背景を簡単に説明したつもりが少々長くなってしまいましたが、このような機械式復活となるまさにその駆け出しの時期に登場したのがここでの製品なのです。そして、この復活「ローレル」製品ですが、1995年の登場時は機械式だけではありませんでした。「ローレル」の製品名で、クラシックシリーズとして「メカニカル(手巻・自動巻)」、「キネティック(AGS)」、「クォーツ」、「レディースクォーツ」があり、スポーツエレガンスシリーズとして「クォーツ(強化防水・ワールドタイム・アラーム・クロノグラフ・永久カレンダー)」など、スタンダードシリーズとして高級ケースラインの「クォーツ」に「手巻(6110)」が製品展開されました。この1995年の復活「ローレル」製品群の数は多くのモデルを有していた中、私の個人的な好みで言えば、ここでの「Cal.4S28」を搭載する機械式手巻の「ローレル」が一番シンプルで、かつ高級感及びエレガンスな雰囲気があり良いデザインの時計ではないかと思います。
 ここで搭載するムーブメントですが、1994年当時改めて再開発をした「4S系」ムーブメントの系統機となります。この系統は1970年前半の亀戸の52系ムーブをもとに再開発されています。細かい完成度は当時の52系の方が優秀なのかもしれませんが、機械式の生産が無かったブランク空けの再開発ムーブにしては立派な復活ムーブでした。さすがセイコーといった感じです。
 ここで「4S系」について少々紹介してみます。
【手巻】
・「4S24」(21石・中三針機)
・「4S28」(24石・スモセコ機)*ここで紹介する製品
・「4S29」(29石・スモセコ・パワリザ機)
・「4S79」(31石・スモセコ・パワリザ機・金機械・高精度機)

【自動巻】
・「4S12」(25石・カレンダー・GMT針・中三針機)
・「4S15」(25石・カレンダー・中三針機)
・「4S25」(25石・カレンダー・中三針機・地板が少々大きい)
・「4S27」(28石・カレンダー針・曜日針・24時間針・中三針機)
・「4S35」(25石・カレンダー・中三針機・精度に仕上げ向上)
・「4S36」(31石・カレンダー針・曜日針・GMT針・パワリザ・中三針機
・「4S71」(25石・中三針機・金機械)
・「4S77」(28石・カレンダー針・曜日針・24時間針・中三針機・金機械

 このように様々な展開をした「4S系」の系統機なのです。御覧の通り、52系の復刻ムーブですので自動巻製品が主となるのですが、ここで紹介するもののように少数ですが手巻製品があります。そして、ノンデイトのスモセコ機はここでの「Cal.4S28」しか存在しません。ムーブメントを見れば分かりますが、テンプ以外は一枚の総受けの設計となっております。微動緩急装置に秒規正もあり、私の理想とする内容のムーブメントです。公表日差は+25秒〜-15秒となっており、今では一般的な精度といえる内容です。
 外装ですが、3種類あります。全て銀無垢のトノーケース仕様となります。ここで紹介するものが一番高価なモデルで、ベゼルには18K無垢のピンクゴールドが採用され、文字板が偶数アラビアインデックスの青焼き針が採用されています。
 他のモデルには、紺色にローマ数字のセクターダイヤルにシルバーのブレゲ針。もうひとつは、アイボリーにアラビアインデックスの青焼きブレゲ針仕様となっています。ガラスは厚めの丸みあるハードレックスガラスになっております。リュウズは巻上げやすくロットの荒い大き目サイズのものが採用されています。
 裏蓋はスナップバックですので防水性はあまり期待できない構造となります。そして裏蓋の模様はローレルらしく月桂樹の輪が入っております。これらの一連のマークや文字は、レーザーマーキング処理されたものになります。しかし、仕様に伴う摩耗により文字等は薄くなります。
 この製品が登場した1995年の大卒初任給がおよそ194000円の当時に、この製品は75000円で販売されました。また、この「ローレル」製品は当時のセイコー認定の特約店のみの販売となっていました。今でいうグランドセイコーのマスターショップみたいなものです。
 セイコーの腕時計製品の復活劇の起爆剤となった復活「ローレル」製品群、この高級ラインを意識した製品のおかげで、機械式グランドセイコーの復活へと結びつくことになり、現在では充実したラインナップの機械式を展開しています。もちろんムーブメントにもハイクラスから廉価機まで揃っておりますが、機械式全盛期のような層の厚い展開とまではいかないのは致し方ないことです。しかし、今回の復活「ローレル」ブランドの成した意味は大きいものだと断言できるでしょう。大正2年に登場した初代「ローレル」、1958年には二代目「ローレル」が登場していますので、今回紹介する「ローレル」は、三代目「ローレル」となります。再びこの「ローレル」のブランドネームを掲げることはないかもしれませんが、セイコーファンからすれば、再び「ローレル」製品が登場することを願う者もいるかもしれません。私はセイコーのオールド品から現行品関係なくたくさんのモデルに目を向けて感じるのが、この製品は特別センスが良く、デザイン、内容、スタイル、全てにその魅力を強く感じる製品と言えます。この製品に対する近年の中古市場の相場は高騰していますが、出回る数も比較的少ないので、欲しくても中々手に入れることの出来ない製品の一つと言えます。
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1995(平成7)後半登場
・手巻
・生活防水(古い為非防水) 
・18Kピンクゴールド無垢ベゼル
・銀無垢トノー型ケース
・スナップバック
・ハードレックスガラス風防
24
Cal.4S28(4S28-5010
・毎時28800振動
11型ムーブメント
・スモールセコンド
・ブルースチール針
・秒針規正装置 
・微動緩急装置 
・偶数アラビアインデックス
・公表日差+25秒〜-15秒



