ひらひら言の葉

風のように吹き去る『大切なことば』をこの胸に止めよう

日記

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ここに一人の童子あり
大麦のパン五つと小さき肴二つとをもてり
(ヨハネ伝6章9節)

There is a lad here 
who has five barkey loaves and two fish.
(JOHN 6: 9)



イメージ 1



ハワイ島 ヒロ






             こどもの詩
          (読売新聞 くらし欄)


   なつ 野口 晃太郎 (9・30)

    こんちゃんの
    てとあしのいろが
    ひゃくねんくらいして
    こうばしうなったら
    たべていいよ
          (東京都目黒区・中央町保育園4歳)

    プールで日焼け。
    100年後だとこうばしくなりすぎるかもしれませんね。
          (平田俊子)


   もっと  古川 煌 (9・28)

     あーあ
     もう さかなくなっちゃった 
     りこちゃんのは
     さいているのに
     もっと さかせたいな
     はなび
           (千葉市・こまどり幼稚園年少)

     咲くとうれしい花火という花。
     咲き終わると寂しいね。
           (平田俊子)

     係から 
       「りこちゃん」はいとこです。


   さいはきらいなの  羽山 諒 (9・27)

     けいさんしなさい
     かきなさい
     まるをつけなさい
     
     さいはきらいなの
     しようならやるのに
            (横浜市・緑小1年)

     ドリルの「〜しなさい」への違和感。
     学校のプリントは「〜しましょう」なのに。
            (平田俊子)


   なつやすみ  植田 芽来 (9・26)

    ようちえん なんで
    ずっとおやすみなの?
    めっちゃん
    だいすきなのに
    ようちえん かぎかけて
    ぐうぐうねちゃうの?
          (埼玉県川口市・川口リズム幼稚舎年少)

    暑いときは幼稚園もぐうぐう寝たいかもしれませんね。
          (平田俊子)


   なおるおと  米島 志織 (9・23)

    むしにさされたところに
    おくすりつけると
    すぐなおるよ
    どどどどどって
    なおるよ
            (富山市・船峅保育所5歳)

    「どどどどど」と怒涛の勢いで治るのかな。
    富山は薬で有名なところですね。
            (平田俊子)



   はなび  宇田川 紗弥 (9・21)

    はなびのちかくは こわいけど
    あおいちごのいろだけ
    とってきたいなあ
          (神奈川県厚木市・はやし幼稚園年中)

    手元にそっと置きたくなる花火の色と輝き。
          (平田俊子)


   断水  樋口 琳太  (9・20)

    断水になって学校が休みになった
    ぼくはうれしかった
    休みになると本当に出なかった
    トイレも使えず調理もできない
    とても不便だった
    ぼくは断水になって
    水の大切さを知った
          (岐阜県美濃加茂市・西中1年)

    水が出るのは当たり前ではなくて、  
    とてもありがたいことですね。 
    電気やガスが使えることも。
          (平田俊子)


   だいじょうぶ  森 穂花 (9・19)

    お姉ちゃん学校で
    毎日さされたの
    痛くないの
    ケガしてないの
    どこをさされたの
           (千葉県野田市・野田中央幼稚園年長)

    難しい質問のときに指さえて答えられないと、
    少し痛いかもしれませんね。
           (平田俊子)


   ひこうき  榎並 優 (9・18)

    どうやってのるの
    ゆうちゃんはのれないなぁ
    だって
    あんなにたかくとべないもん
           (愛知県豊橋市・3歳)

    飛行機が飛んでる空までジャンプするのは
    難しいものね。
           (平田俊子)



   UFO   岡崎 由奈 (9・17)

    夕方というかん字は
    UFOと読める
          (千葉県成田市・吾妻小2年)

    夕方に出るのが正しいUFOかもしれませんね。
          (平田俊子)


   せんぷうき  佐藤 羽奏 (9・16)

    せんぷうき
    あっちいっちゃった
    せんぷうき
    もどってきた
    せんぷうき
    あっちいっちゃった
    せんぷうき
    もどってきた
          (横浜市・3歳)

    扇風機があっちを向く寂しさと、
    こっちを向くうれしさと。
          (平田俊子)


   団長  漆山 りん (9・14)

    私は応えん団団長になった
    それも初代団長
    「女子が団長なんて」
    と言われるけれど
    そんなの関係ない
    私は私のできるかぎり全力で
    最高の体育祭にする
          (埼玉県川島町・つばさ北小6年)

    4月に統合した学校の初代団長。
    「そんなの関係ない」、その通り。
    漆山応援団長を応援します。
          (平田俊子)


   ホルン  田辺 彩乃 (9・13)

    私は部活でホルンを吹いている
    初めはフルートが吹きたかった
    けれど
    今はホルンのかたつむりのような
    まるい形が気に入っている
    早く上手に吹けるようになると
    いいな
           (岐阜県美濃加茂市・西中1年)

    ホルンの形だけでなく、
    音色もきっと好きになると思います。
           (平田俊子)


   人間に聞きたいこと  清水 凛 (9・12)

    私はニホンアナグマです
    先日 交通事故にあって
    死にました
    山から下りてきた 私が
    悪いのでしょうか
    すみかを奪われた私たち動物は
    何か悪いことをしたのでしょうか
           (広島県呉市・東畑中3年)

    車や電車にはねられる動物にわたしも胸が痛みます。
    何とかできないものでしょうか。
          (平田俊子)


   てつぼう大好き  鮫島 司 (9・9)

    ぼく 鉄ぼうやりすぎ豆できた
    いたい ばんそうこうください
    あまりの痛さに鉄ぼうできない
    それでも鉄ぼうやめられない
          (名古屋市・戸笠小2年)

    鉄棒への熱い思いが添え書きに
    たくさんつづられていました。
    将来が楽しみです。
          (平田俊子)


   進路体験学習  福田 理月 (9・6)

    いものこ作業所に行った
    手帳の解体をした
    手帳にかかっているカバーや
    紙の帯をどんどんはずしていく
    ガシャガシャ ガシャガシャ
    おもしろい
    かぶと虫がいっぱいいるみたい
         (さいたま市・塙保己一学園中学部1年)

    リサイクルのための体験学習。
    かぶと虫がいるように聞こえたというところが新鮮でした。
         (平田俊子)


   ムリ  森田 真生 (9・5)

    ムリ
    その言葉は必要ないのではないか
    そう思っているのは私だけ
    なのかもしれない
    けれど私は本気を出せばムリなど
    必要ないと思った
           (岐阜県美濃加茂市・西中1年)

    ムリと思った途端、できることも
    できなくなりそうですね。
    ムリはあきらめの言葉なのかな。
           (平田俊子)


   私  庄司 あさひ (9・4

    私が生まれてほんとうによかった
    私がいないと
    たのしいことができない
    私は
    こうささやいた
    私が生まれてほんとうによかった
           (東京都中野区・江古田小2年)

    生まれてきたことをこんなふうに思えるのは
    すばらしいですね。
           (平田俊子)


   わたしを わすれないで  宮部・碧・アイブァ

    グランパ メガネはここよ
    グランマ キーはここにあるよ
    なんでもわたしにきいて
    エイバァ わかいから
    すぐみつけてあげるよ
    でも グランパも グランマも
    エイバァを わすれないでね
         (千葉県松戸市・暁星国際流山幼稚園年長)

    メガネや鍵を置いた場所は忘れても、
    エイバァさんのことは忘れないから安心してね。
         (平田俊子)


   ちちの日  酒井 直揮 (9・2)

    おとうさん
    いつもぼくのかいたいもん
    かってくれてありがとう
    大きくなったら
    こんどはぼくがおとうさんの
    かいたいもんかってあげるお
           (富山県黒部市・萩生小2年)

    「かいたいもん」がいいなと思いました。
    「かいたいもの」よりあたたかい気がします。
           (平田俊子)


   そうじばしょ  比留間 風光 (8・31)

    ぼくは そうじばしょで
    なんかのほねを
    みつけました
    おなじはんのりりちゃんが
    ほねをそとにほうりなげました
    すごかったです
           (埼玉県川島町・つばさ北小2年)

    骨を見つけたことも、りりちゃんが
    骨を放り投げたこともすごいですね。
           (平田俊子)



   いたずらは やめてほしい 高橋 紅杏 (8・30)

    いろはカルタをしているときに
    さあ 取ろうとしたら
    リリリリリリリリリリ
    火災報知器が急に鳴った
    何事かと思ってびっくりした!
    火事にはなっていなかった
    いたずらはもうやめてほしい
         (埼玉県毛呂山町・塙保己一学園中学部1年)

