ひらひら言の葉

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          愛媛・今治 来島海峡大橋を遠望

[想う2018]「守破離」 自由への道…
     サッカー元日本代表監督 岡田武史さん 62
2018年8月31日5時0分

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「サッカーにも美学があっていい。でも、日本人は美学に逃げる傾向がある。日本らしく戦ったのだから、負けたのはしょうがない、と。それでは勝負に徹しきれない」=東京都港区で、鈴木竜三撮影

 日本サッカーは先のワールドカップ(W杯)ロシア大会で予想を上回ってベスト16に進み、人気をつないだ。再開されたJリーグは、スペインから世界的名選手がやって来たこともあり、熱い。日本はもっと強くなれるのか、サッカーで見える日本とは何か――。元日本代表監督の岡田武史さんにそんな素朴な質問を当てると、様々な 想 おも いを語ってくれた。 (編集委員 鶴原徹也)
 
型がなかった日本サッカー/地方から頂点へ挑戦/次世代に豊かさを

  鮮やか西野采配
 僕の時(2010年W杯南ア大会)はぎりぎりしがみついてベスト16。今回は内容が違いました。日本は確実に進歩してます。
 〈日本は今大会、コロンビアに勝ち、セネガルと分け、ポーランドに敗れてグループリーグを突破。トーナメント初戦で世界最強国の一つ、ベルギーに逆転負けし、ベスト8入りを逸した〉
 一例はセネガル戦。あれだけ身体能力の高い相手に先制されると、従来なら日本選手は怖がった。ところが今回は堂々と戦い、2度追いついた。
 西野朗さん(今大会の監督)を「運がいい」と言う人がいますが、違う。
 確かにドイツやスペインなど世界最高峰のリーグで力をつけた選手らが、代表で進んで動いた。ただ、自ら動き出す組織を作るのは至難の業。選手に全て任すと、ばらばらになる。代表が勝つために何をすべきか、世界中の誰よりも考え抜いた、西野さんの功績です。
 采配に正解はありません。監督が局面に応じ、独りで決断します。その根拠は確率ではなく直感。ばくちを打つのです。西野さんはベスト16に進むため、ポーランド戦で0対1のまま負ける決断をした。あの場で直感を得たのでしょう。そして、ばくちに勝った。
 Jリーグができて25年、日本は成長しました。選手はチームのために献身的に動き、短いパスをつないで連係で相手を崩す――。そういう組織的な戦い方は「日本らしさ」と認知されるようになりました。
 ただ、成長曲線は必ず横ばいになる。僕は、日本が良いチームで臨みながらグループリーグで敗退した、4年前のW杯ブラジル大会を見て、このままでは世界に追いつき追いこすことは無理だと判断し、山頂に至る別の道を探し始めます。
 
  バルサの教え
 世界の色々な指導者らに会って話をする中で、スペインの世界的クラブ「FCバルセロナ」のコーチと出会います。「スペインはプレーモデルがある。日本はないのか」と聞かれ、はっとしました。あれだけ自由奔放にサッカーをするスペインに一種の型、共通原則がある。それを16歳までに落とし込み、その後は自由を与えるというのです。
 サッカーは先攻後攻がなく、攻守は瞬時に変わる。作戦タイムはない。基本的に選手の判断が重要です。
 この四半世紀、日本にやって来る外国人監督は皆、「日本人は言われたことはうまくやるが、自分で判断できない」と評します。それを受けて、僕ら指導者は「ここはこうしろ」と事細かく教えてきた慣習を改め、「自由を与えて判断させる」指導法に切り替えたのです。
 その一方で、子供の時は自由にプレーさせます。ずっと僕には違和感があった。子供の時こそ基本を教え込むべきではないか、と。
 バルセロナのコーチの発言で、目から 鱗 うろこ が落ちます。彼らはプレーモデルという芯がある上での自由だったのに、僕らは自由だけをまねてしまった。
 僕は今、こう考えます。自由な所から自由は出てこない。縛りがあるから、それを破り、驚くような自由な発想が生まれる。武道に「 守 しゅ 破 は 離 り 」という言葉があります。師匠の教えをまず守り、次に破り、最後は離れる。サッカーにも縛り、原則集が必要ではないか。
 また、サッカー界は選手の判断力の弱さを日本の教育や文化のせいにしてきました。僕はサッカーで変えていきたい。挑戦です。

