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誰かが歌を歌っている
懐かしいあの故郷の歌
愛しい誰かに歌うのか
静かに流れる上海セレナーデ
遠い遠いその昔
ふたりで走った草原で
陽の光に戯れて
彼がずっと歌っていた歌
私の昼間はもはやなく
赤と黄色のネオンの中で
サテンのドレスに身を包み
髪巻き上げて紅をさす
歌が私を連れて行く
海の向こうに連れて行く
とうに忘れていたはずの
草原の彼が蘇る
記憶がたとえ蘇ろうとも
私の人生は戻らない
私の行き場もそこになく
未来に夢も持てずして
ああ 上海セレナーデ
愛しい人を連れてきて
忘れた過去を連れてきて
残した故郷を連れてきて
どこにも行けないこの私
せめて夢を見させてよ
陽を浴びながら走る夢
愛しい彼が歌う夢
想いだけは縛られず
隔てた海を飛び越えて
せめて自由に泳げるように
ああ 上海セレナーデ
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