    「紅杏さんは全盲で、音にとても敏感です」と
    先生の添え書きにありました。
         (平田俊子)

    係から  
      カルタ札の位置を声で聞き、取って遊んだそうです。



   おはな  松田 優花  (8・29)

    おはな
    あつくてないてるの
    じゃあ
    おみずあげて
    だっこしてあげようか
         (茨城県鹿嶋市・2歳)

    だっこしてあげると、
    お花は泣きやむかもしれませんね。
         (平田俊子)


   まるで  伊藤 晃大  (8・28)

    さなちゃん
    かわいい
    まるで
    まるで
    アリの
    たまごみたい
          (千葉県白井市・白井若葉幼稚園年長)

    例え方が新鮮。
    「さなちゃん」は1歳の妹さんだそうです。
          (平田俊子)


   古本屋  本橋 日菜  (8・27)

    古本屋に入ると 
    天じょうにとどくほど
    本がならんでいた
    古本屋に入ると
    ふしぎなにおいがした
    本を買った
    ふしぎなにおいもついてきた
          (茨城県土浦市・新治学園義務教育学校3年)

    古本屋さんの魅力を早くも知ってしまったようですね。
          (平田俊子)


   にがおえ  植田 芽来 (8・25)

    ママ やっとわたせたよ
    せんせい うれしいわって
    だっこしてくれて  
    めっちゃん
    いひひって わらったの
          (埼玉県川口市・川口リズム幼稚舎年少)

    恥ずかしくてずっと渡せなかった先生の似顔絵。
    「いひひっ」がいいな。
          (平田俊子)


   せみ  高柳 大希 (8・24)

    せみ ないてる
    えーんえーんて
          (東京都板橋区・高島平くるみ保育園3歳)

    何か悲しいことがあったのかもしれないね。
          (平田俊子)


   いえない でもいいたい  丸山礼実菜 (8・23)

    だれにもいわないけれど
    悲しくても泣けなくてくやしい
    だれにもいわないけれど
    つらくてもわざと笑顔をつくる
    だれにもいわないけれど
    くらいところがこわい
    聞いてほしいけれど いえないこと
          (埼玉県川島町・つばさ北小6年)

    誰にもいえないことを詩は受けとめてくれます。
    そして詩を読んだ人が思いを受けとめてくれます。
          (平田俊子)


   スイカ  森本 尚子 (8・22)

    毎年家にスイカが届く
    家族は7人いるから
    とても大きいスイカが二つ
    けれど
    おいしかったのは最初だけで
    いつしか朝ごはんがスイカに
    食べても食べても無くならない
            (千葉県松戸市・第一中2年)

    最初は喜ばれたのに、やがて飽きられる。
    スイカに限った話ではなさそうですね。
            (平田俊子)


   カラオケに行けた 小川 翔平 (8・21)

    ずっと前からカラオケに
    行きたいと思っていた
    初めて行ったカラオケは
    思っていた以上に廊下が暗かった
    部屋の中に入ったら 逆に
    画面がすごく明るくてまぶしい
    歌いたい ワクワクしてきた
          (さいたま市・塙保己一学園中学部1年)

    翔平さんは弱視だそうです。
    廊下が暗いという受け止め方にはっとしました。
    楽しく歌えましたか。
          (平田俊子)


   わらう 鈴鹿 将太郎  8・20

    みんな
    しょうたろうがわらってると
    わらうんだ
    みんなが
    わらってるほうがいいから
    しょうたろう
    わらうんだ
          (茨城県板東市・認定こども園ひまわり年中)

    将太郎くんのまわりには
    笑顔があふれていることでしょう。
          (平田俊子)


   ありさん  佐々木 凛人  8・19

    まま!
    ありさんが ちょうちょ
    はこんでるよ
    きっと びょういんへ
    いくんだね
         (埼玉県飯能市・3歳)

    ちょうちょさん、助かるといいですね。
         (平田俊子)


   せんたくばさみ 正田 樹生 8/17

    いたい かまれた
    なんでかむのかな
          東京都大田区 みちづか幼稚園年長

    ここだけの話ですが、せんたくばさみは生きているんです。
          平田俊子

          

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ここに一人の童子あり
大麦のパン五つと小さき肴二つとをもてり
(ヨハネ伝6章9節)

There is a lad here 
who has five barkey loaves and two fish.
(JOHN 6: 9)



イメージ 1






             こどもの詩
          (読売新聞 くらし欄)


   あったかいファンヒーター  (3・2)

     寒いからファンヒーターをつけた
     そしたら飼っている犬が
     あたたかい方によってきた
     犬も寒かったんだと思っていたら
     僕のひざの上にのってきた
     ファンヒーターと犬で
     2倍あたたまった
      (埼玉県川島町・小見野小5年)

     ファンヒーターと人間で2倍あたたまったと
     犬は思ったことでしょうね。
      (平田俊子)


   ゆき  泉 ほのか (3・1)

     冬になると
     どうして雪がふるんだろ
     いっぱいもさもさふったり
     ぼだぼだふったり
     よこにふったり
     春になるととけてなくなるのにね
     冬ってふしぎだな?
      (秋田県横手市・横手北小2年)

     横手は「雪まつり」が開かれる街。
     雪はいろいろな振り方をすることがわかる詩ですね。
      (平田俊子)


   なみだ  高岡 莉奈  (2・28)

     いっぱいないたら
     つめたいなみだ
     しょっぱいなみだが
     目からポロリとおちる
     なきやんだら
     こんどは
     なみだがないた
      (茨城県東海村・白方小2年)

     「なみだがないた」という発想が新鮮ですね。
     出番がなくなって悲しいのかな。
      (平田俊子)


   かわいいいもうと  河田 隼士  (2・27)

     赤ちゃんにおっぱいばかりやると
     お母さんどんどんやせちゃうよ
     おっぱいよりミルクにしたら
     赤ちゃんのくちびるの皮
     むけなくなるんじゃない?
     だからミルクをあげようよ
     そしたら
     僕がのませてあげられるね
      (新潟県三条市・ふじの木保育園6歳)

     赤ちゃんのお世話をしたくてたまらないお兄ちゃん。
     面倒見のいいお兄ちゃんになりそうですね。
      (平田俊子)


   ストーブ  板橋 来美  (2・26)

     休み時間
     みんなに囲まれ
     かじかんだ 幾つもの手を
     向けられる
     はく息が
     暖かいから
     ストーブは
      (千葉県松戸市・新松戸南中2年)

     ストーブの暖かさは、
     ストーブが吐く息の暖かさだったんですね。
      (平田俊子)



   ふたりぼっち  入江 健心 (2・25)

     おばあちゃん
     けんちゃんたちが かえったら
     ふたりぼっちになっちゃうよ
     さびしくなあい
      (埼玉県草加市・清門幼稚園年少)

     時々遊びにいって
     四人ぼっちとか五人ぼっちに
     してあげてくださいね。
      (平田俊子)


   ばあば  小久保 志緒  (2・23)

     私には新潟に住んでいる
     じいじとばあばがいます
     冬に新潟に行くと雪があり
     山のスキーは最高です
     でも最近ばあばの調子が悪い
     この冬新潟に行ったら
     たくさんお手伝いをしよう
      (埼玉県川島町・小見野小5年)

     志緒さんの顔を見たら、
     ばあばとじいじも元気が出るはずです。
      (平田俊子)



   紙ひこうき  飯岡 純也  (2・22)

     白い紙で ひこうきをつくった
     外に出て 思いっきりとばした
     くるくる回って
     朝れい台の上に ちゃくりく
     つぎは まっすぐスーッととんで
     まるい木の上に ふわっとのった
     また とばそう
      (茨城県石岡市・吉生小2年)

     たくさん飛ばしてくれて、
     紙飛行機は喜んでいることでしょう。
      (平田俊子)



   誕生日  上村 優菜  (2・21)

     12月8日は
     ゆうなとゆづきの誕生日
     ゆうなは5さい
     ゆづきは2さい
     じゃんけんしたら
     ゆうながまけちゃうね
      (群馬県高崎市・杉の子保育園5歳)

     じゃんけんのパーは5歳、チョキは2歳。
     面白いことに気がつきましたね。
      (平田俊子)


   一人  越堂 将賢  (2・19)

