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アレアのギタリスト、パオロ・トファーニのソロ・アルバム。
イタリアの当時の先鋭的レーベル、クランプスのなかでもアヴァンギャルドな作品をリリースしたシリーズ「DIVerso」の8番がこの作品。
ヴォーカリストのデメトリオ・ストラトスのソロ「METRODORA」が同シリーズの5番。
(http://blogs.yahoo.co.jp/hiro_eurasia/45862753.html 参照)
ちなみにまだ持っていないキーボードのパトリツィオ・ファリセッリのソロ「食人」が7番だそうだ。
「METRODORA」について書いたときに触れたが、パオロ・トファーニは私は特に好きなギタリストだ。
大学生時代になにげなくサークルの友達から「好きなギタリストは誰?」と聞かれ困ってしまったことを思い出す。
当時は洋楽好きの間ではわりと普通の問いかけだったのだが、私の中ではいわゆるギタリスト然としたギタリストで好きなプレイヤーが思い当たらなかったからだ。自分自身がギターを弾いていればある程度答えられたのかも知れないがそうではなかったし、ジミヘンとか3大ギタリスト(これも前世紀的死語だ)の洗礼を受ける前に前衛的な音楽が好きになってしまったので、私にとってはギタリストは興味の対象外だったのだ。
今でこそジミヘンや3大ギタリストはもちろん、デイヴ・ギルモアなんて本当にスゴイと思うし、ブライアン・メイもいい、ちょっとひねってテリエ・リプダル(なぜかパット・メセニーまで到達してないが・・)、アラン・ホールズワース、そしてロバート・フリップといろいろ挙げられるが、当時アヴァンギャルド系を聴いていた私はさんざん迷って「ハンス・ライヒェル(FMP系のフリージャズギタリスト)かパオロ・トファーニかな」とめちゃくちゃシブい回答をしてしまった。
それから数年、幸運にもハンス・ライヒェルの来日公演を目にし、さまざまなカスタムメイドギターとかそこから生み出される斬新な音色に驚かされた。ひるがえってパオロ・トファーニの演奏は今もって見ることが叶わない(まあ当然かもしれないが・・・)。
当時の私はこのパオロ・トファーニのソロを聴いたこともなく、アレアでのギタープレイで「好き」と感じたのだが、なんというかロック的なフレーズも弾く傍ら、時としてギターをノイジーなトーンジェネレータ的な使い方をしていたところが斬新に思えて好きだったのだ。
そんなパオロ・トファーニのソロをアレアに初めて接してから実に30年経過して耳にしているわけだが、これが私がパオロ・トファーニに対して求めていた要素がギッシリ詰まった強烈な作品だった。
ギターにシンセらしきものと繋いで弾いている写真がジャケットにある。ギターシンセなんて完全に過去の遺物ではあるのだが、使い方がやはりトーンモジュレータのような使い方で、フリージャスギタリストの作品という要素もあるが、あたかも電子音楽のようにさえ聞こえる。
たとえばヘンリー・カウのフレッド・フリスなどもフリージャスのギタリストとしてはすばらしいと思うし、デレク・ベイリーも実に美しいトーンだと思うのだが、パオロ・トファーニの特徴はこの電子音楽とギターの両側面が同居している点だと思う。
なにげにテクニックは圧倒的なのだが、それだけではとどまらずフリージャスなのに全体として飽きずに聴き通すことが出来た。
紙ジャケットが出ていたが、オリジナル盤の入手まで待ってよかった。
聴く前から期待値の高いレコードだったが、その期待値を見事クリアしてくれた。
いつの日かパオロ・トファーニのプレイをこの目で見たいものだ。
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