日のあたらない邦画劇場[別館]

最近の記事はコメント&トラバを承認制とさせていただきました、あしからず。

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★シアターN渋谷で観ました。
[作品データ]
 
 
製作:マーヴ・アデルソン
監督:ロバート・アルドリッチ
脚本:ロナルド・M・コーエン、エドワード・ヒューブッシュ
撮影:ロバート・ハウザー
音楽:ジェリー・ゴールドスミス
 
出演:バート・ランカスター(ローレンス・デル)、リチャード・ウィドマーク(マーティン・マッケンジー)、マーヴィン・ダグラス(ザカリーニ)、チャールズ・ダーニング(合衆国大統領スティーヴンス)、ロスコー・リー・ブラウン(ジェームス・フォレスト)、ポール・ウィンフィールド(ウィリス・パウエル)、バート・ヤング(オージー・ガルヴァス)、ウィリアム・マーシャル(司法長官)、ジョセフ・コットン(国務長官)、リーフ・エリクソン(CIA長官)、ジェラルド・S・オローリン(オルーク)、エド・ビショップ(フォックス大佐)、ウィリアム・スミス(ホクシー)、リチャード・ジャッケル(スタンフォード)
★ネタバレしてます
[感想文]
 
製作は1977年、日本公開は1981年のアメリカと西ドイツの合作映画である。
 
実に公開から30年以上を経て2012年リバイバル公開された。
 
冷戦時代、モンタナにあるアメリカの核ミサイル発射基地に向かう空軍のジープが4人の男に襲撃された。
 
彼らは脱獄囚だった。
 
金庫破りのホクシー、黒人のウィリス、イタリア系アメリカ人のガルヴァス、そして元空軍将軍のデルであった。
 
彼らはミサイル発射基地に乗り込むが、気性が荒く軍隊に恨みを持つホクシーは作戦遂行の邪魔になるという理由でデルに射殺される。
 
デルはこの基地の建設計画の中心人物であったため内部の構造について詳しかったのでコントロール室は彼らに落ちた。人質になった宿直のスタンフォードはデルの友人でもあった。
 
デルは政府に対して、国防総省にある機密文書の公開と二千万ドル、そして合衆国大統領を人質にしてエアフォースワン(大統領専用機)で国外へ脱出することを要求した。さもなければ9基の核ミサイルを発射すると言うのだ。
 
空軍のマッケンジー将軍はデルを無実の罪で投獄した中心人物だった。
 
デルが刑務所に入れられたのは彼が空軍の将校としてアメリカの核武装に深く関わっていたが、その過程でベトナム戦争の泥沼の原因となった国防会議の議事録に記載されていたある事実を知ってしまったからだった。
 
核ミサイル基地がそう簡単に占拠されるわけがない。空軍の幹部は基地周辺の調査のためにフォックス大佐の特殊部隊が基地を奪回するために出動した。そしてデルたちが基地を占拠しており、鋼鉄の扉によって守られているコントロール室が他のネットワークから遮断されていることを確認する。
 
しかし、核ミサイル発射に必要な鍵は厳重に保管されていた。事実を重く見た空軍の幹部はマッケンジー将軍に事態の解決を要請した。マッケンジーは宿直のスタンフォードを信頼しており、デルの脅迫はただのブラフだと断定していたのだった。
 
★しつこいようですが、ネタバレしてます★
 
ミサイル基地の警備システムの弱点を突いた作戦がマッケンジーによって展開された。核ミサイル本体に影響が及ばない程度の小型の核爆弾でコントロール室の扉を破壊しようというのだった。
 
大統領は驚いて叫んだ「基地周辺の核汚染はどうなるんだ!?」しかし首脳陣たちは「大したことはない」と回答した。
 
あと一歩というところで作戦は失敗し、ミサイルの発射装置が作動しはじめた。それを見た国防長官は襲撃作戦の中止を命じた。デルはすでに鍵を手に入れていたからだ。
 
スティーヴンス大統領は側近たちを集めてデルの要求の内容の背景にある議事録の内容を明らかにするよう命じた。
 
その議事録にはアメリカが威信を示すためだけに多くの将兵や民間人をベトナム戦争で犠牲にすることをやむなしと決定した詳細な事実が記録されていた。
 
大統領のアドバイザーであるザカリーは「広島以来、アメリカは共産圏や同盟国に対して常に本気で核攻撃をする可能性のあることを示さねばならなかった」と説明した。国家を信頼している国民に対して裏切りを証明するような議事録の公開は絶対にできないというのだ。
 
首脳たちは大統領にモンタナに行ってデルたちの人質になるように迫った。身に覚えのない責任を取らされる大統領は拒否するが友人でもある側近のオルーク説得を受け、モンタナ行きを決心するのだった。
 
大統領は民間人であり学識経験者であるザカリーに「議事録を必ず公開するように」と念を押した。
 
★★もう一度言っときますが、ネタバレしてます★★
 
超一流のスナイパーが基地周辺に配備された。大統領に弾が当たる可能性があるにもかかわらず。
 
大統領は基地に入った。デルは約束を守るという大統領の言葉に従い基地の外へ出た。やがて、銃声が響き渡り、デルとウィリー、そして大統領が倒れた。
 
デルとウィリーは即死、大統領は虫の息でザカリーを呼び寄せて「約束をはたしてくれ」と頼んだ。
 
★★★ここまで来てなんですがネタバレしてます★★★
 
ザカリーは無言だった。息絶える大統領の顔を見つめながら「これがアメリカの威信の真実だ」とでも言うように・・・。
 
「国民は国家を疑っていない、なぜって?それは事実を知らないからだ」若き大統領もまたかつては、そのアメリカ国民の一人だったのです。騙されていた自分が騙した責任を取らされる。しかし、今、彼はスティーヴンスという人間ではなく合衆国大統領なのです。
 
ミサイル発射装置の鍵を手に入れるために宿直の白人技術者を脅してあっさり手に入れたガルヴァスは「これだから白人はヤワなんだよな」と鼻で笑います。黒人のウィリーは大統領を信じているデルに「アメリカの威信を守るためにはたとえ大統領でも使い捨てに決まってるじゃねえか!」と叫びます。
 
エリートでロマンチストなデルに対して常に現実を冷静に見つめているアメリカ市民が黒人とイタリア系だというオチが皮肉すぎて笑うに笑えません。初めて核ミサイルを見た二人が「おい、これ『スタートレック』か?」という台詞も素敵です。観客はこの二人に最も感情移入をしながら映画を観続けて、助かるかどうかやってみよう!とデルに最後までついてくウィリー、そして、大統領を見送る執事のフォレストの瞳に号泣するのです。
 
なぜでしょうね?登場人物の誰もが職務に忠実、私利私欲で動いている人はいません。みんな、アメリカを愛して尽くしているのにどうして争うことになるのか?その矛盾に耐えかねるのかもしれません。
 
彼らは誰から何を守ろうとしているのでしょう?
 
バート・ランカスターとリチャード・ウィドマーク以外はテレビ系や舞台を中心に活躍する実力派の俳優たちで固めています。政治色の強い内容の映画ですからヘンに色のついていない俳優がいい芝居をするので最後の一瞬まで気が抜けません。
 
女が絡まない男のドラマでこれほど緊張して泣ける、だれも泣かせようとしてるわけじゃないのに、こんな映画はほかにあまり知りません。

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こたつ
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