    冬は寒い
    家に帰りヒーターをつける
    それでも寒い
    チンしてごはんを食べる
    それでも寒い
    一人家で過ごし 一人塾へ向かう
    一人は寒い
      (千葉県松戸市・新松戸南中1年)

    一人でいる寒さと寂しさ。
    冬はなおさら感じますね。
      (平田俊子)




   野菜を多く食べると  垂見 正和 (2・18)

    ぼくは1週間野菜を多く食べた
    そしたらよいことがおきた
    それは
    いままでくさかったくつ下が
    くさくなくなったことだ
    野菜は健康的にもよいし
    くつ下にもよいと感じた
      (埼玉県川島町・小見野小6年)

    何という大発見。
    靴下は野菜に感謝していることでしょう。
      (平田俊子)



   冷蔵庫  深栖 英心  (2・16)

    プリンさん
    さむかったね
    もうさむくないよ
    えいしんのお口の中は
    あったかいよ
    じゃあ
    いただきます
      (東京都世田谷区・祖師谷保育園3歳)

    えいしん君のおかかの中は、
    お口の中よりもっとあったかいことでしょう。
      (平田俊子)



   ママがすき  西川 心春  (2・15)

    こはる
    ママがないてたら
    だいじょうぶよって
    ゆってあげる
    こはる
    ママがすき
    きにいったの
      (大阪府東大阪市・3歳)

    「きにいった」は大好きという意味かな。
    わたしもこの詩が気に入りました。
      (平田俊子)



   おねがい  杉森 彩矢  (2・14)

    さやね
    ママのかわいいこえが
    すきだから
    おようふくきてって
    かわいいこえで
    なんかいもいってね
      (東京都調布市・宮の下保育園4歳)

    彩矢さんの着替えはゆっくりだそうです。
    ママのかわいい声を何回も聞きたいからかな。
      (平田俊子)



   おでん  大塚 リナ  (2・13)

    ばあばが作ってくれたおでん
    フワフワはんぺん
    ツルツルこんにゃく
    そこぬけちくわ
    やわらかだいこん 
    わたしの冬のたからもの
      (茨城県那珂市・芳野小3年)

    ばあばのおでんは季節限定の宝物。
    「そこぬけちくわ」が楽しいね。
      (平田俊子)


   お祭り  菰田 花  (2・11)
  
    じいじとお祭りに行く時  
    ばあばが1500円くれた
    パパは いつも
    1000円しかくれない
    その時いきなり
    心のお祭りが始まった
      (千葉県君津市・周南小4年)

    気前のいいばあば。
    「心のお祭り」という言葉がいいですね。
      (平田俊子)



   キイ  野村 亮太 (2・8)

    ぼくのうちで飼っているインコは
    おくびょうで
    さみしがりやで
    強がりなヤツなんだけど
    誰かが泣いていると
    よって来てなぐさめてくれる
    やさしいヤツだ
      (埼玉県川島町・小見野小6年)

    やさしい人たちに飼われていると、
    インコもやさしくなるのでしょうね。
      (平田俊子)


   どじょう  飯泉 岳 (2・4)

    ほりほりほり
    どじょうが土をほっている
    なにをさがしているのかな
    くねくねくね
    どじょうがからだをまげている
    たいそうしているのかな
      (茨城県つくば市・谷田部小2年)

    岳さんはどじょうを3匹飼っているそうです。
    観察と愛情から生まれた詩ですね。
      (平田俊子)



   怒る  佐久間 洸成 (1・31)

    あのね
    おとなだけが おこるんじゃ
    ないんだよ
    こどもだって
    おとなに おこるんだからね
      (さいたま市・三室保育園5歳)

    子どもが大人たちにたいして怒りたいことは、
    どっさりあると思います。
      (平田俊子)


   きく  古川 陽晴  (1・30)

    おじいちゃんのきくがさいたよ
    レモンみたいな色で
    まんじゅうみたいな形で
    花火みたいに
    ぱっとひらいているよ
      (茨城県那珂市・芳野小2年)

    「レモン」「まんじゅう」「花火」の3連発が豪勢。
    いきいきとした詩ですね。
      (平田俊子)


   恋  斎藤 芽  (1・28)

    お姉ちゃんが恋をした
    お母さんが勉強しろと言っても
    うわの空 
    ケンカの相手にもならない
    恋とは
    そんなにもいいものかしら・・・・
      (東京都府中市・府中第一小4年)

    うふふふふ。
    恋は人を変えてしまいますね。
      (平田俊子)


   なんようび  藪内 智史 (1・26)

    ねぇ おかあさん
    おかあさんの心は
    なんようび
      (茨城県かすみがうら市・中央幼稚園年中)

    はっとする質問。わたしの心は何曜日だろう。
    考えてしまいました。
      (平田俊子)




   ゴキブリ  須藤 颯斗 (1・25)

    学校の体育館で
    ゴキブリが出てしまった
    大変だ しかもまだまだ
    出てきて しまった
    しかもしかも その時夜だった
    しかもその時まん月が
    すごくきれいだった
      (千葉県君津市・周南小4年)

    しかもゴキブリの詩が書けてしまった。
    満月とゴキブリの取り合わせが新鮮ですね。
      (平田俊子)



   おそとのでんき  小林 凛子 (1・24)

    わたし
    おそとのでんきをつけたよ
    おとうさんが
    くらいとおうちが
    わからなくなっちゃうから
    わたし
    ちゃんとあかるくしといたの
      (東京都世田谷区・淡島幼稚園年少)

    凛子さんがつけた電気は、
    ひときわ明るかったことでしょう。
      (平田俊子)



   子ねこのツムちゃん  鈴木 みゆ (1・23)

    まいごの子ねこをひろった
    おかあさんもダメって言うし
    おとうさんもダメって言う
    1日だけおとまりさせたら
    つぎの日かわいくなっちゃって
    新しい家ぞくになりました
    名前はツム
    せかいでいちばんかわいいよ
      (茨城県那珂市・芳野小2年)

    優しいみゆちゃんに拾われたツムは幸せな猫ですね。
      (平田俊子)


   300歳のチェロ  吉田 華 (1・22)

    300歳のチェロ
    300年も生きているのに
    その音色はとてもすんでいて
    美しい
    目をとじたら
    いろいろな風景が見えてくる
    不思議だな
      (埼玉県滑川町・青鳥小5年)

    300年も生きているから、美しい音色なのかもしれませんね。
      (平田俊子)



   ゆうびんやさん  本間 勇人 (1・21)

    ゆうびんやさんっていいよね
    にもつとどけにいけば
    いつでも
    サンタさんにあえるんだもん
      (川崎市・川崎青い鳥幼稚園年長)

    なるほど、その手がありましたか。
    サンタさんに会いたい人は、郵便屋さんになるといいね。
      (平田俊子)


   駅伝大会  樫村 友星 (1・19)

    男女早い人が選ばれ
    別の中学校の人と走り
    1位をきめる
    とても熱い競技
    駅伝は親や先生が
    応援してくれる
    だから僕はがんばる
      (茨城県那珂市・瓜連中1年)

    走る人も応援する人も熱くなる駅伝。
    精いっぱい走ったことでしょう。
      (平田俊子)



   理想像  三浦 彩  (1・18)

    一人で悩みを抱え込むと
    不安は日に日に大きくなる
    誰か一人でも正直に話せる
    友達がいれば
    心が軽くなる
    本音を言える友達
    そういう人に私はなりたい
      (東京都江戸川区・小松川第二中1年)

    「そういう友達が私はほしい」
    という結びではないところがいいですね。
      (平田俊子)



   サンダル  長谷部 大世 (1・17)

    ぼくの黒いサンダルがある
    そのサンダルは底に穴があいてる
    幼いころから使っているものだ
    小さくボロだから新しいのもある
    しかし黒サンダルをはいてしまう
    6年ぐらい使いあいちゃくがある
    なので捨てられない
      (埼玉県川島町・小見野小6年)

    どこに行く時も一緒だった黒いサンダル。
    大人になっても覚えていることでしょう。
      (平田俊子)



   自分の家  拓殖 幹太 (1・16)

    うれしいとき
    かなしいとき
    どんなときでも
    いつも同じ場所で待ってくれる
    感情を受けとめ
    やさしく包みこむ
    僕の一番好きな場所だ
      (岐阜県美濃加茂市・西中3年)

    自分の家をこんなふうに思えるのはすてきなこと。
    あたたかいご家庭なのでしょうね。
      (平田俊子)



   きょうのおふろ  大村 颯多 (1・15)

