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池袋・新文芸坐で観ました。
[作品データ]
■公開:1981年 ■制作:松竹
■企画:椎野英之、馬場和夫
■制作:佐藤正之、阿部野人
■監督:熊井啓
■原作:矢田喜美雄
■脚本:菊島隆三
■撮影:中尾駿一郎
■音楽:佐藤勝
■美術:岡本健一
■照明:岡本健一
■録音:紅谷愃一
■編集:井上治
■主演:仲代達矢
★ネタバレあります。
[感想文]
こういう映画ってなんかこう、ケツがムズムズするのですよね、登場人物全員に感情移入がまったくできないし、台詞だか演説だか微妙なんで、聴いてるこっちが戸惑うのですよ。 裁判の判決を伝える場面で、なんでいきなり千田是也(写真ですけど)が出てくるのかとビックリしました。もう一人の黒幕役で出てくるのかと思ったら、千田是也本人として出てきただけでした。にしても、現俳優座から元俳優座までよくもこれだけ集めたもんだと感心する、新劇だらけのキャスティングです。
国鉄(現・JR)の綾瀬駅と聞いて下山事件を思い出す人は平成の御世にはもうあまりいないと思いますが、線路上で国鉄の下山総裁の礫死体が発見された事件のことですね。とはいうものの、リアルタイムではもちろん知りませんし、この事件のことを詳しく知ったのは「黒い潮」という映画です。
主人公は新聞記者・仲代達矢です。敗戦直後で日本が混乱していた最中に起こったいくつかの国鉄がらみの事件、これも歴史の教科書で知るくらいの「松川事件」「三鷹事件」それと「下山事件」未だに真相が解明されていないか、または、真相が公表されていない事件について、本作品は「あるひとつの見かた」で制作されていることを念頭に。
国鉄が労働争議で紛糾している最中、下山総裁が行方不明になったという報告を受けた仲代達矢。しかし翌朝、総裁は轢死体で発見されてしまい、大方の見解としては心労が重なったことによる自殺ではないか?はたまた、総裁に反対している勢力による他殺ではないか?と意見が分かれます。
仲代達矢は他殺説にフォーカスして、部長・中谷一郎、熱血漢の記者・橋本功とともに取材を開始。東大法医学部の見解は「死後轢断」つまりどこか別の場所で殺されてから電車に轢かれたということですね。仲代達矢は現場を取材して下山総裁と同じ血液型の血痕が線路上に点々と残っている事実も発見します。
いよいよ他殺説で確定かと思ったら、下山総裁を遺体が発見された現場付近で憔悴した総裁本人を見かけた人がたくさん出てきてしまい、今度は自殺説が有力になります。そんなある日、仲代達矢は駅のホームから突き飛ばされて死にそうになります。これは捜査妨害です、きっと、アンタッチャブルな人が黒幕なのでしょうと確信する仲代達矢でした。
警視総監・平幹二朗は自殺説の発表を突然中止、若くて虚弱だけど鼻っ柱だけは強い刑事・山本圭も仲代達矢と一緒に執念の捜査を続けます。総裁の遺体に付着していた塗料と油から、ちいさな町工場を突き止めた仲代達矢と山本圭は、そこの老社長・信欣三を取材しますが有力な証言は得られませんでした。
事件の真相を知っていると思われる三国人・井川比佐志は、これはグループで行なわれた計画的な犯行で、主犯は「しゃがれ声だった」と仲代達矢に言い残して、本国へ送還される途中に殺されました。
総裁の遺体を運んだという男・伊藤孝雄がいるという北海道へ飛んだ仲代達矢たちでしたが、本人には会えずじまい。そしてついに、事件後に大金を得た男・隆大介と会うことが出来た仲代達矢は、事件の真相を訊き出すことに成功しました。そして、かつて塗料の捜査で立ち寄った町工場が事件後に、大きな工場に建て替えられており、そこに事件の黒幕と思われる男・大滝秀治が出入りしているのを目撃します。
「しゃがれ声」(ただし、事件の再現シーンは、しゃがれ声を真似する草薙幸二郎が主犯役)なるほど、一言も台詞はありませんが、そりゃ大滝秀治だな、だけど特徴ありすぎでネタバレするから、草薙幸二郎がやってたんだな、というオチでした。
そして、真相を語った隆大介は、ホームから転落して死んでしまうのでした。
仲代達矢の、闇の勢力に対する怒りと恐怖の表情で映画は終わりますが、よくよく考えてみると寝た子を起こした君の責任でもあるんじゃないか?隆大介を危険に晒した責任はどうするの?とか思ったりするわけです。だって、真犯人が誰だかわかったからといって、何かが大きく変わるもんじゃないと思いますしね。
それでも、そういうことは忘れてはいけない「松川事件」「三鷹事件」いつも権力者によって闇の力が働いて、真実が葬られる可能性があるのだ、ということを強く訴える映画でした。
仲代達矢がすでにオッサンなのに、熱血青年みたいな振る舞いをするので「俳優の年齢詐称がお約束の新劇ならいいけど、クローズアップがある映画ではいかがなものか?」と思いました。いっそ、無名の新聞記者やってる役所広司と替わればよかったのにね。
「日本列島」に引き続き、日本の戦後の黒幕は大滝秀治ということになります。トンデモナイ責任を背負わされてしまった秀治ですが、好々爺よりもこっちのほうが、ハマるなと正直思いました。
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懐かしい!この作品、製作母体は劇団俳優座ですが、あの悪名高き「国労」が全面協力しており、チケットもかなり引き受けていました。
そのため、当時私が住んでいた田舎の地方都市にあった「ど田舎松竹」でも客が来ないにも関わらず、3週間のロングラン(田舎ではこれでもロングラン)をやってました。
「陰謀の真実を暴く!」という映画って、宗教団体が作る映画と同じ臭いがしますね。
2011/10/24(月) 午前 0:39 [ ジョーボブ ]
ジョーボブ様
なるほど!それで思いっきり国労寄りな感じなのですね。
2011/10/30(日) 午後 8:05 [ こたつ ]