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長い雨が続いて
なんとなく 肌寒くて
長袖のブラウスが脱げなかった
今日 ひさしぶりに青空が見えた
さくらの樹から 蝉の声が聴こえてきた
夏が やっと やってきた
勢いよく 伸びだした雑草は
いつのまに そんなにはびこってしまったのかと
思うほど 天に向かいながら
葉先から 茶色に変化していく
夏が やっと やってきた
雨の後の 夜の空気は 湿っぽくて蒸し暑く
木でできた 庭のぶらんこに
たくさん 蝉が羽化を始めた
雨の間 ずっと待っていたのかしら
いっせいに 殻を脱ぎ捨てて
羽根を乾かし始めた
薄蒼く 透き通るような 自然界の芸術
この 美しいものの命の短さを ふと思う
お陽さまの恵みを
おもいっきりあびて
燃え尽きた後
蝉たちは どこの世界に旅立つのだろうか
この世に残す想いにとらわれるのは
私たち人間だけ…
地上にいる間
啼くだけ啼いて
無心に するべきことをした後
空の向うへ 羽ばたいていく
夏に 生まれ
夏に 生きて
夏に 消えてゆく
夏のはじまりに
夏の精に出逢った
夏が やっと … やってきたのだ
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