    きょうのおふろ
    あっついなあ
    フーフーって
    やったらいいねん
    フーフー
    やっぱりなかなか
    さめへんなあ
      (大阪府岸和田市・光陽保育園3歳)

    100人でフーフーやったらさめるやろうか。
    さめすぎるかもしれへんなあ。
      (平田俊子)



   いのしし  岡崎 愛華 (1・14)

    あさおきると
    はたけがぐちゃぐちゃ
    いのししが
    おいもをたべちゃった
    「はたけをあらしちゃいけません
    それは うちのおいもです」
      (茨城県石岡市・吉生小1年)

    おいしいから食べに来るのでしょうけど、
    困りますね。
      (平田俊子)


   ススキがバイバイ 大木葉 優樹 (1・12)

    ススキがバイバイ バイバイって
    さよなら するよ
    だあれも いないのにね
    夕やけの お空 バイバイ!
    もう よるだね
    今日は おわりです
      (東京都江戸川区・船橋小1年)

    ススキは今日という日にバイバイしてるんだね。
    今日が終わると新しい今日が始まるね。
      (平田俊子)




   秋の空  黒沢 香奈 (1・11)
 
    秋の空
    見上げてみると
    真っ赤に染まった夕日と
    ゆっくり進むいわし雲
    いわし雲が夕日と一緒に
    どこかへ行く
    まるでデートしてるみたい
      (茨城県那珂市・瓜連中1年)

『キリストの御形』『日毎の聖句』『全世界』『イエスの御霊』『資料事典』『福音書』

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      「エホバ」は誤読から生まれた・・・
           そのいきさつ



私が手にしている「旧新約聖書」(文語訳)の神の聖名「エホバ」について、今までも多くの説明に触れていたが、今ひとつ「納得」できなかった。今ここに明快な解説をいただいたので喜んでおります。池澤夏樹著「ぼくが聖書について知りたかったこと」(120〜124頁)から抜粋いたします。



秋吉輝雄教授(聖書学)
「あなたの神、主の名をみだりに唱えてはならない」というのが、「十戒」の戒めのなかに入っています(「出エジプト記」20章7節)。口にするなと書いてはあるけど、書くなとは書いていない。だから、ユダヤ教の聖書では、神の名前を、「YHWH」と記しています。これは「神聖四文字、テトラグラム」と称されます。ただし、この文字を口にすること、つまり声に出して読むことはできません。この四文字は、バビロン捕囚後にも、アラム文字に移写せずに、死海文書の時代まで、古書体のまま使われたことがわかっています。ユダヤ人は律法を忠実に守ろうとしますが、その一方でちゃんと逃げ道も考えています。


池澤夏樹(詩人、小説家、翻訳家)
融通というか、屁理屈に頼るというか、そういうことですね。


秋吉
なにしろ音読しなければならないので、四文字沈黙というわけにはいかない。そこでちょうど四文字で構成されていて不敬にならない言葉をここにあてはめることにして、「アドナイ」と読ませることにした。神の名の四文字、YHWHと出てくれば、ヤハウェと読むのが自然ですが、そうは読ませない。

この四文字が出てくると、新たに生み出された母音符号をあてはめて、このYHWHの下に「主」(アドナイ)と読ませるための母音符号 a o a をルビのように振るわけです。ユダヤ人は、子音は無視して、その母音にしたがって、アドナイと発音するのです。ユダヤ人は母音符号に従って、文字は書くだけにしてーーー「ヶティーブ」(書く)と言いますーーー、実際にはアドナイと発声ーーー「ヶレー」(読む、または読め)ーーーするわけです。


池澤
これは日本人にはわかりやすい事態ですね。たとえば「躊躇」と書いて「ちゅうちょ」とは読ませないために「ためらい」というルビをおくようなものでしょう。そのアドナイという言葉には意味があるんですか?


秋吉
アドナイはヘブル語で、「我が主」と言う意味です。これがのちの宗教改革のときにまた別の展開をみせることになります。宗教改革と重なるルネサンスは、古代に還れという主張ですから、聖書も原典のヘブライ語から直接英語やドイツ語に訳そうと試みる。そのとき、翻訳者たちはヘブライ語の約束事を無視して、神聖なる文字に付されたルビの母音を、ばか正直に子音ひとつひとつに母音符号を対応させて音に出してしまう。そうすると、「エホバ」(Yの後の極端母音 a は e となる)という読みになる。現代、多くの人々が信じて疑わない主の名「エホバ」という言葉はこうして、誤読から生まれたものなのです。邦訳でも「口語訳」(1955年)までは「エホバ」と音訳していました。
イスラエルでも昔、神が人間の前に親しく現れていた頃、人は神を親しくヤハウェと呼んでいたにちがいないんです。そういう時代の文章を「J」(ドイツ語表記のJHWH)資料と言います。それが、十戒が出てきて、神との直接交渉ができなくなり、神の名を口にしてはいけないことになる。戦前の日本にたとえれば、御名御璽(ぎょめいぎょじ)というように、神の名を「御名」「我が主」と呼ぶと言う時代になった。公文書に書かれた「裕仁」という署名を「ひろひと」とは読まずに「御名」と読むことによく似ています。

ぼくは体験していませんが、軍隊で、「かしこくも」と始まれば、次には天皇陛下が出てくることがわかっているので、「かしこくも」と聞くと、条件反射的に直立不動の姿勢をとったのと同じですね。

ちなみに、神名が使われなくなって固有名詞やヤハウェに代えて「神」という普通名詞で記された文書が「E」(エロヒム=神の略)資料です。「創世記」の物語部分の大半は、この「J」と「E」が組み合わされ、あるいは並行して並べられて構成されています。


池澤
日本語の場合、そのユダヤの神の「御名」と似ていて、高貴な相手は直接に名指さないですね。陛下というのは、「きざはしの下」という意味でしょう。「殿下」もそうですね。一般人はそこまで行って、あとは侍衛の臣に取り次いでもらう。そうやって必ずちょっとずらして、地名で呼んだり、建物や部屋の名で呼んだりした。桐壺の局がいい例ですが。


秋吉
ですから、イエスが教えたとされる主の祈りには、「天におられるわたしの父よ、御名が崇められますように」(「マタイによる福音書」6章9節)とありますが、ヘレニズム時代になると、YHWHという文字が出てくると、ウラーノス(天)とも読むわけです。天国とは神の国の意味で、聖なるトポス(場所)とも読みます。



             『いなごまめの発芽実験』
                      『死と生命と救い』
             『使徒トマス・復活の主』
               『偉大な寝技師』
             『神の聖名の権威について』
              『カペナウムに始まる』


                   源氏物語
         現代京ことば訳  中井和子


桐壺(きりつぼ)
   どの天子さんの御代のことでござりましたやろか。女御や更衣が大勢
    待っといやしたなかに、そないに重い身分の方ではござりまへえで、
    それはそれは時めいといやすお方がござりました。
   
帚木(ははきぎ)  
    光源氏と呼ばれといやしても、名前ばっかりが仰々しうてお話するのが
    憚られるようなわるいことも多かったのどすけど、その上「こないな
    好者めいたことおきやした内緒ごとまで、語り伝えたやなんて、ほんま
    におしゃべりで、困った人たちでございます。実のとこは、ひどう世の
    中を恐れといやして、真面目一方でおいやしたので、艶めいた面白い話
    などはのうて、あの好色な交野の少将には、お笑われやしたに違いござい
    ません。

空蝉(うつせみ)
    お臥みになれまへんままに、源氏の君は、
    「わたしはこないに、人に憎まれたり嫌がられたりもせなんだのに、
    今晩はじめて、世の中の辛さ、むなしさもようわかって、恥ずかしうて
    生きてる気もせんようになった」
    などと仰せやすさかい、小君は、涙さえこぼして寝てるのどした。
    ほんまに可愛らしいと、お思いやす。手さぐりでの、ほっそりと小柄な
    とこや、髪がそないに長うなかった様子が、似通うてるのも、そう
    お思いやすせいか可愛いおす。

夕顔(ゆうがお)
    六条辺りに、忍んで通うといやす頃、内裏からお下りやす中宿りに、
    大弐の乳母がひどう患ろうて尼になったのを見舞うてやろうと、五条
    にある家を尋ねてお行きやした。

若紫(わかむらさき)
    わらわ病をお患いやして、いろいろと、呪法やら加持などをさせとい
    やすけど、効めものうて、たびたび発作をおおこしやすさかい、
    ある人が、「北山の某寺ちゅうところに、すぐれた行者がおいやす。
    去年の夏も、世間に蔓延して、他の行者たちがもて扱いかねていた
    のを、忽ちなおしたという例が、沢山ござりました。

