くすのき家の人たち

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2018/9/26 18:28神戸新聞NEXT


 私立生野学園高校(兵庫県朝来市生野町)が創立30周年を迎えた。
小・中学校で不登校を経験した生徒を受け入れてきた同校は
現在、付属中学も併設。

いじめや人間関係、受験で疲れた思春期の心のケアを基本に、
これまで約800人の卒業生を送り出した。
このほど開かれた記念式で宇都宮誠学園長(61)は
「生きるとは何か、生徒や親とともに問い続けてきた。
これからも一緒に考えていきたい」と誓った。(津谷治英)

 1989年、姫路市で開業する精神科医・森下一さん(77)の
呼びかけで但馬・生野の山村に開校。

野外活動を通じて五感を磨いてほしいとの狙いから、
自然豊かな地を選んだ。
中高合わせ約90人の生徒が通常の授業のほか、
農作業や森の探検、近くの小川での魚つかみなどを
経験しながら暮らす。

 全寮制で教職員が当直を勤め、24時間態勢で
心のケアに当たる。
授業の合間、食事や入浴時間、寮の自室など、
生徒が話したい時にいつでも対応。
深夜に始まったカウンセリングが明け方まで続くこともある。

 OBは、学園で芸術に出合い国内外で活躍する美術家から、
大学進学を経て就職した人、自営業など多彩。

姫路出身の竹原雅紀さん(27)は幼稚園のころから
いじめを受け、小・中学校で不登校に。
誰にも相談できず、長期間孤立した後に入学した。
「同じいじめで悩んでいる仲間とたくさん出会えた。
自分は1人じゃないと思えるようになり、心強かった」と振り返る。
高校で演劇に興味を持ち、俳優を目指して上京。
今は飲食店で働く。卒業後も母校を訪ね、
将来のことを相談する。
「学園のスタッフは僕を否定しない。だから安心できる」。

 2カ月に1回程度、親の会も開く。
保護者は学園に宿泊して深夜まで語り合う。
宍粟市の嶋津勝さん(58)は長男の卒業後も
学園の行事に顔を見せる。
「最初は参加するのがおっくうだった。
何度か通ううち、親同士も深い絆で結ばれていった。
ここでは、利益優先の社会で身に付いたアカを落とせる」と話す。

 2002年に付属中学を開校してからは、
6年間を過ごす生徒もいる。

宇都宮学園長は「一緒に泣き、恥をかき、
立ち止まって悩みながら本来の自分を探す。
これからもそんな物語に伴走していきたい」。


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