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この記事に

  • has***** さん

    ナイスをいただきありがとうございます。

    ヒノマチコ

    2018/5/9(水) 午前 9:22

    返信する
  • 日野様
    こんにちは、4SのLaurelは側と機械の完成度と美しい造りが大変魅力的で、発売当時の価格はとても良心的に感じます。当方も最近この銀無垢と手巻き4Sに心奪われまして、懐中をいくつか入手しました。日頃使っておりますが、満足感のある時計だと思います。

    [ 古蠍 ]

    2018/5/9(水) 午後 5:35

    返信する
  • > 古蠍さん

    ナイスにコメントありがとうございます。
    4Sローレルはですね・・・やはり素敵なんですよね。
    仰る通り、作りが美しいです。ただ、ただ一つ言うなれば、裏蓋のレーザーマーキングが薄くなりがちで摩耗するところですね。ケースシリアルもマーキング処理ですので消える可能性が大です。刻印処理でしたら良かったかもしれませんね。。。。
    そうそう、価格は良心的な設定ですよね。今でしたら絶対にこの値段では出さないと思います。とにかく数を売ることを目標にしたのでこの価格帯で大正解だったということになりますね^^

    ヒノマチコ

    2018/5/9(水) 午後 5:48

    返信する
  • 本当に美しいですね。もし全数字アラビア数字の文字盤だとどんなだっただろうなと思いを馳せてしまします。やはりトノー型だと文字盤がせまいのでごちゃごちゃした感じになるからそうしなかったのでしょうかね。

    まめ太。

    2018/5/9(水) 午後 9:04

    返信する
  • > まめ太。さん

    コメントありがとうございます!
    案外バランスが取れていてデザイン的にも美しいですよね。この製品の全アラビアインデックスもありますが、ベゼルは18K無垢ではありません。でも、デザインは素敵ですよ^ ^
    私の女房はこのデザインに妙に惹かれているようで、最近気に入っているようです。

    ヒノマチコ

    2018/5/9(水) 午後 9:29

    返信する
  • こんばんは(^^)

    このローレルに一目惚れし未整備でしたが電車に乗って買いに行ったのが1年前位だったでしょうか(^∇^)

    ムーブとか歴史とか関係なしの一目惚れで買ったのですが今回の記事を拝見し「俺もなかなか見る目があるじゃん」なんて根拠の無い自信と満足感に浸っております(^o^;)

    銀磨きのクロスを購入したままで手をかけてませんが磨いた後にOHをして今年の秋から使ってやろうかな(^^)なんて思ってます。

    [ kot***** ]

    2018/5/9(水) 午後 10:34

    返信する
  • > kot*****さん

    おはようございます^ ^
    いつもナイスにコメントありがとうございます!
    タカさんもお持ちでしたか⁉
    これぞ正解!と言えるような時計だと私は強く思う製品なんですよね。いい買い物されましたね。いやぁ〜、タカさんの目利きは素晴らしいものです^ ^
    ノンメンテなのでまだデビューしていない感じだったのでしょうか⁉実は私のも不動のジャンク個体だったので箱の中で眠ったままでした。ですから今回復活すべく分解掃除をしましたので、紹介することにしました(笑)。次の記事はメンテ記事を投稿しますね!
    実は4S系は結構不動品や故障品が多い個体なんですよね。当時の52系の方がまだ元気なんです。4S系はマメにメンテしなくてはならないムーブなのか、それともクォーツに慣れたオーナーがメンテをしないで20数年使っていたからなのか。。。
    いつかタカさんの記事に登場することを楽しみにしていますね^ ^

    ヒノマチコ

    2018/5/10(木) 午前 7:25

    返信する
  • アレキサンダーnyan さん

    ナイスをいただきありがとうございます。

    ヒノマチコ

    2018/5/10(木) 午前 7:26

    返信する
  • とんぬら さん

    ナイスをいただきありがとうございます。

    ヒノマチコ

    2018/5/11(金) 午後 7:03

    返信する

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