末摘花(すえつむはな)
    どう思うても、やっぱり、心にかかってます。あの夕顔に、露が消える
    ように先立たれてしもうた時のお気持ちが、年月が経ってもお忘れに
    なれしまへん。こちらもあちらも打ち解けやさへんお方ばっかりで、
    気取ったり、ものを深う恨んだりして、張り合うといやすさかい、
    なつかしゅうて気さんじどした可憐さが、二人とない女として、
    恋しう思われやすいのでございます。

紅葉の賀(もみじのが)
    朱雀院への行幸は、十月の十日余りのことでございます。
    いつもの年とは異なり、面白いはずの、この度の御儀でござりまっさ
    かい、御方々は、おみになれへんのを残念に思うといでやす。
    上も、藤壺が御覧になれんのを、もの足りのう思召すもんで、
    試楽を御前でおさせやす。

花の宴(はなのえん)
    二月の廿日余りのころ、紫宸殿の桜の宴を御催しでござります。
    后と東宮の御座所は、玉座の左右に用意してござりまして、そこへ
    参上遊ばします。弘徽殿の女御は、中宮が、こうしてお座りやすのを、
    事あるたんびに、面白うのうお思いやすけど、今日の催はお見すごし
    やすことがお出来になれえで、お参りやす。

葵(あおい)
    御代が代わってからというもんは、何事も大儀にお思いになり、官位
    の重々しさも加わりますのか、かるがるしい忍び歩きもしにくうて、
    ここもかしこも、待遠しさの嘆きを重ねさせといやす報いというの
    どすやろか、相変わらず、御自分に情ないお方の御心ばかりを、
    どこまでも思い嘆いといやすのでござります。

賢木(さかき)
    斎宮の御下向が近うなってきますままに、御息所は、心細うお思いやす。
    特別のおもてなしで、気のおけるお方と思うといでやした大殿の姫君も
    お亡くなりやして後は、何と申してもこちらの方がお座りにと、世間の
    人も噂をし、宮の内でも期待してましたのに、それからあとも、
    ふっつりと途絶えて、あさましいおもてなしをお見やすと、ほんまに
    心憂いと思召すことがあったのやろうと、ようおわかりやしたので、
    すべてのお胸の思いを振り捨てて、まっすぐ伊勢へと御出発なさるの
    どす。

花散里(はなちるさと)
    人しれず御自分から好きこのんで物思いをおしやすくせは、
    今にはじまったことでもおへんけど、こないに大方の政治むきのこと
    でさえ、うっとうしゅうて思い乱れやすいことばっかり殖えるので、
    何とのう心細う思え、何もかもが嫌になっておしまいやすけど、
    というて、放ってもおけへんことが、さすがに多うござりました。

須磨(すま)
    世の中がえろううるそうおして、極まりのわるいことばっかり多すさかい、
    無理に知らん顔して暮らしてても、今よりももっとわるいこともおこって
    きそうなと、思うようにおなりやした。

明石(あかし)
    相変わらず、雨、風ははげしうて、雷も鳴りしずまりまへんままで、
    数日が経ってしまいました。心細いことが次から次へとおこってきて、
    今日までのことやら、これからさきの悲しさに、お心もくじけてしまい、
    「どうしたもんやろう。こんな様やさかいというて、都へ帰るのも、
    まだ世の中の許しも出てへんままでは、余計物笑いになるやろう。
    いっそのこと、ここより深い山に分け入って跡をくらましてしまおうか」
    と、お思いやしても、「波風に恐れをなして」と、人が言い伝えたら、
    後々まで、えろう軽率や、という名を流すことになろう、と思い乱れ
    といやす。

澪標(みおつくし)
    はっきりと、夢におあらわれやしてからというもんは、院の帝の御事が
    お心にかかり、何とかして、あの、苦しみ遊ばしといるという罪業から、
    お救い申し上げることが出来んもんか、と、胸を痛めといやしたが、
    こうして御帰京おしやしたので、その御準備をお進めやす。
    十月に、法華御八講が行われます。世の中の人が進んで御用をつとめる
    有様は、昔と同ンなじでござります。

蓬生(よもぎう)
    須磨で藻塩をたれながら、わびしい思いでお暮らしになっといやした頃、
    都でも、あれこれと心を痛めといやした人はたんとおしたけど、
    それでも御自分の身をお寄せやす拠りどころのおありやすお方は、一筋に
    恋しいという思いだけでは辛うおしたけど、二条の上なども、お暮らし
    向きの苦労はのうて、旅の御住処の様もようわかって御文でお気持ちも
    通い合い、位を失われた源氏の君の仮の御召物も、竹のこの世の憂き節
    につけて、季節ごとにお世話申しやして、お心も慰められといやしたと
    思いますけど、なまなか、その人とも世にも知られんと、旅立って
    おいきやした時の御有様も、よそながら思いやるより他ない人々の中で、
    ひそかに心をいためといやす方たちも多いのでござりました。

関屋(せきや)
    伊予の介というた者は、故桐壺院がおかくれ遊ばしたその次の年に、
    常陸の介になって下って行ったので、あの箒木も連れられて行ったの
    どした。須磨御退居のことも遥か遠くの土地できき、人しれずお案じ申さ
    ぬわけではおへなんだのどすけど、お便りを申すてだてものうて、また、
    筑波根の山からお便りを申すのでは心もとのうおして、ちょっとした噂も、
    耳にせんままで、年月は重なってしもうたのどした。

絵合(えあわせ)
    前斎宮が宮廷に入内なさることは、中宮が御熱心に、御催促遊ばすので
    ございます。「こまごましたお世話の出来る、これちゅう御世話役も
    ないことやし」とはお思いやすもんの、大殿は、朱雀院がお耳に遊ばす
    のをお気になさり、二条院にお渡し申すこともこの度はひかえ、ただ、
    素知らぬ顔をしといやすけど、大方の御注意は引きうけて、親みたいに
    お世話申しといやす。

松風(まつかぜ)
    東の院の造営がなって、花散里と申し上げた方をお移しします。
    西の対の屋から渡殿にかけて、政所や家司などを、ええように按配して
    お設けやす。東の対は、明石の御方のためにとっておおきやした。
    北の対は、特に広うお作らせやして、ほんのちょっとでもお気持ちが
    通い、将来ともにと約束おしやした人々が、集まって住むようにと、
    隔て隔ての仕切りをいくつも設けやしたのも、うれしいなさりようで、
    いかにも住みよさそうで行き届いているのどす。寝殿は、空けて
    おおきやす。御自身が時々お渡りやす時の御住居でござりまして、
    それにふさわしい御しつらいをおさせやした。

薄雲(うすぐも)
    冬になるにつれて、川面の住居は余計心細さがひどうおして、物思い
    にばっかりふけって日を送ってるので、源氏の君も、
    「やっぱり、このままでは、とても過ごせまい。あの、用意した近い
    とこへ、思い切ってくれやす」
    と、おすすめやすけど、辛いお仕打とすっかりわかったら、どうしよう
    もない気がするやろうしと、「いかに言ひてか」などとある歌みたいに、
    心が乱れるのどす。

朝顔(あさがお)
    斎院は、御服喪のため職をお下りやしたのでござりました。大臣は、
    例によって、思いをおかけやすと諦めてしまへん性質どすので、
    お見舞いなどというて、しょっちゅうお便りをお出しやす。宮は、
    噂にのぼって困った昔のことが思い出されますので、打ち解けた御返事
    も申しやさしまへん。残念な、と思いつづけといやす。

乙女(おとめ)
            年が改まり、藤壺の宮の御一周忌も終わったので、世の中の人は喪服を
    ぬいで、衣替えの季節ともなると華やかな事どして、まして加茂祭の頃は、
    大体の空の様子も気持ち好さそうどすのに、前斎院では、所在なさそうに
    物思いにふけっといやす。お庭さきの桂の木の下をなつかしそうに風が
    そよぐにつけても、若い女房たちはいろいろのことが思い出されます
    そんな時、大殿から、「御禊の日は、さぞや、のんびりとお過ごしで
    ござりまひょう」と、お見舞いのお文がまいりました。

