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. ちょうど7つの頃の私は、今では死語になりつつあるいわゆる<おてんば娘>でした。 見かねた母は私に(祈るような気持ち!笑)で茶道を習わせました。 茶道は四季と深い結びつきを持つ日本の代表的な文化。 春は桜、初夏は青葉、夏は水、秋はもみじ、冬は雪。。 茶道具のひとつひとつにつけられた<銘>と言われる名前。 おもてなしをする心である<一期一会>は、その季節でしか味わえない刹那のもので迎えるという精神に基づいているのです。 お茶碗を大切に扱うための袱紗や着るものにも季節を表わすものが描かれ 四季がはっきりとある日本の素晴らしさを感じる心が知らず育つのでしょう。 その季節のひとつの節目である桃の節句と言われるのがひな祭り。 私のひな祭りとの想い出ははるか昔にさかのぼります。 4つの時、妹もいたので買ってもらったお雛様。 7段飾りの下二段にはまだお道具がなく、普段から遊んでたくまのぬいぐるみや おもちゃ、お菓子などが飾られていました。 今でもそのお雛様を出すたびに、その頃のことを思い出すのです。 赤い毛氈に落書きして叱られた事。 開けることなく置かれていた白酒とはどんな味なんだろうと勝手に開けて飲んでしまった事。。 何もかもが懐かしく、いまだに落書きはそのまま残っています。 お茶を習う事で四季といつも密接でした。 お雛様を飾る時には桃の花や菜の花がないとどこか寂しく思えたり、 はまぐりや菜花を食べないとひな祭りを祝う気がしなかったり。。。 一つ一つの行事は私にとっては季節を楽しむ習慣でした。 それまで季節を味わうためのものだと思い込んでいた節句が、実は親の愛情や祈りをこめたものであるということにあらためて気がついたのです。 つるし飾り一つ一つにこめられた意味は去年の記事にも書きましたが、 おばあちゃんやお母さんが初節句を迎える娘の無病息災、良縁を願い、 手で丁寧に作られお雛様の周りに飾られます。 その艶やかさはため息が出るほどですが、それぞれの飾りの愛らしさはたとえようもありません。 子どものお人形の表情のかわいらしさは作られた方の思いがそのまま映し出されているかのようです。 動物たちもとても愛嬌があって心が和みます。 家々の古くなった晴れ着などで作るので、どれをとっても同じものはなく、 いろいろな趣きや味がでるのです。 中にはこんなのもありました。 もうかわいらしくて素敵で、これは美術品にも匹敵する気がしました。 まるで夢の世界に溶け込んでいくようでした。 つるし飾りに込められた想いが零れてきたのでしょうか、 いつの間にかぽかぽかと暖かい心になった私に ひいなの夢の世界の出口で、一人の女の子が語りかけてきました。 「思い出してくれてありがとう。」 河津の桜が澄んだ空に向かってそよぎ、 そこかしこで湧いている温泉の湯気の霞の中で、 さっきの女の子がお父さんやお母さんと一緒にお雛様のお祝いをしていました。 楽しそうな笑い声と零れるばかりの笑顔が 春を告げる風になって私の頬を優しくかすめて行きました。 見上げた空の青さが目に沁みていつの間にか涙がにじんでいました。 その女の子は紛れもなく、幼い頃の私だったのです。 |
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