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(右から)インタビュー中の岡田さん/1968年、メキシコ五輪銅メダルの原動力になった釜本邦茂選手(中央)/93年、Jリーグ開幕式典でレーザー光線に映える東京・国立競技場/97年、イランを破ってW杯初出場を決め、選手らと喜ぶ岡田監督(中央、正面向き)/2018年、W杯ロシア大会でポーランド戦後、選手らをねぎらう西野監督(中央)

  今治モデル
 2014年末、縁あって愛媛県今治市のクラブ「FC今治」のオーナーに。子供から大人までのチームを持つクラブです。僕は「トップチームは25年にJ1優勝、選手4人は日本代表」を目標に掲げました。
 最重点は16歳までに原則集を身につけさせることです。まずスタッフと毎晩のように議論して、バルセロナを参考に、僕らなりの原則集「岡田メソッド」を一つ一つ作りました。フィールドを縦に5等分し、端から番号をふり、第1レーンにボールがある時は第5レーンに選手が2人以上いてはいけない――。原則の一例です。1年で完成させる腹でしたが、3年かかった。原則は約80。ようやく今春、全コーチに徹底させました。
 日本人の特徴を生かして世界で勝つための原則集です。これを芯にしつつ自由に発想し自己判断できる選手が育つかどうか。それがわかるのは10年後です。
 今のトップチームは本来は対象ではないですが、テストも兼ねて教えてみると、大人でも結構変わります。トップチームは今季、初のJリーグ入り、つまりJ3昇格を目指してます。
 サッカーで今治市をもり立てる「今治モデル」も考えました。市内の27の少年団、12の中学校、六つの高校がFC今治を頂点に一つの有機的ピラミッドを作り、 切磋琢磨 せっさたくま する。うちから無償で指導者を派遣し、岡田メソッドを共有します。高校の先生方もそれを受け入れてくれて、一緒に強くなろうという態勢になりました。
 サッカーを今治の目玉にしたい。運営する僕らにはすごくコストがかかる。でも、そうしないと、今治という僕らの基盤が人口減少で衰退しかねない。そんな危機感があります。
 僕にはサッカーだけに取り組んでいるという感覚はありません。環境教育には40年以上関わってます。「地球は子孫からの借りもの」。ネイティブ・アメリカンの格言です。未来に生きる子供たちから借りているものを僕らが壊し、傷つけ、汚してはならない。
 うちの企業理念は「次世代のため、物の豊かさより心の豊かさを大切にする社会創りに貢献する」。信頼や共感、感動にお金を払うような社会を目指しています。それが僕の全ての行動の原点。サッカーを通じ、若い人たちと社会を変えていきたいと思っています。
           ◇
  おかだ・たけし  FC今治代表、(株)今治.夢スポーツ会長。サッカー選手として早大、古河電工で活躍し、日本代表も経験。1997年、日本代表コーチから監督に抜てきされ、日本を史上初のW杯出場に導く。98年W杯は3戦全敗。2007年に再び日本代表監督になり、10年W杯でベスト16。12〜13年は中国リーグの杭州緑城の監督だった。
 
考える人
 インタビューが一段落し、スポーツとナショナリズムの関係に話を振ると、ここでも岡田さんは即答した。
 「ナショナリズムをあおる面もあるでしょうが」と前置きし、「ラグビー(元日本代表監督)の大西鉄之祐さんが『闘争の倫理』にこんなふうに書いてます」。
 戦争に行くと、敵を殺したくなる。理性のタガが外れると、人は恐ろしい動物になる。スポーツも何としても勝ちたいが、ルールがあり、自制する。理性を保つ鍛錬になる――。
 「僕はそれがスポーツの力だと思います」。
                岡田さんは、考える人だ。 (鶴)

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