玉鬘(たまかずら)
    年月が経ってしもうたのどすが、飽かぬ思いのままにお別れやした夕顔
    のことを、ちっともお忘れになれしまへん。さまざまの人の有様を、
    つぎつぎとお見やしたにつけても、生きていたらと、なつかしうも
    口惜しうもと、そればっかり思い出しておいでやすのでござります。

初音(はつね)
    年があけた朝の空の景色は、美しうよう晴れて、雲一つないうららかさ
    どして、数にも入らぬ垣根のうちでさえ、雪間の草が若々しう色づき
    初め、待ちかねたように春めいてきた霞をうけて、木の芽も萌えたち、
    それにつれて人の心ものんびりみえるもんでございます。まして、玉を
    敷きつめた六条の院では、見ごたえが多うおして、いっそう美しう磨き
    たてた御方々の御住まいは、とうてい筆には、言葉が足りそうにござり
    まへん。

胡蝶(こちょう)
            三月二十日余りの頃、春の御殿のお庭さきの様子は、いつもの年より
    特別にいきいきと咲き匂う花の色や鳥の声でまるで別世界のようどして、
    よその里のお方は、まだ春の盛りは過ぎてへんのかと、珍しうおみやす
    のでござります。

蛍(ほたる)
    今ではこうして重々しい御身分におなりやして、万事のんびりと物静か
    に暮らしといやすので、お世話になっといやす女たちも、それぞれに、
    みんな思い通りにおさまり、不安なとこは無うて結構に日を送っとい
    やす。対の姫君だけは、お気の毒にも、思いもかけぬ物思いが出てきて、
    どうしたもんかと、思い乱れといやすのどす。

常夏(とこなつ)
    ひどう暑い日、東の釣殿にお出ましやして、お涼みやす。中将の君も
    横にお控えどす。親しい殿上人が大勢伺候して、桂川から献上した鮎
    やら、近くの賀茂川でとれたはぜの類いを御前で調理して差し上げます。
    例によって、内大臣家の君達が中将の居所を探し求めてやっといで
    やした。源氏の君は、
     「所在が無うて眠たかったとこや、丁度ええ折にお越しやしたなぁ」
    と、お盃をさし上げ、氷水をおとり寄せになって、水飯などをめいめい
    が賑やかにさわぎながら食べます。

篝火(かがりび)
    このごろ世間の人が話の種にして、「内の大臣の今姫君は」と、こと
    あるたんびに言い回っているのを、源氏の大臣はおききやして、
    「何はともあれ、一目につかんとこでひっそり暮らしてきた女の子を、
    ええ加減な口実かもしれぬけど、そこまで大仰にして引きとっといて、
    こう人に見せたり、噂されたりするのは腑におちんこっちゃ。何事も
    はっきりしといやす御性格やさかい、くわしい事情も調べんと引っ張り
    出して、気に入らぬというて、こないにひどい扱いをおしやすのやろう。
    物事は何でも、扱い方一つで、穏やかにすむもんやに」と、気の毒
    がっといやす。

野分(のわき)
    中宮が、御庭先に秋の花をお植えさせなっといやすのが、いつもの年
    より見事どして、とりどりの花を数かぎりものう集め、風流な黒木赤木
    の笆垣を処々にのぞかせて、同じ花ともうしても、その枝ぶりや恰好、
    朝夕におりる露の光までが、此の世のもんとも思えぬほどで、玉かと
    疑われるほどに輝いとりまして、広うおつくりやした野辺の景色をみて
    ますと、ついもう、春の山のことなど忘れてしまい、涼しげで面白うて、
    魂も抜け出ていくようでござります。

行幸(みゆき)
    こないにして、あれこれ考えをおめぐらしやして、「何か、ええ方法は
    ないやろか」と、思案しといやすけど、何というても、「音無の滝」ど
    して、おおっぴらに声に出してお口説きになれんていうのは、ほんまに
    お気の毒なことどして、南の上の御推察通り、軽率やという御名が立ち
    そうでござります。あちらの大臣は、万事にきっちりなさってて、
    ちょっとでもええ加減なことは、がまんのお出来やさへん御性分どっさ
    かい、あけすけに何の斟酌ものう、きっぱりしたおもてなしなどが
    あったりした日には、物笑いなことにもなろう、などと自省もしといや
    すのどす。

藤袴(ふじばかま)
    尚侍として宮仕えなさるのを、どなたもどなたもおすすめやすけど、
    「どうしたもんやろう、親と思い申し上げてる人の御心でさえ、安心
    出来ん世の中やさかい、ましてそんな御奉公をして、思いもかけぬ
    不都合なことがおこり、中宮も女御も、お二人とも気まずい思いを
    おしやしたら、困ったことになるやろう。自分はこないな頼りない境遇
    で、どちらさまにもお親しうお心を寄せて貰うようになったのは、
    つい此の間で、世間からも軽うみられてて、邪推されたり、妙な風に
    噂されたりして、物笑いになる様をどないかしてみてやろうと、呪う
    といやす人々もたんとあり、何かにつけて、嫌なことばっかりあるに
    違いない」と、物事のおわかりやさへん年齢でもおへんさかい、あれ
    これと思い乱れ、人知れず嘆いといやす。

真木柱(まきばしら)
    「上がお耳に遊ばされるのも恐れ多い。しばらくは世間に公表しましょ
    まい」と、お諌め申しといやすけど、大将はそんな我慢はようおしや
    さしまへん。何日も経ちましたが、いっこうにうちとけた御様子ものう
    て、「思いのほか、情けない我が身の運命やった」と、いつまでも
    沈み込んどいやすので、「たいそう辛い」と思うのどすけど、浅からぬ
    宿縁のおしたのが、しみじみと嬉しゅうて、見ればみるほど結構で、
    非のうちどころのない御器量、御様子でおいやすのを、「よそもんに
    して終わるとこやった」と、思うだけでも気もそぞろになり、石山の
    観世音も弁のお許も、並べて拝みとう思うのどすけど、女君が心底情け
    ない、と思うて嫌うといやすので、内裏に上ることも出来ず、籠りきり
    になっといやした。

梅が枝(うめがえ)
    御裳儀のことで御準備なさる御心遣いは、尋常のことではござりまへん。
    東宮も、同じ年の二月に、御元服の式があるはずでござりまっさかい、
    そのまま御参内のことも引きつづいてござりますのどっしゃろか。

藤の裏葉(ふじのうらば)
    入内の御準備の間も、宰相の中将は、物思いにふけりがちでぼんやり
    してるのどすけど、一方では妙な気がして、「自分ながら執念深い
    こっちゃ。ここまで思いつめるというのなら、関守が目をつぶりとう
    なって、気が弱うなっといやすということも聞いてるさかい、どうせなら、
    みっとものうないように、おしまいまで待とう」と、じっと怺えるのどす
    けど、やる瀬のうて、思い乱れといやす。


若菜(上)(わかな)
    朱雀院の帝は、先日の御幸の後、あの頃から、いつもとは様子が違うて
    きて、ずうっとお具合がわるうござります。もともと御病気がちで
    おいやすけど、この度は、何やら心細う思召し、前々から出家のお気持ち
    は強うおありでござりましたが、后の宮のおいで遊ばした間は、万事に
    御遠慮申され、今まで思い留まっといやしたが、「やっぱり、その方へ
    心がひかれるのやろうか、長うは生きていられん気がする」などと仰せ
    やして、何かとその御用意などを遊ばしといやすのでござります。

若菜(下)(わかな)
    衛門督は、道理やとは思うもんの、「ようも言うたもんやなあ。いやいや、
    何でまた、こんな、通り一辺の挨拶だけを慰めに過ごされよう。こないな、
    人伝てではのうて、一言でも物を言うとくれやしたり、申し上げたり
    することは出来ひんもんか」と思うにつけ、何もない時には、結構で
    立派なと思い申し上げてる院の御ために、怪しからぬ心がきざしてきた
    みたいでございます。

柏木(かしわぎ)
    衛門の督の君は、こないなばかりで、お具合のわるさがつづき、いっこう
    に快方にむかわんままで、年も改まりました。大臣、北の方が嘆いと
    いやすのを見申すと、無理にも死んでしまおうと思うた命の甲斐ものう、
    さきだつ罪の重さを思う気持ちとして、それにしても、無理にもこの世に
    執着して、生きてんならん我が身やろうか、小さい時から気位が高うて、
    特別何事でも、人よりは一段とたちまさろうと・・・

横笛(よこぶえ)
    故権大納言が、はかのうおなりやした悲しさを、いつまでも残念なことに
    思うて、恋い偲ぶ人はたんとおいやすのでございました。六条院でも、
    特に関係のおへん人でさえ、相応の人が亡うなるのをお惜しみやすお心
    どすさかい、ましてこの人は、朝夕お身近う、しょっちゅう参上し、誰
    よりもお心をかけといやしたので、面白うものうお思い出しやすことは
    おありやすもんの、悲しみは深うて、何かにつけて思い出しといやす。

鈴虫(すずむし)
    夏のころ、蓮の花のさかりに、入道の姫宮の御持仏の開眼をおしやすので、
    その供養を遊ばします。この度は、院の上の御発案で、御念誦堂の道具類
    を、心をこめて用意おさせやしたので、早速そのままお飾りやす。幡の
    様などもやさしい感じで、特別上等の唐の錦を選んでお縫わせやした。
    紫の上が、お準備おさせやしたもんでござりました。

夕霧(ゆうぎり)
    まめ人という評判をとって、賢こうぶっといやす大将は、この一条の宮の
    有様を、やっぱりすばらしいお方や、と忘れられず、大方の世間の目には、
    昔を忘れん心遣いとみせながら、熱心にお見舞い申し上げやす。
    心の中では、このままではすまされそうにもないと、月日のたつにつれて、
    思いは募って行くのどした。御息所も、「世にも珍しいやさしいお心の
    お方やないか」と、今ではいよいよ物淋しうしてお心細いお暮らしどっ
    さかい、しょっちゅう訪ねとくれやすのに慰められることも多いので
    ござりました。

御法(みのり)
    紫の上は、ひどうお患いやしたそのあとは、すっかりお身体がお弱りや
    して、どこということものうお具合のわるいままで、長いこと日が経って
    しまいました。ひどう重体というわけではおへんけど、もう長い年月に
    なり、望みがなさそうで、ますます弱っておいきやすさかい、院が心配し
    てお嘆きやすのは、此の上もござりまへん。

幻(まぼろし)
雲隠(くもがくれ)

匂兵部卿(におうひょうぶきょう)
紅梅(こうばい)
竹河(たけかわ)
橋姫(はしひめ)
椎本(しいがもと)
総角(あげまさ)
早蕨(さわらび)
 
宿木(やどりぎ)
東屋(あずまや)
浮舟(うきふね)
蜻蛉(かげろう)
手習(てならい)
夢の浮橋(ゆめのうきはし)


             『いなごまめの発芽実験』
                      『死と生命と救い』
             『使徒トマス・復活の主』
               『偉大な寝技師』
             『神の聖名の権威について』
              『カペナウムに始まる』

   『キリストの御形』『日毎の聖句』『全世界』『イエスの御霊』『資料事典』『福音書』

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           小倉百人一首


『小倉百人一首』は読み手が上の句を読み上げ、下の句の札を取り合って枚数を競う「歌かるた」として、今でも正月の風物詩の一つになっている。

『百人一首』とは「100人の歌人が詠んだ和歌の中から、一人につき一首ずつ選んで集めたもの」という意味で、『新古今和歌集』時代の中心的歌人・藤原定家がこれを編纂し、鎌倉時代初期の文暦二年(1235)〜嘉禎三年(1237)に成立したとされる。



1  秋の田のかりほの庵のとまをあらみ 
   わがころもでは露に濡れつつ
                    天智天皇

 (秋の田んぼのほとりに稲刈りのための仮小屋があります。
  ここは屋根も粗末で隙間だらけなので、
  番をする私の着物の袖はこうして夜露に濡れ続けてしまう)

  出典は「後撰集」秋中。詞書「題しらず 天智天皇御製」。
  天智天皇 推古34年(626)〜天智10年(671)。
  第38代天皇。蘇我氏を滅ぼし、大化改新、近江遷都などを
  行った。



2  春過ぎて夏来にけらし白妙の 衣ほすてふ天の香具山
                    持統天皇

 (いつの間にか春が過ぎ去って、もう夏が来てしまったようだわ。
  この天の香具山は、夏になると白妙の衣を干すと言われて
  いますからね)

  出典は「新古今集」夏。詞書「題しらず 持統天皇御歌」。
  持統天皇 大化元年(645)〜大宝2年(702)。
  天智天皇の第二皇女。



3  あしびきの山鳥の尾のしだり尾の 
             ながながし夜をひとりかも寝む
                    柿本人麿

   (山鳥の長く下がった尾のように長い長い夜を、
    私は恋しいあなたとも逢えずに、ひとり寂しく
    寝ることになるのだなあ)

  出典は「拾遺集」恋三。詞書「題しらず」。
  柿本人麿 生没年未詳。万葉集時代の優れた歌人の一人。



4  田子の浦にうち出でてみれば
           白妙の富士の高嶺に雪は降りつつ
                   山部赤人

   (田子の浦で眺めのいい場所まで進み出て眺めると、
    真っ白な富士山の尾根に、今しも雪が降り続いている
    ようすが見えるよ)

  出典は「新古今集」冬。詞書「題知らず」とある。
  山部赤人 生没年未詳。奈良時代初期の宮廷歌人。
  聖武天皇の行幸に同行し、宮廷儀礼歌を多く詠んだ。
  三十六歌仙の一人。


5  奥山に紅葉踏み分け鳴く鹿の 声聞く時ぞ秋は悲しき
                   猿丸大夫

   (人里離れた山奥に紅葉を踏み分けてやって来た鹿が、
    妻を慕って鳴く声を聴くと、秋とは悲しいものだと
    しみじみ感じます)

  出典は「古今集」秋上。詞書「是貞親王の家の歌合の歌」。
  猿丸大夫 生没年・伝未詳。三十六歌仙の一人。


6  かささぎの渡せる橋に置く霜の
              白きを見れば夜ぞ更けにける
                   中納言家持

   (天の川に、かささぎが翼をつないで橋をかけている。
    まるで霜が降りたように真っ白になっているところを
    見ると、夜もすっかりふけてしまったのだな)

  出典は「新古今集」冬。詞書「題しらず」。
  中納言家持 養老二年(718)頃〜延暦四(785)。
  奈良時代末期の貴族。三十六歌仙。


7  天の原ふりさけ見れば春日なる 三笠の山に出でし月かも
                   阿部仲麿

   (大空をはるか遠くまで見渡すと、東の空に美しい月が
    輝いている。あれは、私の故郷である春日の三笠山に
    出ていた月と同じ月なのかなあ・・・)

  出典は「古今集」羈旅。詞書「唐土にて月を見てよみける」。
  阿部仲麿 文武二年(698)〜宝亀元年(770)。
  奈良時代の遣唐留学生。帰国途中に難破して唐に戻り、日本
  に帰れないまま没した。



8  わが庵は都のたつみしかぞ住む 世をうぢ山と人はいふなり
                    喜撰法師
   
   (私の隠居所は都の東南にあって、このように心静かに
    暮らしております。それなのに、世間の人はここを
    「(世の中を)憂し」、つまり「つらい」から住む
    「宇治山」と言っているらしいね)


   出典は「古今集」雑下。詞書「題しらず」。喜撰法師 
   生没年・伝未詳。六歌仙の一人。


9  花の色は移りにけりないたづらに 
             わが身世にふるながめせし間に
                    小野小町

   (あんなにきれいだった桜の花も、春の長雨がむなしく
    降っている間にすっかり色あせてしまったわ。
    私が恋をして物思いにふけっているうちに、
    容姿が衰えてしまったのも同じことなのね)

   出典は「古今集」春下。詞書「題しらず」。
   小野小町 生没年未詳。仁明朝(833〜850)頃の
   女流歌人。六歌仙・中古三十六歌仙。


10  これやこの行くも帰るも別れては 
                知るも知らぬも逢坂の関
                     蝉丸

   (これがかの有名な逢坂の関か・・・。東国へ行く人も
    見送って都へ帰る人もここで別れ、知っている人も知ら
    ない人もここで逢うという、その名の通りじゃないか)

   出典は「後撰集」雑一。詞書「逢坂の関に庵室をつくり
   て住み侍りけるに、行きかふ人を見て」。蝉丸 生没年・
   伝未詳。逢坂の関のそばに住む隠遁者とも。



12  天つ風雲の通ひ路吹きとぢよ 
              をとめの姿しばしとどめむ
                    僧正遍昭

   (おおい、空を吹く風よ、天女が通う雲の中の通り路を
    風で閉じてしまっておくれ! 美しい天女たちの姿を、
    もうしばらくこのままにしておきたいから)

   出典は「古今集」雑上。詞書「五節の舞姫を見てよめる」。
   僧正遍昭 弘仁七年(816)〜寛平二年(890)。
   俗名良岑宗貞。桓武天皇の孫。蔵人頭になったが、のち
   に出家。六歌仙の一人。



15  君がため春の野に出でて若菜つむ 
               わが衣手に雪は降りつつ
                    光孝天皇  

   (あなたに差し上げたいと思って、春の野原に出て若菜を
    摘んでいる私の袖に、雪がちらちらと降り続いています
    ・・・)

   出典は「古今集」春上。詞書「仁和帝、親子におはしまし
   ける時に、人に若菜たまひける御歌」。
   光孝天皇 天長七年(830)〜仁和三年(887)。
   第五十八代天皇。仁和天皇の第三皇子。



17  ちはやぶる神代も聞かず龍田川 
               からくれなゐに水くくるとは
                    在原業平朝臣

   (竜田川に真っ赤な紅葉がちりばめられ、その下をくぐる
    ように水が流れていくなんて、不思議なことが多かった
    神話の時代でさえ聞いたことがない光景だなあ)

   出典は「古今集」秋下。詞書「二条后の春宮の御息所と
   申しける時に、御屏風に龍田川に紅葉流れたる形をかけり
   けるを題にてよめる」。在原業平朝臣 天長二年(825)
   〜元慶四年(880)。平城天皇の皇子阿保親王の五男。
   六歌仙、三十六歌仙の一人。『伊勢物語』の主人公と
   いわれる。



18  住の江の岸に寄る波よるさへや 
                夢の通ひ路人目よくらむ
                    藤原敏行朝臣

   (住の江の岸にそっとうち寄せる波じゃないけれど、
    あなたって昼間だけでなく、夜遅く夢の中で私の所に
    忍んでいらっしゃるときでさえ、人目を避けようと
    なさるのね)

   出典は「古今集」恋二。詞書「寛平御時后宮の歌合の歌」。
   藤原敏行朝臣 生年未詳〜延喜元年(901)か。
   三十六歌仙。


19  難波潟短き蘆のふしの間も 
            逢はでこのよを過ぐしてよとや
                      伊勢

   (難波の入り江に生えている蘆の節と節との間のような、
    ほんのちょっとの時間だってあなたに逢わずにいられない
    のに、今夜はひとりで過ごしなさいとおっしゃるの?)

   出典は「新古今集」恋一。詞書「題しらず」。
   伊勢 生没年未詳。宇多天皇の中宮温子に仕えた。
   三十六歌仙。


21  今来むといひしばかりに長月の 
             有明の月を待ち出でつるかな
                   素性法師

   (「すぐ行くから」とあなたが言ったばかりに、私が毎晩
    待ち続けている間に秋も更けて、もう九月の夜遅い月を
    待つような季節になってしまいました)

   出典は「古今集」恋四。詞書「題しらず」。素性法師 
   生没年未詳。僧正遍昭の子。三十六歌仙の一人。


22  吹くからに秋の草木のしをるれば 
              むべ山風をあらしといふらむ
                  文屋康秀

   (吹けばたちまち秋の草木がしおれてしまうから、
    「山」と「風」で「嵐」、つまり荒い風のことだとは、
    なるほどうまく言ったものだ)

   出典は「古今集」秋下。詞書「是貞親王の家の歌合の歌」。
   文屋康秀 生没年未詳。平安初期の歌人。六歌仙、
   三十六歌仙。


24  このたびは幣も取りあへず手向山 
                 紅葉の錦神のまにまに
                     菅家

   (この度の旅は、あまりにも急なことだったので、旅の安全
    を祈願する「幣」も用意できませんでした。代わりにこの
    手向山の美しい紅葉を神様におささげ致します)

   出典は「古今集」羈旅。詞書「朱雀院の奈良におはしましける
   ときに手向山にてよめる」。菅家 承和十二年(845)〜
   延喜三年(903)。菅原道真。従二位右大臣から太宰府へ
   左遷。


27  みかの原わきて流るるいづみ川 
              いつ見きとてか恋しかるらむ
                   中納言兼輔

   (みかの原を分けるように湧いて流れる泉川。「泉」と
    いえば「いつ見」、つまり「いつ逢った」という言葉を
    連想するから、あなたが恋しくなってしまうのかな)

   出典は「新古今集」恋一。詞書「題しらず」。中納言兼輔 
   元慶元年(877)〜承平三年(933)。



28  山里は冬ぞ寂しさまさりける 
              人目も草もかれぬと思へば
                  源 宗于朝臣

   (山里は都と違い、特に冬になると寂しさが増すものだ。
    人も訪ねてこないし、草も枯れてしまうと思うから)

   出典は「古今集」冬。詞書「冬の歌とてよめる」。源宗于
   朝臣 生年未詳〜天慶二年(939)。光孝天皇の皇子
   是忠親王の子。三十六歌仙。


29  心あてに折らばや折らむ初霜の 
                置きまどはせる白菊の花
                   凡河内躬恒

   (当てずっぽうに折るなら折ってみようかな。初霜が降りて
    真っ白になり、白菊の花が霜にまぎれて見分けがつかなく
    なってしまった)

   出典は「古今集」秋下。詞書「白菊の花をよめる」。
   凡河内躬恒 生没年未詳。天平・延喜期の歌人。三十六歌仙。


33  久方の光のどけき春の日に しづ心なく花の散るらむ
                    紀 友則

   (日の光がのどかにさしている春の一日。それなのに、
    桜の花はどうしてこうもあわただしく散るのだろう)

   出典は「古今集」春下。詞書「桜の花の散るをよめる」。
   紀友則 生年未詳〜延喜五年(905)。紀貫之の従兄弟。
   三十六歌仙。


35  人はいさ心も知らず古里は 花ぞ昔の香ににほひける
                       紀 貫之

   (なつかしい故郷の梅の花は昔のままの香りです。
    でも、人の心はうつろいやすいから、あなたの気持ちは
    わからないけれど・・・)

   出典は「古今集」春上。詞書「初瀬に詣づるごとに、宿り
   ける人の家に久しく宿らで、ほどへて後にいたれりければ、
   かの家の主人、かくさだかなむ宿りはある、といひ出して
   侍りければ、そこに立てりける梅の花を折りてよめる」。
   紀貫之 貞観十年(868)頃〜天慶九年(946)。
   『古今集』の選者の一人。『土佐日記』の作者。



40  忍ぶれど色に出でにけり我が恋は 
               物や思ふと人の問ふまで
                   平 兼盛

   (隠しているつもりでも、私の恋心は顔に出てしまったと
    見える。「誰か好きな人でもいるの?」と人に聞かれて
    しまうくらいだから)

   出典は「拾遺集」恋一。詞書「天暦の御時の歌合」。
   平 兼盛 生年未詳〜永祚二年(990)。光孝天皇の
   曾孫篤行王の三男。三十六歌仙。


41  恋すてふ我が名はまだき立ちにけり 
              人知れずこそ思ひそめしか
                  壬生忠見

   (「恋をしているらしい」という私の噂は早くも広まって
    しまったよ。誰にも知られないように、ひそかに心のなか
    で想い始めたばかりだというのに)

   出典は「拾遺集」恋一。詞書「天暦の御時の歌合」。
   壬生忠見 生没年未詳。壬生忠岑の子。三十六歌仙の一人。


43  逢ひ見ての後の心にくらぶれば 昔は物を思はざりけり
                    権中納言敦忠

   (あなたにお逢いしたのちのこの切ない心にくらべれば、
    逢わない頃の物思いなんてなきに等しいくらいのもの
    でした)

   出典は「拾遺集」恋二。詞書「題しらず」。
   権中納言敦忠 延喜六年(906)〜天慶六年(943)。
   三十六歌仙の一人。


56  あらざらむこの世のほかの思い出に 
              いまひとたびの逢ふこともがな
                  和泉式部

   (私はもうすぐこの世を去ることになるでしょう。
    せめてあの世への思い出に、もう一度だけあなたに
    お逢いしたいです・・・)

   出典は「後拾遺集」恋三。詞書「心地例ならず侍りける
   ころ、人のもとにつかはしける」。
   和泉式部 生没年未詳。「和泉式部日記」の作者。





             『日本古典への誘い100選』より


             『いなごまめの発芽実験』
                      『死と生命と救い』
             『使徒トマス・復活の主』
               『偉大な寝技師』
             『神の聖名の権威について』
              『カペナウムに始まる』

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